No.662064

【裡鋸町】ロボットだって寒いんです【交流】

古淵工機さん

風邪は引かないけれど、ロボットだって寒い日はそれなりに大変だったりするんです。
身体の節々凍ったりしてね。

■出演
俊:http://www.tinami.com/view/646032

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2014-02-10 00:59:43 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1350   閲覧ユーザー数:1303

2月某日、裡鋸電鉄裡鋸駅。

電車から降りてくる乗客のなかに、コートに身を包んだ男性が降りてきた。

両手に買い物袋をぶら下げた彼の名は宮薙 俊。

「ぶえっっくしっっっ!!」

盛大にくしゃみをしている彼の顔にはマスクが着けられていたが、見るからに辛そうだった。

 

「ありがとうございます。あ、俊さん…大丈夫ですか?」

と、改札口を出る俊に、駅員の極楽寺みどりが声をかける。

「ああ、ちょっと鼻風邪ひいちゃったみたいで…」

「それはお気の毒に…あまりムリしないほうがいいですよ?」

「いやあ、暖かくしてるつもりなんだけどね…へ、へっくしょいっ!」

ふたたび盛大にくしゃみをする俊。みどりはその様子を心配そうに眺める。

「はぁ…極楽寺さんはいいですね…」

くしゃみの衝撃で目から涙を流しながら、俊がつぶやく。

「え、何がですか?」

「だってこんなに寒いのに、全然平気な顔して。くしゃみどころか咳ひとつしないなんて…」

「そりゃまあ、ロボットですし…でも実は結構この時期大変だったりするんですよ」

と、少々恥ずかしそうに笑うみどり。

その言葉に首をかしげる俊だが、みどりはさらに続けた。

 

「…朝起きるとね、関節が凍ってたりするんですよ。私って関節がむき出しのタイプだからそういうのが頻繁に起きてね…」

「え、そうなんですか?」

動力炉(しんぞう)フル回転させて暖機運転したらおなか減っちゃうし、かといって無理やり起きようとしたら関節壊れそうになるしで…もう大変大変…」

「…そ、それはお気の毒に。ロボットにも寒さの悩みってあるんですね…ぶえっくしっっ!!!」

「あー、大丈夫ですか…?」

駅構内に響き渡る俊のくしゃみ。裡鋸町はまだまだ寒い、雪の降る真っ只中であった。


 
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