No.691326 九番目の熾天使・外伝 ~短編その⑫~竜神丸さん 2014-06-03 18:35:45 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2400 閲覧ユーザー数:1161 |
『馬鹿な……龍騎だと…!?』
『チィ、面倒な…!!』
スーパーアポロガイストとベルゼバブがそう呟く中、城戸真司が変身した仮面ライダー龍騎は敵の前であるにも関わらず準備運動を行っている。
「よっほっと……うし、準備運動終わり! お前等、覚悟しろよ!」
『『ッ!!』』
龍騎がベルゼバブ達に対してそう言い放つその後ろで、プロトディケイドは複雑そうに頭を抱えていた。
(アンドロイドに搭載されてる人工脳のシンクロ率が10%にも満たないか……薄々予想は出来てたが、まさかここまで馬鹿とはな…)
「ん? 一城、どうした?」
「…いや、何でもない。ドクター緑川の研究成果を確認してただけだ」
「? …まぁ良いや。一緒に行こうぜ、一城、ウル!!」
「はい!!」
「あぁ(よしよし、セーフ)」
≪SWORD VENT≫
≪GUARD VENT≫
≪チェンジ・ナウ≫
≪カメンライド・ダブル!≫
龍騎は左手に装備された召喚機ドラグバイザーに二枚のカードを装填し、青龍刀を模した武器ドラグセイバーと竜の腹部を模した盾ドラグシールドを召喚し両手に装備。ディアーリーズはウォーロックリングを左手中指に填め直してから再びウォーロックに変身し、プロトディケイドは一枚のカードをドライバーに装填してプロトディケイドダブル(以下PDダブル)・サイクロンジョーカーの姿へと変わる。
「さぁ、お前の罪を数えろ…!!」
「今度こそ、断罪の時間だ!!」
「しゃあっ!!」
『ふん、一人増えようが同じ事……纏めて始末してくれるわ!!』
『今からお前達に、絶望の音色を奏でてやろう…!!』
『あら、援軍が真司ちゃんだけなんて誰が言ったのかしら?』
『『!?』』
「せいやー!」
『『ギシャァァァァァァッ!?』』
その直後、ベルゼバブ達の前に武者童子とガルドサンダーが吹っ飛ばされて来た。吹っ飛んで来た方向からはメズールと咲良が浮遊しながら駆け付ける。
『私達もいる事、忘れて貰っちゃ困るわよ』
「困るぞー!」
『おのれ……かかれ!!』
『『『『『イィーッ!!』』』』』
「させるか!!」
スーパーアポロガイストの命令でショッカー戦闘員達が咲良に向かって一斉に襲い掛かるも、ドラグセイバーとドラグシールドを構えた龍騎がそれをさせない。
「俺達も行くぞ、ウル!」
「はい、全員倒します!!」
『生意気な、若造が…!!』
ウォーロックはコピー魔法で増やしたウォーロックソードで二刀流の構えを取り、再びベルゼバブと相対。その一方でPDダブルはいつの間にか出現していたマスカレイド・ドーパントの集団と対峙する。
「またウジャウジャと湧いて出やがったな……だったらこれだ」
≪ルナ!≫
≪トリガー!≫
≪ルナ・トリガー!≫
「そらよっ!!」
『『『『『グワァッ!?』』』』』
PDダブルはドライバーのメモリを取り換えた事で右半身が緑から黄色に、左半身が黒から青色に変化。幻影の狙撃手―――ルナトリガーとなってからトリガーマグナムを構え、追尾性能を持ったエネルギー弾でマスカレイド・ドーパント達を正確に狙い撃つ。
≪STRIKE VENT≫
『グルルルル…!!』
「はぁぁぁぁ…」
その一方で、竜の頭部を模した手甲ドラグクローを装備した龍騎。その背後にはドラグレッダーが飛来し、口元に炎が溜まり始める。
「…だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
『ギャォォォォォォォォォォォンッ!!!』
『『『『『イィィィィィィィィィィッ!!?』』』』』
『ムォ…!?』
繰り出されたドラグクローファイヤーでショッカー戦闘員は大半が倒され、その爆風によって近くで戦っていたスーパーアポロガイストが思わず怯む。
『チィ、猪口才な…!!』
≪ビッグ・プリーズ≫
「お前の相手はこっちだ、ガッ○マン!!」
『誰がガッ○マンだ!! 私の名はスーパーアポロガイストなのだ!!』
スーパーアポロガイストはウィザードの巨大な右手による攻撃を回避してから、名前を間違えられた事による怒りを爆発させながらマグナムショットで応戦する。
「ガルルルルァァァァァァァァァァァァッ!!!」
『ギャォォォォォォッ!?』
「…えっと、あれこなたちゃんだよね?」
「今は気にするな、こっちもいい加減突っ込みが持たん」
「…否定の言葉すら出て来ないわね」
こなたの変身するオーズ・プトティラコンボは女の子らしくない荒々しい雄叫びを上げながら、長い尻尾テイルディバイダーでビッグ・ティーレックスの顔面を思いきり叩き付ける。それを見ていたFalSig達はひとまず、何も見なかったかのような反応を取りながらマスカレイド・ドーパント達を駆逐していく。
≪バインド・ナウ≫
「でやぁっ!!」
『グッ……ヌォワァッ!?』
冷気魔法で身動きが取れないベルゼバブをウォーロックが思いきり蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたベルゼバブが床を転がり、そんな彼にウォーロックソードの刃が突きつけられる。
「終わりだ、諦めろ」
『終わり、か…………クククッ』
「? 何がおかしい」
『いや何……周囲に気を配れていない貴様が、面白おかしく思えてなぁ?』
「何を…ッ!?」
『ケーッケッケッケッケッケッ!! 人質確保ナリィーッ!!』
「ッ……ウル、さん…!!」
「美空さん!?」
『『『うわぁーん助けてー!』』』
ウォーロックの前に、美空を捕えた毒トカゲ男が姿を現した。その後ろでは子供の亡霊達もズ・グムン・バの吐いた糸で捕獲されてしまっていた。
「美空さんを離せ!!」
『お断りだ。そこの小娘達を傷付けられたくなければ……分かっているだろう?』
「く…!!」
美空の首元にベルゼバブの剣が向けられる。
『さぁ! 早くしないと、この娘の肌に傷が出来てしまうぞ?』
下卑た笑みを浮かべるベルゼバブに対し、ウォーロックは仮面の下で悔しそうに歯軋りしながらも……次に取った行動はベルゼバブの思惑通りとなる。
「!? ウルさん、駄目…!!」
美空の声も届かず、ウォーロックは変身を解除してディアーリーズの姿に戻ってしまった。それを見たベルゼバブは機嫌良さそうに笑う。
『その指輪を、こちらに渡せ』
「ッ…」
ディアーリーズは少しだけ迷うも、ベルゼバブに向かってウォーロックリングを投げ、ベルゼバブがそれを右手でキャッチする。
『ククククク……まずは一つ、お前の力を封じさせて貰う』
-グシャアッ!!-
「「!?」」
ベルゼバブはウォーロックリングを床に落とし、そして容赦なく踏み潰してしまう。ベルゼバブが足を退かしたそこには、バラバラに砕け散ったウォーロックリングの破片だけが残っていた。
『さぁ、その小僧を袋叩きにしろ!!』
『『『シャァァァァァッ!!』』』
「!? が、ぐっ!?」
最初にズ・グムン・バがディアーリーズの腹部を蹴りつけ、更に何処からか現れたイソギンジャガーやバイソンヤミーが一斉にディアーリーズを攻撃し始めた。床に蹴り倒されたディアーリーズをイソギンジャガーが触手で痛めつけ、バイソンヤミーが持ち前のパワーでディアーリーズを持ち上げてから壁に叩きつける。
「ウルさんっ!!」
『クハハハハハハハ!! あぁ愉快だなぁ!! かつて私を打ち破った氷の魔法使いが、今ではこうして簡単に嬲り殺しに出来てしまうとは!!』
「!? ウルッ!!」
『おっと、先へは行かせんぞ!!』
「こんにゃろう、邪魔だ!!」
助太刀しようとしたウィザードも、スーパーアポロガイストの妨害を受けてしまう。いよいよ万事休すだ。
『ではそろそろ、
「がはっ!?」
ベルゼバブがタクトを振るうと、バイソンヤミーの頭突きでディアーリーズが薙ぎ倒される。そこにズ・グムン・バやイソギンジャガーも歩み寄り、彼にトドメを刺そうとする。
『さぁ……終幕の時だ!!!』
『『『グルァァァァァァァァァッ!!!』』』
「ウルさん!!!」
「ッ!!」
三体の怪人が、ディアーリーズに向かって一斉に攻撃を仕掛け―――
「―――!?」
ディアーリーズも、気付けば真っ暗な空間に一人漂っていた。
「…ここ、は?」
その直後。
「…!?」
真っ暗だった筈の空間がガラスのように砕け散り、そこに光が齎される。その先には…
「…イルヴィーナ?」
活気盛んな、賑やかな村が存在していた。井戸の近くでは子供達が楽しそうに遊び、大人達は店で商売をしており、そして…
「!? 美空さん、雲雀さん…!!」
とある家にて、花壇の花を楽しそうに育てている篝親子の姿があったのだ。そんな二人の下ではアキやこなた、咲良やハルト達の姿もあり…
「…僕も、いる」
その中には、過去のディアーリーズの姿もあった。過去のディアーリーズが雲雀やハルトにからかわれながらも明るい笑顔を見せる美空に顔を赤らめ、それを見たアキ達にまで抱き着かれている光景だ。
(じゃあ、ここは…)
『ウルティムス、お前のアンダーワールドって訳だ』
「!?」
ディアーリーズの前に、“
「お前は…」
『よぉ、久しぶりだなぁ……どうしたよ? わざわざこんな所まで来て』
ディアーリーズの姿をした“そいつ”はニヤリと笑いながら、ディアーリーズ自身に問いかける。かけてくる声はあまり乱暴ではなかったものの、その表情はディアーリーズを心配しているような表情ではなく、明らかに彼の事を嘲笑っている事がよく分かる。
「…僕がここに来たとすれば、要件は一つだけだ」
ディアーリーズは向けられている怪しい笑みに怯む事なく、自分の姿をした“そいつ”と向き合う。
「僕に……お前の力を貸してくれ」
『…はん』
ディアーリーズの言葉を聞いて、“そいつ”が鼻で笑う。
『久しぶりに会って最初に言う台詞がそれかよ? 横暴な野郎だぜ』
「虫が良過ぎる話だって事は、自分でもよく分かっているさ。でも…」
『でも、ねぇ……あの娘、美空っつったか? アイツが……いや、
「あぁ、大切だ。彼女達を守る為なら、僕がこの身を犠牲にしても構わないくらいに」
『お優しいこって。アイツ等の事はまともに考えても、自分の事は碌に考えちゃいない。テメェには他に大事な物ってのが無ぇのかよ?』
「僕にとって大切なのは、彼女達とごく一部の人達だけだ。その中に、僕自身は入っていない」
『自己犠牲もいい加減にしやがれよ、生意気な甘ちゃんが』
“そいつ”はディアーリーズの前まで歩み寄り、見下しているかのような眼をしながらディアーリーズの顔を覗き込む。それでもディアーリーズは全く怯まない。
『テメェに死なれるとなぁ、俺まで道連れにされちまうだろうが。そんなかっこ悪い消え方なんざ御免なんだよ』
「なら話は早い。このままじゃ僕は、美空さん達も助けられないまま死に、お前も一緒に消えるだろうね」
『…あ?』
「お前は僕に死なれて道連れにされるのが困る。僕は君の力が無いと自分の命すら助けられない。ここまで言えば、もう分かるだろう? この僕がお前に対して、一体何を望んでいるのかを」
その言葉に、“そいつ”は初めて眉を顰める。
『…テメェ、意地でも俺の力を利用してやろうってか』
「嫌なら構わないよ? その時は僕達がどうなっちゃうのか、その先が簡単に想像出来るけどね」
『…チッ』
“そいつ”はしばらくディアーリーズを睨み続けた後、小さく舌打ちする。
『面倒な状況になっちまったもんだよ、全く…………あぁ分かったよ。テメェに力を貸してやる』
「! 本当か…?」
『だが気を付けるんだな』
“そいつ”の身体から青色のオーラが放出され始める。
『俺の力を極限まで引き出すって事はだ、お前はより絶望に近付く事になるって訳だ。テメェみたいな甘ちゃん如きに、果たしてそんな覚悟があるんだろうなぁ?』
「そんな分かり切った事、いちいち聞かないでくれると助かるんだけどね」
『…まぁ良いさ。俺の言った事、きっちり胸に刻んどけ』
「忘れないよ。ウルティムスも、レグルスも、どっちも大切。どちらも僕で、どちらも大切。だから…」
「だからお前に求めよう……お前の力を、僕に貸してくれ!!」
『…あぁ、上等だ』
“そいつ”の姿が変化し、翼を生やした獅子なるファントム―――レグルスとしての姿を現す。
『さぁ、ウルティムス』
「あぁ、レグルス」
『「行コウ、共に…」』
そして一人と一体は、光に包まれる―――
そして舞台は、再び異界へと戻る。
『『『―――ッ!? グルァァァァァァァァァァッ!!?』』』
『なっ!? 眩し…ヌォォォォォォォォォッ!!?』
『グ、ギャァァァァァァァッ!?』
ディアーリーズの身体が突然光り出し、怪人達は思わず怯んでしまった。それは美空達を捕えていたベルゼバブや毒トカゲ男も例外ではない。
「!? おい、何だこの光は!!」
「ウルが、光ってる…?」
「ウル兄ちゃん、光ってるー!」
『『『まぶしー!』』』
「ウルさ、ん…!」
怪人達と戦闘中だったウィザード達も、ディアーリーズの放つ光に圧倒される。そしてその光は次第に収まっていき、再びディアーリーズの姿が見え始める。
「はぁ、はぁ…」
膝を突いていたディアーリーズは、何かを握っている右手を開く。そこには…
『!? ば、馬鹿な!!』
獅子の牙と獅子の鬣を模した、新たな指輪が存在していた。これには流石のベルゼバブも驚きを隠せない。
「…行こう、レグルス」
≪ドライバー・オン≫
ドライバーを出現させてから、ディアーリーズは新たに誕生したその指輪を左手中指に填めてから、そしてあの言葉を叫ぶ。
「変身ッ!!!」
≪オリジン・ナウ!!≫
新たなリング―――オリジンリングがドライバーに翳された直後、ディアーリーズの真上に現れた青い魔法陣からレグルスの幻影が咆哮を上げながら出現し、そのままディアーリーズと一体化。青い光に包まれた後、そこにはディアーリーズの新たな姿が誕生していた。
「あれは…」
その姿を見たPDダブル達は言葉を失った。
頭部に生えているより鋭利な獅子の牙、新たに形成された獅子の鬣らしき意匠。両肩にはレグルスの爪を模した封印石。黒色から藍色に変化した下半身のローブ、そしてレグルスの顔を模した胸部のアーマー。
レグルスの力を極限まで引き出した新形態―――“仮面ライダーウォーロック・オリジンスタイル”は、その美しく輝くローブを靡かせる。
『ふん、こけおどしだ……行け!!』
『シャアッ!!』
ベルゼバブの指示で、イソギンジャガーがウォーロックに飛び掛かり…
≪オリジン!!≫
「ハァッ!!」
『ガ…ゲギャァァァァァァァァァァァッ!!?』
『!?』
ウォーロックの繰り出した掌底が、イソギンジャガーの身体を一撃で粉砕した。
『な、何だと!?』
「…ベルゼバブ」
『!?』
ウォーロックが振り向き、ベルゼバブはビクッと震えてから剣を構える。
「お前はさっき言っていたな、終幕の時だと…………その言葉、僕が貰ってやる」
『な、何を…!!』
「―――さぁ、貴様に終幕を与えよう!!!」
≪アクセル・ナウ!!≫
『な…グワァァァァァァァァァァァァッ!!?』
その瞬間、ベルゼバブの全身から火花が飛び散った。ウォーロックが目に見えないスピードで動き、彼の全身をウォーロックソードで斬りつけたからだ。突然過ぎる事態にベルゼバブは反応出来ず、ウォーロックが素早く繰り出した蹴りで吹っ飛ばされる。
『ゲホォ……くそ、こうなれば人質を…』
≪テレポート・ナウ!!≫
『ギギャァァァァァァァッ!?』
『なっ!?』
ベルゼバブの次の手も読まれていたのだろう。いつの間にか美空達の前まで転移していたウォーロックが毒トカゲ男を一閃し、一撃で粉砕してしまった。
「ウル、さん…?」
「…美空さん、怪我はありませんか?」
「え……あ、いえ…大丈夫、です…」
『僕達も大丈夫だよー!』
『『ダイジョーブダイジョーブー!』』
「そうですか、それは良かった」
ウォーロックは優しげな声でそう言った後、ベルゼバブの方に振り返ると同時に再びとてつもない威圧感を放ち出す。先程の攻撃で大きなダメージを負ったからか、ベルゼバブも流石にこのままではマズいと考え始めていた。
(どうする…!? ここは一度、撤退するしか…)
『グワァァァァァァァァッ!!?』
『ッ!?』
ベルゼバブの前に、スーパーアポロガイストが吹っ飛ばされてきた。ベルゼバブが振り返った先には、全身銀色に輝いているウィザード・インフィニティースタイルが斧型の武器アックスカリバーを構えながら立っていた。
「残念ながら、逃げられないんだなぁこれが」
『く…!!』
「覚悟しろ、ベルゼバブ…!!」
『ひぃっ!?』
頼みの綱であるスーパーアポロガイストも圧倒され、正面からは強大な殺意を放ちながら迫って来るウォーロック。情けない声で怯えるベルゼバブの気持ちなど知った事じゃないかのように、ウォーロックは手に持ったウォーロックソードの刃を撫でながら歩み寄って行く。
≪FINAL VENT≫
その一方で、他のメンバー達も決着をつけようとしていた。
『グォォォォォォォォォォォンッ!!』
「はぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
両手を突き出し、両手を右側に持っていきながら姿勢を低くして構える龍騎。その周囲をドラグレッダーが回転してから真上へと舞い上がり、龍騎もそれに続いて高く飛び上がる。彼の狙いは、前方で暴れ回っているビッグ・ティーレックスだ。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『ギャォォォォォォォォォォォォ…!!?』
ドラグレッダーの炎を纏った龍騎のドラゴンライダーキックが一直線に飛び、ビッグ・ティーレックスの頭部に命中。その衝撃に耐えられなかったビッグ・ティーレックスはそのまま貫かれ、大爆発を引き起こす。
≪ガブッガブッガブッガブッゴックンッ!!≫
「グルルルルル…!!」
恐竜の頭部を模した斧―――メダガブリューに何枚ものセルメダルを投入するオーズ。そのままメダガブリューをアックスモードからバズーカモードへと変形させ、その銃口をガルドサンダーや武者童子、ライオンクラゲヤミー達に向ける。
≪プットッティラ~ノヒッサ~ツッ!!≫
「グルアァッ!!!」
『『『ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?』』』
メダガブリュー・バズーカモードから放たれる、全てを無に帰す一撃―――ストレインドゥーム。その破壊力に並の怪人が耐えられる筈も無く、ガルドサンダー、武者童子、ライオンクラゲヤミーは何も出来ないまま爆散してしまった。その後、オーズのベルトから紫のコアメダルが排出されて咲良の手元に帰り、オーズは変身が解除されてこなたの姿に戻る。
「グルルルルル……ん? あれ、もう終わっちゃった?」
≪ヒート・トリガー!≫
「んじゃ、こっちも決めましょっかね」
≪トリガー・マキシマムドライブ!≫
PDダブルは黄色だった右半身が赤色に変化し、ヒートトリガーへとチェンジ。PDダブルはそのままベルトからトリガーメモリを引き抜いてトリガーマグナムに装填し、エネルギーを充填する。
「トリガー・エクスプロージョン!!」
『『グォォォォォォォォォォォォォッ!!?』』
トリガーマグナムの引き鉄が引かれ、その銃口から放たれた強力な火炎放射がズ・グムン・バとバイソンヤミーを跡形も無く焼き尽くす。
「さぁて、フィナーレだフィナーレ…!!」
≪チョーイイネ・フィニッシュストライク! サイコー!≫
その音声と共にドラゴンの幻影がウィザードの周囲を回転し、そしてウィザードと一体化。ドラゴンの翼や尻尾、爪が装備された形態―――インフィニティードラゴンの姿となる。
『うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』
『グゥ…おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』
飛び上がったウィザードは右足にドラゴンの頭部が出現したまま、スーパーアポロガイストを粉砕するべく一直線に飛んでいく。それに対してスーパーアポロガイストも、ただではやられまいとガイストカッターを投げてから更にマグナムショットから強力なエネルギー光線を発射する。しかしウィザードの繰り出したキック―――インフィニティーエンドはガイストカッターを粉砕し、そのままエネルギー光線も打ち破り…
『ガァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??』
結果として、スーパーアポロガイストのその身を貫いてみせた。ドラゴンの頭部が消えたウィザードが着地する中、スーパーアポロガイストが両手を上げる。
『いつか、この私が…!! 全てにおいて、迷惑な存在として…蘇るのだ…!! 偉大なる、ゴースト…ショッカーに……栄光あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!』
「…お前さん、もう充分迷惑じゃないの」
そう高らかに叫びながら、スーパーアポロガイストは大爆発。そんな光景を、ウィザードは小さく呟きながら見届ける。
≪イエス・スペシャル! アンダースタン?≫
いよいよ、ベルゼバブにトドメを刺そうと動き出したウォーロック。指輪がドライバーに翳され、ウォーロックの背中にレグルスの物と思われる巨大な翼が出現する。
『や、やめろ、来るな!? わ、私が悪かった!! だから…』
「もう黙れ…!!」
ベルゼバブの命乞いに、ウォーロックは聞く耳すら持たない。そのまま彼は高く飛び上がって天井をも一気に突き抜け、更に指輪をドライバーに翳す。
≪イエス・キックストライク! アンダースタン?≫
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
高く飛び上がったウォーロックはそのまま急降下し、その右足にはレグルスの頭部らしき幻影も出現。まるで獲物を喰らう獅子の如く、ベルゼバブに向かって突撃していく。
『や、やめろ!! 来るな…来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』
そんなベルゼバブの叫びも空しく…
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??』
ウォーロックのストライクオリジンが、ベルゼバブを無慈悲に貫いた。その破壊力にベルゼバブはただ悲鳴を上げる事しか出来ないまま、塵も残さず消滅するのだった。
「…凄まじい威力だな」
ショッカー戦闘員やマスカレイド・ドーパントの殲滅を完了したaws達も、ウォーロック・オリジンスタイルの戦闘力には圧巻するばかりだった。そんな彼等の前にウォーロックが着地し、変身を解除してディアーリーズの姿に戻る。
「「ウル!!」」
「ウル兄ちゃーん!」
『『『ウル兄ちゃーん!』』』
こなたやアスナ、咲良や子供の亡霊達も駆け付ける。そして最後に美空も、ディアーリーズの下まで駆け寄っていく。
「美空さん…」
「ウル、さん……無事で、良かったです…!」
「…僕も良かったです。美空さんを助けられたから」
美空が涙ながらも見せる笑顔に、ディアーリーズも笑顔で返してみせた。
「はぁ、はぁ…」
「結構頑張れたじゃねぇか、真司」
一方、既に龍騎の変身が解除されていた真司。そんな彼にokakaが歩み寄る。
「一城」
「?」
「…ありがとな。お前のおかげで俺、また自分の意志で戦う事が出来た」
「…礼には及ばんさ。戦うと決めたのは、お前自身だ」
二人は笑い合いながら、互いの拳をぶつけ合うのだった…
その時だ。
-ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!-
「「「「「!?」」」」」
突如、病院全体が大きく揺れ始めた。
「やっべ、崩れるか!?」
「皆、急いで外に脱出しろ!!」
『『『うわわわわわ!?』』』
一同は急いで崩れ去ろうとしている病院から脱出したものの、外では緊急事態が発生していた。
「な、何よあれ…!?」
「あれは…!!」
一同が見据える先には…
『『『『『ヴゥゥゥゥゥゥゥオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!』』』』』
亡霊達と共に高く上がっていく、“鍵”の存在が映っていたのだから。
時間は、数分前まで遡る…
≪EXCEED CHARGE≫
「どぉりゃあっ!!」
『『『グギャァァァァァァァァッ!!?』』』
支配人の変身したオーガが必殺技であるオーガストラッシュを発動し、ジャガーマンやコーラルオルフェノク、ハウンド・ゾディアーツを纏めて粉砕。その上空ではユイの変身したサイガが、フライングアタッカーで飛び回りながら魔化魍ウブメを撃墜していく。
「天地乖離す
『『『イィィィィィィィッ!?』』』
一方で皇帝のような意匠のバリアジャケットを纏った凛が、ショッカー戦闘員達を空間ごと切断。一気に半分以上の戦闘員が倒される。
「チャージ、アァァァァァァップ!!」
げんぶの変身したストロンガーはその角が銀色となり、身体中に電気エネルギーが満ち溢れ始める。そんなストロンガーを素早く倒そうとするダスタードが次々と電撃で倒されていき、ストロンガーも助走をつけて高く跳び上がる。
「超電子…ドリルキィィィィィィィィィィィック!!!」
『『『ガァァァァァァァッ!!?』』』
コマサンダーやマンティスロード、コブライマジンが纏めて撃破される。それをバケガニの背中の上から見ていた十面鬼が、フフフと小さく笑い始めた。
『フハハハハハハハ…!!』
「何がおかしい、十面鬼!!」
『感謝するぞ、仮面ライダー!! おかげで我々ゴーストショッカーは、次の段階まで進む事が出来る!!』
「次の段階……この空間から脱出する事か!!」
『ほう、何故貴様がそれを知っている? まぁ良い。今更気付いたところで、貴様等では我々を止める事は不可能だ!!』
「だったら試してみようか!!」
ストロンガーが再び跳び上がり、十面鬼に向けて蹴りを放とうとするが…
-ズドドドドォンッ!!-
「うぉっ!?」
真横から謎の爆撃が襲った為、ストロンガーは一旦地面に着地。それと同時にちょうどチャージアップの効果も切れてしまう。
『久しぶりだな、仮面ライダー…!!』
「!? その声……貴様なのか、ヨロイ元帥!!」
ストロンガーの振り向いた先にある崖の上から、全身にザリガニのような特徴を持った怪人―――ザリガーナが姿を現した。
『かつて貴様に打ち倒された恨み、地上世界に進出する事で果たしてくれるわ!!』
「誰がさせるか―――」
『残念ながラ、ここマデだ』
「!? ぐぁあっ!?」
いつの間にか出現していたアザゼルが、ストロンガーを連続で斬りつけた。アザゼルはそのままストロンガーを大きく蹴り飛ばし、ストロンガーは変身が解けてげんぶの姿に戻ってしまう。
「!? アザゼル、貴様!!」
『モウ遅い。既ニ死のエネルギーは充分に集マリ、“鍵”ハ完成に迫ってイル』
「何!?」
「もうそこまで…!!」
ちなみに、“鍵”の完成については…
「喰わせろぉ……死人共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ZEROの暴走も、その原因の一つだったりする。
『これデようやく、我々ノ一つ目の目的が達成サレた。ここは一つ、貴様等に礼の一つデモ言ってオイタ方が良いのダロウか…?』
「冗談は止せよ、寒気がする…ッ!?」
その時、洞窟の岩壁が一気に崩れていき、その中から巨大な“鍵”が出現する。
「な、何なのよあれ!?」
「まさか、あれが“鍵”だというのか…!!」
出現した“鍵”は少しずつ上空へと浮いて行き、それに続いて大量の亡霊達も一緒に進行していく。
「マズい、亡霊達が!?」
『我々はこれカラ、人間共が暮ラス地上世界へと進出シテ行く……それヲ止めたけれバ、精々我々の後を追ッテ来るが良イ…!!』
『サラバだ、仮面ライダー共!!』
『来るのを待っているぞ…フハハハハハハハハハハハハハハハ!!』
「ま、待て!!」
アザゼルや十面鬼、ザリガーナも一緒に上空へと進行して行ってしまった。
「ヤベぇぞ、地上世界が危ない!!」
更に、別の場所では…
「―――ぅ、ん」
「!? ここは…」
紫色の裂け目に落ちてから、しばらく気絶していたユウナとスノーズ。二人はゴーストショッカーのアジトが存在する洞窟の近くに転移していたのだ。
「おやおや、お目覚めですかお二方」
「「!?」」
二人の前に、デス・ドーパントが姿を現した。始めは警戒する二人だったが、デス・ドーパントが変身を解除した姿を見て驚愕する。
「No.01…!?」
「どうも、No.03。あなたもここに来てたとは思いませんでしたよ」
「ここは一体…」
「もうじき、ここを脱出しますよ。でないとそろそろ、地上が大変な事になりますから」
「? それって…ッ!?」
直後、三人の視界の先に見えていた岩山が崩れ出し、その中から巨大な“鍵”が出現する。
「あれは…!?」
「始まったのですよ……亡霊達による、狂乱の宴が」
驚くユウナとスノーズを他所に、竜神丸はクククと楽しそうに笑みを浮かべるのだった。
またまた場所は変わり、崩壊した小学校付近…
「!? 何だあれは…!!」
「か、鍵…!?」
「あ、あり得ない……こんな現象、あり得る筈が無い…」
ロキや刀奈、雅也の三人も遥か遠くに見えている“鍵”を見て驚愕していた。そこに…
「―――ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!!!」
「え、何…ふぎゃあっ!?」
「「!?」」
何処からか飛んで来たシグマが静香と優馬を抱えたまま、そのまま彼等の下に着地した。しかもロキを踏み台にする形で。
「静香!! それにアホまで!!」
「刀奈さん、無事で良かったです!!」
「て、俺の扱い酷くね!? こんな時にまでアホって言うなよ!?」
「うわぁ、また騒がしくなった…」
教え子4人がギャアギャア騒ぐ中、シグマに頭を踏まれたロキは後頭部を押さえながら立ち上がる。
「シグマ……お前、後で覚えてろよ?」
「いやぁ悪い悪い。それよりロキ、あの鍵の事なんだが…」
「…あぁ。調べる必要はありそうだな」
「ならば俺と共に来い」
「「!?」」
ロキとシグマの前に、ソラが降り立って来た。
「お、アンタか」
「ソラ兄さん…!?」
「「はぁ!? (タカナシ先生の)兄さん!?」」
「「?」」
「すぐに向かうぞ、でないとマズい事態が起こる…!!」
ガルム達の方でも…
「おいおい、何だあの鍵みてぇのは!!」
「おーでけーなー♪」
「感心してる場合ですか!? 何かとてつもなく嫌な予感がするんですけど!!」
「…ふぅん」
岩山の先に見えている“鍵”を見て、一同は驚いたり楽しそうにしたり興味なさげだったりと、反応は様々だった。
「まさか、あれが亡霊達を異界に繋ぎ止めていた“枷”なのか…?」
一応、Unknownは“鍵”の存在に驚愕してはいるのだが。
「―――!」
とある場所で、“鍵”の存在に気付いたZERO。その口元が大きく攣り上がる。
「面白そうな祭りだ…!!」
それだけ言って、彼はボソンジャンプでその場から転移する。
そして地球の海鳴市、時刻は既に翌日の朝…
-ボゴォォォォォォォォォンッ!!-
「「「「「!?」」」」」
突然の轟音に、街中を歩いていた人達が足を止める。そして…
『『『『『ウゥゥゥゥウウゥゥウゥゥゥオォォォォオォォォォオオォォォォォオォォッ!!!』』』』』
「「「「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」
大量発生し始めた亡霊達に、彼等は悲鳴を上げる事となる。
そして…
『ウゥゥゥゥゥゥ……何故ナノ…ドウシテヨ、レイ…』
漂う亡霊達の中には、クレア・クレスメントの霊体姿もあった。
一方、
「地球の海鳴市にて、とんでもない数の亡霊が発生しております!!」
「はぁ!? おいおい、何がどうなってそうなってんだよ!!」
「うげぇ!? 幽霊だらけじゃねぇかよ海鳴市!?」
「あらら、アン娘達が心配ねぇ」
「…どういう事だ?」
miriやBlaz、朱音や二百式も驚きを隠せないでいた。そこに…
「お前達」
「「「「!?」」」」
突如クライシスが転移し、朱音達の前に現れる。
「団長、何故ここに?」
「指令を下しに来た」
「!?」
驚く二百式を他所に、クライシスは宣言する。
「OTAKU旅団全勢力を持って大至急、地球の海鳴市に向かえ。一刻も早く事態を収拾するのだ」
場所は戻り、地球のとある街…
「む? 何か、トラブルでしょうか…?」
一人の男もまた、海鳴市の異変を察知していた。
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幽霊騒動その12