No.704235

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第159話




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2014-07-27 10:42:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2949   閲覧ユーザー数:2641

 

 

 

8月21日――――

 

ミリアム、クロウ、エヴリーヌの3人が”Ⅶ組”に編入して3日が経った。

 

クロウ・アームブラストと、情報局に所属する謎の少女ミリアム、そしてメンフィル帝国の客将のエヴリーヌ。

 

異色すぎる新メンバーたちは呆気なく”Ⅶ組”に馴染んでいった。

 

2限目―――歴史学

 

~1年Ⅶ組~

 

「―――”獅子戦役”を治めたのがドライケルス皇子だったのはもう言うまでもありませんが……250年前、挙兵した彼の手勢は余りに心許ないものでした。彼と、彼の腹心の部下達に加え、ノルドの戦士達数名……各地で味方を増やしたとはいえ、他の有力な皇子たちの軍勢とは比べ物にならないほど少数でした。それでも各地を解放しながら血の滲むような戦いを繰り返し、半年あまりが過ぎ去った時―――ドライケルス皇子は”その人物”と出会ったのです。ええっと、ミリアムさんでしたか。その人物の名前、お分かりになりますか~?」

「はーい!リアンヌ・サンドロット!またの名を”槍の聖女”でーす!」

授業中にトマス教官に指名されたミリアムは元気よく立ち上がって答えた。

 

「いいお返事ですね~、正解です。辺境の伯爵家に生まれた彼女は幼少より武術の才に恵まれていました。特に馬上槍(ランス)は神憑っており常勝無敗を誇ったそうです。その”槍の聖女”が率いた一騎当千の勇士たちの集団……何という名前だったか、リィン君に答えてもらいましょうか。」

「!(”槍の聖女”が率いた勇士たちの集団といえば―――)”鉄騎隊(アイゼンリッター)”―――神速の機動力で戦場を駆け抜けた一騎当千と言われた騎士団です。」

「はい、正解です。長引く戦乱の中、漂白の皇子と槍の聖女は辺境の地で出会い……互いに信頼に足る人物として認め合い、共闘する事になりました。それ以降、ドライケルス陣営は破竹の勢いで各地を解放してゆき―――わずか1年で、他の皇子たちを降し、帝都ヘイムダルを解放したのでした。ちなみに250年前の当時、鉄騎隊が拠点とした”城”ですが……ラウラさんのご実家のすぐ近くにあったりします。」

指名したリィンの答えに頷いた後説明を続けたトマス教官はラウラに視線を向けた。

 

「”ローエングリン城”……レグラムの西、エペル湖の湖畔にそびえる美しい古城だな。」

「まあ……ラウラさんのご実家には歴史上にある城があるのですか……」

ラウラの説明を聞いたセレーネは目を丸くし

「前に言ってた……」

「今でも誰か住んでるの?」

フィーと共に興味ありげな表情でラウラを見つめたエリオットは尋ねた。

 

「いや、険しい場所にあるため遺構として残っているだけだ。一応、アルゼイド家で最低限の管理はしているが。」

「ふむ、アルゼイド家と言えば……」

「確か、祖先が”鉄騎隊”の副隊長を務めていたらしいな?」

「うん、”槍の聖女”の右腕にして腹心の部下だったと聞く。聖女亡き後、サンドロット家が断絶してしまったこともあって……今ではアルゼイド家がその魂を毎年、弔わせてもらっているな。」

「なるほど……」

「ふふっ……ロマンのある話ですね。」

リィンの質問に答えたラウラの説明を聞いたアリサは頷き、エマは微笑んだ。

 

「”鉄騎隊”……?何か最近どっかで聞いたことがあるような??」

一方エヴリーヌは不思議そうな表情で首を傾げ

(……”影の国”で出会った”鋼の聖女”―――アリアンロードとその部下である”鉄機隊”と関係があるのでしょうか?)

(……恐らく何らかの関係はあるでしょうね。あの時の彼女の馬上槍(ランス)の技はシルフィア様と互角に打ち合えるほど神憑っていたし……)

真剣な表情のツーヤの念話にプリネは静かな表情で答えた。

 

「レグラムかー。任務で行った事はないなぁ。この前のバリアハートに行った時、寄り道すればよかったかもー。」

無邪気な様子で呟いたミリアムの発言を聞いたその場にいるほとんどの生徒達は冷や汗をかき、トマス教官は首を傾げていた。

 

(”任務”って……隠す気なさすぎだろう!?)

そしてマキアスは小声で突込み

(バリアハートで活動してたのも認めちゃってるし……)

(ま、まあ……変に壁を作られるよりはいいだろう。)

戸惑いの表情をしているエリオットの小声にリィンは苦笑しながら頷き

「ZZZ………」

窓際の最後列の席にいるクロウは居眠りをしていた。

 

3限目―――軍事学

 

「前にも話したと思うが導力車両によって結成された”機甲師団”……高い機動力、攻撃力、防御力を持ち戦場に”革命”をもたらした。陣形によっては例え相手の戦力が上でも長時間持ちこたえる事もできる。――――エヴリーヌ。この陣形ならば、相手が1,5倍の規模の戦力の場合、撃破するのにどれほどの時間がかかる?」

ナイトハルト教官は黒板に陣形を書いた後エヴリーヌを指名し、指名されたエヴリーヌはめんどくさそうな表情で立ち上がって答えた。

「―――2時間。」

「何……?」

エヴリーヌの答えを聞いたナイトハルト教官は眉を顰め

「あ、間違えた。5時間だった。」

すぐに間違いに気付いたエヴリーヌは答えた。

 

「……その通りだが、何故先程真っ先に”2時間”という答えが出た?」

エヴリーヌの答えに頷いたナイトハルト教官は不思議そうな表情でエヴリーヌに尋ねたが

「リウイお兄ちゃん達と一緒にセントアークだっけ?”百日戦役”の時にそこを制圧する際抵抗して来たエレボニア帝国軍―――え~っと、”第三機甲師団”だっけ?そいつらを殲滅した時間がそれくらいだったから。あの時はシェラ達の魔導砲撃で一気に半分くらい殲滅したらすぐに逃げ出し始めたから、殲滅するのにちょっと時間がかかったんだよね。ファーミシルスも雑魚に邪魔されてエレボニア帝国軍を率いていた奴を殺し損ねたって悔しがってたから何となく覚えてたんだ。」

「!…………………」

まるで明日の天気を話すかのように普通に答えたエヴリーヌのとんでもない説明に目を見開いた後厳しい表情でエヴリーヌを睨み、リィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「”第三機甲師団”と言えば……」

「アルノール家の守護者―――”隻眼”のゼクス率いる師団だな。」

「……そう言えば中将から聞いた事がある。”百日戦役”の時に多くの部下達を死なせて自分だけが生き残ってしまったと。」

不安そうな表情で呟いたエマの言葉にユーシスは答え、ガイウスは静かな表情で答えた後エヴリーヌを見つめた。

 

「エ、エヴリーヌお姉様。」

「お願いですから、エレボニア帝国軍に喧嘩を売るような事を言わないでください……」

そしてその様子を見守っていたツーヤはリィン達のように表情を引き攣らせているプリネの言葉に続くように疲れた表情で指摘した。

 

(異世界の科学技術―――”魔導”だっけ?そんなに威力が凄いの?)

(ああ……魔導の技術によって創られた兵器―――”魔導兵器”を用いる”機工軍団”の破壊力は余りにも圧倒的で、一斉砲撃によって都市一つを一瞬で灰燼と化す事ができると言われている程だ。)

不安そうな表情で尋ねたアリサの質問にリィンは重々しい様子を纏って頷き

(と、都市一つを一瞬で灰燼と化すって……)

(一体どんな軍団なんだ……?)

リィンの答えを聞いたエリオットとマキアスは不安そうな表情をした。

 

その後授業は終わり、HRの時間となった

 

 

 

 

 


 
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