No.700343

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第四十三回 第三章B:合肥救援編③・一触即発!三羽烏

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!または初めまして!

今回は三羽烏、今まで曹操軍で完全に空気状態だった彼女たちがようやく登場します。

一触即発、そうです。彼女らと霞の史実での仲といえば、、、

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2014-07-13 00:00:16 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:5060   閲覧ユーザー数:4164

 

 

厳顔は五人の藤甲兵に襲われながらも、時には豪天砲の弾倉で突き飛ばし、

 

時には豪天砲そのもので殴り飛ばすことで上手く距離をとりつつ対応していた。

 

しかし、そのどの攻撃に対しても藤甲兵に決定打を与えられずにいた。

 

時はすでに朝を迎えていた。

 

 

 

厳顔「(くっ・・・相変わらずの強度だな。ほとんど手ごたえを感じぬ。しかし、妙だな。以前、藤甲兵と戦った時はこのようにこちらの

 

攻撃が何度も入った記憶はないが・・・。確か、ほとんどの攻撃は避けられてしまったはず。もしや、藤甲の強度を強化したせいで重量

 

も上がったか?或いは他の理由が・・・?)」

 

 

 

そこで改めて厳顔は目の前の五人の藤甲兵に注意を払いつつ、この場全体の様子を伺った。

 

先ほど草葉の音がしていた森の方を見てみると、やはりそちらにも何人もの藤甲兵がおり、

 

厳顔の部下の兵たちが必死に対峙しているが、若干押され気味である。

 

しかしそれでも、厳顔同様兵士たちの攻撃はちゃんと藤甲兵に決定打は与えないにしてもちゃんと当たっていた。

 

 

 

厳顔「(やはり、兵たちの攻撃もちゃんと通っておる・・・やはり、機動力を殺して防御力に重きを置いたということなのか・・・)」

 

 

 

そこまで瞬時の間に思考を巡らせた厳顔は、そこから次にとるべき行動を判断し、近くにいた兵士4,5人を呼びつけて命じた。

 

 

 

厳顔「おい!今すぐ全部隊に伝令せよ!敵は防御力を強化する代わりに機動力を殺しておる!だから逃したり見失ったりすることはまず

 

ない!決定打を与えられないにもこちらの攻撃もちゃんと当たっておる!とにかく、攻撃して牽制しながら時を稼げ!自身に注意を向け

 

させこれ以上一人たりとも村への侵入を許すな!見たところ、敵の得物は全員石斧のみ!弓隊を中心に敵と距離をとりつつ戦え!時さえ

 

稼げれば、成都から呂布将軍の援軍が必ず来る!それまで持ち堪えるのだ!とな!!」

 

 

厳顔兵「「「「「はっ!!!!!」」」」」

 

 

 

厳顔は豪天砲の弾倉の入れ替えを行いながら伝令を命じ、

 

兵士たちが伝令に向かうのを見届けてから再び対峙している五人の藤甲兵を見据えた。

 

藤甲兵たちはしきりににゃーにゃー奇声を上げながらお互いにコミュニケーションをとっているようだが、

 

その内容は当然厳顔には理解できるはずもない。

 

 

 

厳顔(それにしても、ミケはいったいどこにおる・・・確かにミケはトラと違って先陣を切るような奴ではないが、このままでは奴らは

 

目的を果たせぬ。そろそろ動きが出てもおかしくないはずだが・・・まさかミケは来ていない―――と思うのは楽観がすぎるか・・・)

 

 

 

そのように思考をめぐらせていると、再び藤甲兵たちが厳顔目掛けて襲いかかってきた。

 

 

 

厳顔「阿呆め!何度やろうと同じ――――――ッ!?」

 

 

 

しかしその刹那、厳顔は予期せぬ光景を目の当たりにした。

 

厳顔が豪天砲の槍を打ち込むのとほぼ同時に、藤甲兵たちが手にした石斧を厳顔目掛けて投げつけてきたのだ。

 

その数は人数分の五本。藤甲兵の予想外の行動に厳顔はとっさに対応できず、

 

二本までは手にした豪天砲ではじくことができたが、残る三本は左膝、右脛、そして左側頭部にまともに受けてしまった。

 

 

 

厳顔「ぐわぁっ・・・な・・・投げる・・・だと・・・!?」

 

 

 

厳顔の左目が自身の血で赤くにじむ。

 

藤甲兵の、初めて相手へ一撃が入ったことに対する喜びを表さんとばかりの、

 

一層大音量のにゃーにゃーというやかましい奇声が厳顔の耳に響いた。

 

 

 

厳顔「まさか・・・この短時間の間に・・・長距離相手の戦術を・・・わしらから学習したと・・・いうのか・・・!?」

 

 

 

厳顔の赤い視界には、得物を失い、代わりと言わんばかりに、虎の如き鋭く発達した自前の犬歯を見せつける藤甲兵の姿が映っていた。

 

 

 

 

 

 

【揚州、合肥城・曹操軍本陣】

 

 

 

曹操兵「申し上げます!先日要請いたしました北郷軍からの援軍が到着いたしました!」

 

李典「はぁ?北郷軍の援軍やって?なんや間に合ったんかいな。大将の話やと、間に合わんっちゅー話やったけど」

 

 

 

兵士の報告に対して面倒くさそうに対応している、日本でいう関西弁訛りで話す女性、李典は、透き通った青い瞳に、

 

紫の髪を高めの位置に桃色で玉状の髪留めと銀色でスカル型の髪留めで両サイドに束ね、首にはゴーグルをぶら下げている。

 

虎柄のビキニに黒のホットパンツをはき、そして茶色の大きな二つのベルトには、左右に緑のウエストポーチをつるし、

 

中には大量の工具類が顔を出しており、彼女が曹操軍の武器調達官にして工兵隊長を務めていることを象徴していた。

 

 

 

楽進「それで、援軍の規模は?」

 

 

 

一方、兵士の報告に対して冷静に対応した女性、楽進は、やや浅黒い肌に、深紅の瞳、

 

白銀のお下げ髪を琥珀色と黒色の大きな玉状の髪留めで結って垂らし、髪と同じ白銀の鎧、小手、脛当てを身に着けていた。

 

腕や太ももなど、肌が露出している箇所からは、生々しい古傷の後がたくさん残っており、

 

彼女がこれまで幾度となく体を張って前線で先陣を切って戦ってきたことを物語っていた。

 

 

 

曹操兵「は、それが800程度でして・・・」

 

 

 

しかし、楽進の質問に対して兵士は、やや戸惑った調子で答えた。

 

 

 

李典「はぁ!?なんやそれ!?完全に舐められとるやんけ!」

 

于禁「800とかいないのと同じなの~。孫策軍の規模は知らせてあったの~?」

 

 

 

兵士の答えに驚いた表情を浮かべている、やや語尾を伸ばしたような独特な口調で話す女性、于禁は、

 

栗色の髪を高い位置で銀色の二対のスカル型の髪飾りを使ってお下げに結い、

 

緑の瞳に鼻の辺りにそばかすがちらほらと見え、大きな丸い眼鏡をかけている。

 

トップスの白と青紫の服は、胸の下部分が見えるほどの丈が短く、ボトムスには緑のミニスカートをはき、

 

腰の前には髪留めと同様のスカル型のアクセサリーを付けていた。

 

他の二人と比べて瞳に鋭さはないが、これでも李典・楽進と並び前線の指揮を任され、曹操軍の三羽烏と恐れられる武将なのである。

 

 

 

楽進「いや、そもそもこの戦いは、最近力をつけてきている北郷軍を攻める建前をつくる戦い。元から間に合わないことが前提だったの

 

だから、そのような細かい情報を伝えているわけないだろう」

 

 

李典「だいたい誰や、その舐めた奴は?」

 

張遼「なんやなんや?せっかくわざわざ援軍に来てやったっちゅーのに、ひどい言われ様やなァ?」

 

 

 

李典の質問に兵士が答える前に、張遼があからさまに不満そうな表情を前面に出しながらズカズカと本陣内に入ってきた。

 

やや遅れて後ろから北郷、高順、魏延、鳳統が入ってくる。

 

 

 

李典「誰やアンタは?」

 

 

 

そんな張遼の挑発的な態度に、李典もまたあからさまに胡散臭そうな目を張遼に向けて名を問うた。

 

 

 

張遼「ハァ、張遼や。アンタらが今回世に名高い曹操軍のくせに弱音吐いとる将かいな?」

 

 

 

一応張遼は李典ら三羽烏とかつて兌州で曹操軍と戦った時に対峙しているはずなのだが、

 

当時は呂布や高順ばかりが目立ってしまっていたせいか、張遼の名が印象付くことはなく、

 

張遼は常に今回の李典のような反応を受けていた。

 

このような半ばお約束と化している反応に張遼はため息をつくと共に、一層不満げな表情を強めて、李典らを挑発した。

 

 

 

楽進「なんだと・・・!」

 

李典「孫策軍を蹴散らす前に、アンタをここで討ち取ったろか!?」

 

 

 

張遼の挑発に、楽進は怒りを腹の内に押しとどめたかのような静かな反応を示しつつ、

 

強く拳を握り、手にはめたナックル付きの手甲・閻王をみしりと唸らせた。

 

そして、李典は全面に怒りをあらわにした反応を示し、そばに立てかけてあった、

 

ランスの先端があたかもドリルのように螺旋を描いている絡繰り・螺旋槍をガチャリと持ち上げる。

 

 

 

張遼「ほー、弱腰の将のくせにデカい口叩くやんか。オモロい、やれるもんならやってみーッ!!」

 

 

 

そして曹操軍に対して浅からぬ因縁のある張遼は、手にした飛龍偃月刀を構えて李典の宣戦布告に応える。

 

不本意とはいえ、援軍に来て早々、仲間割れという一触即発の空気がこの場を包んだ。

 

 

 

北郷「ストーップ!落ち着け霞!今戦う相手は孫策軍!彼女らは敵じゃない!」

 

張遼「すとうぷ!?」

 

于禁「凪ちゃんも真桜ちゃんも落ち着くの~!」

 

 

 

しかし、寸前のところで北郷と于禁が互いに止めに入った。

 

それでも、張遼の興奮は冷めやまない。

 

 

 

張遼「せやかて一刀!ウチはやっぱこんなん我慢できひん!嫌々コイツらのこと助けるくらいやったら、いっそ今からコイツら潰して、

 

そのまま袁紹軍と合流して曹操のやつを―――!」

 

 

高順「だから落ち着いてください。少なくとも今は(●●●●●●●)曹操軍と争っているときではありません。目的を忘れたのですか?今事を起こせば、

 

全てが台無しなんですよ?」

 

 

 

張遼が決定的に取り返しのつかないことを叫ぼうとしたところで、今度は高順が静かに止めに入った。

 

 

 

張遼「なな!アンタは何とも思わへんのかいな!?コイツらは月や賈駆っち、成廉や曹性らを――――――!」

 

 

 

そこで張遼の言葉は途切れた。

 

高順の表情が、一見無表情に見えるも、普段から見ている張遼が見たら、

 

明らかにとてつもない怒りを押し殺しているのを肌で感じたからである。

 

曹操軍は呂布軍にとって多くの大切な仲間を奪ってきた存在であり、高順自身心穏やかでないのは言うまでもない。

 

 

 

鳳統「あわわ、と、とにかく詳しい戦況を・・・」

 

 

北郷「そう、それだよ!よく言った雛里!すいませんが、オレたちはまだ詳しい戦況を聞かされていないんです。戦力や敵の動きとか、

 

その辺詳しく聞かせてくれませんか?」

 

 

 

ピリピリしているこの場の空気にオロオロしながら話を進めようと提案した鳳統に対して、

 

北郷もさっさと話題を進めてこのピリピリムードをこれ以上悪化させまいとした。

 

 

 

楽進「現在我が軍は、江東の孫策軍に攻め込まれようとしている。これは曹操様他我が軍の主力が官渡の地で袁紹軍と対峙している隙を

 

ついたものだが、ここまでは書簡で伝えてあるから知っているな?」

 

 

北郷「ああ」

 

 

 

静かな怒りを胸の内に燃やしていた楽進であったが、北郷の質問に対して、冷静に答えていった。

 

 

 

楽進「今城にいる兵は7000ほど。対して孫策軍は斥候の報告によると10万に及ぶそうだ」

 

高順「・・・やはり一刀様が仰ったとおりの戦力差のようですね」

 

 

楽進「ふん、この戦力差を聞いて全く驚かないとは、肝が据わっているのか、それとも単に事の大きさに理解が及ばないのか――――ん?

 

かずと・・・・・・一刀だと!?まさかお前、天の御遣い・北郷一刀か!?」

 

 

 

今まで冷静に淡々と話をしていた楽進だったが、目の前いる男が天の御遣いだと気付き、やや声を大きくして驚きを隠せないでいた。

 

 

 

北郷「へ?はい、そうですけど・・・」

 

張遼「なんやねん、天の御遣い連れて来いっちゅーたんはそっちやろ?何驚いてんねん」

 

 

 

しかし、李典の口から発せられた言葉は、北郷たちの予想だにしない内容であった。

 

 

 

李典「ハァ!?普通大将援軍によこせなんちゅー無理な要求断るやろ!?そらウチらはこの状況を打開するには、それこそ天の奇跡でも

 

ない限り無理や思ってそう要求しただけや!それやのにアホみたいに大将が前線に出て来よって、アンタ頭おかしいんちゃうか!?」

 

 

 

李典は信じられないものを見るかのような視線を北郷に向けて攻撃的な言葉を浴びせた。

 

天の御遣いを同行させることを条件にした本当の理由は別にありそうなものだが、

 

少なくとも表向きの理由は李典の主張したようなものであった。

 

 

 

北郷「なっ・・・」

 

 

 

この李典の言い分には、さすがの北郷も、いつものように力ない笑いで受け流すことは出来ず、言葉を失ってしまった。

 

 

 

魏延「・・・黙って聞いていればキサマら、それ以上お館を侮辱するようなら―――!」

 

北郷「落ち着け焔耶!オレなら大丈夫だから!」

 

 

 

それでも、北郷は今にも李典に掴み掛りそうになっていた魏延を何とか制止する。

 

 

 

魏延「しかし―――!!」

 

 

張遼「焔耶の言う通りやで一刀!こんだけ一刀のことコケにされて、黙っとけっちゅーんかいな!?コイツら調子に乗りすぎや!ウチは

 

今すぐコイツらを討ち取ったる!!」

 

 

 

そして、魏延に呼応するように張遼も飛龍偃月刀を李典目掛けて構える。

 

 

 

北郷「霞も落ち着けって言っただろ!挑発に乗るな!」

 

 

 

そのような興奮状態MAXの張遼をも、北郷は必死で止めに入る。

 

 

 

高順「ですが一刀様、理屈では今曹操軍と争ってはいけないとは分かっていても、先ほどの暴言を聞かなかったことにするなど、私たち

 

にはできませんよ・・・。私たちは、そこまで心の強い人間ではありません・・・」

 

 

 

さらに、今まで何とか理性的に対応しようとしていた高順までもが、今の李典の暴言に堪忍袋の緒が切れてしまい、無駄に長い袖の中で

 

何かをつかんでいるようで、今にも様々な暗器が飛び出しそうな勢いである。

 

 

 

北郷「なな、お前もか!いいか皆!オレなら大丈夫だ!オレならいくら暴言を浴びようが気にしない!だけど今ここで曹操軍と争ったら、

 

被害は間違いなく益州まで広がるんだぞ!目的を忘れないでくれ!今は孫策軍を合肥から退ける為に、曹操軍を助けに来ているんだ!」

 

 

魏延「・・・クソッ」

 

張遼「・・・わかっとる」

 

高順「・・・すいません」

 

鳳統「・・・・・・・・・」

 

 

 

そのように北郷は怒れる三人を何とか説き伏せ、この場を何とかおさめた。

 

鳳統はそのような北郷たちのギリギリのやり取りをオロオロしつつも静かに見届けていた。

 

 

 

北郷「お騒がせしてすいませんでした。話を戻しますが、戦力差は分かりました。で、こっちや向こうの動きはどうなっているんですか?」

 

 

 

北郷は出来るだけ曹操軍に波風を立たせないように慎重に言葉を選びながら話を続けた。

 

 

 

楽進「少なくともこちらの動きなど聞くまでもないだろう。この戦力差。この地を死守するためには我らは籠城して援軍を待つしかない。

 

だが曹操様には今袁紹との決戦に集中していただきたいため、援軍を求めるわけにはいかない。そこで世間でも評判の御遣いがいる成都

 

に援軍を求めたのだが、それが800程度の規模とは・・・」

 

 

李典「もう城明け渡して退くしかないんちゃう?たとえ一度孫策軍の手に落ちたとしても、また取り返したらええ。今はあんまりにも兵

 

が足りん。幸いまだ孫策軍は完全に到着しきってへん。退くなら囲まれてへん今しかないで」

 

 

 

李典の言うように、孫策軍は大軍勢のためか、或いは北郷たちが800という小勢のため早く合肥に到着できたためか、

 

まだ合肥には孫策軍が全軍到着しておらず、完全に陣を敷いている状態にまでなっていなかった。

 

北郷たちが難なく合肥城に入城できたのも、それが理由である。

 

 

 

張遼「はん、敵前逃亡とか、いや、まだ敵前ですらないわなぁ。とにかくや、敵と戦う前から逃げるとか、それでも曹操軍の将かいな?

 

ウチらを負かした敵はそんな小さい奴とちゃうかったんやけどなぁ?」

 

 

李典「なんやて!?」

 

 

 

しかし、李典の発言を聞いた張遼が、再び明らかに小馬鹿にしたような態度で挑発した。

 

当然李典も同様に再び螺旋槍を構えなおす。

 

 

 

北郷「霞、挑発しない!また振り出しだぞ!」

 

張遼「せやかてな、将としての意地っちゅーもんがないねん!せめて敵に痛手を負わすとか、そういう気概を見せなアカン!」

 

于禁「でも、この兵力差だと抵抗のしようがないの~」

 

高順「確かに・・・一刀様、天の国ではどのようにして曹操軍はこの絶望的状況を跳ね除けたのですか?」

 

 

 

于禁が自信のなさそうに発した言葉に、冷静さを取り戻した高順も肯定の意を示し、

 

北郷が知っているであろう、合肥の戦いでどのようにして曹操軍が勝つのかを尋ねた。

 

 

 

北郷(まぁ、呉が圧倒的優位から油断したせいとか、そもそも当時の魏と呉とでは兵の質が全然違ったとか、孫権が戦下手だったとか、

 

呉陣営で疫病が流行ったからとか、色々勝因はあるんだろうけど、やっぱり一番大きな要因は、張遼がリアル三國無双をして魏の士気を

 

上げて呉の士気を下げたからなんだろうなぁ・・・けど、ゲームならまだしもこんなごり押し戦法はさすがに・・・)

 

 

高順「一刀様?」

 

楽進「・・・やはりここは一度退くしか―――」

 

張遼「もうわかった!見とけ曹操軍!今からウチが孫策軍の出鼻をくじいて、将の気概っちゅーもんを見せたる!」

 

 

 

ついに我慢の限界を超えたのか、張遼は自身が孫策軍に仕掛けることを宣言した。

 

 

 

魏延「霞、さすがにそれは・・・」

 

 

 

完全にヒートアップしてしまっている張遼の発言に、北郷側でもかなり好戦的な部類に入る魏延も、

 

さすがに張遼の行動を否定的に見ているようであった。

 

 

 

北郷「雛里、どう思う?」

 

 

 

ここで、北郷は曹操軍との因縁が薄く、かつ三国随一の頭脳を持つ鳳統にこの場をどうすべきかの助言を求めた。

 

 

 

鳳統「そうですね・・・すいません、1つだけお聞きしてもいいですか?」

 

楽進「なんだ?」

 

鳳統「孫策軍の総大将です。あと、できれば出陣している主だった将の名前も分かる範囲で教えていただければ」

 

楽進「斥候の報告によると、総大将は孫策の妹孫権だそうだ。あとは、旗印に『黄』『太史』『甘』『周』『陸』『呂』を確認できている」

 

北郷「なるほど、『黄』は黄蓋、『太史』は太史慈、『甘』は甘寧、『周』は周瑜かな?それか周泰か。『陸』は陸遜で、『呂』は呂蒙か」

 

 

 

有る程度分かっていたこととはいえ、やっぱり呉軍もオールスターな感じだよな、と北郷は内心嫌な汗を感じていた。

 

 

 

鳳統「そうですか、ということは、少なくとも孫策さんは出陣していないということですね?」

 

楽進「ああ、孫策は君主なのに前線に出て戦うことを好むようだが、今回は出てきていないらしい」

 

鳳統「わかりました・・・では、霞さんが打って出たいと仰るのでしたら、それはそれで一つの手だと思います」

 

 

 

必要な情報を得た鳳統は、静かに張遼の発言を肯定した。

 

 

 

高順「と、言いますと?」

 

 

鳳統「まずは霞さんの実力ですが、これは申し分ありません。かつては天下無双と謳われる呂布さん配下の猛将八人に数えられる八健将

 

の第一位を務め、最近でもかの難攻不落の要塞・陽平関をわずか数時間で落とした実績もあります。加えて孫策軍と比べて騎馬の扱いに

 

長けていると推測できることも大きいです」

 

 

 

そんな鳳統の張遼に対する評価に、張遼は「いやそれほどでもあるけど」と非常にうれしそうに頭をかいている。

 

 

 

鳳統「対して孫策軍ですが、孫策さんが出陣していないのがとても大きいです。孫策さんといえば、かの楚王項羽の再来とまで言われ、

 

小覇王と呼ばれるほどの実力者にして戦狂いの猛者。もし孫策さんが今回出陣していたら、この戦いはとても難しいことになっていたと

 

思いますが、総大将が妹の孫権さんであればつけ入る隙は十分にあると思われます」

 

 

 

鳳統はあくまで静かに自身の見解を淡々と述べていく。

 

その鳳統の落ち着いた声を聞いて、徐々にこの空間のヒートアップした状況が冷やされていくようである。

 

 

 

鳳統「孫権さんといえば、確か今は亡き母親の孫堅さん、そして姉の孫策さんがあまりにも優秀なため、自身の能力に対してあまり自信

 

が持てないと聞いています。今回10万という大軍で攻めてきたのも、恐らく、確実に孫権さんに勝利をおさめさせ、自信をつけさそうと

 

いう孫策さんの、或いは孫策軍の柱石を担う周瑜さんの思惑があるのではと推測できます」

 

 

張遼「なるほどな。せやから10万とかっちゅーアホみたいな大軍で攻めて来とるわけやな」

 

 

 

張遼は腕を組み、うんうんと頷きながら納得しているようであった。

 

 

 

鳳統「また、そのような頼りない主君の妹に対して不満を持つ配下も多いとか。中には侮った際どい発言をする者もいるそうです。もし

 

そのように配下に侮られていたら、孫権さんはどうしたいと考えると思いますか?」

 

 

魏延「それは当然、戦いに勝利して見返してやりたいと思うだろう」

 

 

 

鳳統の質問に即答したのは魏延であった。

 

なにやら拳を握りしめていることから、自身嫌な思い出でもあるのだろうか。

 

そしてそのような魏延の答えは鳳統の意図するものであったようであった。

 

 

 

鳳統「そういうことです。つまりこの戦いで孫権さんは何が何でも勝利を収めたいと思っているはずです。確かにそのような強い意志は

 

戦況を左右する不確定要素になり得ますが、それよりも勝ちにこだわって熱くなりすぎるということの方が、戦況を見誤り、自身の首を

 

絞める要因となるんです」

 

 

 

しかし、ここで李典が一つの疑問を投げかけた。

 

 

 

李典「せやけど、それって要するに敵の大将が弱いっちゅーだけの話やろ?そんなん優秀な配下やってたくさんおるやろうし、そもそも

 

10万やで?個人が太刀打ちできる規模ちゃうで?」

 

 

鳳統「確かに孫策軍には宿将たる周瑜さんや黄蓋さんといった優秀な人材がたくさんいます。ですが、大軍という点に関しては問題では

 

ありません。むしろ、この10万という敵軍の規模こそが、打って出ても良いという根拠の一つです」

 

 

于禁「それってどういうことなのー?」

 

 

 

確かに、于禁が口にするまでもなく、この場の全員が鳳統の言葉の意味することを理解できないようで、一様に頭に?を浮かべていた。

 

しかし、鳳統は別に不思議に思うほどのことではないと言わんばかりに、さらりと答えた。

 

 

 

鳳統「自軍の圧倒的有利という状況が生み出す油断、余裕、驕り、それらの心のゆとり全てが孫策軍の足枷となります」

 

 

 

か細い声ではあるが、鳳統の口調には弱々しさなど一切感じられなかった。

 

 

 

鳳統「霞さん、打って出るのは構いませんが、ただ突っ込むのではなく、今から私が言う通りの手順で動いていただけますか?」

 

張遼「そら、別に構わんけど、何か策でもあるんかいな?」

 

鳳統「はい、この戦況で孫策軍の圧倒的優位を崩すのに欠かせないものです・・・」

 

 

 

鳳統の澄んだ緑の瞳がキラリと煌めいた。

 

 

 

【第四十三回 第三章B:合肥救援編③・一触即発!三羽烏 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

第四十三回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

そうなんです。恋姫では本来、霞は凪にベッタリですし、真桜は霞を姐さんと呼ぶほど慕っている仲なのですが、

 

史実では仲はあまり宜しくなかったとのことで、今回はその影響が出ている感じです。

 

ちなみに沙和は一刀君と出会ってないので、当然覚醒していない状態。穏やかです 笑

 

 

さて、成都では桔梗さんが南蛮兵に翻弄されてまたまた危ない感じですが、果たして恋の援軍は間に合うのか、、、!

 

そして次回雛里ちゃんの策を授かった霞がついに孫策軍とぶつかります!果たして雛里ちゃんの策とは、、、!

 

そして霞無双が勃発するのか、、、!

 

今回からしばらく戦闘モードまっしぐらですが、どうぞ次回もお付き合いいただければと思います。

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

関西弁キャラが喧嘩腰に言い争うと何だか凄みがありますね 汗

 

 

 


 
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