No.665052

九番目の熾天使・外伝 ~短編その⑥~

竜神丸さん

桃・色・混・沌

2014-02-21 21:00:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1211   閲覧ユーザー数:603

OTAKU旅団No.8、蒼崎夜深。

 

極度の女好きである彼は、今日も新たな嫁を見つけ出すべく活動中である…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しつこいわっ!!」

 

「ほぶぅっ!?」

 

女性スタッフに蹴り飛ばされ、蒼崎はゴミ箱の中へと頭から突っ込んでしまっていた。その現場に、二百式とokakaの二人が偶然通りすがる。

 

「…蒼崎の奴、またやってるのか」

 

「しかもまた失敗してら。全く、あいつも本当によくやるぜ」

 

「ぷはっ!!」

 

ゴミ箱の中から出てきた蒼崎は、ハァと溜め息をつく。

 

「はぁ~…何でだろうなぁ。ここ最近、女の子が全然食いついてくれないや」

 

「既に三十人も食いつかせておきながら、まだナンパしてるのかお前は」

 

「三十人いるだけでも充分おかしいってのに、ご苦労な事だよな。これを機に、そろそろナンパはやめにした方が良いんじゃねぇのか?」

 

「嫌だ!! 俺は他の女の子達も愛したいんだ!! そんな俺を止められる人間など、この世の何処にも存在してはいない!!」

 

「「おいそれ、団長の前でも言えんのか」」

 

「…黙らっしゃい!!」

 

「「何故に少し遅れて返事をした?」」

 

「とにかく、俺はハーレムの為なら何時だって前向きになれるのさ!! さぁ待っていてくれ、俺の新たな嫁達よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「「駄目だもう何とも言えねぇ」」

 

二百式とokakaの突っ込みも軽くスルーし、蒼崎は再び次の女の子に狙いを定める為に何処かへ走り去って行ってしまった。

 

「…ま、どうせ失敗するだろうけどな。どうする? 二百式」

 

「そろそろ俺達の目にも余るようになってきたな……少しばかり、灸を据えた方が良いかも知れん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、蒼崎のナンパは続いたものの…

 

 

 

 

 

 

 

「「「「やだ」」」」

 

「あ、はい……そうですか…」

 

アキ、こなた、アスナ、凛の場合。二文字で断られ、普通に失敗。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、蒼崎さん。申し訳ありませんが、私には博士から頼まれている仕事が…」

 

「えぇ~…ちょっとくらい休んだって、別に良いじゃないか~。ねぇイーリスちゃん、俺と一緒にお茶でも飲まな―――」

 

「焼き尽くせ、パイロキネシス」

 

「え、ちょ…熱ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

イーリスの場合。あまりにしつこく迫った所為でイーリスが激怒し、彼女のパイロキネシスで華麗に撃退される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ早苗ちゃん、どうせ暇でしょう? 俺と一緒に遊園地でもいかない?」

 

「へ? いや、あの、蒼崎さん…?」

 

「恥ずかしがらなくても良いからさ~。ちょうど二枚分あるし、これからでもまだ間に合―――」

 

「おい、何故に人の女に手を出してんのかなぁ~蒼崎く~ん?」

 

「うげ、ガルム―――うぎゃらばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

早苗の場合。ナンパしているところをガルムに見つかり、無数の弾幕を喰らって吹っ飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ紫さ~ん、一緒にどう?」

 

「そうねぇ……裕也ちゃんと団長さん以外だと、強い人にしか興味は無いわね」

 

「…すいませんでした」

 

紫の場合。付き合う為の条件があまりに難し過ぎる為、話は無かった事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、みゆきちゃんも美空ちゃんもさ~」

 

「「え、えっと、その…」」

 

「あ・お・ざ・き・さ・ん?」

 

「ハッ!?」

 

みゆきと美空の場合。ディアーリーズ率いるディアラヴァーズの制裁を受け、大失敗。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ咲ちゃんにエヴァちゃん、それにリリィちゃん。俺と一緒に…」

 

「うわぁ~♪ ちっちゃい頃のキリヤちゃん可愛い~♪」

 

「あ、見て見て! この前キリヤと一緒に撮った写真もあるよ!」

 

「小さい頃のキリヤさん、本当に可愛いですね♪」

 

「…ねぇ、聞いてる?」

 

咲、エヴァ、リリィの場合。彼女達は昔のアルバムに集中している為、話すらも聞いて貰えず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇフィアちゃんにユイちゃん、一緒に―――」

 

「あのさ、いい加減しつこいよ?」

 

「…気安く呼ぶな」

 

「ぶべらっぱーっ!?」

 

フィアレスとユイの場合。名前を呼んだ直後に攻撃され、瀕死状態に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇニューちゃん、俺と―――」

 

「攻撃対象、確認。殲滅を開始します」

 

「え、ちょ、待っ…のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

ニューの場合。ナンパを仕掛けた結果、いきなり武装を展開されてそのまま殲滅される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッホーお嬢さん、俺と一緒に…ッ!?」

 

「ほう? 珍しいな。こんなところに、明らかに普通じゃない人間がいるとは」

 

「え、あれ? ちょ、何で俺の能力が…」

 

「おいこら蒼崎……人の妻に手を出すとは良い度胸だなぁ…?」

 

「え!? げんぶ、お前の妻だったの…みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

白蓮の場合。げんぶの妻と知らずにナンパした為、彼女に能力を封じられた挙句げんぶからもフルボッコにされ、見事に大失敗。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~…」

 

その後、自分の部屋に戻ってからベッドの枕で顔を隠す蒼崎。あれから他の女性や少女にも近付いてナンパを仕掛けてみたのだが、全て失敗に終わっている。

 

「何でだろうなぁ~…俺はただ、女の子が好きなだけなのにさ~……俺はもう、新しい妻に会う事は出来ないのかなぁ~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あら、じゃあ私が代わりにやろうかしら♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え―――」

 

直後、蒼崎の身体に異変が発生した。メキメキと音を立てながら、彼の肉体が少しずつ女性の肉体へと変化していく。しかし現在着ている私服は変わらないのか、大きくなった二つの双丘によって服が押し上げられ臍が露出、より妖艶な格好となる。

 

「ん、ん~♪ また出てきちゃったわ~…♪」

 

蒼崎のもう一つの人格―――深夜(ミヤ)が出現。彼女は軽く背伸びをしてから、ベッドからピョンと飛び降りる。

 

「さて……今回はどう楽しもうかしら♪」

 

深夜は舌舐めずりをしてから、すぐに部屋を飛び出して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後。食堂では、任務帰りで疲れたメンバーや空腹のメンバーが、食事を取る為にこの場へとやって来ていた。

 

しかし…

 

「ん……んむっ!?」

 

「え、ちょ、何こ、れ…ッ!?」

 

突如、食堂内に桃色の香水らしきものが広がり、食堂にいたメンバー達を刺激し始める。しかし数十秒した後に、その香水はすぐに消える。

 

「な、何だ今の―――」

 

「「「「うぅ~ん……ウ~ル~♪」」」」

 

「え…ちょ、皆ッ!?」

 

ディアーリーズには何の変化も無かったが、彼と同じテーブルで食事を取っていたアキ、こなた、アスナ、凛の四人が顔を赤くしたままディアーリーズに擦り寄って来た。何やら様子がおかしい。

 

「ウルさ、ん…♪」

 

「!? ちょ、みゆきさんまで…ギャァァァァァァァァァァァッ!!?」

 

みゆきまでもが香水に刺激されたのか、顔を赤くしたまま猫のように擦り寄って来た。そのまま彼女達がディアーリーズを床に押し倒した事で、ディアーリーズの悲鳴が上がる。

 

「レ~イ~♪」

 

「あ……兄、さん♪」

 

「フィア!? ユイ!? おい待て、調理中に何を…ぬぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

厨房でも支配人が、顔を赤くしたフィアレスとユイに擦り寄られていた。何かヤバいと判断した支配人はすぐに逃げようとしたが、結局は二人によって床に押し倒される羽目となる。

 

「ウフフ…♪」

 

「アハハハハハ…♪」

 

何故か他の女性スタッフ達までもが発情し始め、他の男性スタッフに対して襲い掛かる。男性スタッフ達の慌てる声が響き渡る中、陰では深夜が楽しそうに覗き込んでいた。

 

「うふふ……魅惑の香水はどうかしら? さぁ皆、一緒に楽しみましょう…♪」

 

先程の香水も、どうやら彼女の仕業のようだ。深夜は舌舐めずりをしてから、次の場所へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、別のフロアでも…

 

 

 

 

 

 

 

 

「「キ~リ~ヤ~♪」」

 

「あぁ、キリヤさん…♪」

 

「ちょ、三人共!? いきなりどうし…アーッ!?」

 

リリィ、咲、エヴァの三人が、ロキを無理やり押し倒していたり…

 

「「裕也~♪」」

 

「ちょ、二人がかりか…お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

早苗と紫によって、ガルムが自分の部屋まで強引に引っ張られていっていたり…

 

「アハハハハハ♪ Blaz~♪」

 

「んなぁっ!? おいニュー、いきなり何す…のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

ニューがヤンデレ染みた笑みを浮かべつつ、Blazに飛びついていたり…

 

「うふふ、耕也…♪」

 

「ぬぉっ!? ちょ、いつも以上に積極的だな…んむ!?」

 

自身の服を脱ぎ捨てた白蓮が、げんぶを無理やり壁に押し付けてから接吻したり…

 

「ア~ン娘ちゃ~ん♪」

 

「ちょ、姉貴…ノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

朱音が舌舐めずりをしてから、他の女性スタッフと共にUnknownを無理やり倉庫内に引き摺り込んでいったりと、楽園(エデン)中のあちこちでカオスな状況が作り出されていた。

 

「…いきなりどういう状況なんですかねぇ、これは」

 

「本当ですよ、全く」

 

デルタと竜神丸は現在の状況に呆れた様子で、自分達に擦り寄ろうとして来る女性スタッフ達を次々と手刀で気絶させては、優しく床に寝かせていっている。

 

「いきなり楽園(エデン)中の女性達が発情し始めるとは……これまた想像以上に面倒な事態ですね」

 

「こちらも、イーリスさんに擦り寄られて色々面倒でしたよ。まぁすぐに気絶させましたけど」

 

「デルタ、竜神丸!」

 

そこへokakaとaws、二百式も合流する。

 

「…何だ、貴様も生き残っていたのか。死に損ないの分際で」

 

「おや、二百式さん。姿が見当たらなかったので、襲われていたのかと」

 

「「……」」

 

「そこの二人、分かってるな?」

 

「「…チッ」」

 

(言われなかったら、また喧嘩する勢いだったな)

 

こんな状況でも、デルタと二百式の不仲はやはり変わらないようだ。もちろん、今回はawsの忠告によってその喧嘩も事前に阻止されたが。

 

「しっかし……何でいきなり、こんな状況になっちまってんだかねぇ」

 

「と言っても、ある程度なら原因も予測がつきますがね」

 

「うん、確かに…」

 

「…まぁ、考えられるのは奴しかいない」

 

「えぇ。この騒ぎの原因は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「どう考えても蒼崎だな(ですね)」」」」」

 

どうやら五人共、既に結論が出ているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

ちなみにこの騒動の元凶は、鼻歌を歌いながらこの状況を楽しんでいた。通路で男性スタッフ達が発情した女性スタッフに襲われている光景を眺めては、楽しそうな表情をしている。

 

「う~ん、やっぱり良いわ~♪ このままもっと楽しく盛り上げましょう……ハァァァァァ~♪」

 

深夜は口から桃色の吐息を出し、通路中に散布する。すると今度は女性スタッフだけでなく男性スタッフまでもが発情し始め、女性スタッフ達と絡み始める。

 

「フフフフフ…アハハハハハハハハハハハハハ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしているのかな? 君は一体」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」

 

深夜の前に、一人の男が姿を現した。その容姿はかなり整った美形で、長い青髪をポニーテールに結んでいる。

 

「あら、あなたも一緒に楽しまない? 気持ち良くなれるわよ~♪」

 

深夜は不敵な笑みを浮かべつつ、その男にも吸わせようと桃色の吐息を出す。

 

しかし…

 

「すまないが、俺にそれは効かん」

 

「ッ!?」

 

彼女の吐息を吸ったにも関わらず、男は何の変化も起こらないまま彼女に一瞬で接近。彼女の肩を左手で掴み、右手の骨をゴキンと鳴らす。

 

「な…!?」

 

「イタズラにしては少々、度が過ぎている。覚悟を決めろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!-

 

「「「「「!?」」」」」

 

突然、楽園(エデン)中が大地震に襲われた。驚いたデルタ達は竜神丸のテレポートですぐに現場まで転移し、地震の原因を確かめに向かう。

 

「!? これは…」

 

辿り着いた現場を見て、二百式は唖然とした。

 

その視線の先には…

 

「キュゥゥゥゥゥゥ…」

 

後頭部にタンコブが出来たまま、蒼崎がうつ伏せの状態で床に埋まっている光景だった。

 

「「「「…何が起きたし?」」」」

 

デルタ達が思わずそう呟いた中、竜神丸だけは何となく察していた。

 

(おやおや、少しやり過ぎじゃないですかね…?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、香水によって発情してしまっていた女性陣や深夜によって発情した男性陣は、無事に正気を取り戻す事が出来た。ちなみにどのメンバーも、ギリギリのところで一線を超えずに済んだという。

 

もちろん…

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……こう、や…♪」

 

「ふぅ……すまんな白蓮、つい激しくしてしまった」

 

 

 

 

その状況の中でも、普通に楽しんでいるメンバーもいたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、被害を受けなかったメンバーの中で…

 

 

 

 

 

「ハルトさんはどれを食べますか?」

 

「うーん、そうだなぁ……よし、じゃあこれでも食べるか!」

 

ハルトとルイの二人は、レストランにて一緒に食事をしており…

 

 

 

 

 

 

「「すぅ、すぅ…」」

 

美空と咲良の二人は、楽園(エデン)内の自室で気持ち良く眠っていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日…

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、一緒にパーティーでも―――」

 

「だからしつこい!!」

 

「ごばっ!?」

 

この日も相変わらず、蒼崎夜深はポジティブにナンパを続けていたという。

 

ただ、変わっている事があるとすれば…

 

 

 

 

『あぁ……あのお方の一撃、強烈だったわぁ…♪』

 

 

 

 

彼のもう一つの人格である深夜が、何やら妙な方向に目覚めてしまっている事くらいだろう。

 

『はぁ…♪ 素敵な方……また会えないものかしら…♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その深夜に一撃を加えた男が、別の場所で妙な寒気を感じていたのはここだけの話である。

 


 
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