No.684134

英雄伝説~光と闇の軌跡~(番外編) 後日談~女神の一族の家族旅行~

soranoさん

第2話

2014-05-05 16:57:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2591   閲覧ユーザー数:2450

数時間後、クローディア姫の呼び出しによってカシウス准将は王城に到着し、クローディア姫を尋ねた。

 

~グランセル城~

 

「殿下、カシウス准将が到着されました。」

「入って来て下さい。」

クローディア姫が執務室で仕事をしている途中、カシウス准将を連れたユリア准佐が部屋に入ってきた。

「お忙しいところ、突然の呼び出しをしてしまって、すみません、カシウスさん。」

「いえ、緊急の用事の事と聞きまして。それで……何か重大な事があったのですか?」

苦笑するクローディア姫に見つめられたカシウス准将は気を引き締め、真剣な表情で尋ねた。

 

「はい。カシウスさんはかのクロイス家が起こした事件の解決の為にロイドさん達――――”特務支援課”に力を貸した”空の女神(エイドス)”とその一族達の事はご存知ですよね?」

「ええ。あの話には正直、驚きましたな。何でも話によると、”彼”―――レグナートと同じ存在である”眷属”どころか”空の女神(エイドス)”自身が”至宝”の件に関わったとの事でしたが………―――皮肉な話ですな。”神”を越える為に創りだした”至宝”がきっかけで”空の女神”自身の怒りを買ってしまい、女神自身をこのゼムリア大陸に呼び寄せてしまった上……”至宝”を使ってまでクロスベルを守ろうとしたディーター・クロイスは”六銃士”達によって討たれ、その討たれた”六銃士”によってかつて二大国に虐げられたクロスベルはエレボニアとカルバードを呑みこんで巨大な大国となった上、”空の女神”自身が反乱、そして侵攻によって建国されたクロスベルの存在を認めたのですから。」

「はい………あの通商会議の時、ディーター市長の野望に気付いて何か対策を取って入れば、クロイス家はあのような悲しい結末にならなかったでしょうね………」

「殿下………」

カシウス准将の話に頷いた後悲しそうな表情をしているクローディア姫をユリア准佐は複雑そうな表情をしていた。

 

「―――話を戻しましょう。その”空の女神(エイドス)”と女神の一族―――アドルさん達なのですが……本日、”家族旅行”の為にこのリベールに訪れ、しばらくの間リベール国内を観光するとの事です。」

「…………………何ですと?冗談を言うなんて、殿下らしくありませんぞ。」

クローディア姫の話を聞いたカシウス准将は固まった後すぐに気を取り直して戸惑いの表情で尋ねたが

「残念ながら冗談ではなく、本当の事です……先程エステルさん達がかつて”影の国”で出会った”空の女神(エイドス)”様のご両親とその先祖―――アドルさん達と”空の女神(エイドス)”様自身を連れて私達と会って話をしていましたから。」

クローディア姫は苦笑しながら答えた。

 

「………エステル達がですか?一体何故あの娘達が女神の一族達と………」

クローディア姫の話を聞いたカシウス准将は目を丸くした後戸惑い

「その件に関してですが……カシウスさんの出生にも関わっています。」

「ハ?」

「で、殿下!?その件を話してもよろしいのですか!?」

クローディア姫の言葉を聞いたカシウス准将は呆けた表情をし、ユリア准佐は慌てた様子で尋ねた。

 

「ええ。エステルさん達の様子ですと実家(ロレント)にも顔を出すでしょうし、今の内に説明しておいた方がいいでしょう。」

「た、確かに……」

クローディア姫の答えを聞いたユリア准佐は冷や汗をかきながら表情を引き攣らせ

「?」

二人の会話を聞いていたカシウス准将は不思議そうな表情をした。そしてクローディア姫とユリア准佐は”影の国”で手に入れた情報―――”空の女神(エイドス)”の子孫がブライト家である事、エステルの実の娘であるサティアや時代を越える力を持つミントの事を説明した。

 

「………………………ハア。正直、どこから突っ込めばいいかわかりませんな。ミントが時を自由自在に駆ける事もそうですがまさか先祖が女神の一族だなんて……」

話を聞き終えた後固まっていたカシウス准将は疲れた表情で溜息を吐き

「ア、アハハ………ちなみにエステルさんはその事実を知っても”空の女神”が先祖である事ではなく、先祖と共に”影の国”で冒険した事に驚いていましたよ。」

「あの娘は………一体どこで育て方を間違えたんだ?」

苦笑するクローディア姫の話を聞いた瞬間頭痛を感じたカシウス准将は頭を抱えていたが

「――――ちなみにエステルの実の娘―――私にとっては実の孫までエステル達と一緒に殿下達と会ったとの事ですが……どのような孫なのですかな?話によると性別は女性で、しかも成人もしているとの事ですが……レナに似て美人なのですか?」

すぐに頭痛の種を頭の片隅に追いやった後孫の存在を思い出し、笑顔で尋ねた。

 

「じゅ、准将………」

様々な重大な出来事より孫の存在を優先したカシウス准将にユリア准佐は表情を引き攣らせ

「フフ、カシウスさんの推測通りレナさんに似てとても綺麗な方でしたよ。」

クローディア姫は微笑みながら答えた。

「おお、そうですか……!フッ、ミントには感謝しないとな。まさかこの歳で成長した孫の姿を見れるとは……!」

クローディア姫の答えを聞いたカシウス准将は嬉しそうな表情をしたが

「―――あ。え、えっと、その……ちなみにですがサティアさんは自分の時代では既に結婚していますけど………しかもエステルさんや私達の知り合いの方で、私達と同じ時代で生き続けている方です。」

「………………………」

ある事を思い出して言いづらそうな表情で呟いたクローディア姫の言葉を聞いた瞬間、嬉しそうな表情のまま凍り付いた!

 

(ア、アハハ……さすがに孫が結婚している事は言うべきではなかったですね。)

(それは仕方ないかと……どの道サティア殿のファミリーネームを聞けば、結婚している事が判明してしまいますし……)

凍り付いているカシウス准将の様子をクローディア姫とユリア准佐は苦笑しながら見つめていた。

 

「―――殿下。私の孫を私の許可なくブライト家から奪った不届き者の事を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

やがて我に返ったカシウス准将はまるで今から決戦に向かうかのような、今まで見せた事のない真剣な表情で全身に目にも見えるような膨大な闘気と怒気を纏いながら尋ね

「それを聞いてどうするつもりなのですか?」

カシウス准将の様子を見たクローディア姫は苦笑しながら尋ねた。

 

「私の孫を奪うのですから、私の孫を奪うのにふさわしい男なのか、私自身の手で確かめます!ですので今から暇を少しだけもらいたいのですが……」

「―――勿論、却下です。カシウスさんには”空の女神(エイドス)”様やアドルさん達が無事旅行を終えられるように今から、警備なども全て考えてもらわなければなりませんから。カシウスさんの”家族”が起こしたとてつもない出来事なのですから、”家族”として責任を取って下さい。」

「ガクッ。」

そして笑顔で自分の希望を断ったクローディア姫の答えを聞き、肩を落とした。

 

~遊撃士協会・グランセル支部~

 

「エルナンさん、こんにちは~!」

「おや、エステルさん、それにヨシュアさんとミントさんに、貴女は確かフェミリンスさん、でしたね。一体いつリベールに戻られたのですか?」

ギルドに入ってきたエステル達を見たエルナンは目を丸くした後尋ねた。

 

「昼前に到着する便で戻って来て、今まで王城でクローゼ達と会って色々と話が弾んでいまして……もう少し早く来るべきでしたのに、遅れてすみません。」

「いえ、気にしないで下さい。フフ、それにしてもA級が二人、S級に昇格する事が決まっている遊撃士が2人抜けた事でミシェルさんに文句を言われないといいのですが。」

「アハハ……ミシェルさん、クロスベルが帝国になった事で物凄く忙しくなったってボヤいていたものね~。」

「自治州が突如大国になるという前代未聞な事なのですから、民の間でも様々な問題が発生するのは仕方のない事ですわ。」

苦笑しながら言ったエルナンの言葉にミントは頷き、フェミリンスは静かな表情で語った。

 

「クロスベルでは本当にお疲れ様でした。皆さんの活躍のお蔭で、かつてリベールで起こった”異変”をも越えるクロイス家が起こした事件を解決したのですから。まさにS級正遊撃士に相応しい活躍でしたね。」

「アハハ……あたし達にはまだまだ早いと思うんだけどね~。大体あの事件はあたし達は少し手伝っただけだし。主に活躍したのはロイド君達―――”特務支援課”よ?」

エルナンに称賛されたエステルは苦笑しながら謙遜した。

 

「それでもクロスベル解放や最後の戦いでは貴女達も活躍したのですから、謙遜する必要はありませんよ。―――それでどのくらい、リベールに滞在するのですか?」

「しばらくの間はリベール国内の支部を回って仕事をするつもりよ。」

「そうですか。皆さんの活躍、期待させて頂きます。早速ですがグランセル支部内で溜まっている依頼の消化をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「うん!あ、ちなみにだけどあたし達以外の遊撃士が二人、グランセルに到着したわよ?―――しかもS級が二人。」

「なっ!?え、S級がこのグランセルに……しかも二人ですか!?そんな報告は支部……いえ、本部からも聞いていませんが……というか、その二人は一体誰なんですか?」

からかいの表情のエステルの話を聞いたエルナンは驚いた後戸惑いの表情をした。

 

「えへへ……二人ともあたし達も知っている人でエルナンさんも会った事がある人よ?」

「二人ともエステルさん達も知っている上、私とも面識があるS級正遊撃士、ですか?一体誰が……私と面識があるS級正遊撃士はカシウスさんだけのはずですが……」

「エステル……」

「ハア、混乱させるような事を言うのは止めなさい……」

エステルの言葉を聞いて戸惑っているのエルナンを見たヨシュアとフェミリンスは呆れた表情で溜息を吐き

「それじゃあ二人とも、入って来て!」

ミントは扉に視線を向けて言った。すると扉が開かれ、未来のミントとサティアが部屋に入ってきた。

 

「こんにちはー、エルナンさん!」

「フフ、”今の時代”では”初めまして”、ね。」

「なっ!?ミ、ミントさんが二人!?それに貴女は一体………」

未来のミントとサティアを見たエルナンは信じられない表情で二人のミントを見比べた後戸惑いの表情でサティアを見つめた。

 

そしてエステル達は予め考えていた未来のミントとサティアの事情――――クロイス家が起こした出来事を止める為にエイドスが力を使って、未来のミントとサティアを呼び寄せた事を説明した。

 

「”空の女神(エイドス)”とその一族がクロイス家の野望を知って、クロイス家を止める為にこの時代に降臨した話は知っていますが……更にミントさんとエステルさんのご息女――――サティアさんが”空の女神(エイドス)”に協力を依頼されて、この時代に来た、ですか。にわかに信じ難いですがミントさんが二人いる事や、お二人が持っている新しい遊撃士手帳の発行年日、それにお二人が持っている現存している戦術オーブメントと比べると遥かに進化している戦術オーブメントを見せてもらったのですから、信じるしかありませんね……」

事情を聞き終えたエルナンは驚きの表情で未来のミントとサティアを見つめ

「しかも、お二人ともランクはS級ですか。カシウスさんの代から孫の代までS級続きとは、とてつもない一家ですね、ブライト家は。」

やがて苦笑し始めた。

 

「それで話を戻すんだけど、ミントとサティアさん、まだ自分達の時代に帰れないんだ。だから、帰れない間は遊撃士として仕事をしたいんだけど、いいかな?」

「勿論大歓迎です。S級が……それも女神直々に協力を請われる程の腕前を持つ遊撃士が二人も手伝ってくれるのですから、こちらとしては大助かりです。」

想定外の凄まじい戦力の加入にエルナンは喜んで受け入れた。

 

「フフ、短い間だけど一緒に頑張ろうね?お母さん、ミント姉さん。」

「うん!」

サティアに微笑まれたミントは嬉しそうな表情で頷いたが

「ちなみにだけど、10年後のミントがサティアさんの本当のお姉さんになっているよ。10年後のミントの時代ではサティアさん、もう産まれているし♪」

「え、えっと……ママのいる前でそれを言うのはさすがに不味いんじゃ……」

未来の自分が笑顔で言った話を聞き冷や汗をかきながらエステルを見つめ

「だから、その”お母さん”は止めてって言ってるでしょう!?絶対に!依頼人の前ではあたしの事、”お母さん”って呼ばないでよ!?それと未来のミント!次々とあたし達の未来のネタバレをしないでよ!?」

エステルはサティアと未来のミントを睨んで怒鳴った。

「ハア、本当に大丈夫かな?」

「全く……親娘揃って、本当に騒がしい一家ですわ……」

エステル達のやり取りを見ていたヨシュアは疲れた表情で、フェミリンスは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

~グランセル市街地~

 

「クッソ―………最近いいネタがねぇぜ……クロスベル帝国(向こう)の通信社の連中は良いよな。ネタが満載で。」

一方その頃、ベンチに座って煙草を吸って休憩しているナイアルは最近目覚ましい記事のネタが見当たらない事にボヤいていた。するとその時、ある人物達が会話をしながらナイアルの目の前を通り過ぎた。

 

「いや~、さすがは”空の女神”とその一族だねぇ?デパートで君達が何か買おうとする度に、レジにいる人達全員、口を揃えて『女神様とその一族の方達からお金を取るなんていう罰当たりな事はできません!』って言って、貴女達が買おうとしていた品物をタダにしようとしていたし。」

ある人物達の中にいる一人――――ワジは口元をニヤニヤしながらエイドス達を見つめ

「私としては複雑なんですけどね。普通の”人”として生きる事が何よりの幸せなのに、死後は”神”として崇められているのですから。」

「アハハ……私としては唯の人間の私までエイドスさんと同じ存在の扱いなんて、正直恐れ多いんですよ。」

「それを言ったら僕もですよ。」

ワジの言葉を聞いたエイドス、エレナ、ナユタはそれぞれ苦笑し

「フフ、でもノイは別の意味で有名みたいだけどね。」

「私は全ッ然嬉しくないの!みんな、私の事、人形扱いしようとするんだから~!」

微笑むクレハに見つめられたノイは自分の姿を見た子供達が揃って人形扱いした事を思い出し、疲れた表情で叫び

「相変わらず”神”として扱われる事を嫌がっているな、エイドス。フィーナ、エイドスって昔からあんな性格なのかい?」

「どうでしょうね?私の時代のエイドスはまだ幼いですから、あの娘に”神”の力が受け継がれている事は説明していませんし。」

苦笑するアドルに尋ねられたフィーナは苦笑しながら答えた。

 

「………………………」

一方エイドス達が通り過ぎる様子をナイアルは口を大きく開けてエイドス達を見つめ

「……今のって”空の女神(エイドス)”とその一族だよな?何でリベールに…………って、こうしちゃいられねえ!こんな美味しすぎるネタ、ほおっておけるかっ!!」

やがて我に返ると慌てた様子で立ち上がってエイドス達の後を追った。

 

数時間後、『リベール通信』が号外という形で出した新聞の内容――――『空の女神とその一族が”家族旅行”の為にリベールに訪れた事』はゼムリア大陸全土の人々を驚かせ、そして早速”空の女神”のイメージを破壊したエイドス自身の行動にアルテリア法国は大爆笑をした総長アイン・セルナートを除いた七耀教会の関係者達に頭を抱えさせたり表情を青褪めさせたりさせ………記事の一部には『リベールの観光を終えたら他の国にも行く予定』という部分を呼んだ各国の皇族や要人達は慌てるか頭痛を感じた。なお、記事の内容を読んだヴァイスとギュランドロスは動じず大声で笑い、リウイは頭痛を感じた後呆れた表情で溜息を吐いたと言う………

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択