No.698887

リリカルなのは~翡翠の戦士と七つの才牙~

第45話 レイキャリバー、処刑(聖兄編・後編)、新技、おまけ

2014-07-06 14:45:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2714   閲覧ユーザー数:2561

会議室

 

『"レイキャリバー"……?』

 

「あぁ…剣也が最近開発した魔法の中で、一番危険な技だな、あれは」

 

剣也が作り出した魔法の説明…

その中で雄火斗が言ったのが、その技の存在である

 

いわく、剣也が使える最も危険な魔法の1つだろう、と

 

「名前から想像するに、強力な光系魔法か……?」

 

クロノの質問

 

「いや、冷気、つまりあいつの変換資質"氷"のバリエーション"氷炎"の派生技だよ……あの技、加減してもマジで殺しかねない技なんだ」

 

「そ、そんなに凶悪なの?剣也君がそんな技作るなんて、ちょっと意外なの……」

 

なのはが呆然として話す

 

「あいつ、魔法の開発でやり過ぎる事が多いんだよな…」

 

雄火斗が遠い目をしながら言う

 

「それで? 結局、どういう技なの?」

 

アリサが不思議そうに聞く

 

「そうだな、一言で言えば……物理攻撃力を持った、切り刻む冷気、ってとこだな」

 

「切り刻む、冷気…?」

 

本来は、あまり一緒に使われることのない単語

 

その組み合わせに、はやては頭に 『?』を浮かべる

 

その反応もなんとなく予想できた雄火斗だったが、どう説明したものかと少しの間頭をひねって考える

 

「うーん、剣也から聞いただけだから、 あんまり質問とかされると答えられないかも知れないんだが……」

 

剣也が作った凶悪極まりない技『レイキャリバー』

 

その正体は、『真空』と『超低温(約-50度)の冷気』、そして『天力』を組み合わせた多段攻撃である

 

いきなりだが皆さんは『カマイタチ』というものを知っているだろうか?

 

何もない場所でいきなり手に切り傷が出来たりするあの現象である

 

古来から妖怪や悪霊などの仕業として恐れられており、剣也も何度か陰陽士として倒したこともある

 

しかし自然現象としても存在しており、科学的根拠は空気中に何らかの要因で発生した『真空』による裂傷である

 

真空とは、空気がない状態であり……人の皮膚などがそこにさらされると、傷つけられてしま う

 

いわば天然の刃である

 

剣也は攻撃魔法の開発に際し、その天然の刃を利用したのである

 

原理を説明しよう

 

まず、氷炎を発生させるわけだが……その際、 大量の水の天力を氷炎に乗せ、冷気の密度を増やす

 

そうすることで、擬似的に氷炎に実体に近い密度を持たせる事が出来る

 

そして、その水の天力密度、氷炎が本来的に持つ超低温を利用し、氷炎の周囲の空気を吸収……それにより発生した気圧差でごく小さな規模の『真空』 を作る

 

しかしその真空は、意味的に若干矛盾するが、何もない空間ではない

 

『物質』ではない、水の天力を大量に含んでいる

 

氷炎によって吸収された空気の代わりに放出された天力が空気の流れで行き場を失い、暴れている状態の『真空』なのだ。

 

すなわち、触れたものにより大きな傷を刻む、強力な刃と化している

 

そんなものが、-50度の冷気と同時に叩きつけられればど うなるか

 

そしてそれが、冷気の周りに遍く存在しているというのは何を意味するのか

 

説明すると…

 

まず天然の刃が叩きつけられ、相手を通過しながら切り刻む

 

そしてそこに間髪射れず、天然の刃が通った後の部分を冷気が 通過して凍らしながらその凍らせた部分が空気の流れに乗り、さらに刻み、凍らせる…と言う感じである

 

そんなものを、人体にぶつけたら果たしてどうなるか

 

八つ裂き…そんなものじゃない

 

ミンチ…まだ生ぬるい

 

飛行機のエンジン。その内部で高速回転するプロペラに、生身の人間を投げ込んだ所をご想像いただこう…そんな感じになる

 

もっとも、ある程度手加減は可能だし、相手の肉体強度や魔力による防御などで結果は変わってくるが……

天力で強化されたそれは、本気で放てば鋼の塊くらいなら粉々にしてしまえる威力がある

 

非殺傷でなければ、まず致死確実の最悪の一撃となるだろう

 

それを聞いたなのは達もその威力に、そしてそれを簡単に考えてしまう剣也に、戦慄していた

……そして、全員が思った

 

ーんなもん作るな…と

 

その剣也はというと、

今正に、それを実演している所だった

 

 

「なん…だと……?」

 

正面からぶつかりあった、互いの刃

聖兄のデバイス『セイバー』と、剣也の手刀

切っ先同士が激突した瞬間から、『セイバー』は粉々になり……まるで剣也が豆腐に手刀を入れているかのように、刃があっけなく消失、その勢いのまま、聖兄の体を直撃

 

激痛が走っているはずだが……それにすら気付いていない様子である

 

そして、ついにそれに気付く前に、彼が現実を認識するより早く

 

「今までで一番の敗北だな……お前も、あいつも」

 

剣也のもう片方の……黒い瘴気を纏った拳を、顔面に叩き込まれ聖兄は凍りついていた聖弟を巻き込みながら、端まで飛んでいき、聖兄が受けた黒い瘴気が聖弟にも移り、お互いのバリアジャケットが消えたのを感じながら意識を手放した

 

その拳が纏っていた、剣也が『試す』といっていた最後の『新技』、その効果を知ることもなく……

 

 

さて、聖兄弟との模擬戦(と言う名の処刑)を終わらせ、会議室に戻って来た剣也はなのは達に協力を頼み、なのは達がそれを受け入れ、決行する日を決めた…

 

のだが…

 

「あ、そうだ、聖兄弟は参加させない…てか出来ないから」

 

剣也の言葉を聞いて全員が頭に?を浮かべた

 

「参加させないのは解るが……出来ないってどう言うことだ?」

 

クロノの質問

 

「リンカーコアを暫く使えなくさせた、LCDコーティングでな」

 

『……え?』

 

剣也の言葉を聞いて魔導師組全員が目を点にさせた

 

《LCDコーティング》

正式名称"Linker Core Disturbanceコーティング(魔力行使機関妨害コーティング)"である

DLCモードと対をなす魔法で、サイガ式の闇を展開させて発動させる(DLCモードは光である)

原理としては相手のリンカーコアの周りを闇の魔力でコーティングして魔力の放出、吸収及び行使を不可能にするという簡単なものである

放っておけば自然にとけるが剣也自身もいつ解けるかわからない危うい技である

本来は凶悪な魔導師を無力化する為に開発したものである

 

『剣也……』

 

その話を聞き、全員が声を合わせた

 

「? なんだ?」

 

『ナイス!!』

 

親指を立てながら叫ぶのだった……

 

ーおまけー

 

会議のあと寝静まった夜

 

 

剣也はある場所に連絡していた

 

「……そうか、なんと逃げ切れたか……あぁ、解った、計画通りに……じゃあな」ピッ

 

 


 
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