No.699922

涼宮ハルヒの製作

ユウジさん

涼宮ハルヒシリーズとガンダムビルドファイターズ、およびその他いろいろな作品が混じったキャラがプラモを作ったり、ガンプラでバトルする二次創作小説。

実際にガンプラを作り、反映しながら執筆しているので遅筆になるのは勘弁してほしい。

2014-07-11 09:19:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:615   閲覧ユーザー数:604

――――――――プロローグ

 

ふぅ……一体全体どうしてこんなことになっちまったんだろうな。

俺はただふと思い立って、学校帰りにぷらっと遠出をして、呑気にウィンドウショッピングをしていただけのはずなのだ。

 

そう、俺の純然たる趣味……そう『ガンプラ作り』のインスピレーション、つまりは啓示を受けようとわざわざ隣町まで繰り出して展示されている作品や新作を見に行き、気分が乗れば『ガンプラ』を購入しようと思い、トイ・ショップを巡っていたのだ。

だがそのもくろみは打ち砕かれた。まったく、思い立ったが吉日と昔の人は言ったがどうもありゃ疑わしいね……、その思い付きのせいで今こんな厄介ごとに巻き込まれた……いや巻き込まれている、だな。

なんてったってこの厄介ごとは現在進行形なのだから。

 

「何やってるのキョン!あんたもちょっとはなんか言ってやんなさいよ!」

 

今この俺に反論を促した黄色いカチューシャで黒髪セミロングの女子高生……、涼宮ハルヒが発した不用意な一言がきっかけで今の事態に陥ってしまったのである。

 

「ちょっと、自分が言い負かされそうになったからって彼氏に助け求めるの?それって情けなくな~い?」

 

「なっ……、べ、別にこんなの彼氏じゃないわよっ!!」

 

怒髪天を突く、という勢いで顔を真っ赤にしてピンクの帽子をかぶった黒髪ロングの美人なお姉さんに食って掛かるハルヒ。

向こうも向こうで引けないものがあるのか、二割増しでハルヒに食って掛かっていく……。

事の経緯はこうだ。

 

俺がトイ・ショップを巡りながら次にどんなガンプラを作ろうか、どんな作品に仕上げようかと、少ない所持金と相談しながら嬉しい悲鳴を脳内で上げつつ店に入って行き、すかさずガンプラのコーナーへと足を運んだ。

そこにはビルダーたちが精魂込めて作ってあった数々の作品が展示してあり、俺の心を魅了するには十分な出来栄えのものだった。

 

ビームライフルの砲身を前方に繰り出し、主人公機らしく堂々とポージングをとっている『フォースインパルスガンダム』

まるで翼のようにバインダーを広げ雄大に構える『ガンダムAGE-2』

そしてピンクを基調とした女性的なカラーリングとフォルムに仕立て上げられた『ガーベラ・テトラ』

 

どれもこれも素晴らしい仕上がりで、思わず見惚れてしまっていたのだ……、背後にハルヒがいることも気づかずに……。

 

「ちょっと、キョン!あんたこんなところで何してんの!」

「のわっ!?」

 

背後からいきなり声をかけられてしまった俺は、つい素っ頓狂な声を店中に響かせてしまうことになった。

 

「な、なによ、そんなに驚くことないじゃない……。」

 

「あのなぁハルヒ、何かに夢中になってる人間に声をかければ驚きもするさ……。というかハルヒ、お前がなんでこんなところに?」

 

「あ、あたしはあれよ、たまたま買い物帰りにアンタ見つけたから、気になってあとをつけたのよ。

アタシの見てないところでSOS団の品格を落とすようなことしてないか監視するのも団長の務めなんだから!」

 

「ヘイヘイ、そーですか……。」

 

「んで、アンタなにを見てたわけこんなおもちゃ売り場で?まさかとは思うけどえっちぃ格好した女の子の人形とかだったら承知しないわよ!」

「どこをどう見たらそういう結論になる!俺が見てたのはこれだ、これ!ガンプラだ!」

 

そう言い終るか終らないかのタイミングで俺の指は先ほどまで見惚れていた作品を指さす。

 

「ふ~ん……。」

 

目をすぼめ、まったく興味のない、というオーラが見えているかのような反応だった。

どうせそんなことだろうと思っていたさ、まったく予想通りというやつだ。

まぁいい、理解なんてしてほしいとも思わない、俺はただこの場をうまく切り抜けて早いとこガンプラを購入し、幸せな気分で家路につきたかった。

 

「いい、キョン?」

 

ふぅ、と軽い溜息をつき、ハルヒは次の言葉を紡いだ。

 

「あたしたちはね、今の不景気の荒波に備えるために、無防備でこの社会に出ないよう青春という時間をかけて学び舎で身を粉にして学んでいるわけ。

それを何?こんな機械だかなんなんだかわからないようなおもちゃを組み立てて何が楽しいの?」

 

これは機械じゃない、モビルスーツだ、と反論したところで火に油を注ぐだけだ、やめておこう。

そんなことを逡巡しているうちにもハルヒは次の言葉の矢を放つ。

 

「こんなものに時間をかける意義がわからないわ!確かに雑誌とかにプラモデル作った奴載ってるのを見たことあるわよ?

でもキョン、アンタはそこまでの才能はないでしょ?時間の無駄よ!せいぜいどこかのおもちゃ屋に飾られるのが関の山じゃないの?

それに飾られたからって人に感動を与えられるとは限らないのよ?見てみなさいよ、このショッキングピンクのプラモデル!

カラーリングも下品だし、ディテールもなんかセンスないでしょ?こうやって馬鹿にされてもいいの?」

 

馬鹿にしているのはお前のほうだろうが……そろそろ人目も気になってきたので、まずはこっちが折れてからハルヒを撒いて、またここに戻ってくる算段を付けているまさにその時だった、

角の方からピンク色の帽子を付けた黒髪ロングで年上のお姉さんが睨みながらこちらに向かってズカズカ歩いてきたのは……。

 

「誰のガンプラが下品でセンスがないって?」

 

―――――俺は思わず顔を覆ってしまった、あまりにタイミングの悪さにである。

今日に限って運悪くハルヒに見つかり、そしてハルヒがのたまった時に限ってそのガンプラの作品作った人が来るなんて……この運の悪さを呪いたくなるね……。

しかもハルヒも売り言葉に買い言葉というやつでどんどん口論はヒートアップしていき、今このトイ・ショップはある意味女二人の戦場と化したのである。

 

「何回でも言ってやるわよ!下品だって言ってるのよ、デコレーションやディテールが下品だって!」

「なんですって、アンタにこのセンスがわからないっていうの!?どっちがセンスないんだか!!」

 

やれやれ、そろそろ周りの人の目も気になってきたし一刻も早くこの場から去りたいのだが、ハルヒを放っておいたら翌日何を言われるかわからんし、何をしでかすやら……。

というわけで俺は意を決して声を絞り出すことにした。

 

「あ、あの~」

 

出てきた言葉は我ながら素っ頓狂なものに思う。

それでも二人には聞こえていたみたいで、二人そろって「邪魔するな」という視線をおまけしてこちらに振り向いてくれた。

 

「いや、あのですね?そんなにヒートアップしては皆の注目集めちゃうし、お店にも迷惑なのでは……。」

 

しどろもどろにしか言えなかったが、何とか思いが伝わったのか二人は矛を収めてくれた。しかし問題はこれからである。

確かに落ち着いてはくれた、がしかし、二人の間に出来たこのやり場のない怒りをどうするべきかである。

どうするべきかというのはわかっているが、果たしてこの団長様は素直に謝ってくれるのだろうか……と悩んでいると、向こうが口を開いた

 

「まぁいいわ、どうせ先も見えない、碌すっぽ物のわからない子供相手なんだもの、いちいちムキになる方がどうかしてるわね。」

 

「なっ……!?」

 

「彼氏も可哀そうね、こんな子と付き合ったばっかりに息抜きに趣味もできず、つまんない価値観を押し付けられて……」

 

「い、いや、別のそんな関係じゃ……ほんとすいません、いろいろ言っちゃって」

 

「もういいわよ、これ以上エキサイトすると店に迷惑だし……ね?」

 

そう艶っぽく言うと女性は俺達を残して、出口の方へ行ってしまった。残されたのは、少し顔の赤くなった俺と怒りで顔面が紅潮したハルヒだけである。

 

「ぐぬぬぬ……」

 

やれやれ、次はこのお嬢様をどうにかしてなだめなければいけない。

それにこんな騒ぎを起こしたのだ、一刻も早くこの店を出なければならない。

 

「もういいだろうハルヒ、俺達も行くぞ。こんな騒ぎを起こした手前、この店には居づらい……」

「ねぇ」

 

俺の言葉を遮るようにハルヒが言葉を紡ぐ。

 

「あのガンプラどう思うの?」

 

そうハルヒが指を指した先には、ケンカの発端となるあのガーベラ・テトラがあった。

 

「どうって……まぁ、普通に上手だと思うぞ、丁寧に塗れているし、デカール等デコレーションも主張しすぎてない。」

 

「そう……」

 

少し声のトーンを落としながらハルヒはガーベラ・テトラをじろじろと見回した。

 

「うん……、決めたわ!アタシガンプラを作る!」

「えっ」

 

「アタシもガンプラをここに飾れるようになって……、あいつを見返すの……!!」

 

たかが数分の口喧嘩でハルヒの意見は180度変わってしまったようだ、なんというか……やれやれとしか言えない展開になってきた。あのハルヒがガンプラとはね。

どうせすぐに飽きそうなものだが……。

 

「そうね、ただ見返すだけじゃつまらないわ……!キョン!ガンプラバトルをするわよ!!」

「ガンプラバトルだと!?」

 

「そうよ、あの女をバトルでぎったんぎったんにしなきゃ気が済まないわ!それにSOS団の活動の一環として、ガンプラバトルで世界を盛り上げるのよ!」

 

「せ、世界ったってもう大会予選の締め切りは終わってるんだぞ!?どうするっていうんだ?」

「それはあんたが何とかしなさい!!」

 

ジーザス、なんてこった……。

かくして団長様の鶴の一声で、俺達SOS団はガンプラ道へと足を踏み入れることになったのである……。

 


 
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