屍食教典儀（Cults of the Ghouls）中編4

屍食教典儀（Cults of the Ghouls）　　中編４

【旧神の印（The Elder Sign)ついて】

※中央で五本に分岐した線状の星（ＨＰＬ説）

※中心に燃える柱（あるいは目）をもった五芒星(オーガスト説）

旧神の印は護符としての種別は、タリスマン（招福）ではなくアミュレット（退魔）である。

　多くは緑色の石鹸石に刻まれ携帯される。この古き印はルルイエの墓所で閉ざされた扉の上にこの印を目にする。形状は木の枝や幾何学の証明図を思わせるところがあり、角度・円が関係している。真の形状を知らない者たちによって様々著作で誤ってあらわされている。

　ヨグ＝ソトースが門であり鍵であるのに対して、旧神の印は錠であると知られる。人類の創造に先立つ上古の太古に旧支配者と戦った種族により作り出され、いかなる戸口に配しても従属種族の通過を妨げる力をもつと考えられる。

　扉に正しく彫り付けた者は尋常ならざる生き物に奇襲されることなく安全に眠ることができる。また、旧支配者の眷属が入り込むのを防ぐだけではなく不可視の障壁を侵害すようとするものに対して屋内の安全を保つ。

　星辰に照らされる部屋に刻まれた印は眷属の侵入を防ぐ為のものであり悠久の歳月にわたってその機能をはたしつづける。彼らは印の力を絶えず恐れ、目にするやすぐに逃げ出すが、勇気を奮い起こせば通過することができてしまう。その為、あまり旧神の印は過信しないことが賢明である。

ＨＰＬでは旧神の印は木の枝（枝には夫々の星に対応する外なる神々）とオーガスト説の歪んだ五芒星

があるがここで東洋と西洋の五行説が関連している為と考えられる。

【古代西洋の五芒星について】

　歴史的に確認されているもっとも古い五芒星の用法は、紀元前3000年頃のメソポタミアの書物である。シュメール人はこれをUB（ウブ）と呼んだ。さらに下向き五芒星を「角・小さな空間・穴」などの意味を表す絵文字とする。エジプトでは子宮を表させていたことから性的意味合いがあるとも言われている。バビロニアでは、図形の各側面に前後左右と上の各方向を割り当て、それぞれ木星・水星・火星・土星、そして上に地母神イシュタルの現れとされた金星を対応させた。五芒星に五惑星を対応させる考え方は、後のヨーロッパにも見受けられた。

　また、火・水・風・土の四大元素に霊を加えた5つのエレメントにもそれぞれの頂点が対応させられ、それは現在でも魔法などのシンボリズムに使われている。

　余談だが、5つの要素を並列的に図案化できる図形として、洋の東西を問わず使われてきた。世界中で魔術の記号とされ守護に用いることもあれば、上下を逆向きにして悪魔の象徴になることもある。悪魔の象徴としてとらえる際には、デビルスターと呼ばれることもある

【東洋の陰陽道と安倍晴明の桔梗印】

　五芒星は、陰陽道では魔除けの呪符として伝えられている。印にこめられたその意味は、陰陽道の基本概念となった陰陽五行説、木・火・土・金・水の5つの元素の働きの相克を表したものであり、五芒星はあらゆる魔除けの呪符として重宝された。

　日本の平安時代の陰陽師、安倍晴明は五行の象徴として、五芒星の紋を用いた。「安倍晴明判（あべのせいめいばん）」や「晴明九字（せいめいくじ）」とも言い、キキョウの花を図案化した桔梗紋の変形として、「晴明桔梗（せいめいききょう）」とも言う。家紋として現在使用されているものの多くは、桔梗紋の清明桔梗と見られ、現在も晴明神社の神紋などに見ることができる。

星形は一筆書きで元の位置に戻り始めも終わりもないことから魔物の入り込む余地がなく

このように五行説に神秘主義者の「栄光の神の目」が合わさり歪んだ五芒星が出来上がったと考えられる。