No.697767

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅10

Seigouさん

奮闘の修羅

2014-06-30 23:48:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8173   閲覧ユーザー数:5884

桂花「華琳様!!また黄巾党が襲ってきました!!」

 

華琳「またなの?最近多いわね・・・・・で、今度はどこから来たの?」

 

桂花「はっ!北の冀州からです!」

 

華琳「麗羽の所からか・・・・・あのお気楽者もこれだけの黄巾党の数には手を焼くかしら?」

 

桂花「もともとあいつの兵の練度は高いものではありません・・・・・数だけは立派なものですが、それでも黄巾党と練度は大差ないでしょう」

 

華琳「漢王朝名家も地に落ちたものね・・・・・綾香の部隊は出れる?」

 

綾香「出れますよ、華琳」

 

華琳「秋蘭の部隊は、別の黄巾党の討伐に出ていたわね・・・・・仕方ないわね、今回は私も出ましょう」

 

桂花「分かりました、部隊の編成を今すぐ整えます」

 

春蘭「まったく数だけは一人前な奴らだ!そのような戦術でこの陳留を落とせると思ったら大間違いだ!」

 

ここ、陳留では迫り来る黄巾党の対応に日々追われていた

 

殆どの黄巾党はこの陳留に入る前に曹操軍の精兵に倒されてしまうが、それでもこれだけの数が集まると食い止めきれない部分がどうしても出てきてしまう

 

燈「華琳様~」

 

桂花「なに燈、悪いけど後にしてくれる!?今取り込み中よ!」

 

燈「前から華琳様が何度もお呼びしていたお人が来ましたよ~」

 

華琳「ようやく来たの、まったく遅い到着だこと・・・・・」

 

???「お待たせいたしました、華琳様」

 

そして、華琳の執務室に肩に鷲を乗せた長身で左目の下に泣きぼくろが付いた女性が入ってきた

 

桂花「ちょっと!!言うことはそれだけなの!!?いったい何度華琳様の召集を受けていたと思っているのよ!!」

 

???「それについては事前に連絡が入っていたと思うのだが?」

 

桂花「呑気なものね、私達は黄巾党の討伐に忙しかったのに、自分は妹達の世話で手一杯だったのかしら?これじゃあ軍師としてやっていけるのか不安だわ」

 

???「仕方あるまい、私とて司馬家の次女としての責務を果たさねばならないのだ、こちらにばかり手をつけてもいられない」

 

春蘭「ふんっ、偉そうに!そんな肩に鷲など乗せて、一端の次期当主気取りか!」

 

女性の肩に乗っている鷹に手を伸ばす春蘭だったが

 

???「クワーーーーーーー!!!」

 

春蘭「うおっ!!!?」

 

肩に乗っている鷲は容赦なく威嚇をし伸びてきた春蘭の手を嘴でつつこうとする

 

???「すまないが、この灰は私にしか懐かないのだ、下手に手を出すと指をもがれるぞ」

 

春蘭「くぅ~~~~~、ならば切り捨ててくれるわ!!」

 

華琳「春蘭!!桂花!!お止めなさい!!」

 

春蘭「しかし華琳様ぁ~~~~」

 

華琳「確かに麗春は、私の召集を悉く蹴っていたけど、それには私も納得のいく理由があったのだから大目に見るわ」

 

桂花「・・・・・・・・・・」

 

華琳「ただし、遅れて来たからにはその埋め合わせはしっかりしてもらうわよ」

 

麗春「ええ、華琳様のご期待に添えてみせます」

 

桂花「ふんっ、随分と威勢がいいのね、そこまでの自信があるならここに迫ってきている黄巾党を軽く殲滅して見せなさいよね」

 

麗春「もちろんだ・・・・・初対面の人間もいるみたいだから名乗っておこう、私は司馬懿仲達だ」

 

燈「私は陳珪、字が漢瑜と申します」

 

綾香「曹仁です、以後お見知りおきを」

 

そんなこんなでお互いの真名を交換している最中

 

???「母様、まだ黄巾党は追い払えないの?」

 

今度は眼鏡をかけた三つ編みの少女が入ってきた

 

燈「ああ、もうちょっと待っててね喜雨、今この司馬懿さんていう軍師さんが来てくれたから、あっという間に黄巾党なんて追い払ってくれるわ」

 

喜雨「早くしてよね、じゃないとこのままじゃ安心して農の仕事に専念できないわ」

 

華琳「ごめんなさいね喜雨、なんとか黄巾党を追い払っているんだけど、なにせ数が多いのよ」

 

喜雨「・・・・・分かっています、私は軍略には疎いですが、今回の反乱はそう簡単には終わらないことは分かっていますから」

 

華琳「私も、またあなたが作った美味しい米をゆっくり堪能したいのよ、だからそれまで我慢してちょうだい」

 

喜雨「・・・・・申し訳ありません、焦ってもしょうがないことですよね・・・・・お願いします軍師さん、早く安心して農の作業が出来るようにしてください、私は陳登元龍、この陳珪漢瑜が娘です、真名は喜雨です」

 

麗春「私は司馬懿仲達、真名を麗春という、よろしく頼むぞ喜雨」

 

春蘭「おお、喜雨の作る米は絶品だからな♪待ってろよ喜雨、私がすぐにでもこの陳留から黄巾党を叩き出して、お前が安心して米を作る事ができるようにしてやるぞ♪」

 

喜雨「お願いします、春蘭様」

 

春蘭「よし、ではすぐ行くぞ♪」

 

桂花「ちょっと待ちなさいよ!どこに行くのよ!?」

 

春蘭「はぁ!?黄巾党を蹴散らしに行くのではないか!」

 

桂花「作戦も立てずに突っ込んでもこっちの被害も大きくなるんだから勝手な行動は慎みなさい!」

 

春蘭「ならば早くその作戦とやらを立てろ!こうしている間にも、奴らは喜雨が丹精込めて作った米を食い荒らしているかもしれんのだぞ!」

 

桂花「分かっているわよ!・・・・・もう直ぐここに秋蘭の部隊が帰ってくる頃合いよ、ここは防御に専念し秋蘭の部隊が帰ってくる頃合を見て総攻撃を仕掛け挟み撃ちにするのよ」

 

春蘭「それまで待っていられるか!それより今すぐに総攻撃をかけて奴らを殲滅すればいいのだ!我らが率いる部隊は歩兵に至るまで一騎当千の精兵、黄巾党など一瞬で鎧袖一触に・・・・・」

 

麗春「ふっ、どちらも幼稚な策だな」

 

春蘭「なんだとぉ~~!!!」

 

桂花「ちょっと今なんて言ったの!!?春蘭はともかく、この私の策が幼稚ですって!!?」

 

春蘭「待てい!!私はともかくとは何だ!!?」

 

綾香「ちょっと待ってください二人共!・・・・・では、麗春さんは更に良案をお持ちとうことですか?」

 

麗春「春蘭の策はあまりに非合理的、桂花の策は秋蘭が帰ってくるかもしれないという賭けの要素が濃い策・・・・・今すぐ奴らを倒せる策とは言えない」

 

華琳「ふむ、そこまで豪語するのであれば聞きましょうか」

 

麗春「では、なぜ黄巾党はこの陳留を必要に責め立てるのでしょう?」

 

春蘭「そんなもの知るか!黄巾党に聞け!」

 

麗春「やれやれ、これで華琳様随一の家臣とは聞いて呆れる」

 

春蘭「なんだとぉ~~~~~~!!」

 

綾香「春蘭、最後まで聞いてください!麗春さんも春蘭をいちいち挑発するのは止めてください!」

 

麗春「これは失礼を・・・・・奴らは、喜雨が作った糧食が目当てでここに攻撃を仕掛けているのです」

 

喜雨「私の食料?」

 

麗春「奴らはここが華琳様が統治している豊かな土地という事を知っているが故に攻めて来ている、ならば餌を使って誘き出してやればいいのだ」

 

燈「餌ですか?」

 

麗春「ああ、喜雨の作った米や野菜を見せつけてやれば腹を好かせた獣はまっしぐらに飛び掛ってくるだろう」

 

喜雨「ちょっと!せっかく私が育てた米を餌にするつもりなの!?」

 

麗春「これが最も時間を掛けず効率よく奴らを一網打尽にできる策だ、これが成功すればより早く黄巾党を殲滅でき、結果、糧食の損耗も抑えられるのだが」

 

喜雨「・・・・・・・・・・」

 

麗春「もちろん、その糧食もそんな獣共に渡すつもりはない、手前に落とし穴でも掘っておけば何もしないでも勝手に自滅してくれる」

 

春蘭「なるほど、その時に我らが精兵が奴らを叩きのめせばいいのだな♪」

 

麗春「そういう事だ」

 

桂花「・・・・・・・・・・」

 

華琳「ふむ、腹を空かせた獣共には効果的な戦略ではあるわね・・・・・綾香、手配しなさい」

 

綾香「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾香「風、稟、世話をかけますね」

 

風「おお~綾香様~、そんな事はありませんよ~、これも風達の仕事です~」

 

稟「お気になさらず、綾香様」

 

ここ、兵の駐屯地では風と稟が兵站の準備に忙しく動いていた

 

季衣「風様~、稟様~、この食料はこの荷車に載せればいいですか~?」

 

風「そうですね~、よろしくお願いします~」

 

流琉「この矢はこの荷車でいいですか?稟様」

 

稟「はい、そちらで構いません、流琉殿」

 

綾香「いつもすみませんね、季衣、流琉」

 

季衣「気にしないでください、綾香様」

 

流琉「はい、これも華琳様親衛隊の仕事ですから」

 

綾香「・・・・・本来こういった事は、まだ年端もいかないあなた達にさせてはいけない事なのでしょうけど」

 

季衣「そんな・・・・・だって仕方ないじゃないですか・・・・・」

 

流琉「はい・・・・・悲しい事ですけど、私達も受け入れていることですから・・・・・」

 

綾香「・・・・・本当にごめんなさいね、皆さん」

 

風「謝らないでください、綾香様~・・・・・」

 

稟「そうです、こういった時代に生まれてしまった以上、私達に選択の余地などないのですから・・・・・」

 

綾香「・・・・・分かりました・・・・・では、別の話をしましょう、これから北の冀州の国境まで黄巾党の討伐に向かいます、皆さんも同行してください」

 

風「おお~、とうとう風達の出番ですか~」

 

綾香「ええ、既に漢王朝からも討伐の勅令は出ていますから」

 

稟「漢王朝も地に落ちたものです、これくらいの反乱くらい鎮圧できて当然でしょう・・・・・」

 

風「王朝も官軍を派遣しているみたいですが、悉く叩きのめされ、逃げ出している始末らしいですからね~・・・・・」

 

季衣「も~~~~、官軍なら官軍らしくしてよ~~~・・・・・」

 

流琉「これじゃあ、何の為に税金を払っているのか分かりませんよ・・・・・」

 

風「情けないものだぜ~・・・・・それに比べて、お兄さんは頑張っているみたいですね~♪」

 

稟「はい、幽州での一刀殿の噂はよく耳にします」

 

季衣「うん♪僕一回幽州に行ってみたいかも♪」

 

流琉「私も、兄様に会いたいな♪」

 

稟「しかしまさか、公孫賛の所に仕官するとは思っても見ませんでしたね」

 

風「はい~、そうなると公孫賛さんは、お兄さんの理想の君主さんということになるはずですが~」

 

稟「噂によると、君主としての器は普通、能力は普通、民達からの信頼は普通・・・・・一刀殿もどうしてそのような者に仕官したのでしょう・・・・・」

 

綾香「しかし、幽州から帰ってきた間諜の話では、幽州の発展具合は本物みたいですよ」

 

風「風達も、お兄さんから聞いた制度を風達なりに実施していますが、まだまだ実用性には乏しいですからね~」

 

稟「はい、今度お会いしたらぜひ意見を聞きたいものです」

 

綾香「私達も内政には力を入れていますが、一刀君の治める幽州には程遠いですね・・・・・それはそうと、今回の討伐には新しい軍師が一人同行します」

 

風「おお~、新しい人ですか~、お話できる人が増えるのは嬉しいです~♪」

 

稟「はい、私達だけではどうしても意見に偏りが出てしまいますから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、陳留の北の外れに来た華琳達だったが

 

華琳「?・・・・・どういうことかしら?」

 

桂花「はい、そろそろ敵兵の一人くらい出てきてもいいものですが・・・・・」

 

どうも様子がおかしい

 

ここに来るまでに黄巾党の忌まわしい黄色い頭巾を一つも見ていないからだ

 

偵察の兵を何人も放ち情報収集を行っているが、帰ってくるのは黄巾党はいないという情報のみ

 

麗春「どういう事だ、これではせっかく立てた策が台無しではないか」

 

綾香「もう暫く進軍をしましょうか?」

 

華琳「ここまで来ると、それしかなさそうね」

 

そして、情報収集をしながらも北進する華琳達

 

すると偵察に行っていた兵が戻ってきた

 

「報告です!冀州との国境周辺に黄巾党を発見しました!」

 

春蘭「ようやくか!待ちどうしかったぞ!」

 

綾香「待って下さい春蘭、それでどんな状況でしたか?」

 

「はっ、見たところ黄巾党は交戦らしい交戦もせず座った状態でした」

 

桂花「はあ?一体何言っているのよ?」

 

風「・・・・・この状況、どこかで見たことがあるような気がしますね~」

 

稟「はい・・・・・もしやと思いますが、黄巾党以外の旗印はありましたか?」

 

「はっ、公孫旗と徐旗と趙旗と・・・・・あと十文字の旗がありました」

 

綾香「公孫に十文字・・・・・それもしや、華琳」

 

華琳「ええ、どういう事なのか事情を聞く必要がありそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「いいかお前ら!!!俺がこれから言う言葉を復唱するんだ!!!・・・・・汝、父母を敬え!!!汝、殺すなかれ!!!汝、姦淫するなかれ!!!汝、盗むなかれ!!!汝、隣人に関して偽証するなかれ!!!汝、隣人の妻を欲するなかれ!!!汝、隣人の財産を欲するなかれ!!!」

 

華琳「・・・・・・・・・・」

 

風「・・・・・相変わらずですね~、お兄さん~」

 

稟「一刀殿・・・・・一体いつまでそんなことを続けるおつもりですか・・・・・」

 

季衣「あ~~~、兄ちゃんだ~~♪」

 

流琉「本当だ、兄様だ♪」

 

冀州との国境まで行くと、そこにはボコボコにされた黄巾党に向かって激しく説教をする一刀の姿があった

 

菖蒲「あ一刀様、曹操軍の方達が来られましたよ」

 

一刀「なに!?」

 

華琳「一刀、あなたいったい何をしているの?」

 

一刀「華琳?・・・・・何をって、こいつらをまともな道に戻す為に再教育を施しているんだ」

 

華琳「そんな事を聞いているんじゃないの!」

 

一刀「・・・・・じゃあ何を聞いているんだ?」

 

華琳「どうして、幽州を守護しているはずのあなたが冀州を越えて沿州にまで来ているのか!?その事について聞いているのよ!」

 

白蓮「何だ何だ!?一体どうしたんだ!?」

 

星「おお、誰かと思えば曹操殿ではござらんか」

 

騒ぎを聞きつけ、白蓮と星が駆けつけてきた

 

一刀「・・・・・ということは、ここは陳留なのか!?」

 

桂花「ちょっと、今頃気付いたの!?」

 

白蓮「待て待て、待ってくれ!それについては私から説明しよう」

 

華琳「あなたは?」

 

白蓮「私は公孫賛、幽州の太守を務める者だ」

 

華琳「あなたが公孫賛・・・・・一刀」

 

一刀「なんだ?」

 

華琳「あなた、彼女の何に惹かれたというの?どう見ても普通の人物にしか見えないわよ」

 

一刀「確かに俺も白蓮は普通だと思っているぞ」

 

白蓮「ぐうぅ!!・・・・・どいつもこいつも普通普通と連呼しやがって・・・・・」

 

星「安心してくだされ白蓮殿、一刀殿も言っているではありませんか、それが白蓮殿の良いところだと♪」

 

白蓮「分かっている、分かってはいるんだ!一刀もそんな私に付いて来てくれるというのはよ~~~~く分かっている!・・・・・だからこそ悲しんだ~~~~」

 

蒼「お~~~~よしよし、白蓮ちゃんは強い子なんだから、泣いちゃダメだぞ~~~」

 

鶸「私も時々疑問に思うわ、どうしてこんな普通の人に一刀さんみたいな人が仕えているのか・・・・・」

 

白蓮「・・・・・それよりも、どうして私達がここにいるかなんだが・・・・・私達は麗羽、袁紹の依頼でここまで来たんだ」

 

華琳「麗羽の依頼ですって!?」

 

白蓮「ああ、前にも同じことがあったんだが、追加依頼というやつだ」

 

桂花「ちょっと待って!!あの堅物が他の州に援軍を要請したって言うの!!?」

 

白蓮「いや、正確に言うと麗羽がじゃなくて・・・・・真直が」

 

桂花「ああなるほど・・・・・そうよね、あんな頭の中に自己顕示浴しかない輩がそんな事するはずがないわよね・・・・・」

 

華琳「?・・・・・それは誰かしら?」

 

桂花「華琳様も聞いたことがありませんか?袁紹軍筆頭軍師の田豊の事を」

 

華琳「聞いたことあるわね」

 

桂花「はい、私もかつて袁紹に仕えていた事がありますから、彼女の事はよく知っています」

 

白蓮「あんなお嬢様気取り全開な麗羽の所で、真直はよくやっているよ・・・・・」

 

華琳「どうやら、あなたも麗羽の破天荒ぶりに大分振り回されているみたいね・・・・・で、麗羽の依頼を受けて来たのはいいとして、どうしてこんな所まで来ているのかしら?」

 

一刀「すまないな、黄巾党を捕まえるのに忙しくて国境を越えてしまった事に気付いていなかったみたいだ」

 

桂花「何よそれ、やっぱり低俗な猿は頭の中も低俗みたいね」

 

華琳「ふ~~~~ん・・・・・それじゃあ、今度は私の依頼を受けてもらえるかしら?」

 

星「曹操殿の依頼ですか?」

 

華琳「ええ、それさえ受けてもらえば今回国境を越えてきた件は帳消しにしてあげましょう・・・・・まさか麗羽の依頼は引き受けてこの私の依頼は引き受けないというわけではないでしょうね?」

 

一刀「依頼の内容にもよるが、どんな依頼なんだ?」

 

華琳「麗羽の依頼と大して変わらないわ、この沿州の黄巾党を一掃するのを手伝って欲しいだけよ」

 

白蓮「おいおい!私達は真直から三日間だけでいいから手伝ってくれって言われて来たんだぞ!沿州の黄巾党を一掃するだなんて言い出したら、一体どれだけ掛かると思っているんだ!?」

 

華琳「ならば麗羽のところと同じく、三日間だけ手伝ってくれればそれでいいわ、それに黄巾党を野放しにして良い事が無いのはあなた達も同じではないかしら?」

 

白蓮「・・・・・・・・・・」

 

星「白蓮殿、ここは曹操殿に分がありそうですぞ」

 

菖蒲「そうですね、事情はどうあれ結果的に国境を越えてしまったことは事実ですから」

 

白蓮「・・・・・分かった、麗羽と交わした三日間は過ぎているからな、ただし本当に三日間だけだぞ」

 

華琳「それでもこっちは助かるわ・・・・・桂花、確か山陽に黄巾党の大部隊が現れているという情報があったわね?」

 

桂花「はっ、秋蘭が討伐に向かっている地区です」

 

華琳「それでは、話は山陽に向かっている間に済ませましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、山陽への道のり

 

 

季衣「久しぶり~、兄ちゃん♪」

 

流琉「お久しぶりです、兄様♪」

 

一刀「久しぶりだな、季衣、流琉」

 

風「そういえばお兄さん~、桃香さん達はどうしたんですか~?」

 

稟「そうですね、姿が見えませんが」

 

星「桃香殿達は、独立なされた」

 

白蓮「ああ、義勇軍を組織し旅立ったよ」

 

稟「華佗殿も一緒にですか?」

 

菖蒲「いいえ、華佗さんは一人で乱世の世に旅立たれました」

 

稟「・・・・・あなたは」

 

菖蒲「申し遅れました、私は徐晃公明と申します、一刀様から聞いています、郭嘉奉孝さんと程立仲徳さんですよね」

 

稟「はいその通りです、私は郭嘉、真名は稟と申します、以後お見知りおきを」

 

風「ちなみに風は、程立から程昱に改名しましたのでそこら辺よろしくなのです~」

 

星「それはまたどうしてだ?」

 

一刀「日輪を支える夢でも見たのか?」

 

風「おお~!よくご存知ですね~、流石は天の御遣い様です~」

 

一刀「まぁ、そういう事にしておいてくれ」

 

風「というわけで風は風です~、よろしくお願いしますです~」

 

菖蒲「私の真名は菖蒲です、どうぞお手柔らかにお願いします」

 

彩香「私は曹仁、字は子孝、真名は彩香です」

 

桂花「荀彧、字は文若、今はそう呼びなさい」

 

麗春「司馬懿仲達という、真名については保留にさせて頂こう」

 

一刀「司馬!!?」

 

白蓮「ん?どうした一刀?」

 

一刀「い、いや・・・・・なんでもない」

 

白蓮「???」

 

まさかこんなところで三国志の大物軍師と鉢合わせしてしまうとは思ってもみなかった一刀は、少なからず動揺してしまった

 

麗春「ん?私に興味があるのか?」

 

一刀「い、いや・・・・・そういうわけじゃないけど・・・・・」

 

麗春「・・・・・ふふふふ♪面白いな君は、気に入ったよ、どうだ?私のモノになる気はないか?」

 

馬を寄せ一刀に擦り寄る麗春、そのグラビア的な体から発せられる色香と香は、健全な男子である一刀の理性に揺さぶりをかける

 

一刀「ちょ、ちょっと、困りますって//////」

 

麗春「ふふふふ可愛いな♪その初々しさ、食べてしまいたいぞ♪」

 

そして、さらに体を寄せ、服の間から見える谷間に一刀の腕を挟んだ

 

桂花「ちょっと!!これから戦場に行くのに何女を侍らせてるのよ!!この変態、強姦魔、全身精液魔人ーーーー!!////////////」

 

彩香「///////////////」

 

菖蒲「///////////////」(モジモジモジモジ)

 

「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

数人の女子からの負のオーラを浴びせられる一刀は余りに居心地が悪かった

 

季衣「僕は許褚、真名は季衣っていうんだ~~♪」

 

流琉「私は典韋、真名は流琉です♪」

 

と、そんなこんなでお互いに自己紹介と真名の交換をしている中で

 

華琳「ところで、この二人はどちら様なのかしら?」

 

蒼「どうも、はじめまして~、蒼は馬鉄だよ~」

 

鶸「私は馬休です、どうぞよろしく」

 

華琳「馬休、馬鉄・・・・・もしかして、あの馬騰の!?」

 

鶸「ええ、私は次女です」

 

蒼「蒼は、三女だよ~」

 

華琳「どうして涼州筆頭の娘達が幽州にいるのよ!?」

 

蒼「それは、お母さんに一刀さんを見張るように言われてきたからですよ~」

 

鶸「ええ、漢王朝に害を及ぼす人間かそうでないかを見極めるために同行しています」

 

稟「そういう事ですか・・・・・」

 

風「天の御遣い・・・・・漢王朝にとっては気に入らない名前ですからね~・・・・・」

 

華琳「そう・・・・・それで、馬騰は元気にしているのかしら?」

 

鶸「今は、昔のような働きは出来なくなってきているから、内政に力を入れています」

 

蒼「うん、最近体力が衰えてきたって自分でも言っているから・・・・・」

 

華琳「・・・・・かつての名将馬援の子孫といえど、年には適わないというわけか」

 

馬援とは、中国新末期から後漢初期にかつての光武帝に仕え、光武帝の敵を多く討ち果たした勇将である

 

五胡との戦いでそんな英傑の子孫にふさわしい活躍をしてきた馬騰といえど、時の流れには逆らうことは出来ないという事を実感し胸の奥に寂しさに似た感情が湧いてくる

 

桂花「華琳様!!ただいま偵察から報告がありました!!山陽の町を約三万の黄巾党が囲んでおり激しい戦いをしているとのことです!!」

 

華琳「なんですって!!?」

 

桂花「おまけに山陽の町には夏侯の旗が立っているとのことです!!」

 

春蘭「なにぃ~~~~!!!ということは何か!!!?秋蘭が孤立無援の状態ということか!!!?」

 

桂花「そういうことよ!!」

 

春蘭「待っていろよ秋蘭!!!うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

綾香「春蘭!!一人で行ってはなりません!!待ってください!!」

 

白蓮「どうするんだ、曹操!相手はかなりの数だ!ここは騎馬隊で突撃するのが良策だと思うが!?」

 

華琳「それしかなさそうね!」

 

一刀「俺と菖蒲は別方向から行く!星は白蓮を守ってくれ!」

 

星「無茶をなされるな!一刀殿!」

 

彩香「一刀君!先走ってはいけません!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「くそったれが~~~~~!!一体いつになったら居なくなるねん、こいつらは~~~~~!!」

 

秋蘭「くっ!これだけ囲まれていては援軍の要請も叶わないな・・・・・」

 

???「ぐぅぅ・・・・・真桜・・・・・私もすぐに、ぅぅぅ・・・・・」

 

???「凪ちゃん駄目なの~~、そんな怪我で出て行ったら死んじゃうの~~~」

 

凪「だが沙和、このままでは・・・・・ぐぅぅぅ!・・・・・」

 

ここ、山陽の町では途中で偶然合流した義勇軍と夏候淵部隊が黄巾党を相手に孤軍奮闘を強いられていた

 

秋蘭と義勇軍の数は、合わせても4千、黄巾党は3万、その差7.5倍

 

城を落とす為の条件、相手の三倍の兵力をゆうに超えていて、おまけにこの町は守りに適していない創りになっているため手製の柵を作るもそれも壊されるのは時間の問題

 

この町の町人の助けも借りているとはいえ、この圧倒的数の差は覆せなかった

 

真桜「こんの~~~~!!!ウチの螺旋に挽肉にされたい奴はかかってこんかい~~~~!!!」

 

町の外壁を梯子を使ってよじ登ってくる黄巾党を真桜は螺旋槍で叩き落としていく

 

秋蘭「そろそろ矢が尽きる、ここまでなのか・・・・・」

 

夏候淵隊も義勇軍も善戦してはいるものの、どんどん数が減っていく

 

秋蘭「最後に、せめて華琳様のお顔を・・・・・ん?あれは・・・・・」

 

真桜「どうしたんや、夏候淵様・・・・・おお~~~~~~!!」

 

沙和「真桜ちゃ~~~ん!何があったの~~~!?」

 

真桜「援軍が来たで♪曹操軍や♪」

 

沙和「きゃ~~~~凪ちゃんやったの~~~♪沙和達助かったの~~~~♪」

 

凪「・・・・・そうか・・・・・良かった・・・・・」

 

援軍到来の報を聞き一気に体の力が抜ける凪

 

秋蘭「あれは・・・・・我が軍の他に別の軍が混じっているな・・・・・」

 

真桜「でかい牙門旗があるな・・・・・ハム?なんやねんそれ・・・・・って!!?あの十字の旗って確か!!?」

 

沙和「ええええ!!?十字の旗って、天の御遣い様の旗でしょ!!?幽州の!!?」

 

凪「・・・・・天の御遣い・・・・・だって?・・・・・」

 

どうして州を跨いだ地の軍がここにいるのか不思議でたまらない一同

 

そんな中

 

凪「っ!?(・・・・・なんだ、このとてつもない氣は・・・・・)」

 

町の中からでも感じる事が出来る氣に凪は身震いした

 

その氣が一瞬大きくなったかと思えば、その周りの数ある微かな氣が萎んでいく

 

凪「(一体どういう事なんだ・・・・・)」

 

人が死ぬ時はその体内にある力が完全に消えてしまうものだが、その強大な氣の周りの微かな氣はきえかかりそうになるが、僅かに残っている

 

真桜「うっひょ~~~、なんや知らんが壮観やな~~~、あんだけいっぱいいる黄巾党がまるでゴミカスやで~~~」

 

秋蘭「あれは、北郷・・・・・どうして華琳様が北郷と・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩香「秋蘭!!無事ですか!!?」

 

秋蘭「はい、なんとか生きています、彩香様・・・・・」

 

華琳「無事で何よりだわ、秋蘭」

 

秋蘭「華琳様、ご心配をおかけしました」

 

春蘭「しゅ~~~~ら~~~~~ん!!無事で良かった!!本当に良かった~~~~~!!」

 

秋蘭「・・・・・姉者、大袈裟だぞ」

 

その後、曹操軍と公孫賛軍の連携により黄巾党は叩きのめされた

 

そんな中

 

一刀「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!我が身、我が鍼と一つなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒!病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれええええええええええっ!」

 

町の中に入るなり、すぐさま一刀は五斗米道で怪我人を癒していった

 

一刀「北郷隊!!怪我人を集めるんだ!!重症の者から順に並ばせろ!!」

 

沙和「御遣い様~~~!!凪ちゃんをお願いしますなの~~~!!肩をやられてしまったの~~~!!」

 

凪「いいえ、私より他の人達からお願いします・・・・・」

 

真桜「何言ってんのや!!?凪が一番頑張ったんやから、凪が一番最初に治療受けても罰は当たらへんやろが!!?」

 

一刀「・・・・・本当に後でいいのか?」

 

凪「はい、この町の人達から先に・・・・・」

 

一刀「・・・・・分かった、手早く済ませよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅ、これで終わりか・・・・・待たせたな!」

 

真桜「凪!!出番が来たで!!」

 

沙和「凪ちゃんしっかりしてなの~~~!!」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

近くで大声で呼びかけられるも凪はぐったりとし、ピクリとも動かなかった

 

一刀「拙い!・・・・・こぉぉぉぉぉぉ・・・・・回天丹田」

 

一気に波動のメーターを振り切らせ、薄皮一枚まで絞り込み、鍼に氣を集中させる一刀

 

稟「一刀殿!!?」

 

風「お兄さん!!?」

 

星「一刀殿!!」

 

一刀「我が銀鍼に全ての力、賦して相なるこの一撃、輝けぇぇ!賦相成・五斗米道ーーーーーーー!!!」

 

ピシャーーーーーーーーーーーーん!!!!!!

 

凪「うああああああ!!!??」

 

自分の中にかつてなく膨大かつ強靭な氣が一気に入り込んできて、凪は逆に気が動転し飛び起きた

 

一刀「ふぅ~~~~、危なかったぜ~~~~・・・・・」

 

華琳「な、なによこれ・・・・・」

 

彩香「これが、一刀君の氣・・・・・」

 

麗春「・・・・・・・・・・」

 

鍼を打ち込んだ瞬間に舞い上がった白い羽に一同は魅入っていた

 

沙和「凪ちゃんよかったの~~~~!」

 

真桜「心配させおって~~~~~」

 

凪「・・・・・沙和、真桜・・・・・何があったんだ?」

 

沙和「御遣い様が、凪ちゃんの傷を治してくれたの~~~!」

 

真桜「凄いもんやで、あんな深い傷を一瞬で治せるなんてどんな仙術使ったんや?」

 

凪「え?・・・・・あ!」

 

肩にあった動脈に達しそうな深い傷は完全に無くなっていた

 

おまけに過去に受けた全身の古傷もまとめて全て無くなっていたのだ

 

凪「・・・・・あ、ありがとうございます!!御遣い様!!おかげで助かりました!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

凪「・・・・・あの、御遣い様?」

 

ドサッ!

 

「!!!??」

 

一瞬ふらつきだしたかと思えば、一刀は一同が見ている前で前のめりに倒れてしまった

 

凪「御遣い様!!?」

 

菖蒲「か、一刀様!!?」

 

鶸「ちょっと!!どうしたんですか!!?」

 

蒼「一刀さん!!?一刀さ~~~~~ん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はいどうも、2週間ぶりの投稿となりました

 

だいたい一週間に一話のペースで書いていきたいと思っているんですが、執筆時間が削られてしまうとこのように倍近い時間がかかってしまいます

 

言い訳に聞こえますが、執筆をしている側としては、これは致し方ないとしか言えません

 

読者の皆様も筆者のそういったところは理解してあげてくださいね

 

今回の司馬懿仲達は、Siriusさんオリジナルの麗春で行こうと思います

 

見てみると、この麗春を使うのは自分が初めてですね、他の作者さんが使っていない分参考にできる作品がありませんので今後四苦八苦しそうですね

 

さて、曹操軍と合流した一刀達、次回の黄巾党の乱はかなり動く予定です・・・・・待て!!!次回!!!


 
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