No.694884

義輝記 蒼穹の章 その十九

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。

2014-06-18 13:23:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1188   閲覧ユーザー数:1034

【 カンウとの死闘 その壱 の件 】

 

〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗

 

《 夕方遅く (18時頃) 》

 

篝火が立てられ、更なる明るさが増す中………俺を含む六人の将が……カンウに対峙する!! ……近付く度に……本能的に逃げたくなる自分を、叱咤激励して前へ進めさせる!!

 

カンウ「ワレノ復讐! 『兄者』、『益徳』ノ仇! 『呉』ニ味方スル愚カ者共!! コノ『カンウ』ガ……押シ潰シテクレン!!」

 

怒りの権化と化した……自称カンウ。 

 

『信玄殿達が……足止めの為、武を振るってくれるが……いつ、包囲が破らるか………分からない! 早く……交代せねば!!』 と焦る颯馬!

 

その時……持っていた酒壺を見つめ、素早く矢立(やたて)を取り出し……酒壺に書き加えた!!

 

ーーーーー

 

信廉「相手は……先程よりも、更に強くなった猛者! 長期戦から短期戦に変えなくてはいけません!! ですので、勝負は一回限り!! 私達が隙を作り出し、颯馬に策を実行してもらうのです!!」

 

信廉殿は、陣形と作戦を説明し……関雲長に先陣を任す!!

 

信廉「あの『関羽』が貴女の事を知れば……烈火の如く怒るでしょう! そうなれば……貴女は死ぬ可能性もある! それでも、私は貴女に託したい! 怒りで周囲が疎かになる! そこが狙い目なのですから!!」

 

愛紗「……信廉様! 託して頂き……感謝します! 天城様に……ご迷惑かけ続けてきた……この私です! 償いの一つになるのでしたら……この関雲長! 協力させて頂く所存!! お任せを!!!」

 

信廉殿は、信玄殿と違う陣形を指示する! 

 

先陣は関雲長! 左右に曹孟徳、高橋紹運。 関雲長の後ろに、山中鹿介、村上義清、楽文謙が続く! 『┰』形の陣形!!

 

信廉「これで……一直線で進み敵将と対峙! 左右に曹孟徳、紹運殿で別れて攻撃を実行! 颯馬は……その隙を突いて策を行うのです!!」

 

俺は、分かったと頷き、酒壺を後ろに回し……ユックリと振った………。

 

☆☆★

 

霞「こんのおおぉぉお! あほんだぁらぁ!!! えぇえかげぇんに!! さらせぇぇぇえ─────!! 」ゼェッ! ゼェッ!!

 

恋「…………お腹……空いた……」……ショボン

 

雪蓮「なんでぇ…! 疲れを見せないのよぉ! この筋肉の塊は~!!!」

 

謙信「………死中に……活を見出すのみ!」グッ……!

 

星「あ、愛紗と…本当に…性格が…そっくりだ…!」

 

信長「やるで……はないか……! だが! ここからが…本気で…行くぞ!」

 

信玄「耐えるの……です! そ、颯馬が……皆が! 必ず……次の手……『 信玄殿!! お待たせしました!! 』 そ、颯馬!! 皆! 道を譲りなさい!!!」バッ!!

 

ーーーーー

 

ザッザッザッザッザッザッ………ザッ!

 

その陣形のまま……カンウに近付き……愛紗が、大音声で呼び掛ける!!

 

愛紗「聞けぇぇいい!!! 我が名は『関雲長』!! 我が主……北郷一刀を守る武人だあぁぁあ!!!」

 

カンウ「──────カ、カカカカ……カァ!!! 『関羽』ダトォオ!! ナ、ナゼェェェエ、ナゼナンダァァア──────!!!?」

 

愛紗「ふん!! どこの世界か知らぬが──この世界の関羽は私一人!! それに、私が仕えているのは………お前が憎む『孫呉』だ!!!」

 

カンウ「バッ! バカナ!! バババッ──バカナァァァ!!」

 

少しの間、髪や髭を振り回し、頭を抑えた後……元々赤かった顔が……更に色が濃くなる!! 冷艶鋸を握り直し……愛紗を眺めて吠えたてた!!

 

カンウ「……オ前ナド……『関羽』……ヲ名乗ルコト…許サズ!! ワレガ…オ前ノ代ワリニ…『関羽』ヲ…引キ継イデヤル!! カッカッカッ!! 

 

──────安心シテ………死ネ!!」ブゥ────ン!

 

愛紗の頭の上に……冷艶鋸の刃が振り下ろされた───! 

 

 

シュッ──! シュッン!

 

そのとき華琳、紹運が……左右から攻撃!

 

華琳「お前が───ねぇ!!」ブゥン!

 

紹運「───させん!!」シュ──!

 

ガッ! グサッ! グググッ……

 

ボッッン!! ボンッ!!

 

二人の刃が、カンウの両脇腹に当たるが……筋肉が刃の進入を拒み、少ししか入らない! そして、筋肉で……弾き飛ばす!!

 

カンウ「クハァ───────!!」─────ブン!!

 

華琳「くっ!」ザザザァ──!

 

紹運「……やるな!」ザザァ──!

 

カンウは……お構いなしに、冷艶鋸を愛紗に叩きつける!

 

シュ────ッ!   ドン!

 

青龍偃月刀を持って、受け止めてとするが……後ろから……突き飛ばされた!

 

愛紗「な、何を………!?」

 

『ボキ───ン!』 

 

鹿介「ウグゥ────!!!」

 

背後を慌てみてみれば……自分を押した鹿介が、愛紗の位置で身を翻し、冷艶鋸から避けていた。 ……ただ、完璧には避けられず、鹿介の兜に備わる鹿角が……一方だけ斬られている!

 

鹿介「ばっ、馬鹿者! 真っ正面から……受ければ…ただ事では済まぬぞ………っ!!」バタン!

 

義清「てりゃあ────!!」

 

凪「鹿介殿───! 『猛虎襲撃』!! 」

 

義清が、鹿介の倒れた後ろより槍を繰り出し、凪が、義清の肩を足で踏み、カンウの頭上より『猛虎襲撃』を仕掛ける! 

 

カンウ「ガアァァ!!」 グルグル──ッ!!

 

バシュ───ゥ!!

 

義清「うわぁ────!!」ズザァ───!

 

凪「くっ!!!」

 

しかし! カンウは、得物を回転させ───義清の槍を阻み、氣弾をも消滅させる!! 義清は弾き飛ばされ、凪は近くに降り、次の氣弾の準備をする!!

 

 

─────────

───

 

─『一瞬の空白』が──訪れる!!

 

───

─────────

 

 

そして──カンウの背後に颯馬が迫り、松明を翳す(かざす)!

 

 

颯馬(俺が出来る……機会は……これで……最初で最後! 必ず──!!) 

 

 

颯馬は、白酒を既に……口に含んでいた。(アルコール度 60~65度)

 

口の中が熱く、頭もボンヤリしてくる!! 

 

だが……この距離なら……口に含む白酒を…松明と適度の間合いで吹きかければ……『火炎』となり、カンウに襲いかかるのだ!!

 

 

だが…………カンウは………その策を………読んでいた!!!

 

 

カンウ「………ソコマデダ………『天城颯馬』…! オカシナマネ……スレバ…コノ『将』達……命ハ無イ!!!」

 

頭に受けた衝撃の為……すぐに動けなかった鹿介、倒れ込んでいる鹿介を唖然と見る愛紗に……冷艶鋸の刃が……向けられていた!

 

その様子に、左右を攻めていた将が───叫ぶ!!

 

華琳「何をしているの!? 愛紗!!」

 

紹運「────鹿介殿!!」

 

義清「兄者!!!」

 

◆◇◆

 

【 洛陽で…… の件 】

 

〖 洛陽 宮殿内 稟私室 にて 〗 

 

《 同時刻 》

 

稟「……そうですか。 『詳細は、この竹簡を読めば分かる』…のですね?」

 

忍び「(コクリ)」──スッ!

 

風「相変わらず無口ですねぇー。 でも、正確な情報収集は、大変貴重ですよー! どれどれ………グゥ~」

 

稟「竹簡を見ながら寝るなぁ!!」

 

風「おぉー! 久々のツッコミですよー!」

 

白蓮「……おっ! 颯馬や何進大将軍より連絡が届いたか!」

 

稟「白蓮殿! 連日の内政、軍務の手伝い……ありがとうございます! 遠征に次ぐ遠征で……内政が出来る者達が居なくなり、連日仕事で忙殺されていたのです! 白蓮殿のように万能な方なら、私達も大助かりですよ!!」

 

白蓮「いや! 颯馬達と行き違いになったのは……残念だが……私にも活躍の場があるのなら、寧ろ洛陽に居た方がいいな! あそこに……私が活躍できる所があるか…見当がつかん………!」

 

風「……自信を持っていいですよー! 白蓮さん! 颯馬お兄さんが戻ってくれば……影が薄くなりますけどー」クスッ

 

稟「風! 本当の事を口に出すのであれば、時と場所を弁え(わきまえ)なさいと、何度も言っているでしょう!?」

 

白蓮「……頼むから、時、場所、それと『本人の存在確認』も入れてくれ!」

 

★☆☆

 

稟「えーと、益州は……無事に、漢王朝の手に入ったようですね。 厳顔、黄忠、魏延の三人の将を配下に………ん!!」

 

白蓮「ど、どうした!? 益州の攻略に……なんか不都合が…あったのか?」

 

風「…………………」

 

稟「益州の南中で……南蛮大王『孟獲』が、反旗を翻したそうです!」

 

白蓮「そ、それは──大変だ!! 直ぐに救援に───!!」

 

風「…大丈夫ですよ~! 『乱は起きた! しかし、既に平定……援軍は不要!』……と言うところですかー?」

 

稟「その通りです。 ………しかも、何進殿と護衛の黄忠達数十人で………」

 

白蓮「なんだそれぇ! どんな策を使えば……そんな事、実行可能なんだよぉ!! まさか……私を…おちょくってなんか…ないよなぁ!?」

 

風「おぉー!! これは……風も読めませんでしたー!!」

 

稟「何進殿が、得意の肉料理で…孟獲達の胃袋を…攻め立てたようですね…。

 

え~と、『調味料や料理方法を替えて……七回、食事をさせて……黄忠の膝枕で籠絡した』……と。 最初は……材料を用意したのですが、直ぐに無くなってしまい…食べていない南蛮兵が…自ら材料を…差し出したそうですよ?」 

 

白蓮「……………」

 

風「………………………グゥ」

 

★★☆

 

風「次は~風が読みますねー!」

 

白蓮「うむ!」

 

稟「………………」

 

風「…………ふむふむ。 おぉ? ………なるほど……ん! なんとぉ!!」

 

白蓮「おーい! 熱中してないで説明しろ!! 説明!!」

 

稟「私も楽しみにしてるのです! 早く、颯馬殿の策を教えて下さい!!」

 

風「……では。 孫呉の手勢は、袁術軍に……火計を仕掛けたそうです!!」

 

稟「悪くは無い考えです! 彼処は……今の時期なら『東南の風』が吹き、袁術軍の進行方向から考えれば……間違いなく成功です!」

 

風「でも、失敗したようですねー。 風が逆に吹いたそうですよー!」

 

白蓮「へっ?」

 

稟「───どういう事です!? 風が……更に変化したとでも!?」

 

風「稟ちゃん……。 驚くのは、まだ早いですよぉ? 孫呉の火計は……失敗しましたが……颯馬お兄さんは、その変則的な逆風さえ見定め、火計を成功させたそうです!!! しかも! 風にも思い着かない発想で!!!」

 

稟「風!! 見せて下さい!! 颯馬殿が、どのように策を実行したのか……私も知りたいのです!!」

 

風「嫌ですぅ~!! 下手な軍記物を読むより、勉強になりますからー!!」

 

ドタバタ! ドタバタ!!

 

白蓮「ははは……。 ──颯馬! 私が必要なら、遠慮なく呼べよ! 力が足りないかもしれんが……出来るだけ手助けしてやるからな!!」

 

◇◆◇

 

【 カンウとの死闘! その弐 の件 】

 

〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗

 

《 夕方遅く ( 16時半頃 ) 》

 

颯馬「ガハッ──! ペッ!! ………俺の策を…破るなんて………」

 

カンウ「『天城颯馬、表デ道化ヲ演ジ……裏デ策ヲ練ル』。 司馬懿ガ言ッテイタ!! ……考エレバ……サッキカラ……オ前ノ姿……見エヌ!! ナラバ……我ニ挑ムハ……囮! 後方……イルノガ……貴様ダァァ!!」

 

颯馬「くっ………!」

 

カンウ「我ニ油ヲ掛ケ……焼キ殺ス策カ! シカシ……油モ乾イタ! 我ガ武ヲ持テバ……火ナド点ケサセヌワ! 『策士……策ニ溺レル』……身ヲ持ッテ知レ────!!!」

 

ズシッ……!   ググッ!!

 

カンウは、二人に向けていた……冷艶鋸を構え直し、颯馬に向いた。

 

華琳「─────くっ!!」

 

信廉「───────!」

 

凪「天城様ァ────!!」

 

義清「あ、兄者!!!」

 

紹運「おのれぇ────!!!」

 

愛紗「あ──天城様……!!」ガクガク

 

華琳、信廉、紹運達は……動こうとしても……動けない!!

 

鹿介も意識は取り戻したものの、身体が自由に動かず……歯噛みする!

 

愛紗も…急ぎ向かおうとするが、カンウの殺気に押され…二の足が踏めない!

 

他の将も……疲れで動けない、護衛で外れない、自分の力不足を嘆きながら、次の行動に動けない!!!

 

カンウ「『天城颯馬』!! ─────我ガ武ノ前ニ──散レ!!!」

 

カンウは……冷艶鋸を頭上高く上げた!!

 

颯馬「!」

 

───────ポイッ!

 

颯馬は、何を考えているのか……カンウに『火の点いた松明』を投げる!

 

普通にユックリと……下手投げで…………。

 

カンウ「我ニハ効カヌト───言ッタバカリダァ──馬鹿者メ!!!」

 

バキッ───ン!! 

 

冷艶鋸で────真っ二つに───叩き斬る、カンウ!!

 

颯馬「…………あんたがな…」

 

ヒュ───────ン! トスン! 

 

───ボトッ!

 

何処からともなく……『矢』が飛んで来て……炎が点いてる松明に刺さり……そのまま、カンウの『髭』に……………!

 

ボボッ! ボボボボッ! ボオォォォ──!!

 

カンウ「ナ、ナゼ───ッ!?!?」

 

『儂しか……居るまい! 弓を使える将など……な!』

 

少し離れた場所で……多幻双弓を構える……祭の姿が………!

 

颯馬「……確かに……油は大分乾いているが……御自慢の髭にも……タップリ染み込んでいる!! オマケに……コレも……くれてやるよ!!」

 

白酒を口に含むと………プゥーと吹き出す颯馬!!

 

ボワアァァ!! ボオォォォ!!

 

カンウ「グギャアアァァ!! ア、熱ィイ!! イ、息ガアアァァ!!」

 

肌身放さず持っていた、冷艶鋸を放り出し──地面を転げ回る!!

 

カンウの顔は──炎で覆われた!! 

 

顔だけ燃えている状態だが……炎が熱を発し酸素と化合する科学反応の為、高熱による損傷、空気の希薄による呼吸困難に陥れられ、地獄の苦しみを受ける! 

 

祭「弓隊!! 止めを刺せぇぇ!!!」

 

ヒューン! ヒュン! ヒュン! 

 

グサッ! グサッグサッ! グサッグサッ!

 

カンウ「グワワアアァァァーーーーー!!」

 

ーーーーー

 

華琳「ほらぁ!! 早く逃げるのよ!!」

 

星「何を呆けているのだ!! これ以上……恥を晒してどうする!!」

 

愛紗「──────!!」

 

ーーーーーー

 

紹運「は、早く! ば、場所を移動するぞぉ!!」

 

鹿介「ぐっ! そ、颯馬……殿………」

 

宗茂「あ、あ、姉上! 落ち着くのです!!」

 

明命「こっちです!! 早く!!!」

 

ーーーーー

 

カンウ「テ、天ハ──我ヲ──見放シタカアァァァ───!!」

 

髭と髪が焼け、火傷で顔が腫れ上がり……矢を全身に浴びても……驚愕の生命力を誇る武人……カンウ。 いや……『士仁』と元の名を記すべきか?

 

颯馬「……お前は……劉備や張飛の仇を……自分の仇を討ちたいと……言っていたな? …………『関羽』!」

 

カンウ「『兄者』ハ………『陸遜』ニ敗レ……『益徳』ハ……部下ニ殺サレタ。 我モマタ………『呉』ニ………我々ノ『桃園の誓い』ガ……守レナカッタ…! 我ノ復讐……天ハ気ニ入ラナイ……見エル! ……口惜シイゾ!!」

 

颯馬「………それなら、何故! 自分の不明を省みない! 魏も呉も……智と武を持って……対峙した! 戦場では……偶然など無い! 結果だけだ! 

 

劉備が負けたのも、張飛が討たれのも、貴方が嵌められたのも…全て…己が正しいと思い続けた『自尊心』の為であろうが!!!」

 

カンウ「────────!」

 

颯馬「もう一つ、言わせて貰おう! 貴方が、天を恨もうが…嘆こうが…そんな事は知らん!! 自分自身の天命を呪え!! それに…貴方に討たれた顔良や文醜達……将や兵達は……どこに恨みをぶつければいいんだぁ!?」

 

カンウ「…………我ハ………道半バニテ……果テタノガ……無念ダッタ……。我ノ為……兄弟ガ……死ヌノヲ……見タクナカッタ……。 ……アノ世デ……兄弟ニ詫ビルト………シヨウ………。 迷惑…スマナイ……………」

 

グッ、グッグッ ────パタッ!

 

カンウは……軽く颯馬に手を上げ……直ぐに……下へ落とした。

 

◆◇◆

 

【 勝敗決して…… の件 】

 

〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗

 

《 夜間 (19時頃)》

 

颯馬「祭殿! ありがとうございました! お陰で、私の策も無事成功しました! 正直……あれで分かるか……心配でしたが──流石、歴戦の将!!」

 

祭「………そのような言葉……勿体ないわ! それに、貸りなど儂の方が多いわ!! 冥琳を救い、孫呉の独立に力添えして貰い、この圧倒的な不利な戦を勝ち戦に変えた軍師にはのう!!」

 

華琳「颯馬! ……貴方、また何か……仕掛けていたの? 今度は味方を囮にして!! どんな策か……教えなければ……分かっているでしょうね?」

 

冥琳「私は……薄々予想が出来る。 『二重の策』だったのだろう?」

 

穏「私も~その通りだと思います~! でも、いつ連絡を取り合ったのですか~? そんな素振りなど…………ああぁぁぁ─────!!」

 

颯馬「……ちゃんと言いましたよね? 失敗したら……祭殿に託すと……」

 

祭「あの後……酒壺を振るのでな? よーく見ると……『関羽の前、松明舞う、射って髭に送れ』と書いてあるではないか!! 儂のような目を持つ者では無いと……分からなかったわい!!」

 

華琳「私達が行ったのは……第一矢、祭の行った事が……第二矢。 はぁ~、また一杯食わされたわぁ…………」

 

冥琳「仕方がなかろう? ……あの武人を倒すには……失敗は許されぬ。 ならば……どうするか? 最初の策が破られば……予備の策を準備すればいい。 

……いや、颯馬の事だ。 最初の策を……ワザと破らせて油断を抱かせ、次の策へと布石にしたとも…考えられる。 全く……恐ろしい男だよ、お前は…」

 

ーーーーー

 

鹿介「………ふぅ! やっと身体が自由に動ける!」ニギニギ

 

華佗「もう……大丈夫だ! 頭に受けた衝撃で、脳の機能が一時的に麻痺してしまっていたんだよ! 早めに治療ができて良かった!」

 

愛紗「鹿介様! どうして! どうして……私を庇うのですか!? あのまま私が受けて……鹿介様が攻撃すれば…このような事に……!!!」

 

信玄「──それは、私が説明しましょう! まず、あの者……本人ではありませんが……一応『関羽』と仮名を付けます。 『関羽』が申していたでしょう? 『兄』が復讐戦を起こし、『弟』が部下に殺された……と」

 

愛紗「ですが! あの者の申す事は戯言……『残念ながら……戯言では……無いのですよ!』……えっ!?」

 

信玄「私達の居た世界では……有名な大昔の戦記物です! 貴方達が全員『おのこ』で登場する、この世界とは……別の話ですが………」

 

愛紗「───────!!」

 

信玄「樊城を攻めた関羽は……陸遜、呂蒙の奸計に掛かり刑死。 劉備は…義弟のため復讐戦を行いますが、陸遜に阻まれ多くの将兵を失い、悲しみと後悔の中……病死。 張飛は……あの者が申していた通りです!」

 

その話をしていると、孫呉の当時者?も、こちらにやって来たので……短めに説明を入れる。 無論……三人とも困惑気味だった。

 

亞莎「待って下さい!! わ、私が……愛紗さんを……ですか!?」

 

蓮華「私が……孫呉を背負って……華琳達と対峙……」

 

穏「う~ん、火計をもっと勉強しなければいけませんね~」

 

信玄「『桃園の誓い』……強固な絆を生み出した素晴らしい物ですが、その反面……三人の運命を縛る鎖になってしまったのです。 ここまで……言えば分かりますでしょう! 貴女を失えば…残り二人が…どんな反応をするか!」

 

愛紗「─────姉上、鈴々!」

 

ーーーーー

 

鹿介「(……信廉殿、某……其処まで深く……考えていなかったのですが…。ただ、無闇やたら……命を捨てる覚悟が許せなくて…動いただけで…)」

 

信廉「(充分ではないですか! あの関羽には……命の大切さも教えておかないと……同じ事を繰り返し……結局、颯馬や私達に迷惑を掛けますよ!!)」

 

鹿介「(…………………)」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

これで……赤壁の戦いは終了ですが……久秀達は、もう一戦行う事になっています。 洛陽の稟達と………。

 

後、また……本編に関わるオマケを付けて、終了と。

 

ある漫画の影響を受け過ぎて……ちょっと本編に出すのも……。

 

また、よろしければ、読んで下さい!

 

◇◆◇ 

 

オマケ

 

【 久秀と順慶、奇妙な… の件 】

 

〖 荊州 華容 華容城 にて〗

 

《 赤壁の戦い直後…次の日の夜 (20時半頃) 》

 

久秀「あ~ぁ、残念! 折角……孫呉を蹂躙して阿鼻叫喚の舞台を現出させ、颯馬に見せ付けて……あげるつもりだったのに。 江陵は抑えられたから、襄陽を経由して、冀州の鄴へ戻るしかないわね………」

 

順慶「ふふふふっ……! 颯馬様……颯馬様……颯馬様あぁぁあ! 実に…スガスガしい気分ですわよ!! 正に……最高に『ハイィィイ!』ってものですわぁ!!!」

 

久秀「……? 順慶、貴女……ここに着いて、一日居なかったわね? どこへ行っていたの………?」

 

順慶「当然、敵状視察ですわ! そ・れ・と・颯馬様の勇姿を拝見しに…!」

 

久秀「そっちが……目的じゃないの? ……で? 結果は分かりきってるけど……どうなったか……聞かして頂戴!」

 

順慶「一回目は……忠勝達が対戦……三好姉弟も居ましたわね。 ですが、圧倒的な武で……忠勝達の無様な負けでしたわ……」フゥ…

 

久秀「そのように改造したもの。 勝ってもらわなくては……久秀の腕を疑われしまうわ。 でも、長慶、一存達が居たの? 残念……這いつくばって悔しがる仕草を見たかったわ!」

 

順慶「二回目は、信玄達と……この世界の将達、私と対峙した趙子竜も参戦し対峙。 手強かった相手でしたけど……カンウは勝てましたわ!」

 

久秀「……後で詳しい事、教えなさい! そして、肝心な事は……」

 

順慶「そう! そうですわぁ!! 颯馬様の策が凄くて……………」

 

ーー 『……一刻後』 ーー

 

順慶「「まさか」って感じでしたが……グッときましたわ!!」

 

久秀「その台詞……これで五回目。 必要な事は分かったから…もういいわよ!! 久秀も忙しいから────!」

 

順慶「私がまだ──言い足りないのですわ!!」

 

久秀「いい加減になさい!!!」ダッ!

 

順慶「お待ちなさい!! 貴女ぐらいしか……颯馬様の凄さと格好良さ、優しさを自慢して分かる方は居ないのですからぁぁ────!!!」

 

久秀「だから──久秀に話を聞け……と? でも──お断りよ!!」

 

バタン! バタン!!  ドタバタ!! 

 

 

ーーーーー

 

ゼエェ~~! ゼエェ~~!! 

 

久秀「な、なんで……久秀が……こんなに……疲れなきゃ…ならないの!?」

 

順慶「素直に! 私の話を! 聞かないからですわ!!」キッパリ

 

久秀「あのねぇ───! ハッ! ……見て……いるの?」

 

順慶「───────!?」

 

久秀「───見ているの……と聞いているのよ!! 百地三太夫ッ!!」

 

ガタン! 

 

三太夫『……よく分かったな。 優れた猟師は、空気の振動で獲物の動きを知ると言うが……その類(たぐい)か? 松永久秀!!』

 

久秀「ふん! 答える義理など無い!! 順慶! ───捕らえなさい!!」

 

順慶「言われなくても!!」グッ………

 

三太夫『はははっ! そいつは無理 無理 無理! 筒井の姐さんの後を追ってきた俺だぜ!? ついでに……これは《置き土産》だ!!』

 

ボトッ! ボトボトッ!!

 

久秀「なっ────!! 油虫!!!」

 

順慶「キャアァァァアア────!! 蛙、毛虫、百足、井守!!」

 

三太夫『百地流忍術《虫獣遁の術》だ! ちょっとした意趣返しに……食らいやがれぇぇ───!』

 

ーーーーー

 

こうして……赤壁の戦いは終わりへと向かい、三太夫は…事の顛末を颯馬に報告! 久秀、順慶は…騒ぎながら兵士に駆除を命じる!!

 

後日……順慶が久秀に、長話を迫るのを目撃した兵士が居て、皆に喋ったと言う。 そのため、兵士の間には……『絡む順慶、拒む仲達を走らす』……と噂するようになったと。

 


 
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