一刀と過激派の戦いが遂に始まる!!

最初の相手は斗詩や翠、霞を倒した巨漢の大男……自称『管理者界一の脳筋』夜減児との対決

果たして一刀は

夜減児の『金剛石体』をどう対処するのだろうか？

　　　二節　〜一刀VS夜減児〜

夜減児「ガッハッハッハっ!!!」

一刀「〜〜っ!!デカイ笑い声だなぁ……

鼓膜が破けるかと思ったよ…………」

夜減児「鼓膜？鼓膜って何だ？」

一刀「脳筋にも限度があるだろ………春蘭でも分かるぞ……」

…………春蘭は只今気絶中なので聞こえていない……

夜減児「ガッハッハッハっ!!!いくぜーーー!!!」

一刀「っ!!!詠、しっかり掴まれ!!」

一刀は詠がまだ腕の中にいた為、咄嗟に左腕で詠を力強く抱きしめ叫んだ

詠「はぅ………う、うんっ!!」

詠は少し驚いたが、素早く反応し一刀に再び抱きついた

夜減児「ガッハッハッハっ!!!」

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾌﾞｫﾝｯ!!

夜減児は巨大な身体を震わせ、腕を振り回しながら突進してきた

一刀「詠の身体に少し堪えるが…………『空走』!!」

ｼｭﾝｯ!!

夜減児「ん？」

襲「チッ！いっちょ前に『空走』なんかしやがって………」

一刀は『空走』をして夜減児の攻撃を躱し、そのまま冥琳達の元まで移動した

因みに『空走』一回で最大100m程移動する事ができるが、愛紗や恋が出来る最高はいいところ35m

一刀から冥琳達の位置まで70mはあるが、その距離を一刀は『空走』一回で移動したのである

冥琳「一刀！」

白蓮「一刀!!」

突然現れた一刀に冥琳達はただただ驚くばかり

月や小蓮など負傷者全員は一箇所に集まっていた

華佗「御遣い殿!!詠をこちらへ!!」

一刀「あぁ！詠……華佗に『癒療』をしてもらえ」

ようやく一刀は詠を離した

詠「…………えぇ…分かったわ」

詠は一刀の命令に頷いた

一刀「さて、さっさと終わらせるか………」

一刀が歩き出そうとした時、詠が

詠「一刀っ!!!」

呼び止めたのだ

一刀「ん？なに？」

一刀は詠に可愛らしく微笑んで振り返った

詠は今迄に見せたことのないくらいの笑顔で

詠「さっさとボク達の所へ戻ってきなさい！

負けたら地獄の果てまで追いかけ廻してやるんだから!!」

と微笑みながら言った

それの返答に一刀も更に微笑み

一刀「おう！絶対戻ってくる!!約束だ!!!」

と返し夜減児のいる方向へ振り向き、武人の表情へと豹変させた

夜減児「最期の面会は終わったか？ガッハッハッハっ!!!」

一刀「最期？残念ながら俺は一切死ぬ気はない」

夜減児「ガッハッハッハっ!!!おい小僧………管理者ナメたら痛い目どころじゃ済まないんだぜ？」

一刀「んなもん百も承知だ

グダグダ言ってないで掛かってこいよ！」

一刀は武人の表情として笑いながら夜減児を煽り、挑発した

夜減児「この夜減児様を挑発するとはいい度胸だ！

ハンバーグじゃ済まねぇぞ……？

そうだな………残飯ごみにしてやるよ!!」

夜減児は再び一刀に向かって突進を始めた

一刀「出来るもんならやってみろ!!」

一刀も夜減児に向かって激を飛ばす

夜減児「オラおらオラァっ!!」

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾌﾞｫﾝｯ!!

夜減児は今回腕を振り回すだけではなく、蹴りもいれながら一刀に攻撃していく

一刀はそれをまるで舞を踊るかのように躱していく

一刀「やっぱり動きは単調だな

そんなんじゃ俺に攻撃を当てるだなんて夢のまた夢だぞ!!?」

夜減児「そう言う小僧も躱してばっかりじゃねぇか！

逃げてばかりじゃ俺を倒せねぇぞ!!?」

一刀「逃げてなんかいないし、俺は小僧じゃない！」

一刀は夜減児の発言に返答しながら攻撃を避けていく

宝鈴「『天の御遣い』といえど夜減児の『金剛石体』を上回る攻撃、又は『金剛石体』を無効化する攻撃を放つ事は不可能でしょう………恐れる事はありません」

宝鈴は全く問題なしといわんばかりに含み笑いをする

一刀「ほっ！」

ｼｭﾝｯ!!

一刀は後ろの方へ『空走』をして退いた

夜減児「この腰抜け野郎が……疲れちまったじゃねぇかよ!!」

夜減児は少しイライラした様子で一刀に言った

一刀「夜減児………お前の強さは大体分かった

今度は…………」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

襲「おっ!?」

愛紗「っ!!凄い気だ!!本当にご主人様の気か!?」

明命「間違いなく一刀様です!!」

とてつもなく純度が高く、厚みがあり吸収速度が速い一刀の気に周りはざわめいた

宝鈴「むっ？(…………この気………何処かで…………)」

一刀「こっちの番だ!!」

一刀は右拳を強く握り夜減児に突っ込んでいった

夜減児「ガッハッハッハっ!!!この夜減児様に素手でくるとはとんだくそガキだぜ!!

その右腕、粉々に粉砕して返り討ちにしてやるよ!!!」

夜減児は堂々と仁王立ちをして一刀の攻撃を受け止める体制をとった

蓮華「無理よ!!一刀!!!」

猪々子「アタイ達の得物でさえ敵わないのに兄貴が素手でいったら骨が粉になっちゃうぞ!!」

美羽「主様!!無謀過ぎるぞえ!!」

華琳「一刀!!勇者と馬鹿は違うわよ!!!」

華琳は得物を持ち、駆け出そうとした

しかし、卑弥呼が

卑弥呼「待つのじゃ華琳殿!!」

華琳を手で制した

華琳「っ!!そこを退いて!!一刀を助けなきゃ!!」

卑弥呼「その必要はない」

華琳「何を言って…………」

卑弥呼「華琳殿、ご主人様は勇者か馬鹿か………どっちかのぅ？」

華琳「っ!!」

卑弥呼は質問した後、ニヤリと笑い堂々と

卑弥呼「儂は勿論前者じゃ!!」

一刀「おりゃあー!!」

夜減児「ガッハッハッハっ!!!」

一刀「鉄拳………」

ﾌｫﾝ!!

一刀「制裁!!!」

一刀は二割程度の力で夜減児の鳩尾目掛けて拳を放った

すると

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「ごへっ!!!?」

一刀の放った拳は夜減児の鳩尾に深々と沈み込み、

一刀「でやあぁぁっ!!!!」

夜減児「ぐべらっ!!!!?」

そのまま殴り飛ばした

襲「っ!!?夜減児っ!!?」

宝鈴「なっ……………!!?」

夜減児はそのまま吹き飛ばされ、後方に存在していた見張り台のある成都の城壁に直撃し、城壁を崩した

蜀兵「っ!!?な、何だ!!?」

呉兵「何かが城壁に直撃したぞ!!」

魏兵「急いで確認しろ!!」

その爆音に城中の兵達が次々と集まってきた

華琳「っ!!まずいわ！

秋蘭！愛紗！蓮華！兵達を速く城外へ避難させなさい!!

彼らでは夜減児には敵わないわ!!」

秋蘭「はっ!!」

愛紗「御意!!」

蓮華「行くわよ！秋蘭!!愛紗!!」

蓮華は愛紗と秋蘭を連れ、兵達を誘導し始め城から全ての兵を移動させた

一刀「あ～あ………全然力入れてないのに簡単に吹っ飛んじゃったよ……

城の弁償、否定過激派に請求書回すからな」

一刀は呑気に城の請求費の事を考えながら夜減児の元まで歩き出した

夜減児「ごはっ!!げほっ!!」

夜減児は血反吐を吐いていた

夜減児「ぐっ!!(馬鹿な!!俺様の『金剛石体』を貫いて打撃を食らわせるなんて!!

ありえねぇ!!!)」

一刀「おい、夜減児

お前とこのまま城の中で戦う訳にはいかない

城の外に出ろ」

一刀は夜減児に言い放つ

夜減児「この………クソガキが……

調子に乗ってんじゃねーぞ!!!」

夜減児は立ち上がり再び突進を開始した

一刀「脳筋には言っても分かんねーか

じゃあ俺が………」

夜減児「んがあぁぁぁっ!!!」

ﾌﾞｫﾝｯ!!

一刀は夜減児の右フックを避け

一刀「せぇい！」

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「んぐっ!!?」

夜減児の鳩尾に右フックをいれ、

一刀「よっと！特別に連れて行ってやるよ

喜べ、俺専用の特等席………成都の郊外だ」

ｺﾞｵｯｯ!!

何と体重3tはゆうに超す夜減児の巨体を簡単に担ぎ上げ、『龍走』をして城から飛んでいったのだ

華琳「っ!!なんて力!!」

流琉「兄様が『龍走』で飛んでいっちゃいました！」

卑弥呼「そんな呑気な事を言っとる場合ではないぞ！于吉!!」

于吉「えぇ！『龍走星軍(りゅうそうせいぐん)』！」

于吉は愛紗達が包まる程の気のドームを作り出した

于吉「これは集団型の『龍走』です

しっかり掴まっていて下さい！」

冥琳「掴まるって何にだ!!?」

左慈「テキトーだ」

左慈がさらりと言いのけた瞬間、

ｺﾞｵｯｯ!!

愛紗達は宙を舞い『龍走』をして一刀を追いかけ始めた

宝鈴「我々も行きますか………」

襲「ったく、面倒臭ぇーなー

場所変えんなよ……………」

晩禍「……………」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

宝鈴達は『闇行』の中へと消えていった

一刀「そら、ここでいいだろっと!!」

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「どわっ!!?」

一刀は地上10m近くの上空から夜減児を背負い投げし、地面に叩きつけた

夜減児「ぐっ!!このガキゃあっ!!!!

さっさと降りてこい!!捻り潰してやる!!!」

一刀「言われなくても降りるよー」

一刀は『空立』を解除して地面に降り立った

夜減児「この夜減児様に一撃をいれ、担ぎ上げたうえ投げ飛ばすなんて洒落たマネしてくれるじゃねぇか!!!」

一刀「口が達者だな………」

夜減児「ぶっ殺してやるぜ!!ガッハッハッハっ!!!」

一刀「二回戦といこうか…………掛かってきやがれ！」

夜減児「んがあぁぁぁっ!!!」

蓮華「一刀は何処にいったの!?」

于吉「気を探りました、もうすぐ着きますよ」

左慈「しっかし、卑弥呼……」

卑弥呼「むっ？なんじゃ左慈……」

左慈は座りっぱなしで卑弥呼に問いかけた

左慈「北郷をどんだけ強化したんだ？

貂蝉ですら貫けない夜減児の『金剛石体』をいとも簡単に貫き、3tを超える巨体を軽々と担ぎ上げる………

並大抵の修行じゃあそこまで強化するのは無理だぞ？」

冥琳「確かにそうだな……

っと、雪蓮……大丈夫か？」

雪蓮は冥琳の膝枕をして寝ていたのだが、たった今目が開いたのだ

雪蓮「…………う…ん？あれ？何で………冥琳が？」

愛紗「やはり雪蓮殿………記憶がないのですね……」

于吉「それが『紅蓮虎獣』の弱点でもあります

野生の獣と化す訳ですから記憶がないのです」

雪蓮「…………っ!!冥琳、夜減児と襲は!?」

冥琳「実はな……………」

冥琳は細く説明し始めた

雪蓮が倒されてから殆どの者達が倒されてしまったこと

絶体絶命の危機に一刀が現れ、一時的に危機を救ったこと

そして現在一刀が夜減児と戦っていることなど全てを話した

雪蓮「へぇ～……流石一刀ね、ますます惚れちゃうわ♪」

雪蓮は笑顔で答えた

雪蓮「登場の仕方といい、助け方といい王子様ね♪」

蓮華「それはもう♪格好良くて………♪」

愛紗「とても逞しかったです……♪」

流琉「兄様………格好良かったです…………♪」

その場にいた管理者と華佗以外は頬を赤く染めていた

左慈「はいはいご馳走様………

于吉、いたぞ………あそこだ」

思春「っ!!あれか……」

左慈と思春が見ている先には夜減児と一刀が荒野で殴り合っているところが映し出されていた

于吉「着陸します、気をつけて下さい」

于吉がそう言うと戦場からほんの少し離れた場所に少しずつ降下していった

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

宝鈴「いましたいました

ふむ、北郷一刀…………中々やるようですね……」

襲「あの夜減児が圧されてんぜ？信じられねぇな」

晩禍「………………」

宝鈴「(しかし………北郷一刀……やはり何処かで………

あの雰囲気、感じ取ったことがあるのですが………)」

宝鈴は心の中でそう思っていた……

夜減児「んがあぁぁぁっ!!!ぬぅわっ!!!」

ﾌﾞｫﾝｯ!!

ﾌﾞｫﾝｯ!!

一刀「よっ!!」

ｶﾞﾂｯ!!

一刀「ほっ!!」

ｶﾞﾂｯ!!

一刀は夜減児の強烈な攻撃を右腕、左腕と受け止めていく

夜減児「何でてめぇみたいなクソガキに俺様の攻撃を受け取れられるんだっ!!!?

てめぇのような牛蒡にっ!!!」

一刀「牛蒡って…………酷いなぁ

何で受け取れられるかって？

それは…………………」

ｼｭﾝｯ!!

夜減児「んんっ!!?」

一刀は言葉の途中で『空走』をして姿を眩ませた

夜減児「ぬぅっ!!何処行きやがったっ!!?」

夜減児はひたすらに廻りを見渡すが一刀の姿はなく、いるのは今到着した于吉達や宝鈴の姿だけだった

夜減児「くそっ!!出てこい!!」

一刀「出てきてるけど………」

夜減児「んなっ!!!?」

一刀はいつの間にか夜減児の真後ろに移動していた

一刀「新技『三角空舞(さんかくくうぶ)』、又は『トライアングル』の練習台となってもらうぜ」

夜減児「『三角空舞』？」

一刀は右手を夜減児に向け掌に気を送り出した

一刀「ふぅぅぅ……………」

掌の気は集まっていきながら凝縮し始め、空気の層の球が出来上がった

夜減児「ガッハッハッハっ!!!ガラ空きだぜっ!!」

夜減児は右手を大きく振り上げた

蓮華「一刀っ!!危ないっ!!」

桔梗「お館様…………ぶちかまして下され!!」

一刀「…………まずは……『気圧砲(きあつほう)』!!」

一刀は手にあった空気の球を弾けさせた

すると

ｺﾞｫﾝｯ!!

夜減児「な、何ぬぶるうあぁぁっ!!!?」

凝縮された球は元に戻ろうとする強烈の力により衝撃波を生み、夜減児を吹き飛ばした

思春「あの巨体を吹き飛ばすとは………『気圧砲』はとてつもない力だったのだな」

焔耶「思春は一度も喰らっていないもんな…………

あれは強烈だぞ………？」

紫苑「焔耶ちゃん………？」

一刀「こっからが本番だ!!」

ｼｭﾝｯ!!

夜減児「んぐぐぅっ!!ん!?」

一刀は『空走』で夜減児の飛ばされた方向へ先回りし、右脚を構え

一刀「一発っ!!」

ﾌｫﾝ!!

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「ぐえっ!!!?」

夜減児の肩甲骨辺りに右脚蹴りを放ち、逆方向へ吹き飛ばした

一刀「二発…………」

ｼｭﾝｯ!!

夜減児「んぐぐっ!!」

一刀はまた『空走』をして、回り込み左脚を構え

一刀「目だっ!!!」

ﾌｫﾝ!!

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「んがっ!!!?」

今度は左脚で蹴り上げ、上空斜め45°方面へ蹴り飛ばした

一刀「そして…………」

ｼｭﾝｯ!!

夜減児「うぅううっ!!」

一刀は三度『空走』して回り込み、右脚を構え

一刀「ラストっ!!!」

ﾌｫﾝ!!

ﾄﾞｶｯ!!

夜減児「ぐあっ!!!?」

素早く強烈な踵落としを喰らわせ

ﾄﾞｫﾝｯ!!

夜減児「ぐべっ!!!?」

地面に叩きつけた

そして一刀は『空立』をしたまま夜減児を見下ろしながら言い放った

一刀「どうだ？夜減児………『三角空舞』の味は？

そして………………」

一刀「牛蒡のような男に見下される気分は？」

　　　　　　　　　　　……終……