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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第3章 24話

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんにちは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2014-08-02 12:22:36 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2884   閲覧ユーザー数:2449

第3章 群雄淘汰・天下三分の計編 24話 『 一握の望み 』

 

 

 

 

孫呉機動軍との再三再四行われた模擬戦

反董卓連合時に自身の眼でしかと確認した戦闘模様から、紅は此度の戦に当て嵌め損害を割り出していた

 

本来の目標である劉琮軍と戦う前に、いらぬ損害を増やしたくなかった紅は

この時代ではオーバーテクノロジーである『弩弓砲・改』を使用してまでも

勝利を孫呉へと引き寄せてみせた

 

あとは呂布軍が敗残兵を纏めて退散するか、降伏するかでこの戦は終わる筈であった しかし・・・

 

「まだ負けてない! お前さえ・・・ お前達さえ死ねば!」

 

ここまで縦横無尽に赤兎と共に戦場を駆け抜けてきた恋であった

味方が次々に討たれていくにつれ、さすがに心労からか、疲れの色を見せ始めおり

鎧には自身の血か返り血か解らぬ大量の血液が付着し紅く染めていた

 

緋蓮を執拗に追いかける恋の妄執は、もはや紅の計算の埒外にあり

深紅に染めた姿は、対峙する孫呉の兵達皆、死を連想させた

 

「何がそこまで呂布を駆り立てるのか解らぬが、死人と化した呂布に敬意を表し、私自ら呂布に引導を渡してやろう」

 

「なぬっ! 堅殿、正気か!? 何も付き合うことはないじゃろ?」

「なりませぬ! 堅様!」

「ふぅ~ 止めても無駄なのでしょうね?」

 

祭、楓が必死に止めようとする中、紅だけは諦めの心境からか問いただしてみるものの・・・

 

「ああ 手出し無用だ いいな?」

 

やはりというか、トドメとばかりに3人へと言い放つや

緋蓮は馬の腹に一蹴り入れると、愛馬を呂布のもとへと駆けさせたのであった

 

             ・

             ・

             ・

 

「貴様の望み通り、一騎討ちにて決着をつけてやる!」

 

瞑っていた眼が恋へとカッと大きく見開かれた時には、なんとすでに緋蓮の右眼が碧から赤色へと変化していたのである

緋色の眼を持つ孫家の血族を示す蓮、それが緋蓮の真名の由来ともなっている

 

汜水関で華雄と死闘を演じた時にも起こらなかった現象なのであるが

緋蓮が死人と化す時に起こるバーサーカーモードの印でもある

 

古錠刀を大胆に抜き放った緋蓮は、獰猛な”江東の虎”と謳われし歴戦の勇士へと、見事な変貌を遂げていたのだった

 

騎乗しながらの戦いにおいて、戟VS剣では方天画戟を手にし、一刀と互角の力を示した恋が当初圧倒的有利だと思われた

しかし蓋を開けてみれば、予想された展開とは全くの間逆の緋蓮有利の展開が繰り広げられていたのだった

 

疲れのある恋の繰り出す方天画戟の攻撃が描き出す軌跡を、赤く染めた緋蓮の右眼が”全て”予測してみせたのである

 

攻撃を避けつつ、大胆にも愛馬を恋の懐へと飛び込ませ間合いを制すると

緋蓮は致命傷となる一撃は避けていたが、方天画戟が腕や腿を掠り血が噴出そうとも一顧だにしなかった

 

戟を正面から受け止めるなど愚の骨頂、最悪古錠刀が折れかねなかった

なので防御と引き換えにし、恋へと古錠刀を繰り出す”手数”を増やしたのである

 

「死ね! 死ね! 逝ってしまえ!」

 

「馬鹿も休み休みいえ! 今更私を斬ったとて大勢に影響など出んわ! 

 呂布、貴様の負けは・・・ すでに決定事項だ!!」

 

老いて益々盛んなり、老黄忠などと三国志演義にて黄忠を指してそう表現されるが

一線から身を引いた筈でありながらも、華雄との死闘を始め

孫の偲蓮(孫紹)、桜華(孫登)が生まれたというのに、此度は恋と一騎討ちをしでかしている

 

老孫堅、老緋蓮と緋蓮が聞いたなら、老と聞き喜ぶ所か、顔を真っ赤に染めて怒号即否定したことだろう

だが身内の雪蓮からそう呼ばれてもおかしくない程、似た者母娘な戦闘狂っぷりであった 

 

緋蓮が繰り出す古錠刀の一撃をギュィィーーーーンという何とも言えぬ金属音を響かせ

方天画戟の柄で滑らせて、胸元へと向かってきていた攻撃を逸らせると共に

方天画戟を突き出し緋蓮の脇を抉ってみせる

 

一進一退の攻防が繰り広げられる中、恋からすれば一刀との対戦時と同様

またしても間合いの狭い剣に間合いを制されたことになる

 

あの時は一刀の姿が消える程の縮地から懐へと飛び込まれ不覚をとってしまった

しかし今は依然とは状況が違い、共に騎乗したままなのである

 

古今無双、天下無双と大陸で謳われる恋にとって、自他共に認め尊敬しあう一刀に負けるのならば納得できる

しかし、格下とみていた緋蓮に負けることは、仮に天地が逆さまになろうとも到底容認・納得できるモノではなかった

特に今はねねの身柄がかかっている大一番、絶対に意地でも負ける訳にいかない

 

だが現実は非情で厳しく、2人の実力差を埋めた大きな要因、それは疲労の差であった

 

現代で例えるならば、サッカーの延長戦や途中交代で出てきた瞬発力のある有名選手を想像すれば良いと思われる

疲れ果てたDFを揺さぶり抜き去りチャンスを作りモノにする交代選手という光景をよく眼にすることもある筈だ

 

無敵を誇る恋とて、やはり人の子なのである

 

一見無尽蔵にみえた恋の体力及び精神力は、ねねを救い出すという焦り、数時間先頭にて戦い続けたことが蝕み始め

緋蓮へと繰り出す方天画戟の一振り一振りに、呪いの如く纏わり着いて速度を鈍らせていた

 

方や恋と同じ死人と貸し、バーサーカーモードという120%以上もの力を出せる

万全の態勢で対峙した緋蓮とは、まさに対照的といえるだろう

 

攻撃は最大の防御の例えは少し誇張しすぎな感も否めないが

緋蓮は手数で大いに勝り、恋の攻撃回数を激減させていた事実が、実力差を確実に埋めていたのである

 

緋蓮に間合いを制され、焦りと疲労が色濃くなるにつれ、恋の中で何故?どうして?という想いに心は逸る

コイツに勝てば・・・倒せば・・・きっとねねは帰って来る、そう思っていたのに・・・

方天画戟を握る手にギュッと力を込め握り締めるや、恋は頭上で戟を何度もブンブンと唸りをあげ振り回し始めたのである

 

(おいおい・・・ 我と同様防御を棄て、馬ごと斬り倒すつもりか・・・ 

  ならば戟が振り下ろされる前に決着をつけてやるっ!!)

 

恋は当初から一貫して、大将である緋蓮を殺すか、軍を退ければねねを返してもらえると思い込んでいたようだが

もし緋蓮が万が一にも命を失うようなことあらば、緋蓮の仇をとるまで恋を徹底的に追い詰めたことだろう

 

そうなれば、間違いなく恋の命も間違いなく失くなっており、劉琮軍の当初の目論見通りに

孫呉、呂布軍、どちらかが滅亡するまでという、陰惨な殺戮の連鎖がこの場で繰り拡げられることになっていたことだろう

 

緋蓮、恋共に決着をつけるべく、渾身の一撃を繰り出そうとする直前

 

「まてぇーーーーーーーーーーーー!」

「戦いやめぇーーーーーーーーー!!」 

 

決着をつけようとしている瞬間、突如として空気を読まぬ瑠璃と霞の声が、ほぼ同時に戦場へと轟いたのである

 

しかしこの空気の読めぬ声だけで、一撃必殺を繰り出そうとしている緋蓮、恋の攻撃が今更止まる筈もなく

恋の方天画戟が緋蓮の脳天を、緋蓮の古錠刀が恋の喉元へと吸い込まれようとしたその刹那

 

「やめぇーーーーちゅ~とるやろ! このどアホ共!」

 

・・・の闊達の良い罵声と共に、飛龍偃月刀が投擲されたのであろう

渾身の一撃を放とうとする2人へ割って入り、華麗に弾いてみせたのであった

 

「邪魔するというのなら霞から先に殺す」

「霞、死にたいのか?」

 

渾身の一撃を邪魔された緋蓮と恋は、勝負を邪魔した霞をギョロと視線を向け睨みつける

 

「いくらでも相手になったるけど、もうすぐ一刀達が到着するさかい少し待ちぃや!

 恋の”望みのモノ”もやってくる手筈やさかい ええな?」

 

そう2人へと啖呵をきってみせた霞に、不機嫌な表情を微塵とも隠そうともしない緋蓮、恋の2人

 

「一刀? 恋の望み? ・・・解った 霞を信じ少しだけ待つ」

 

虎牢関では、自身の命を張ってまで恋達を逃がしてくれた、霞へ寄せる深き信頼ゆえなのだろう

憮然な表情のまま恋が霞へとはっきりと答える

 

「ああん? ・・・興が削がれた 勝負は次の機会まで預けておいてやる」

 

恋の対応に白けてしまったのか、視線を上へと彷徨わせ呆れた表情をする緋蓮は

そう呂布へと投げやりな言葉をブツけ、祭や楓、紅へと事情を説明している瑠璃がいる場所へと

手綱を引き絞り、愛馬の馬首を返し去っていくのであった

 

 

 

 

孫呉の兵達があちこちで座り込み休息を取る中、この戦闘前に呂布軍は5000人はいた筈なのだが

霞を信じて待つ恋の周りに侍る部下達は、総勢50人にも満たない有様であった

 

大多数の者は『弩弓砲・改』攻撃に刺殺され恐怖し平伏した格好で

その後の祭、楓達の包囲殲滅によって止めを刺された格好のようであった

 

静まり返る戦場に一際大きくなってくる音が1つ・・・ 

ガタガタ、ゴトゴトと堅い大地を勢い蹴り出し駆けてきた馬車が、恋の前で急停止をする

 

馬車の中からちょこんと顔を覗かせてきたのは月、詠の2人

恋を見つけ笑顔を向けると、馬車から出てくるのかと思いきや、馬車の中へと引っ込んでしまった

 

「月、詠・・・」

 

手紙の遣り取りをし無事だとは知っていたが、恋の中で昔日の懐かしさがグッと込み上げてくる

そう思考している合間に漸く準備が整ったのか、馬車から出てくる気配が感じ取れた

 

馬車の中から現れたのは、月と詠の2人だけと思っていたであるが・・・

そこには・・・恋が待ち望むもう1人の姿があった

 

「れっ恋殿!!」

 

その声に恋にふさふさしたわんこの耳が生え、ぴこぴこと動かし可愛い反応を示す

 

元気なねねであったのならば、そう叫び元気良く恋の胸へと飛び込んだに違いない

しかし憔悴しきっていたねねにそれを行うだけの体力もなかった為

月と詠の2人に肩を貸し抱きかかえられる格好で、1歩・・・1歩・・・・・・

時間は掛かるが、ゆっくりたどたどしい足取りではあるが、ねね自身の意思で恋の元へと歩んでいく

 

「恋殿 ごめんなのですぅ~~~~~~」

「ねね 無事でよかった」

 

その後恋とねねの2人は激しく落涙しつつも、互いに強く抱き合い再会の喜びを分かち合うのだった

 

             ・

             ・

             ・

 

「ありがと」

「ありがとうなのです」

「「ありがとうございました」」

 

落ち着きを取り戻した恋、ねねを筆頭に、呂布軍の生き残り48名が一斉に一刀へ頭を垂れた

 

「ハハハ・・・」

「やぁ~ねぇ~♪ ついでよ つ・い・で」

 

一刀の横で一刀に成り代わり受け答えしている雪蓮

 

「はぁ~~ 何もしてない姉様がなんで・・・」

「先程から、偉そうに踏ん反り返ってるんだか・・・」

 

その雪蓮の様子をみて、蓮華と緋蓮が溜息を漏らしながら愚痴っていた

 

「1人の家族を救うために多くの家族の命を失った訳か・・・ 

 思い切ったことをしたものだ・・・ 俺には到底出来ない選択だよ

 

 君たちも俺達も被害者だ これから君達はどうするつもりなんだい?

 蜀へ行きたいというなら通すつもりだし、上庸へと戻りたいというのなら帰るのを止めはしないよ?」

 

ええ!? 一刀のこの判断には、緋蓮はおろか祭、楓、紅も唖然とした表情である

 

一刀の言に首脳陣で動じていないのは、妻である雪蓮と蓮華の2人だけであった

陳宮をを助け出した時からこうなることを薄々感じていた故なのだろう

 

呂布を含めた50名の生殺与奪の権利を放棄したかのような物言いだったからだ

友を家族を先程の戦いで殺された者達も到底納得できない筈である

 

そして陳宮を秘密裏に助けたばかりか追い詰めた呂布まで温情をかける始末・・・

しかも今は緋蓮が総大将であり、決定権は緋蓮にある筈であった

何故そんな馬鹿な事を一刀が言い出したのか皆理解不能だった

 

「この戦に巻き込まれ多くの家族を失った ・・・・・・最後まで行方を見届けさせて欲しい

 その後は恋達を処刑するなり好きにすればいい」

 

「れっ恋殿・・・」

 

ねねを取り戻すという最大の目的は達した

ならば最後までこの戦の行方を見届ければ、この戦で亡くなった家族達への義理は立つ

その願いを優先す出来れば、自身の身の処し方は一刀達の好きにして構わないと気を遣った恋である

 

「そうか・・・よく解った 処刑なんてする気は毛頭ないから、陳宮安心してくれ 

 君達は俺達によく似て家族を大切にしている、出来れば仲間になって欲しいそう考えている

 それとこの戦いで亡くなった者達への鎮魂となれば良いな 

 皆この戦が終わるまで、陣内ではゆっくりと好きに過ごせばいいだろう」

 

敵対した敗残の兵達にとる待遇とは、とても思えないほどの厚遇さであった

 

「仲間? ホントにいいの?」

 

「ああ これから君達は俺達の家族になってもらいたい これが俺の本音だよ」

 

恋の疑問に笑顔で頷きそう答える一刀

それに対して、信じられない表情で恋とねねは、何度も瞳を瞬かせ顔を見合わせる 

 

月、詠、霞といった旧董卓軍の面々とこれからも共に生きていける喜び

難題であった兵達の飢え、洛陽にて離れ離れとなってしまったセキトや張々を始めとした動物達との再会にも目途がついた格好に

一刀の様子をみた恋とねねは、数々の難問が一瞬にて吹き飛び漸く安堵の様子をみせ始める

 

「答えは急がないから生き残った皆と協議してから決めて」

 

そう一刀は彼女達に言い残し話を一端終えると、距離をとってこちらを見つめていた緋蓮達のもとへと青を進める一刀

途中瑠璃の元へと近寄り声をかける事も忘れない

 

「瑠璃、此度の救出大儀であった トンボ返りで相済まぬが・・・」

「引き続き蔡瑁達の動静を探れですね? それでは行って参ります」

「うむ ありがとう大いに助かる よろしく頼むぞ」

 

短い受け答えの後、瑠璃の頭をくしゃくしゃと撫でてやる一刀

暫しの合間、嬉しそうに目を細めその感触を楽しむと、颯爽と駆け出し姿を消した瑠璃でありました

 

 

 

 

ぶすっとした表情を隠そうともしない緋蓮達の様子から

恋達の仕置きに納得していないのだろうという事を一刀は即座に察るのであった

 

「・・・ところで皆に説明はしてもらえるのだろうな? 一刀(・ ・)

 

あくまでも陛下としての一刀ではなく、母と息子として腹を割って話をしたいという意思を受け取った一刀

 

「恋達を救った理由だろう?」

「そうだ」

 

「理由は簡単だよ 呂布軍は他の勢力とは違い我々と似ていたからさ 大切な家族を守るという大元の部分がね

 瑠璃達斥候陣が居ないと仮定したならば、俺達なら間違いなく、大である部下達を生かし、小である陳宮を殺した所だろう

 ・・・だが本当にそれでいいのか?」

 

緋蓮が問うたことに対し、一刀は納得してもらえるようにゆっくりと噛み砕いて説明していく

 

「家族が大切というのならば大小は関係ないと?」

 

紅は疑問に思ったことを素直に一刀へと質問してきた

 

「ええ、これはあくまで理想論だけど、本音ではきっとどちらも失いたくなかったのだろう 

 だが大切な家族を失うのは確実な訳で、同じ失うのならば・・・と苦しんでいる内に

 事の大小なんて関係なくなっちゃったんじゃないかな?

 

 最後は皆で死ねばいいじゃないか そう決意しこの戦に望んだんだろうとみている

 

 俺達だって皆、孫呉という大切な家族達を子々孫々の時代にまで長く繁栄させたいと願っている

 そうした未来を一日も早く実現するべく、今も命を削りながら戦っている 皆そうだろう?

 

 呂布軍に大陸制覇なんて野望は最初からなかった 

 それは漢中で対峙した時、こちらの説得に応じ退却してくれた時に確と感じ取っていた

 

 汚い表現だろうけど、あそこで呂布軍は我らと戦闘することも出来たのだ

 仮に戦闘となっていれば、軍勢を蹴散らし漢中に篭り、劉備軍が漢中~蜀を制する邪魔も出来たことだろう

 そうなれば我らの南荊州侵攻~豫州侵攻、今回の戦いにまでも遅れが出て支障をきたしたことだろう

 

 しかし彼女達は文句1つこちらに溢さず堪え、月や詠、動物達という家族を保護してくれたという恩義を優先させてくれた

 家族が大切という呂布軍の行動原理の根本は、我ら孫呉となんら変らない、いや同じなんだよ

 

 以上の理由から、呂布軍の生き残りを処刑・処罰することは一切罷りならん

 

 もし母さん達が、この度の大将としての強権を発動し、呂布軍の面々を処刑・処罰するというのなら・・・

 ・・・先ずは俺を殺すがいい!!」

 

「一刀、それは正気か?」

 

腰に佩いた古錠刀を一刀の喉元へと素早く抜き放ち、凄みを増した状況で脅す緋蓮

 

「ああ! この世界に来た時から死は常に覚悟している」

 

鼻息が荒く、しきりに蹄で地面をかく動作を繰り返し、落ち着きがない青に対し

首筋を軽く叩き落ち着かせている一刀

 

「じゃ~母さま 夫である一刀を斬るつもりなら、私もサクっと殺して頂戴ね」

「兄様が亡くなるのでしたら、私もお供いたします」

 

雪蓮と蓮華が一刀を挟み込むような位置へと馬を移動させた

 

「あっあの・・・私も」

「大切な人達を処刑され失うくらいならボクも一緒によろしく」

 

月だけでなく詠までも寄り添い、緋蓮の瞳を恐れることなくキッと睨みつける

 

「ふぅ・・・ 堅殿 我らの負けじゃな」

「ですね 仮に陛下や雪蓮様、蓮華様を斬れば、呉の民衆へどんな言い訳をしようとも通用しません

 そうなれば我らに正義などありませんよ?」

 

その様子をみた祭と楓の両宿将が、早々に降参の助言をしだしたのである

 

「・・・・・・」

 

尚も納得出来ないのであろう 早々に降伏した両宿将の助言に言葉を失い

先程から一言も発しなくなった緋蓮に対し

 

「母さん 最初に俺が言った言葉憶えてますか?

 兵の被害が看過出来ないほど拡大すれば、全権を俺に戻してもらいます それでどうでしょう?

 ・・・と述べた言葉を」                                        ※第3章 16話参照

 

一刀がそんな屁理屈めいた言葉で追い討ちをかけてきたのである

 

「憶えておる 紅が提案してきた『弩弓砲』まで使用して損害を減らしてみせた

 それに損害兵数までは口にしておらんかった筈だが?」

 

苦し紛れにそう抵抗してみせる緋蓮であったものの・・・

 

「母さんも強引な手法を取るのです こちらとしてもこれくらいはさせてもらおうかと」

 

先程から少しも焦った表情を見せず、涼しやかな顔をしている一刀を憎々しげにみつめる緋蓮

 

「父や母を斬った人を孫の偲蓮や・・・」

「桜華が変らずに相手してくれるでしょうか?」

 

その横合いから、人の弱みをこれでもかと執拗に突いて来る2人の愛娘達

 

「・・・だそうですけれど、緋蓮様、邪魔な皆様を即刻お斬りになられますか?」

 

極めつけはこちら側だと思っていた紅までが・・・こんなことを言ってくる始末に窮し

孤立無援と悟った緋蓮は、もう自棄気味に喚き出すのであった

 

「うぐぐぐ・・・ 紅お前解ってて煽っておるな?

 ええい分った分った! 許せばいいのだろう? 許・せ・ば! 

 どいつもこいつも口ばかり達者になりおってからに・・・ブツブツ・・・」

 

一刀の首筋へ当てていた古錠刀を素早く納刀し、ブツブツと愚痴りながら皆から距離をとる緋蓮

 

「母さまからお許しもあったようだし、呂布達の仕置きの件はこれで終わりでいいわね?」

 

緋蓮を除く皆が頷き、仕置きの件を了承したのでありました

 

「そういえば冥琳は同行してないの?」

 

周りや馬車をきょろきょろと顔を動かし覗き込む仕草をする紅に対し

 

「ええ 私と姉様まで駄々こねて出てきちゃったから、お留守番する人が足りなくなっちゃって・・・

 恐らく今頃・・・」

 

その時の姉妹での争いを思い出したのだろう 恐縮しだす蓮華に対して

 

「偲蓮と桜華の世話に大わらわ・・・という所からしねぇ? ふふ」

 

いつもの駄々ゆえ、少しも気にした様子もない好対照の姉の雪蓮は

何ともふてぶてしい言葉を吐いたのでありました

 

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雪蓮が何ともふてぶてしい言葉を吐いた頃、

寿春城にて留守番をしている冥琳の様子はというと・・・見事的中したようで

王林は幼子は苦手さねと小蓮を連れて早々に退散してしまい

今は咲とこうして2人、雪蓮の部屋で偲蓮と桜華の2人をあやしていたのであるが・・・

 

「雪蓮や蓮華様の2人には困ったものだ 特に陛下の事となると2人して全く譲らなくなるからな

 成行きに困惑し予行演習にと安請け合いし引き受けてみたが・・・

 幼子2人の世話がこんなに大変だったとは・・・ ふぅ~~~」

 

まだまだ冥琳とてうら若き乙女だというのに、しきりに腰をトントンと叩く仕草をする冥琳に可笑しくなったのか

 

「ふふふ 自身の子供だとまた違いますよ お~よしよし~♪」

 

侍従長の咲が笑いを浮かべながら、器用に偲蓮と桜華の2人を抱き上げあやしていたのである

先ほどまでクズっていた偲蓮、桜華も、今は2人とも大人しくすやすやとお休み中なのである

 

「ふむ 憶えてくとしよう それにしてもさすが咲は手馴れたものだな」

 

一息ついた冥琳は、咲の慣れたあやし方に感嘆を漏らしつつ、助言に対し素直に1つ軽く頷いてみせる

 

「フフフ お褒め戴き恐縮の至りです ですが私より陛下の方が凄いですよ?」

 

「そうなのか?」

 

咲から驚きの事実を告げられ、陛下が?と驚きの表情をみせる冥琳

何度か一刀があやしていた状況を思い出してみる冥琳

 

「陛下が部屋近くに通りがかっただけで、偲蓮様も桜華様もすぐ泣き止んで機嫌良くなっちゃいますから」

 

「そういえばそうであったな 偲蓮様や桜華様が泣いていた記憶がない

 ただそれだけ聞くと、凄いというより陛下が女誑し(たらし)というだけのような気がしなくもないがな・・・」

 

咲の指摘に頷きながらも、その時の情景を想像し苦笑いを噛み締める冥琳

 

「陛下は昔から、休日になると城下の子供達とも気さくにお遊びなさいますから、人誑しなのでしょう」

「やもしれぬな 人からよく警戒される私からみれば実に羨ましいことだ」

 

偲蓮と桜華のほっぺの柔らかさを楽しみつつ、そんな自虐の愚痴を呟いてみせた冥琳に

 

「それは冥琳様が軍師として優秀すぎる故でしょう」

 

そう咲が冥琳のフォローをしてみせる

 

「そういうものか?」

「そういうものですよ きっと」

 

「ならばそういうことにしておこう」

 

「ふふふ ところで冥琳様、陛下との御結婚と御出産の御予定は?」

「ぶほっ!! 咲よちと気が早過ぎる・・・そんな予定は存在すらしておらんぞ?」

「あら残念です~~~」

 

(私とて人の子ということなのであろうな

  それにしても、なんだか紅と咲が似てきた気がするのは気のせいだろうか・・・)

 

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             ・

 

「・・・ということで、明命の報告では近々魏軍と晋軍の間で戦争となる模様だとか

 そうなると長期戦となるこの作戦を実行するタイミングについて、冥琳は紅さんや穏とよくよく協議して決めるようにと

 それと最後に大将はこのまま母さんに任せ、今後軍師の1人として帯同するつもりです」

 

仕置きも決まり一段落落ち着きを取り戻した頃

今後の軍の行動方針について、筆頭軍師である紅と一刀の間で協議が持たれていた

 

当初は亞莎、琥珀のみで一刀考案の独自の作戦を遂行する予定であったのだが

一刀達が出発直前に、華北で曹操軍と司馬師軍との軍事衝突が、避けられぬ情勢が明らかとなった

・・・との情報が突如舞い込んできた事もあって、直前になって大幅な人員の変更を余儀なくされたというのが事の真相である

 

念の為に、軍師である冥琳、亞莎、藍里、将である珊瑚、子虎、桜、高順という

状況に即応できる孫呉機動軍の主力を、まるまる寿春に置いてきた経緯がこの背景に存在していたのである

 

ねねを人質にし呂布軍が参戦する可能性を瑠璃が示唆していたことから

旧知の仲である霞だけをこの度引っこ抜いた形なのだが・・・いつもの如く高順はお留守番

 

結果的には霞を軍から引っこ抜いた事が、幸いにも恋、緋蓮のどちらかを失うという最悪の事態だけは免れていた

 

「あとは・・・ 穏が作戦遂行の為の金子を大量に積んだ牛車が合流する手筈なんだけど・・・」

 

一刀はそう言葉を発しつつ周囲を見渡し穏の姿を探してはみるものの・・・

 

「穏ならまだ到着していないわね」

 

「そうですか・・・ まぁ 作戦実行に関しては、母さん達の襄陽侵攻の状況を鑑みてという形ですし・・・大丈夫ですか?」

「くしゅんッ!! あっ ごめんなさい」

 

大丈夫でしょうと言葉を紡ぐつもりが、紅の突然のくしゃみで気を遣い、大丈夫ですか?という

前後の文章の繋がりが、何とも締りの悪い、意味不明となってしまった訳なのであるが・・・

 

日が暮れてきたことから、気温が下がったのだろう

それに長時間に渡り作戦遂行していたこともあって、疲れもピークにきていたと思った一刀は

 

「紅さん 風邪かい? 気をつけてよ?」

 

一刀にとっては姉的存在である紅に、何時も通りに声をかけたつもりであったのだが

まさか紅がくしゃみをした原因が、陽が落ち気温が下がったという理由なのではなく

冥琳の噂にあったとはさすがに想像できなかったらしく・・・

紅は優しい言葉を一刀に久々にかけてもらい嬉しさがこみ上げてきたのだろう

 

「フフフ あらあら心配してくれてお姉さん嬉しいわ! あ・り・が・と 一刀くん! 

 勝利の御褒美もついでにもらっちゃった!」

 

などと大胆に抱きつかれ、ふくよかな胸の弾力を感じつつ、一刀の頬へ素早く接吻してみせた紅に

驚きの表情で接吻された箇所を手で摩り唖然としている一刀に忍び寄る魔の手・・・

 

・・・などという大層なモノではなく、いやある意味において最凶とも呼べる嫉妬神の影2つ・・・

 

「私という妻がいながら、目の前で浮気とは・・・ ウワキ、ダメ、ゼッタイ!!」

「に~ぃ~~さ~~~ぁ~~~~まぁ!!」

 

身体がぴくんと跳ね、直後一刀の首がギ・ギ・ギ・ギュィーーーーという鈍い音を立て

首を後ろへと向けてゆっくりと振りかえってみれば、な・なっ・なんとぉ!

妻である雪蓮、蓮華という2人の妻が、両手を腰に当て仁王立ちし一刀をキッと睨みつけていたのである

 

紅に突然頬を接吻され、天にも昇る心地良さから一変し

2人の嫉妬神を目撃し、嬉しさなど早々に何処かへとすっ飛んでしまったようだ

 

「ええっ!! ちょ! めちゃめちゃ誤解してるって! 

 浮気って? してない!してない! 断じてしてないってば!」

 

そう下手な関西弁で無駄な抵抗をしつつ否定の言葉を吐き続ける一刀

独りの嫉妬神は古錠刀・真打を・・・ もう独りの嫉妬神は南海覇王を手にした途端

 

一刀は嫉妬神から逃げ出した!!

 

「「おいだ(お痛)しでぇーーーー! わるいご(悪い子)だにゃぁーーーーーーーーーーーーーー!!」」

 

しかし嫉妬神2人の眼光が黄色い閃光を放ち、刀を手に逃亡を図ろうとする一刀を追いかけ始める 

その様を元凶である紅は頑張れ!と笑いながら応援している

 

「逃げるってことは後ろめたい事をした証拠よ!」

「兄様! 諦めて観念なさい!」

 

「いやだから・・・観念したら斬るつもりでしょうがッ!!」

 

「痛くしないから!」

「少しだけ!」

 

などと優しげな笑顔と声をかけ、ゆっくりと間合いを詰め迫ってくる雪蓮と蓮華に

 

「NOぉぉぉーーーー!! そんなの信じられるかぁーーーーーーーーーー!! 神様あァァァんまりだァァアァーーーーーーーー!!」

 

・・・などと大声で叫びつつ、戦闘が終わり休息をとる皆の周りを必死に逃げ回る一刀

尚も執拗に追いかける雪蓮と蓮華という構図に、緊張を強いられていた戦場での一服の清涼剤となったのか

 

「ぷっ! やれぇーーーーー! そこだっ!」

「アハハ! 惜しい! もうちょっと!」

 

などなど、突如として始まった夫婦喧嘩に、外野である孫呉の兵達は揃って囃し立て、一斉に野次り出したのである

 

「ここはまだ戦場だというに、何をちちくりあっとるんじゃ・・・ あの馬鹿夫婦共は・・・」

「アハハハハハ!! おもろいやん! そんな堅いこといいな 祭!

 うちはこういうの孫呉のええとこやと思うで~? 酒の肴にはもってこいやがな」

 

なとど呆れ顔をしている祭、面白がる霞の2人は、見て見ぬフリをする緋蓮と楓と共に酒を静かに酌み交わしていた

月は一刀の様子が気になりおろおろと給仕し、恋はおかわりの椀を月へと突き出し、黙々と食事を摂り続けていた 

詠とねねはというと、共に生き残った呂布軍の兵達と一緒になって、全力で一刀達を野次り煽っていた

 

「やっと到着しましたぁ~~~~」

 

穏の間延びした声が轟き、紅が物資の確認の為、慌しく動き出したりする一方で

青と赤兎も我関せずとばかりに、そこだけまるで時間が止まったかのように、共にゆっくりと草を食んでいたりする

 

「おまいら笑って指差してないで助けろぉ~~~~」

 

そう賛同を得ようと助けを求める一刀であったものの・・・

雪蓮、蓮華という孫呉で美女と噂され羨望の的の2人を妻した時点で

兵達の多くが男である 嫉妬という点において味方などいる筈もなく・・・

 

「「安心して逝けや大将」」

 

などと逆に地獄へと誘う言葉が周囲から飛び交うにつれ、一刀はついに一度は観念したのであるが・・・

 

「だああぁぁぁ~~~~! やっぱり諦められん!! 断固として浮気などしていなぁぁ~~~~い!」

 

本来フォローすべき立場にいる紅はというと、穏が運んできた荷の確認で大わらわでそれどころではないようで

 

「一刀 覚悟はいいわね?」

「あアアァァァーーーーーーーーーーーくぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

最後は捕縛され、衆人環視の中で簡易磔の刑に処せられ、一刀の虚しい叫び声が轟く中

嫉妬神2人に心行くまで刑を執行、鞭でビシバシ遠慮なく桃尻をシバかれた一刀でありましたとさ

 

ただこの夫婦喧嘩騒動は、戦場にて命を極限にまで研ぎ澄ますことを強いられる戦士達にとって

一時の安らぎ、休息となってくれたに違いない・・・ 

 

狡猾に削りあうのを目論んでいた蔡瑁達であったが、結果的には孫呉に厚みを増す結果となった

しかし荊州の戦はまだまだ終わりを告げた訳ではなかった 

蔡瑁を始めとした劉琮軍は健在で、難攻不落と名高い襄陽城と、数々の難題が待ち構えていたのである 

 

 

 

 

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●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中

 

※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を

人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております

 

上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ

お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、ご理解とご了承くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします<(_ _)>

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

  (背丈は朱里や雛里と同じくらい)武器は不撓不屈(直刀)真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが

  一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で徐々に頭角を現し

  後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為

  未熟であった一刀の補佐にと転属させられる 

 

  初期には転属させられた事に不満であったが、一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え

  一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜(サクラ)

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

  真剣に話している時にはござる口調であるが、時折噛んだりして、ごじゃる口調が混ざるようである

  一時期噛む頻度が多く、話すのを控えてしまったのを不憫に思った為

  仲間内で口調を指摘したり笑ったりする者は、自然といなくなったようである

 

 ○高順

 

  「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年 

  以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた

  高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが

 

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

 ○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん)

 

  一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』

  ”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた

  また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある

 

  緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ

  ”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる

 

 ○孫登 子高 真名を桜華(おうか)

 

  一刀と蓮華の間に生まれた次女で、子供の扱いが分らぬ蓮華の犠牲者1号となり

  早々に侍従長の咲と思春の手により育てられることとなる

 

  そんなエピソードがあるのにも関わらず、聡明な娘で人望も厚く育ち、王となってからは自身の才能をいかんなく発揮させる

  一刀や蓮華に似ているというより、姉である雪蓮に似ているとの蓮華談有り

  後年孫呉の王として、天皇となりし姉・偲蓮を支えることとなる

 

 ●その他武将

 

  蒋欽ー祭の副将、董襲ー楓の副将

  歩シツー珊瑚の副将、朱然ー昔は瑠璃、現在子虎の副将、丁奉ー昔は子虎、現在は桜の副将 周魴ー瑠璃の副将

 

 ○咲

  母娘共に侍従長として、長きに渡り孫呉に仕える 月、詠の上司に当る

  主な著作に侍従長はみたシリーズがある

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前 

 

  白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない 

  他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない

  食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き

 

  雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様

 

 ○狼(ラン)

  珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが

  子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す

 

 

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【あとがき】

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんにちは 雪月でございます

いつも大変お待たせし、お世話になっております 

 

苦行となる仕事終え、22時頃自宅へとへとへとになりながら帰ったら

自宅にある部屋の温度計が39.5度を表示しておりました

 

地球の奴め・・・ 殺す気満々デスネ 

 

それから1時間かけて下げましたが、余裕の熱帯夜でございましたヨ

これから8月9月とまだまだ暑い日が続くと予想されます どうか皆様も御自愛くださいませ

 

この度の更新いつもいつも遅くなりまして・・・誠に申し訳ありません 

ちょっと最後に納得できず、あ~だこ~だと色々と手直ししておりましたら

遅くなってしまいました 予想以上の暑さにダレたというのもございますけれど・・・

 

この度の話に関しましては、恋との決着の行方をお送りいたしました

前話と足すとかなり長くなってしまうので、前編、後編みたいな感じで分けることとなりました

 

結論に関してはかなり悩んだのですが、正直申しますと、皆様からのコメントにございました通り

虎牢関を逃亡した当初は、本編同様蜀への流れというのも頭にございました

 

ただ劉備陣営の漢中攻略時に、恋を荊州の上庸へと留め置いた時点で

雪月の頭の中から選択肢は1つへと絞られました次第です

 

少し暴露いたしますと、これからの恋は一刀の最強の護衛として、今後とも活躍してくれることを願っております

また、漸く超絶厨二病必殺技である”ちんきゅ~とるねーど”を発動するフラグががが(落涙

ねねは・・・一刀と仲良くする恋への嫉妬神3号?として、仲良く喧嘩しあってもらう予定でいます(何

 

これからも、皆様の忌憚のない御意見・御感想、ご要望、なんでしたらご批判でも!と何でも結構です

今後の制作の糧にすべく、コメント等で皆様のご意見を是非ともお聞かせ下さいませ 

 

それでは完結の日を目指して、次回更新まで(´;ω;`)ノシ マタネ~♪


 
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