No.689154

義輝記 蒼穹の章 その九

いたさん

義輝記の続編です。 やっと赤壁の戦いに入ります。
よろしければ、読んでください。

2014-05-25 13:09:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1307   閲覧ユーザー数:1165

【 真・久秀の嗤い の件 】

 

〖 冀州 鄴 袁術居城 にて 〗

 

久秀「袁公路様……。 憎き袁紹及び曹操は……残念ながら逃れ落ちたそうですわ。 久秀達も奮戦して、かなり追い詰めたのですが…」

 

美羽「………………」

 

久秀「でも、御安心下さい。 この久秀が……怒濤の如く攻め込み、かの地を感慨悲慟の大舞台に仕立て上げ、阿鼻叫喚の歌声、千辛万苦の催しを御披露させていただきますわ!」

 

美羽「………………」

 

久秀「そうなれば、袁公路様の役目は終わり。 入らなくなった玩具の処分を考えないと。 そう思いますでしょう? 袁公路様……」

 

美羽「………………」

 

久秀「………はぁ、反応の無い玩具って退屈……」 

 

久秀は、美羽の傍に寄り、頬を引っ張るが痛がる様子は無い。 

 

久秀「だんだん感情が乏しくなるわね。 于吉より教わった『操』の術は、意識の無い人物を操れるけど、確か……最後は完全な人形化して終わりだったかしら? まぁ、久秀には関係ないからいいけど……」

 

美羽で戯れた後、誰にいうまでもなく呟く。 

 

久秀「………順慶の準備が出来次第、孫呉に攻めて憂さを晴らさせて貰うわよ? 諸葛孔明、周公瑾、黄公覆……貴女達の連環の計、大火計、苦肉の策。この久秀に通じないと知ったら………どんな表情するのかしら? 

 

ウフフ……非常に楽しみね! 

 

苦労の末で出来た砂城の楼閣が……大波で洗われ崩れ落ちる! 貴女達の苦心の策が……久秀には通じず、仲間達が、民が、国が蹂躙されていく様を見て、尋ねてみたいわ!? 

 

己の非力さ、久秀への恨み、仲間達を失う悲劇! どんな気持ち? 自分達の策が…見抜けられないように、幾通りも重ねた苦心が……久秀に看破され無駄になった状況………どんな気持ち? どんな気持ちなの?! 

 

─────アッハッハッハッハ!!!!」

 

カッカッカッカッ────バタン!

 

────そう、高笑いしつつ上機嫌になり、部屋を出て行く久秀。

 

一人残された美羽の目には……いつの間にか、涙が浮かんでいた。

 

◆◇◆

 

【 曹孟徳 逃走結果 の件 】

 

〖 江東 孫伯符居城 華琳私室 にて 〗

 

雪蓮「………入るわよ。 容態は……どう? 大丈夫?」

 

華琳「問題ないわ。 大体……貴女は、私の上に立つ身でしょう? 臣下になった私に気兼ねして………どうするのよ!!」

 

雪蓮「わぁ──冥琳が二人いる!」

 

冥琳「ほぅ……是非、曹孟徳と二人で聞かせて貰おうか? その意味合いを………?」

 

雪蓮「ちょっと!! その新手の拷問は何なの!!!」

 

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

《 華琳 回想 》

 

私達は、袁軍の追撃を振り切り……汝南にたどり着く。 元袁家の膝元と聞いていたから、私達に不利な行動をしてくるのではと勘ぐったのだけど………。

 

民『袁家のお嬢が帰られたぞ!! 失礼な事がないようにお持て成しをするんだ!!』

 

何……? この歓迎振り?  

 

やだぁ、ちょっと怖い………

 

麗羽「あぁ……わたくしが『《ご主人様》を連れて通過しますわよ!』と一報を入れておいたのですわ。 そうすれば、食事の支度とかに手間が掛からず、早めに脱出できますから………」

 

華琳「ご主人様……?」

 

麗羽「もちろん華琳さんの事じゃなく《我が君》の事ですわ!!」

 

愛紗「待っていただこう!! ご主人様をご主人様と呼ばせて貰うのは、私一人だけの『許可』を得ている!! 麗羽殿が呼ばれるのなら、華琳様にお伺いをたてるのが、臣下の心得だろうが!!!」

 

麗羽「わたくしは……華琳さんの下にいますが、主人は『我が君 北郷一刀様』ただ一人!! 誰にも気兼ねなく『ご主人様』と呼べるのですわ!!」

 

愛紗「むっ! それなら仕方ないか………」

 

一刀「頼むから、俺に気兼ねしてくれ! 恥ずかしいから──!!」

 

………と、ムカつくやり取りをしながら、汝南を抜けて孫伯符に迎えられた。

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

 

そして………私は、部屋の寝台で伏せている。 

 

『筒井順慶』より受けた打撃は……思いの酷く…肋骨が数カ所折れているのではないかと、城の医師による診断結果。 

 

そんな中を、よくも逃げ切れたものだと……溜め息をつく。

 

傍には、秋蘭が私の世話を焼いてくれているわ。 あの追撃戦で、私を守れなかった事を恥じ、私の容態が良くなるまで看護してくれるそうだ。

 

春蘭と桂花も私の看護をと申し出たが……桂花は、仕事を優先的に行って貰わないと支障があるため、私のために頑張るように、頑張ったら褒美を用意するわと餌で釣り、やる気を出させて向かわせる。

 

春蘭は……懸命に私へ尽くしてくれるのは分かる。 だが、伏せて弱っている私に、失敗を繰り返されると……流石に身が持たない。 

 

だから 一刀の稽古相手を頼む。『自分が弱いから…華琳達を守れなかったんだ!』と嘆く姿を見て、その思いが強ければ……一刀なら…強くなれるだろうと考えたのだ。 

 

思考に沈み過ぎていたわね………。

 

私が急に黙るから、二人の顔が不安そうだわ。 

 

こんな状態では、『覇王』の矜持に関わる!! 私は、威儀を正して……二人に向かい直し、頭を下げて礼を述べる!! 

 

華琳「私達を受け入れてくれて………この曹孟徳、感謝する!!」

 

雪蓮「………形通りの挨拶なら要らないわよ。 曹孟徳が、そんな事ぐらいで頭を下げる卑下た奴なら、助ける価値なんて無いわ!!」

 

華琳「………思惑があるのは、どちらも同じ事。 私が頭を下げたのは貴女に下げたわけではなく、私達を受け入れてくれた『徳ある孫呉の王と臣下達』に敬意を表しただけ。 

 

『窮鳥入懐』とはいえ『覇王』を懐に入れるなんて、普通の王なら嫌がるでしょう。 『獅子身中の虫』となり、己等を脅かす者共を手許で飼うなんてできないわよ!!」

 

雪蓮「へぇ~! 私達の事、結構買ってくれてたんだぁ……!!」ニヤニヤ

 

冥琳「曹孟徳……我らの王をあまり調子に乗せないでくれ。 取りあえず状況判断、客将としての役割、貴女達や兵や民達の移住地を相談せねば……」

 

華琳「それは、こちらの軍師三人と相談をお願いしたい……」

 

冥琳「………失礼した。 まだ『筒井順慶』とやらの打撃箇所が治らないのだな。 奴の話は周幼平から報告を受けていたが………」

 

華琳「『筒井順慶』は聞きしに勝る猛将だった……速さだけでは無く、力も機転も……残虐ささえも……遥かに私を上回る将………」

 

雪蓮「──だけど、趙子竜が退かせたって……報告を貰ったわよ?」

 

華琳「あれも……星の、趙子竜の機転が利かいたからこそ!! 他の将なら討ち取られておかしくなかったわ…!! 遠目で眺めていた私達も…絶望して橋を壊そうとしたけど…一刀に止められて……その結果が…こうなっただけ!」

 

冥琳「趙子竜……総身は胆で出来ていそうな豪胆な将だ……。 猛将を相手に単身で挑み、危なくなれば機知を働かせて、物事を全うするか……」

 

華琳「………総身『胆』じゃなくて……多分……メンマね」

 

冥琳「???」 

 

◆◇◆

 

【 颯馬 弛弓の策 の件 】

 

〖 雍州 長安 にて 〗

 

官渡の曹孟徳敗戦の報が入ってから………二月が経過した。

 

俺は、数日前に益州攻略のため、洛陽を離れていた。 

 

《 董卓軍 五万 総大将…何進  将…天城颯馬と伏竜の軍勢 》

 

しかし、裏の策謀だけは……密かに進めている。

 

〖 颯馬 天幕 にて 〗

 

颯馬「…………………来たか!」

 

────スッ! トッ!

 

忍び 1「天城様……袁術軍が動きました! 目標は孫策討伐!!」

 

颯馬「経路は!?」

 

忍び 1「豫州を経由して荊州を攻略中! 荊州水軍を配下に納め揚州を目指すと指示を出しています!!」

 

颯馬「兵数は!?」

 

忍び 1「およそ五十万の大軍勢です!!」

 

颯馬「引き続き……監視を続けよ!!!」

 

忍び 1「はっ!!」 ────スッ!

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

───スッ!

 

忍び 2「天城様! ──御報告を!!」

 

颯馬「申せ!!」

 

忍び 2「はっ! 徐州が袁術軍により攻略……曹孟徳配下『陶謙』、『劉延』が民達や青州を江東孫策領内に逃した後、城に籠城し徹底抗戦! されど……孤立無援のまま陥落! 二人共………見事な最期を遂げられたました!」

 

颯馬「そうか………次の報告も頼む!」

 

忍び 2「はぃ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

忍び 3「天城様! 公孫様よりの連絡です!!」

 

颯馬「白蓮………? 何かあったのか!?」

 

忍び 3「吉報です! 劉虞様と公孫様の行われていた、鳥丸の友好的政策が成功! 同盟を結び袁術軍に対抗! 幽州を劉虞様に任せて、洛陽へ出向き、天城様の御力になりたいと………希望をされていらっしゃいます!!」

 

颯馬「願ってもない事だ! 是非おいで頂くようお願いしてくれ!!」

 

忍び 3「承知!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

董兵「天城様! かの方々が……御到着されました!!」

 

颯馬「月様に到着のお知らせを!! お会いすれば喜ばれよう!」

 

董兵「了解しました! お嬢様…いや、仲穎様に報告致します!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

信長「颯馬! 頼んでいた銅鏡の準備が終わったぞ!!」

 

颯馬「磨きが甘いと……策が失敗してしまう! それは大丈夫か?」

 

信長「心配するな! 完璧完全曇り無き輝きだぞ~? ほれほれぇ~!!」

 

颯馬「それならいい!! いいからぁ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

一存「丸太は、なるべく太い奴を繋げて操れば……いいんだよな?」

 

長慶「お前だけでは心配だ! 私も手伝おう!!!」

 

一存「姉さんは、汚れるから他の仕事をやってくれ!! 『筏』を操るのは俺みたいな野性味溢れる男がやらなきゃ! もしかすると、俺の活躍を関羽が見てくれるかもしれないだろう……!」ニッ!

 

長慶「…………」ポン!

 

颯馬「…………」グスン

 

一存「……姉さん……涙を溜めて『頑張れ!』みたいな肩叩きの仕草……止めてくれよ!! ………おいっ! 颯馬!! 涙を拭くな!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

道雪「私達は『鎖』と『藁人形』と『布』を準備しなければなりません!」

 

紹運「久しぶりの出番ですからね! 頑張りましょう!!」

 

宗茂「兄様の策を……見事成功に導いてみせますよ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

政宗「話に聞いたが……まさか『赤壁の戦い』に参戦出来るなんて……」

 

景綱「感動するのはいいが……私達に任された戦術は、全くの未知な物だ! 颯馬は失敗しても大丈夫だと言っていたが……成功した方が良いに越した事はない!!」

 

成美「難しい事は景綱達に任せて、成美ちゃんは前進あるのみ!!」

 

綱元「油断は駄目だよ? 久秀が居るなら必ず邪魔しに動く! 私達は対応出来るように準備しなくちゃ!」

 

◇◆◇

 

【 孫曹同舟 の件 】

 

〖 江東 孫伯符居城 謁見の間 にて 〗

 

(真名は全員……既に交換済み………)

 

桂花「華琳様…それと……え~とっ……シェ、シェ~、雪蓮様!」

 

雪蓮「……なんか違和感ありありだから……敬称略でも……」

 

蓮華「駄目です! 客将と言えど、姉様の配下になるのですから、敬称を省略するなんていけません!!」

 

華琳「蓮華様の仰るとおり。 私も一客将だから皆と同じ、敬称は不要!」

 

桂花「うぅぅ………華琳様を呼び捨て……か、か、かかかかかかか!!」

 

一刀「(アシュラマン………再び……)」

 

春蘭「何ぃ!! それでは、華琳様を……何とお呼びすれば………」

 

秋蘭「華琳殿、華琳さん、華琳、華琳たま、華琳姉上、華琳たんと……」

 

春蘭「か、か───かかかかかかかか!」

 

秋蘭「あぁ~~! 姉者は可愛いなぁ~!!」

 

一刀「(三回目は……流石に飽きるぞ?)」

 

祭「そんな事は……後に集まりで相談せい!! 冥琳! 代わりに報告を頼む! 刻が惜しい!」

 

冥琳「では、報告致します!」

 

冥琳からの報告は、袁術軍による徐州の陥落、荊州の攻略後、狙いは孫呉壊滅である事。 

 

桃香「陶謙さん───!」グスグス

 

愛紗「………………!」ギュッ

 

雪蓮「………………まぁ、そうなるわよね!」

 

蓮華「……………ゴクリ」

 

そして、敵総大将は『袁術』、副将『張勲』、軍師『司馬仲達』の編成。 

 

朱里「────────!!!」

 

雛里「あわわわわわ!!」

 

兵数は五十万! 

 

徐州攻略の兵は別動隊故に合わされば六十万近くなると予想される!!

 

華琳「私達の元曹操軍は約二十五万、孫策軍は………?」

 

祭「儂等は新興勢力みたいな者でな。 十万集まるかどうか………」

 

星「陶謙殿が送り出してくれた兵も入れれば、三十五万超えるかか……」

 

雪蓮「……冥琳! 颯馬達に援軍を出して貰えるように頼めない?! そうすれば……!!!」

 

冥琳「私もそれを……真っ先に考えたさ!! だけど……無理なんだ!! 董卓軍と洛陽軍が……益州攻略に本腰を入れて、袁術軍が動く前に洛陽を出たそうだ!! 『天城颯馬』も同行しての本格的な軍事行動だと報告が!!」

 

雪蓮「──────!!!」

 

華琳「……無い物強請り(ないものねだり)をしていても話は進まない! この人数で如何に勝てるか! どのような策を繰り広げて勝利を掴むか!! その事を皆で相談しなければ、司馬仲達には到底勝てないわ!!」

 

一刀「(俺が知ってる知識を話せば……話が進む……。 だけど、それでは駄目なんだ! 悩んで悩んで悩みまくって……それで浮かんだ策こそが最上! 今は見守るしかないんだ!)」

 

◇◆◇

 

【 久秀 対 陸伯言 の件 】

 

〖 荊州 江陵付近 にて 〗

 

《孫陣営 別動隊 二千人》

 

思春「穏様! 旧袁術陣営に款を通じていた豪族を、全員処罰致しました!」

 

明命「こちらも親孫陣営の者より、裏切りが無いよう釘を差して起きました! 絶対に裏切る事はありません!!!」

 

穏「嫌に自信がありますねぇ~? 何をしたんですか~?」

 

明命「はい! 親孫陣営の皆さんは、全員猫好きなんです! ですから、もし万が一裏切りますと………私を長とする『お猫さまを愛でる会』より永久通報! 今後、孫陣営でお猫さまを飼う事は出来なくなります!!!」ムフ!

 

思春「何を馬鹿な事! そんな胡散臭い会『後援会長はシャオ様です!』 ──だが、しかし……『名誉会長に《 天の御遣い 島津様 》が協賛してくれています!』………ガクッ」

 

穏「……アハハハッ…… まあ、一枚岩なら良いですよ~!」

 

明命「はい!!」

 

穏「私達の役目は、なるべく時間を稼ぐ事! 三日間、敵の動きを鈍らせますよ~!! 明命ちゃん! 思春ちゃん! 準備をお願いします!!

 

一日目は旗振り!

 

二日目は喊声と太鼓等で遅延工作!!

 

三日目に……この策を実行後、大混乱を引き起こし退却します~!!!

 

その準備に、羊を数十頭左右両側に待機、○○○○○を出来るだけ多く採集して、夜に行動を起こします~! 兵士さん達にも伝えて下さい~!!」

 

思春、明命「「 はい! 」」

 

★☆☆

 

《 一日目 》

 

久秀「前方に見える左右の山で敵兵ですって………?」

 

将1「はい! 大きな紅白の旗を準備して、一方が振れば片方が別の色を振って返事を返している様子! 前方の兵士達が勘ぐり策を警戒して、進軍速度が落ちています!!」

 

久秀「………そう。 それなら、こちらも紅白の旗で振り返して反応を視なさい! 敵がそれを見ながら、まだ振る動作をするなら擬装工作。 慌てて別の行動したら作戦中止の合図に変わるはずよ?」

 

将1「ど、どういう事で…………?」

 

久秀「別に…相手の思惑から外れた行動を起こせば、普通は疑惑が生まれる。そうなれば……対応方法は必ず変わるはず……そうでしょう?」

 

将1「仰せのとおりで……」

 

久秀「命令一辺倒の事しかが出来ない者なら、こちらの変化に気付いても同じように繰り返す……即ち擬装の可能性が高い。 もし、敵が慌てて別の旗を振るのなら、作戦中止の合図になる。 こちらの意趣返しの意味なんて分かんないはずだもの……… 」

 

将1「………ですが……もし、奇襲とかされれば………」

 

久秀「この人数で数百、数千の規模で行っても……返り討ちにあって兵が減るだけよ。 久秀なら士気を下げるために、こんな小細工するかもしれないけど。 

 

………もしかして、こんな事も分からないの……? 

 

じゃあ、久秀直々のお仕置きが…………必要なのね………!!」ニヤッ

 

将1「だ、大丈夫です! 念のため確認したまでです!! し、失礼致します!! それと、全軍に司馬仲達様の意図、知らせて参ります!!!」

 

久秀「クスクス……なかなか面白い策、考えてくれるじゃない…… 」

 

ーーーーーーーーーー

 

穏「むぅぅぅぅ~~~!! あんな返され方するなんて……やりますね~!」

 

思春「穏様! 次の手を!!」

 

穏「直ぐに行っても、相手に気付かれてしまうこと大です~!! 明日の日没後に決行します~!!!」

 

★★☆

 

《 二日目 》

 

久秀「兵は伏せて置いてあるのでしょう?」

 

将2「はあ、はあ──ひ、久秀様の仰るように………久秀様! 御褒美を!!」

 

久秀「相手の策が打ち破れなければ、御褒美の意味など無いわ! これで我慢なさい!!!」  ガッ、ガッ!

 

(椅子に凭れる久秀が、将に蹴りを入れる!!)

 

将2「グ、グホッ! ああああああ────!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

穏「あれっ~? 遅延工作の開始時刻なのに物音、喊声が聞こえませ…!!」

 

明命「穏様────!! 大変です! 大変です!! 大変です!!!」

 

穏「み、明命ちゃん! 大変なのは分かりました~! 一体何が!?」

 

思春「………穏様! 司馬仲達が陣営周辺に……複数の伏兵を仕掛けており、行動を起こそうとした我が軍千人が……ほぼ全滅!!」

 

穏「ええぇ───────!! そ、そんな! 私の策で~~!!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

久秀「………吉報よ。 敵別動隊…壊滅したそうよ。 御褒美をあげないと───ね!!!」 ムニュ~!

 

将2「あああぁぁぁ───ありがとうござーーーアアア━━━━!!」

 

久秀「フフフ……アッハハハハハハーーーーーー!!」

 

★★★

 

《 三日目 》

 

穏「今度こそ~! 皆さんの行動を無駄にしないように……策を成功させます~!! 二人共! この作戦が終わり次第……兵士さん達を帰還させて下さい~!! 私は……敵の様子を確認してから戻ります~!!」

 

思春「明命! 兵士の帰還はお前に任す! 私は穏様と共に帰還する!」

 

明命「はい! 必ず戻ってきて下さいね!」──スッ!

 

思春「穏様……兵士の事を気に掛けるのは分かります。 しかし、穏様が居なくなれば、救えるはずだった兵士が救えなくなってしまいますよ! ですから必ず……皆の下へ戻っていただきます!」

 

穏「………………………分かりましたよ~! 必ず戻りましょうね~!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

久秀「さて………次は、どんな策が来るのかしら? 久秀をもっと……楽しませない!!」

 

袁兵「も、申し上げます!!」

 

久秀「どうしたの?」

 

袁兵「街道両側より、此方に向け『緑色に光る物体』が複数で突っ込んできます!!!」

 

久秀「はあぁ───!?!?」

 

ーーーーーーーーーーー

 

明命「駄目ですよ! そっちの方角じゃなく……灯りのあるアッチの方向ですよ! はいはい! ご飯ですよ!!」 

 

羊「メエェ~! メエエェェェ~!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

思春「………そこではない! 向こうだ!!」ペシッ!

 

羊「メエェ~! メエエェェェ~!! メエェ!!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

ズドドドドドドドォォ──────!!

 

袁兵4「何だ!? 光ってる!! 光ってるぞ!!!」

 

袁兵5「神の遣い!? 魔物の群れか!? 訳分からん! 取りあえず逃げるぞおぉぉ!!!」

 

羊「メエエェェェーーーー!!」ドシン!!

 

袁兵5「グハァァッッ!!」

 

久秀「何をしているの!! 早く! 早く鎮めなさい!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

思春「穏様………今度は成功です!」

 

穏「私の策も……まだまだ未熟です~!! 新しい知識を取り入れて更なる良策を考えなければぁぁぁ~~」ゴゴゴゴゴ!

 

思春「はぃ………」

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

穏の策 《 緑光羊の計 》

 

付近にある『発光植物……光るキノコ等』を採集、羊に塗りまくる。 

 

その後、羊を追い立て敵陣営に突っ込ませて混乱を起こす。 

 

羊の習性に暗い場所から明るい所に移動したがったり、先導役に従う等を利用した策である。 羊は、ストレスに極端に弱いため、ストレスが高まると攻撃的になったり逃げ出したりする。

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

ーーーーーーーーーーー

 

久秀「今度は………久秀の知識に無い策を使ってくるなんて!! これでは、進軍が七日ぐらい遅れそうね………。 この不始末の苛立ちは………アイツに取って貰わないと………颯馬にね。 

 

……そして…またしても…神算鬼謀の計略を仕掛けた……『諸葛孔明』!! この屈辱! 倍返しに返してあげる!! 覚えていることね!!! 

 

ア──ッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

 

 

 

 

朱里「なんでれしゅかぁ!! なんで私が戦った事も無い司馬仲達さんに恨まれなきゃならないんでしゅかぁぁ!! 酷いでしゅ! 惨いでしゅよ!!」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!

 

コメントをよくいただけるお二人の内容を参考に、久秀のセリフを変えたら……原作よりダークになった感じが───あれっ?

 

結構、これで気に入っていますが……定着するか不明です。

 

また、よろしければ、読んでください。

 


 
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