No.66334

続・仕組まれた戦

呂布さん

いや、ども!
稚文乱文で申し訳ありませんが、ご容赦を…
それから、大河の策、鋼牙の武についてのツッコミは勘弁してください。

2009-04-01 01:58:46 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:3750   閲覧ユーザー数:3113

「…兄上?」

「言うな…見ればわかる。」

皆さんこんにちは。

東堂大河です。

今僕達の眼前に広がる光景は、人、人、人…

「八十…いや、九十万は下らぬだろうな…」

「ですかねぇ…?」

「一方こちらは十五万前後…」

「『普通』に戦えば敗北は目に見えてますね。」

「あぁ。あくまで、『普通』に戦ったら…な。」

そう言って、互いに見つめ合う二人の人影。

かたや、『神武の死神』と畏れられた男東堂鋼牙。

かたや、『鬼謀の道化師』と謳われた男東堂大河。

「御主の知謀と仙術があれば、負ける事は無いだろう。」

「兄上、過度の信用は油断を招きますよ?」

「わかっておる。ところで…勝算はどのくらいだ?」

「ふむ…」

これだけの兵力差を考えると…

「…僕の仙術を考慮に入れても五分五分ですかね。」

「そうか…なぁ、大河。」

「ん?なんですか、兄上?」

「…必ず…必ず生きて帰るぞ。」

「兄上…えぇ、勿論です!」

そう言って、僕達は戦場へ向かった。

「報告!前方十里先に敵部隊を発見!」

「うむ、ご苦労。後方で休んでおれ。」

「はっ!」

タッタッタッ…

「さて…我ら連合軍はどういった作戦で参るのだ?」

そう言ったのは、蜀の重臣の一人、趙雲 である。

「やはり敵の実力が謀り兼ねるので…」

そう答えるのは、蜀軍参謀の一人、諸葛亮。

「『臥龍』にすら策が浮かば無いとはな。」

そう言うのは、呉の柱石美周朗こと、周瑜。

「それだけ情報が少ないですから…」

そして、それに続く様に話したのは、呉の新星、呂蒙。

「敵陣に放った斥候も戻って来ませんからね」

で、こちらの眼鏡をかけた少女が郭嘉。

「策など練らんでもこの私が賊ごとき打ち砕いてやる!」

そう言ったのは、蜀軍猛将の一人魏延。

「おぉ!よくぞ言ったな魏延!」

「焔耶の言う通りだぜ!」

そう言って魏延に賛同したのは、魏武の大剣こと、夏侯惇と西涼の錦、馬超である。

「「「「「「「「「はぁ…」」」」」」」」」

その場にいた全員が三人を哀れむような目で見ていた事を、彼女達は知らない。

…と。

「も、申し上げます!」

一人の兵士が慌てた様子で入ってきた。

「なんだ!今は軍議の――「て、敵軍が攻めて来ました!」――なっ!?」

連合軍に緊張が走った。

なんせ十里(一里がおよそ四km)を、半刻程(一時間位)で来たのだから。

「くっ!仕方あるまい…すぐに迎撃するぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、連合軍の準備も調わぬまま二勢力がぶつかった。

「さて…この状況、どうしたものか。」

戦が始まって一刻程経ち、ふと戦場に目をやると、兄上の部隊が敵に半包囲されていました。

「敵の狙いは兄上の部隊を興奮させずにそのままの状態で包囲殲滅…ですかねぇ?しかし、いくらなんでもわかり安すぎる。」

となると…

「足止めですか…。ということは、地形的に奇襲の可能性がありますね。…誰かある!」

「はっ!」

「華雄隊、張遼隊に伝令を。手筈通りに動く様に、と。」

「御意ッ!」

タッタッタッ…

「さて。この采配が吉と出るか凶と出るか…」

「た、大変です関将軍!」

「なんだ!」

「前方から、黒地に『華』の一文字…華雄将軍の旗を掲げた部隊が!」

「なにぃ?!」

関羽が驚いていたその時―――――――

 

 

「はぁーーーー!」

ザシュ!

ドシュ!

「ぎゃあ!」

「ぐはぁ!」

突然聞こえた兵士の阿鼻叫喚と、それと共に聞こえる凛とした叫び声。

そして、関羽の目の前で馬に跨がっていたのは…

「久しぶりだな、関羽。」

…凛とした態度で見下ろして来た華雄だった。

「そんな…馬鹿な…!」

関羽は信じられなかった。

目の前に居るのは、紛れも無く華雄である。

だが、確か華雄は処刑されたはず…

「どうなっているんだ…?」

「残念だが、答えてやる暇は無い。」

そう言い終わるや否や、華雄は持っていた大斧を振るった。

ガキィィイン!

「くっ…!」

「まだまだぁ!」

ヒュン!

ガキィィイン!

「チィ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃――――――

「ふむ…まずは上々ですね。」

華雄殿を蜀軍に、張遼殿を魏軍に突撃させて、敵が混乱している隙に兄上の部隊を救出する算段…ですが。

「…どなたを救出に向かわせましょう?」

実は他の皆さんには救出できない状況役目を任せてあったので…いやはや困りましたねぇ…

「仕方ありません。…伝令兵!」

「「「はっ!」」」

「華雄隊、張遼隊、鋼牙隊の三部隊に、敗戦を装いつつ撤退するように伝えてください。」

「「「御意!」」」

ザッザッザッ…

「フゥ…」

はてさて…

「夏侯惇将軍!敵部隊が撤退して行きます!」

「逃がすか、全軍追撃しろ!」

「「「オォォォ!!」」」

そう言って夏侯惇の部隊が凄まじい速さで突撃して行った。

…余談だが、同じ報告を受けた馬超隊ももの凄い速さで突撃して行った(魏延隊は厳顔隊に止められた)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…もう追いついて来たか!」

「さっすが春蘭の部隊やなぁ〜」

「敵を褒めてどうするのだ、張遼将軍?」

「んー…そうやねんけど…なんか安心したっちゅうか…」

「…なるほど。」

今、鋼牙達は全力で逃げている。理由はそうしろと本陣からの伝令に言われたから。

「しっかし、大河はなにをするつもりなんや?」

「あぁ…このタイミングで撤退など、私でも指示せんぞ。」

「(何故この時代に『タイミング』などという言葉が…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大河殿、前方に砂塵を発見!」

「旗はわかりますか?」

「えー…黒地に『華』一文字、紺碧の張旗、紅蓮の旗に『鋼』の一文字…味方の部隊です!」

「…ん?他にも部隊が見えますが…夏侯の旗に馬の旗…あの速度を見るに…夏侯惇と馬超ですかねぇ…?」

「はっ!恐らくはそうなるかと!」

「ふむ…では、僕の合図で銅鑼を鳴らしてください。それから、合図の後、僕も出陣しますので!」

「御意ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「(…まだ……もう少し……あとちょっと…)」

「…今です!」

ゴォオン!

銅鑼の音と共に敵部隊の前に伏兵が現れた。

「夏侯惇将軍、前方に新手の敵部隊発見!」

「構わん、このまま蹂躙しろ!」

そう言って夏侯惇の部隊と馬超の部隊が騎馬隊の速度を上げた、その直後…!

バキュン!ドキュン!

「ぎゃあ!」

「ごはぁ!」

騎馬隊が目に見える早さで潰されていった。

「なっ!?」

「なに?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クハハハハハハ!騎馬隊など、僕の鉄砲隊の前には無力なのですよ!…にしても、凄いですね、李典殿の開発技術は。」

たった五日で、一千丁の火繩銃を造ったのですから…

「さてと…伝令兵!本陣の華雄隊、張遼隊、鋼牙隊に出陣の命を!」

「御意ッ!」

タッタッタッ…

「クフフ…さぁ、ショーの始まりです…」

その時の大河の微笑みは、味方の兵士が恐怖を覚えたという…。

「はぁーーー!!」

ザシュ!

「うらぁーー!!」

ドシュ!

 

「ぎゃあ!」

「た、助げぶぉ!」

いやはや、華雄殿も張遼殿もお強い。

あれだけの雑兵がどんどん減っていってます。

…え?兄上ですか?兄上ならば向こうの方で戦ってますよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンッ…!」

ザシュ!

ドシュ!

グサッ!

「ぎゃあ!」

「ぐはぁ!」

「ごぶぁ!」

 

「はぁ…やはり数が多くても雑魚は雑魚…なんの張り合いにもならぬ…。もっと骨のある奴はおらぬのか…」

そう言いながら、鋼牙は武器を振るう。

…と。

「待て!」

「…ん?」

鋼牙の目の前には、黒の長髪を後ろで結んだ少女と水色短髪で瞳が紅い少女、そして、桃色の髪に褐色の肌で首飾りをつけた女性が立っていた。

「…なんだ、御主らは?」

「我が名は関羽!字は雲長!徐州の青龍刀にして、大徳が一の矛なり!」

「我が名は超子龍!一身これ胆の将器なり!」

「我が名は孫伯符!江東の小覇王とは私のことだ!」

三人が名乗り終えたところで、

「はぁ…………」

鋼牙は溜め息をついた。

「また女か…いい加減ウンザリしてきたな。」

「貴様、素直に縛につけば命だけは助けてやるが…どうする?」

「まったく…今のところ男武将は滅覇、王充、李確、郭氾…四人位か?」

「おい、御主!聞いているのか?!」

「この一月で出会った男が四人程度…残りの将は全て女か…はぁ………。」

「…聞く気は無いみたいね。」

「うむ、そのようだな。」

「ならば仕方あるまい…我が青龍偃月刀の、錆にしてくれる!」

そう言って、関羽は自分の得物を振りかざした。

「せりゃ〜〜〜!」

ブンッ!

「チッ…」

ガキィィイン!

「なっ!?」

「ん?…ほぉ、これは中々骨がありそうな…楽しめそうだな。」

そう言って、鋼牙は金剛暗器を取り出した。

「む?なんだそれは?」

「なに…と言われても、我の得物だとしか…」

そう言って、鋼牙は薙刀を構えた。

「やれやれ…無防備にも程があろう…」

そう言いながら、槍を構える趙雲。

「でも、愛紗の一撃を止めるなんてやるじゃない♪」

そう言う孫策の言葉に、

「うぐ…」

ただ押し黙る関羽でした。

「なんだ、かかって来ぬのか?ならば…こちらから参る!」

そう言って鋼牙は、関羽達に斬りかかった。

ガキィィイン!

「あまい!」

「チッ…やはり雑魚とは違うか…」

そう言って、鋼牙は後ろに跳び退き、間合いを取った。

「(恐らく、あの者達と我の力量に大差は無かろう…が、やはり油断はできぬか…)はてさて、どうしたものか…」

鋼牙が考えに耽ったその時――――――

「せりゃ〜〜〜!」

ブンッ!

「はぁー!」

ヒュン!

「せい!やぁ!」

ヒュヒュン!

(※上から、関羽、孫策、趙雲です。)

 

「うぉわ!?」

咄嗟に攻撃を躱した鋼牙。

「やれやれ、考える時間くらい与えて欲しいものだな…と、いい加減型を変えるか…」

そう言って鋼牙が金剛暗器をいじって数秒後。その手にあったのは…

「金剛暗器五の型、『暗』、魔弓。」

…鋼の弓だった。

「ほぉ…あれが兵の言っていた『形が変わる武器』か。」

「そのようだな。」

「変わった武器もあったものねぇ〜」

鋼牙の武器に対して各々感想をぼやいていた。

「…ん?御主ら、あまり驚かぬのだな」

「あぁ。我らは伝令からすでに聞いていたからな。」

「そうか…まぁ良い。知っていた所でどうなるといったものでもあるまい。」

そう言って鋼牙は弓を構える。

「我が一矢…受けきれるか!」

ヒュン!

ガキィィイン!

「くっ…!」

鋼牙の一撃を咄嗟に防ぐ関羽。

「ほぉ。受けきったか…」

鋼牙が感嘆していた時…

「はぁぁぁ!」

ブンッ!

「おらぁー!」

ブンッ!

「…ッ!?」

咄嗟に後方に跳び退いて躱した鋼牙。

「おい、馬超!貴様が出遅れるから当たらなかったではないか!」

「はぁ!?てめぇがなにも言わないで勝手に行ったのが悪いんだろ夏侯惇!」

「なに!?」

「なんだよ!?」

「…こんな奴らに我は斬られかけたのか?」

トホホ…とうなだれる鋼牙だった。…と

「兄上!ご無事でなによりです!」

「ん?おぉ、大河。丁度良いところに来た。加勢してくれ。」

「え?加勢ですか?兄上がてこずるほどの相手には見えないのですが…?」

「いや、さすがに疲れてな…」

「…わかりました。ですが、貸し一つですからね?」

「承知。」

「クフフ…では、趙雲と孫策はお任せを。」

「すると、我は関羽に馬超、それから、夏侯惇か…まぁ妥当だな。」

「そうでしょう?それから、楽進殿達に行動を開始させましたので…」

「華雄将軍と張遼将軍はどうした?」

「華雄殿は、滅覇と王充を同行させて厳顔、魏延の部隊に。張遼殿は、李確と郭氾を同行させて夏侯淵、呂蒙の部隊に当たらせています。」

「…ん?そういえば孫権、甘寧、周泰の部隊が、見当たらぬが…」

「あぁ、恐らく奇襲でしょう。」

「……………は?」

「ですから、恐らく奇しy――「大問題ではないか!?」――おぉ!?い、いきなり大声を出さないでくださいよ、ビックリするじゃないですか!」

そう言う大河に鋼牙は詰め寄った。

「御主がここにおっては、誰が本陣の防衛を――「そんな心配は無用ですよ、兄上。」――…どういう事だ?」

不思議がる鋼牙に、大河は続けた。

「あんな見え透いた策をやられれば、誰だって奇襲を疑いますよ。…尤も、他にも何か仕掛けているでしょうが…と、話しが逸れましたね。つまり、本陣には、今呂布殿を配備しているから問題なし、と言うことです。」

「そうか。ならば…」

言って鋼牙は得物を構え直す。

「存分に暴れられるな!」

「クフフ…そうですね、兄上。」

そう言って、二人はそれぞれの敵に向かって行った。

鋼牙の武…大河の知…そして、各々の活躍により、『勝利』という名の天秤は、確実に鋼牙達に傾いた。

しかし――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この戦いは、物語りの一部に過ぎない。例え、なにかを得て、なにかを失おうとも、終焉には影響を及ぼさない。

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、失ったモノが、この物語りの突端だとしても終焉に影響しない――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回につづく

 

 


 
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