No.692896

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第71話

2014-06-10 00:29:00 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2105   閲覧ユーザー数:1940

~トールズ士官学院・グラウンド~

 

「あら、どうしたの君達。Ⅰ組の武術訓練は明日のはずだったけど。」

「それに現在の時間の授業はどうした?まさか抜け出してきたのか?」

「いえ、トマス教官の授業がちょうど自習となりましてね。せっかくだからクラス間の”交流”をしに参上しました。―――最近、目覚ましい活躍をしている”Ⅶ組”の諸君相手にね。」

サラ教官とレーヴェの質問に答えたパトリックは不敵な笑みを浮かべてレイピアを取りだして構え、リィン達を見つめた。

 

「そ、それって……」

「得物を持っているということは練習試合ということか……?」

「フッ、察しがいいじゃないか。そのカラクリも結構だが、たまには人間相手もいいだろう?僕達”Ⅰ組”の代表が君達の相手を務めてあげよう。フフ、真の帝国貴族の気概を君達に示してあげるためにもな。」

リィンの質問に答えたパトリックは勝ち誇った笑みを浮かべ

「フッ……」

「フフン……」

パトリックに続くように貴族生徒達も口元に笑みを浮かべた。

 

「……君達は……」

「………随分、挑発的じゃない。」

「……………………」

パトリックたちの挑発にマキアスとアリサは真剣な表情でパトリック達を見つめ、ユーシスは目を細め

(……中間試験の結果の事を考えると、これはもしかして……)

(ええ……平民も混じったⅦ組の成績より自分達が下である事を認められないから、せめて武術では自分達が上である事を私達に思い知らせたいのでしょうね……)

ある事を察したツーヤに小声で尋ねられたプリネは頷いて呆れた表情でパトリック達を見つめた。

 

「ふむ、真の帝国貴族の気概か。」

「フン…………」

一方ラウラは興味ありげな表情で考え込み、レーヴェは鼻を鳴らした後呆れた表情でパトリック達を見つめ

「フフン。なかなか面白そうじゃない。」

サラ教官は口元に笑みを浮かべた後指を鳴らして人形兵器をその場から消した。

 

「―――実技テストの内容を変更!”Ⅰ組”と”Ⅶ組”の模擬戦とする!4対4の試合形式、アーツと道具、魔術の使用も自由よ!リィン―――3名を選びなさい!」

「りょ、了解です。」

その後リィンはメンバーを選んだがパトリック達は何かと理由をつけてリィンが選んだメンバーの参加を認めない事を指摘し、その結果、メンバーはリィン、エリオット、マキアス、ガイウスの4人のメンバーに限定された。

 

(あの男、小物の割に剣の腕はそれなりのものだ。取り巻き達も剣術の英才教育を受けた者が多い。くれぐれも油断はするなよ。)

準備を整えたリィン達にユーシスは忠告し

(……わかった。)

(た、確かにフェンシング部に所属しているくらいだもんね。)

(フン、あの高慢ちきな鼻、絶対にへし折ってやる……!)

(とにかく全力を尽くそう。)

ユーシスの忠告にリィン達はそれぞれ頷き、パトリック達と対峙した。

 

「では、これより、Ⅰ組とⅦ組の代表による模擬戦を開始する。双方、構え。」

サラ教官の指示によって互いのチームはそれぞれの武器を構え

「―――始め!」

サラ教官の号令を合図に模擬戦を開始した!パトリック達はそれぞれ宮廷剣術でリィン達に襲い掛かり、リィン達は傷つきながらもARCUSの戦術リンクの機能やチームワークの良さで協力し合い、パトリック達を戦闘不能にして勝利した。

 

「―――そこまで!勝者、”Ⅶ組”代表!」

「よし……!」

「ふふ、やったわね。」

「悪くない、かな。」

「フン、及第点だな。」

「皆さん、お見事です。」

クラスメイトの勝利にⅦ組の面々はそれぞれ嬉しそうな表情でリィン達を見つめていた。

 

「ふう……やったか。」

「な、何とか勝てた~……」

ガイウスとエリオットは戦闘の疲労によって息を切らせながら安堵の表情をし

「バリアハートでの脱出劇や大規模戦闘を経験したお蔭か、そんなに苦戦しなかったな……」

(そりゃ、あんだけ走って、大勢の敵と戦えば嫌でも体力がつくし、実戦経験も勝手に上達するわよ~。)

リィンはあまり疲弊していない様子で自分と同じようにそんなに疲弊していないマキアスに視線を向け、リィンの言葉を聞いたベルフェゴールは苦笑し

「ああ……!どうだ……これが僕達の実力だ……!」

マキアスは頷いた後勝ち誇った笑みを浮かべてパトリック達を見つめた。

 

「ば、馬鹿な……」

「こんな寄せ集めどもに……」

一方貴族生徒達は信じられない表情をし

「…………………」

パトリックは唇を噛みしめてリィン達を睨みつけ

(実際に剣を合せて敗北したにも関わらず、敗北を認めないとは……典型的な負け犬だな。)

パトリックの様子を見たレーヴェは呆れた表情をしていた。

 

「……いい勝負だった。あやうくこちらも押し切られる所だった。機会があればまた―――」

そしてリィンがパトリック達を称賛して近づいて手を差し伸べたその時

「触るな、下郎が!」

パトリックが差し出された手を弾いてリィンを睨んで怒鳴った!

 

「いい気になるなよ……リィン・シュバルツァー……”帝国貴族の恥”であるユミルの領主が拾った出自も知れぬ”浮浪児”ごときが!」

「……ッ……」

パトリックの罵倒にリィンは唇を噛みしめ

「おい……!」

「貴方……!」

「ひ、酷いよ……!」

「言っていい事と悪いことの区別もつかないんですか……!?」

パトリックの罵倒を聞いたマキアス、アリサ、エリオット、ツーヤはパトリックを非難した。

 

「ハッ、他の者も同じだ!何が同点首位だ!貴様ら平民ごときがいい気になるんじゃない!ラインフォルト!?所詮は成り上がりの武器商人風情だろうが!”蒼黒の薔薇”!?所詮は成り上がりの薄汚い孤児だろうが!おまけに蛮族や猟兵上がりの小娘まで混じっているとは……!」

「………………」

「………………」

「さすがに今の言葉は見逃せませんね……」

パトリックの罵倒を聞いたガイウスは目を伏せて考え込み、ツーヤとプリネは怒りの表情でパトリックを睨み

「な、な……」

「否定はしないけど……」

「小娘……わたしのこと?」

「……酷いです。」

マキアスは口をパクパクさせ、アリサとフィーは怒気を纏ってパトリックを睨み、エマは悲しそうな表情をした。

 

「パ、パトリックさん……」

「さすがに言い過ぎでは……」

一方パトリックの罵倒が余りにも酷い事に気付いている貴族生徒達は表情を青褪めさせてパトリックを見つめ

「うるさい!僕に意見するつもりか!?」

対するパトリックは怒鳴り散らして同じクラスメイトの意見を一蹴した。

 

「……聞くに堪えんな。」

一方ラウラは呆れた後厳しい表情でパトリックを睨み

「おい、いい加減に―――」

ラウラと共にパトリックを睨むユーシスが口を挟もうとしたその時

「―――よくわからないが。貴族というのはそんなにも立派なものなのか?」

ガイウスが一歩前に出て静かな表情で問いかけた。

 

「っ……!?」

「ガ、ガイウス……?」

ガイウスの問いかけにパトリックは驚き、エリオットは戸惑った。

「そちらの指摘通り、オレは外から来た”蛮族”だ。故郷に身分は無かったためいまだ実感が湧かないんだが……貴族は何を持って立派なのか説明してもらえないだろうか?」

「な、な……」

(ほう……あの年齢であのような問いかけができるとは、驚いたな。)

ガイウスの質問を聞いたパトリックは口をパクパクさせ、レーヴェは感心した様子でガイウスを見つめた。

 

「き、決まっているだろう!貴族とは伝統であり家柄だ!平民ごときには決して真似のできない気品と誇り高さに裏打ちされている!それが僕達貴族の価値だ!」

「なるほど……ラウラやユーシス、プリネとツーヤの振る舞いを見れば、納得できる答えではある。だが、それでもやはり疑問には答えてもらっていない。伝統と家柄、気品と誇り高さ……―――それさえあれば、先程のような言い方も許されるという事なのだろうか?」

「ぐ、ぐうっ……」

「ガイウス……」

「ふむ……」

ガイウスの問いかけに反論ができないパトリックは言葉を失くして唸り、リィンは驚き、ラウラは納得した様子で頷いた。

 

「―――確かにその者の言う通りだな。」

するとその時男性の声が聞こえ

「え……」

「こ、この声は……!」

声を聞いたプリネは呆け、ツーヤは驚いた。

 

するとエリゼを後ろに控えさせた外套がついた漆黒を基調とした服を身に纏う銀髪と紅の瞳の男性がリィン達に近づいてきた!

 

 

 

 

フハハハハ!ここでまさかの二人が登場で、馬鹿な事を大声で発言したパトリックが酷い目に遭います(酷っ!)


 
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