No.706353

九番目の熾天使・外伝 -蒼の物語-

Blazさん

チェイススタート!

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OP3「vitalization」 戦姫絶唱シンフォギアGより

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2014-08-05 12:06:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1082   閲覧ユーザー数:1053

戦姫編 第五話 「追跡」

 

 

 

 

= 約数ヶ月前 連合階層都市イカルガ =

 

 

カグラ「弟子?んー・・・無理だな。俺はそんな事できる程の器じゃねぇ。」

 

 

「何故?」と答えた。

 

 

カグラ「正直、俺だって師匠に認められたって確信はもってねぇ。俺は例え上に付ける人間でも、その人間に教えられるって立場じゃねぇ。だから無理だ。」

 

 

「・・・。」

 

 

カグラ「確かに、お前の実力を見てて育ててぇって気持ちもあるさ。色々と面白そうだからな。けどよ。俺はお前みたいな死人を弟子に取るほど馬鹿じゃねぇ。」

 

 

「死人?自分が?」と答えた。

 

 

カグラ「ああ。今のお前は死人だ。過去に囚われてずっと前向けないって奴の目だ。」

 

 

「違う。」と言いたかった。だが、実際は彼の言うとおりだった。

何時までも昔の事を忘れられない。

「奴等を根絶やしにしたい」と心が叫んでいる。

他人の背中を押せたのに、自分の背中は押せなかった。

いや、前に進めなかった。

 

 

「・・・。」

 

 

そんな自分を見て惨めだと、情けないと何度思っただろう。

それでも自分の心に復讐心が満ちて奥底でそれを押さえ込んでいた。

 

今思えば。正直『アイツ』と同じだ。

唯復讐に囚われた自分。情けないと思う。

だけど、アイツは生きている。新たな生を貰った。

アイツは新たな自分に成ったのだ。

 

だが。自分は死んだままだ。

言うなれば怨念。過去の生を根に持ち、居座り続ける哀れな霊。

 

 

 

 

 

だからだろうか。

彼が言ったのは。

 

 

 

カグラ「けどよ。俺は前を向きなおした奴は・・・ほっとけないぜ?」

 

 

「・・・・・。」

 

 

カグラ「どうする?このままお前は怨念の様な生き方をするか、それとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場で生まれ変わるか。」

 

そう言って彼は大剣を自分の目の前に突き出した。

もし、これで自分が「Yes」と言えば、自分は生まれ変わる。

だが、「No」と言われれば・・・恐らく殺される。

 

 

殺される?もう死んだのにか?

 

 

 

「・・・もう一度・・・」

 

 

カグラ「・・・。」

 

 

「もう一度・・・・・・アタシは・・・」

 

 

カグラ「・・・別に笑いもしねーよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一度・・・アタシは歌いたい・・・!!」

 

 

 

カグラ「・・・・・・良いだろう。」

 

 

そして。師匠はそう言ってアタシに大剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= 戦姫の世界 市内高速道路 =

 

 

一度は死んだ身だ。もし生き返ったら、こんな事をして見たいと思う人も居るだろう。

 

自分が死んだ場所を見て見たい。と。

 

 

 

ニュー「アルト、何処に行くの?」

 

アルト「ん?ちょっとな。」

 

アルトはニューを回収して再びバイクに乗っていた。

バイクを走らせ、ニューにヘルメットを付けさせて後ろに座らせる。

行き先は自分のハンドル一つだ。

だから、アルトはある場所に向かう事にした。

 

かつて自分が居た場所へだ。

 

 

ニュー「・・・お日様沈みそうだね。」

 

アルト「時間は・・・四時半か。って事は付くのは五時かそこいらかな・・・」

 

ニュー「遠くに行くの?」

 

アルト「大丈夫だ。街から出はしねぇよ。」

 

そう。出る気はない。Blaz達も待ってるし、まだ見てない場所が多くある。

少なくとも、自分が調べたい事を知るまでは離れる気はない。

 

例え、何があってもだ。

 

 

 

アルト「・・・・・。」

 

 

後ろから二台ほど黒いバイクがこっちに来ている。

Blaz達も見たバイクだ。

つまり、管理局の局員。彼らもこの世界に来ていたのだ。

狙いはニューか、それとも自分か。

いずれにしても

 

 

アルト「撒くのがセオリーだよな。」

 

ニュー「うにゅ?」

 

アルト「ニュー。少ししたら派手に動くから、しっかりしてろよ。」

 

ニュー「にゅ?」

 

そう言うと、彼女はハンドルを回し、バイクのスピードを上げた。

エンジンがうなりを上げ、スピードが上がり始める。

現在のスピードでもまだ出力は出る。そんなエンジンをアルトのバイクは積んでいるのだ。

 

 

アルト(動いたな。)

 

 

すると、ミラーから見える後ろでは相槌で会話をした局員二人がスピードを上げてアルトを追い始めたのだ。

これでハッキリとした。彼らは自分達が狙いだと。

 

アルト「さてと。撒くとすっかな!」

 

もう一段階スピードを上げ、アルトは局員達から逃げ始める。

高速を走る車やトラックを目くらまし代わりにして右へ左へと逃げる。

対し、相手二人も解れて追跡し、アルトの逃げ道を無くそうとしている。

 

アルト「無駄無駄。アタシの愛車の『叢雲』は、其処まで簡単に追いつけはしないぜ。」

 

車の前や後ろを移動し、時には間も移動する。

それによって相手をかく乱し、撒こうとしたのだ。

その予想通りに局員二人は混乱しており、どうするのかとどうやら念話で会話をしていた様だった。

 

アルト「やれやれ。最後は物理ってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だ。

一般道路から高速に入る道から一台のバイクが入ってきた。

それを追い越したアルトだったが、一瞬だけその顔を見て自分の目を疑った。

 

 

アルト(・・・えっ・・・)

 

(・・・・・見つけた!)

 

 

入ってきたのは青いバイク。

乗っている少女も髪の色が青かった。

そして、長髪の髪と凛とした目。

 

見た目は一瞬解らなかったが、背が伸びたと言えば一発で理由が付く。

 

アルトの過去を知る人物。その少女が彼女を追って姿を現したのだ。

 

 

 

アルト「まさか・・・!?」

 

ニュー「アルト?」

 

彼女を追い越し、アルトは先を行く。

その後ろには彼女。そして、何かをしようとしている局員達。

レースで言えばトップがアルト。二位が彼女と言った感じだ。

 

「っ・・・!」

 

アルト「どうしてココに・・・?!」

 

ニュー「アルト前。」

 

アルト「え?ってうわ!?」

 

前に居たトラックにギリギリで避けるアルト。

そのトラックのサイドを通り、アルトは後ろをミラーで確認した。

間違いない。彼女だ。と。

 

アルト「くそっ・・・こんな時に・・・」

 

正直会えたのは嬉しい。

だが、今は局員達が何をしでかすか解らない状況だ。

来て欲しくなかったと言えば嘘になるが、今は忙しい時なのは事実なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチャッ

 

 

 

 

そう。本当に忙しい時なのだ。

 

 

アルト「い!?」

 

「何っ!?」

 

後ろで局員達が出したのはイングラムM10。つまりサブマシンガンだったのだ。

そんなのをココで撃てばどうなるか。

 

道路内が混乱するのは間違いないだろう。

 

アルト「あいつ等本当に法の守護者かよ!?」

 

ニュー「多分ちがーう♪」

 

アルト「オメーはのんびりで良いなオイ!!」

 

 

 

刹那。局員達は容赦なく発砲。

制御の利かない弾がばら撒かれ、周りを走る車は混乱し、スリップする車も居た。そして、それによって車同士が激突したりと一瞬で高速道路が混乱状態になったのだ。

 

アルト「くそっ・・・!」

 

「っ・・・!」

 

アルトを追っていた少女は弾を回避し、車線の端に移動する。

其処から局員が彼女を撃たなかった為、どうやら狙いは本当にアルトとニューの二人らしい。

 

アルト「くそっ!このままヤられっぱなしは流石にゴメンだ!ニュー!」

 

ニュー「はいはーい?」

 

アルト「アタシの腰から銃取ってくれ!」

 

ニュー「うにゅ。」

 

ニューはアルトの腰のホルスターに横に入れられていたP220を取り出し、それをアルトに渡す。受け取ったアルトは左手に持ち、銃のロックを歯を使って外し、後ろに顔を向けて相手の位置を調べた。

そして。

 

 

 

アルト「おらよっ!!」

 

アルトは局員達に向ってトリガーを引き、反撃を始めた。

一発一発確実にトリガーを引くアルト。当てるのは局員かと思われたが、彼女が狙うのはバイクのタイヤだった。

 

 

ピスッ

 

 

 

前輪のタイヤがパンクし一台がバランスを崩してスリップする。

横転にと言うよりもダメージの受け流しが素人以下の局員はまるでバラエティ番組のようなコケ方をして脱落した。常人なら大怪我で澄むかどうかのコケ方だったが。

 

アルト「先ずは一台ッ!」

 

 

 

しかし、其処に新たに二台の同型のバイクが現れる。

見た目からして全く同じなのでどうやら仲間がいたらしい。

 

しかも、前の二人が発砲したからか、彼らも容赦なく銃撃を始めたのだ。

 

アルト「オイオイオイオイオイ!」

 

ニュー「増えたね。」

 

アルト「いや増えたねじゃなくて!!」

 

 

「対象を確認した!我が管理局に反逆する愚かな女達、ココで仕留めるぞ!!」

 

アルト「あーあ・・・アッチだけで何か熱く・・・」

 

しかし、これ以上面倒な話は無い。

アルトに残された手段は徹底抗戦だけとなったのだ。

銃を使ってるにもリロードの為の弾を取れ自信も無い。正直バイクの上で銃を扱うのは慣れてないのだ。

弾を節約して戦うか。

アルトが腹を括ろうとした時。彼女の目線にある物が映った。

 

アルト「アレは・・・」

 

少し先に廃車回収用のトラックが一台、端に止まっていたのだ。

見た所後部には車は一台も無い。どうやら仕事前か何からしい。

それならは使わない手は無い。

 

 

アルト「へっ・・・ニュー!捕まってろよ!」

 

ニュー「うにゅ?」

 

「何を・・・!?」

 

アルトがバイクのスピードをまた一段階上げる。

そろそろスピードは80を突破するくらいのスピードだ。

其れを追って局員達もスピードを上げた。

 

アルト「そろそろかな・・・」

 

それを避けつつ、アルトは銃を腰に刺し、ハンドルをしっかりと握った。

彼女達の前には予想通り廃車回収のトラックが止まっていた。

一度限りのチャンス。無駄にする気は無い。

 

アルト「しっかり捕まってろ!!」

 

「まさか・・・!?」

 

「っ?!あの女何を・・・」

 

 

 

 

 

 

 

刹那。アルトは爽快の顔でトラックの後部にバイクを載せ、そのまま直進。其処からバイクを道路の外に飛び出させたのだ。

 

アルト「いっけぇ!!」

 

高速道路の下は『予想通り』、一般の道路だった。

アルトは足と手だけでバイクにしっかりと捕まり、そのまま下に落ちていった。

下にはコンクリートの地面がある。痛いのは一瞬だけだと信じ、アルトはバイクに全てを委ねた。

 

 

 

 

 

ガシャッ!!

 

 

 

 

タイヤによってバイクは跳ね上がり、その後に再度地面に着地する。

ニューは尻だけで済んだが、アルトは手足から衝撃が地面から伝わり、骨に響いていたのだ。手首の辺りに異常に負荷が掛かる。

だが、そんな事を言ってられる場合でもなかった。

 

アルト「くっ・・・!」

 

右足を出し、アルトはバイクの進路方向を無理矢理変更させる。

足に痛みはまだ残っていたが、直ぐに動かさなければ恐らく足には更に痛みが伝わってくる筈だからだ。

そのままエンジンを再び吹かし、再起動。アルトは直ぐ様其処から逃げ出したのだった。

 

 

 

アルト「あばよっ!」

 

ニュー「まったねー♪」

 

 

「着地出来たと言うの!?」

 

アルトを追っていた少女がトラックの車を格納する場に上ると、既にアルトたちが逃げようとしていた時だった。

同じく、局員達も彼女の後を追おうと考えたのだが、ここのでの騒ぎを聞きつけて警察が来ようとしていた。

 

「くっ・・・現地の警察組織か!」

 

「どうする?魔法で奴等を・・・」

 

「馬鹿が!そんな事をしたら、大事になる!このまま撤収だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルト「しっかし、まさか高速道路で銃ぶっ放すとはな・・・」

 

ニュー「にゅ、アルト。メット焦げた。」

 

アルト「あ・・・」

 

逃げ切ったアルトはそのまま街中の道路を移動。ある場所に向っていた。

それが何処なのか気になったニューはヘルメットが焦げた事で少ししょげていたアルトに尋ねた。

 

ニュー「アルトー何処に行くの?」

 

アルト「ん?ちょっとな・・・多分そろそろ着く筈だ。」

 

 

そろそろ太陽の光が落ち始める。

時間は五時を回っていた。季節的に日の落ちる時間が遅いくらいだからだろう。

その落ちる場所からして自分達が今東に顔を向けているというのが解る。

その日が落ちていく東の太陽がある方角に、アルトの目的地があった。

 

 

アルト「・・・・・・。」

 

 

 

アルトが向う場所。其処は全ての始まりの地。

そこでまさかああなるとは。と彼女はこの時思っても居なかった。

 

 

アルト「・・・ちょっと寄り道するぜ。」

 

ニュー「うにゅ。」

 

 

そう言って向った先には、ライブ会場が大きく建っていた。

其処に何があるのか知らないニュー。知るアルト。

それでもアルトはバイクの進路を変えなかったのだった。

 

 


 
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