No.660210

九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~

竜神丸さん

第12話

2014-02-03 17:10:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1402   閲覧ユーザー数:772

「キシャシャシャシャアッ!!」

 

「「「「「ガルルルルルァァァァァァァァァァッ!!!」」」」」

 

崖の上から飛び降りてきたホエール・ドーパントやその他怪人達は、一斉にリュウガ軍とオーガ軍の兵士達に向かって襲い掛かって来た。両軍の兵士達もそれに応対しようとするも、やはり戦闘力の高い怪人達の方が圧倒的に優位な状況である。

 

「ッ…騎神ディバイドォッ!! このような場所に現れるとは……我々に対する挑戦と受け取って良いのだなぁっ!!!」

 

「そんな大声で叫ばずとも、既に分かり切っているのだろう? 私がここへ何をしに来たのかも」

 

「貴様、やはり我等リュウガ軍の騎神リュウガが目的か!!」

 

「となればまさか、我々オーガ軍の騎神オーガも…!!」

 

「ククク……そうじゃなければ、私がここに来る理由などありはしないさ」

 

『アタックライド・ブラスト!』

 

「何を…ぬぐぉうっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

刀を抜いて挑もうとしたシンゲンとケンシンだったが、騎神ディバイドがライドブッカー・ガンモードで何発もの銃弾を放った事で、それも叶わない。

 

「さて、まずはどちらを倒させて貰おうかねぇ?」

 

「「ッ…!!」」

 

騎神ディバイドが余裕そうに振り向いてきた事で、騎神リュウガと騎神オーガはそれぞれ得物を構えて応戦の構えを取る。

 

「どらっしゃあっ!!!」

 

≪Exceed Charge≫

 

「むっ!?」

 

騎神ディバイドの真横から、ファイズショットを構えたファイズが飛び掛かって来た。ファイズショットを構えた右手を思い切り振るうふぁいずだったが、騎神ディバイドには難なく回避される。

 

「ほほう、異世界の騎神か」

 

「昨日は仲間が世話になったんでな、今日はそのお礼をしてやろうと思ってたんだ」

 

「はっはぁ、そうかそうか! お礼をしに来たか……では、命でも貰っておこうかね?」

 

「悪いが、それはお断りだっ!!」

 

≪Ready≫

 

オートバジンから取り外していたハンドルにミッションメモリーを挿し込み、ハンドルから赤いビーム状の刀身を形成。ファイズエッジとなったそれをファイズは素早く振り上げ、騎神ディバイドはそれをライドブッカーで防御する。

 

「ふむ、随分とやる気じゃないか。ならば私もそれに応じてやろう」

 

『アタックライド・リフレクト!』

 

「な…うぉわっ!?」

 

「ロキ!!」

 

≪エクステンド・プリーズ!≫

 

騎神ディバイドが目の前に出現させたバリアでファイズが吹っ飛ばされ、駆け付けたウィザード・フレイムスタイルは魔法で腕を伸ばし、吹っ飛んで来たファイズをキャッチする。

 

「はぁっ!!」

 

「む…!」

 

その隙に騎神グレイブが斬りかかるも、騎神ディバイドは即座に後方へ退避。しかし騎神リュウガや騎神オーガが退路を塞いだ事で、逃げ道はなくなってしまった。

 

「たく、あんま一人で突っ込むもんじゃないよ? 他の仲間に頼らないでどうすんのさ」

 

「あ、あぁ。すまん…」

 

「ククク……さて、誰から排除するか…?」

 

騎神リュウガ、騎神オーガ、騎神グレイブ、ウィザード、ファイズ。五人の戦士に囲まれてもなお、騎神ディバイドは余裕そうな雰囲気を放ちつつライドブッカーで肩を叩く。

 

「その余裕、いつまで続くんだろうなぁ…!!」

 

「ちょいと覚悟、して貰いましょうかねぇ…!!」

 

ファイズとウィザードがそれぞれ剣を構え、飛び掛かろうとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここかぁ、祭りの場所は…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ADVENT≫

 

またしても、乱入者は姿を現した。

 

『キシャァァァァァァッ!!』

 

「!? 何だっ!?」

 

「ミラーモンスター…ぐぁっ!?」

 

ファイズとウィザードの真後ろから、突然ベノスネーカーが出現。二人を強引に押し退け、尻尾で騎神リュウガと騎神オーガを弾き飛ばしてしまう。

 

「おらぁっ!!」

 

「おっと」

 

飛び掛かって来た王蛇が振るうベノサーベルを、騎神ディバイドはライドブッカーをソードモードに変形させて防御。刀身で上手く攻撃を受け流す形となる。

 

「おやおや、駆け付けるのが妙に早いじゃないか。どうやって私の居場所を把握したのかね?」

 

「聞こえてきたのさぁ……祭囃子がよぉっ!!!」

 

「クク、どうやらそのようだね…!!」

 

ジョークも交えた後、二人によるライドブッカーとベノサーベルのぶつけ合いが繰り広げられる。

 

「ZEROの野郎、やっぱあいつもこっちの世界に来てやがったか…!!」

 

「どうする? これは助太刀すべきなのか、しないべきなのか…?」

 

「あいつは放置しても大丈夫だ、まずは他の怪人共を優先し…ッ!?」

 

『キシャアッ!!』

 

「どうぇい危ねぇっ!?」

 

兵士達と戦っている怪人達の退治に向かおうとしたファイズだったが、そんな彼に対しベノスネーカーが容赦なく毒液を吐き掛けて来た。ファイズはすんでのところで回避したが、毒液がかかった地面からはジュウジュウ音が鳴りながら煙を噴き出す。

 

「うぉいZERO!? テメェ俺達にまで攻撃すんじゃねぇよ!!」

 

「あぁん? 俺は戦って楽しけりゃそれで良いんだ、お前等の都合なんざ知った事かよ…!!」

 

「ちょ、お前って奴は…ぬぉわっ!?」

 

どうやら今の王蛇にとって、敵も味方も関係は無いようだ。その後もベノスネーカー達はウィザードやファイズ達だけでなく、両軍の兵士達と戦っていた怪人達にまで攻撃を仕掛け始める。

 

「くそ、あんにゃろう見境なしかよ!?」

 

「こうなったら仕方ないぜロキ。俺達もどうにか、対処するしかないっしょ…!!」

 

王蛇の身勝手な行動にキレかけるファイズをウィザードが宥めつつ、左手の中指にはめていたフレイムリングを別の黄色い指輪に変える。

 

≪ランド・プリーズ! ドッドッドドドドン・ドンドッドドン!≫

 

「ほんじゃ、掘り進んで行こうか!」

 

≪ドリル・プリーズ!≫

 

ウィザードは土の力を司る黄色の形態“ランドスタイル”へとスタイルチェンジ。右手の指輪を翳してドリルのように横回転し、地面を掘り進んで行く。

 

「チッ、何でこんな面倒な事になっちまったんだか…」

 

『キシャッ!!』

 

「へ?」

 

ベノスネーカーの軽く吐き掛けた毒液が、ファイズの右手に持たれていたファイズエッジの刀身部分に命中。刀身部分がジュウジュウ音を立てて消滅していき、ハンドル部分しか残らなくなった。

 

「おわ、溶けたぁーっ!?」

 

『ギシャアッ!!』

 

「へぶっ!?」

 

ファイズエッジの刀身が溶けて焦ったファイズを、ベノスネーカーは尻尾で容赦なく吹っ飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、少々面倒だな…」

 

「あぁん? 何を言ってやがる…!!」

 

王蛇と互いの剣をぶつけ合っていた騎神ディバイド。左手に持ったライドブッカーで王蛇のベノサーベルを受け止めたまま困ったように指で仮面を掻き、そんな態度が余計に王蛇を苛立たせている。

 

「いや何……私の目的はあくまで他の騎神であって、異世界から来たであろう君ではないのだよ。本当ならここまで構っている時間は無いのだが」

 

「関係ねぇな……俺は戦えればそれで良いんだよ!!」

 

「おっと、血の気の多い奴だ……少しくらい落ち着いたらどうかね?」

 

『アタックライド・サターンソーサリー!』

 

「何…ぬぐぉっ!?」

 

騎神ディバイドの右手から土星状のエネルギーが具現化され、そこから放たれた三つの斬撃型エネルギーリングが王蛇を襲う。王蛇が怯んだ隙に騎神ディバイドは大ジャンプし、騎神リュウガと騎神オーガの前に立つ。

 

「「!?」」

 

「これ以上長引くと、こちらも面倒になるのでね。この際撃破する順番は決めまい」

 

「ッ…騎神ディバイド!! お前は俺達が倒す!!」

 

≪GUARD VENT≫

 

召喚された龍の腹部を模した盾“ドラグシールド”を左手に装備した騎神リュウガは、右手に持っていたドラグセイバーを振り上げて騎神ディバイドに挑みかかる。

 

「ふふん、面白い」

 

『アタックライド・スラッシュ!』

 

「!? ぐ…ッ!!」

 

騎神ディバイドが放つ複数の斬撃を騎神リュウガはドラグシールドで防御し、その隙に騎神オーガがオーガストランザーを構えたまま飛び掛かる。

 

「僕もいる事を忘れるな!!」

 

「おっと、別に忘れちゃいないがねぇ…!!」

 

騎神リュウガと騎神オーガが同時に猛攻を加え続け、騎神ディバイドは攻撃を防御しつつ後方へと下がっていく。

 

「俺を無視するんじゃねぇっ!!」

 

≪STRIKE VENT≫

 

「「!?」」

 

そんな彼等に、王蛇はまたしても妨害を仕掛ける。左手にベノサーベル、右手にメタルホーンを構えた状態で騎神リュウガと騎神オーガの方へと襲い掛かる。

 

「く、邪魔をしないでっ!!」

 

「知るかよ…!! 俺は別に、お前等から始末したって良いんだ…!!」

 

騎神オーガの言い分にはまるで聞く耳を持たず、王蛇はメタルホーンでオーガストランザーを弾きつつベノサーベルで騎神オーガに攻撃を加える。

 

『キシャァァァァァァァァッ!!』

 

「な、く…!?」

 

一方で、騎神リュウガはベノスネーカーの襲撃を受けていた。ベノスネーカーの吐いてきた毒液を騎神リュウガはドラグシールドで防御。しかしその代償としてドラグシールドは跡形も無く溶けて消滅してしまう。

 

「くそ、盾が…!!」

 

「隙を見せてくれてありがとう」

 

「ッ!?」

 

『ファイナルアタックライド…ディ・ディ・ディ・ディバイドッ!』

 

王蛇とベノスネーカーに、気を取られたのがまずかった。いつの間にか離れた位置にいた騎神ディバイドが、ライドブッカー・ガンモードの銃口から強力なエネルギー光線を三人目掛けて発射する。

 

「チッ!!」

 

「な…ぐっ!?」

 

「ぬがっ!?」

 

逃げようとした騎神リュウガと騎神オーガだったが、王蛇がそれぞれ首元を掴んで離さず…

 

 

 

 

 

 

-ドゴォォォォォォォォォォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

エネルギー光線が、王蛇達に命中。爆発する際の煙で、中の様子は見えなくなる。

 

「む? はて、どうなったのやら…?」

 

煙が晴れていき、中から見えてきたのは…

 

「ぐ…が、は…!?」

 

「げふ、ぅ…!!」

 

「ハァァァァァァァァ…」

 

二人の騎神を盾代わりにし、無傷で済んだ王蛇の姿があった。攻撃が止んだ事を確認し、王蛇は盾代わりにした騎神達をその場に放り捨てる。

 

「な、騎神リュウガッ!?」

 

「騎神オーガ!?」

 

「なるほど。脳筋のようで、実は頭が回るか」

 

「ごちゃごちゃうるさい奴だ……もっと俺と戦えよっ!!」

 

「やれやれ、異世界の騎神は手がかかる…」

 

王蛇はコブラを模した杖型召喚機“ベノバイザー”を振るい上げるも、騎神ディバイドは相手をせずに倒れた騎神リュウガと騎神オーガの下まで移動する。

 

「まぁおかげで、私の計画はまた一歩進んだという訳だ。二度も協力してくれて感謝するよ?」

 

「キシャシャシャアッ!!」

 

騎神ディバイドが指を鳴らし、それを合図にホエール・ドーパントが駆け付けて来た。ホエール・ドーパントは口を開き、騎神リュウガと騎神オーガを同時に吸収してしまった。

 

「な、騎神リュウガッ!?」

 

「ば、馬鹿な……騎神オーガが…!?」

 

それぞれ騎神を倒される形となってしまったシンゲンとケンシンは、その場に膝を突いて落胆。しかしそんな彼等の事など、騎神ディバイドは気にも留めていない。

 

「さて、騎神はこの場にまだもう一人いるようだが……まぁ良い。二人同時に確保しただけでもかなりの収穫だ、今回はこの辺で引き上げるとしよう」

 

「あ? おい待て、逃げずに俺と戦えっ!!」

 

≪ADVENT≫

 

騎神ディバイドとホエール・ドーパントはククルカンに飛び乗って去って行き、王蛇もすかさずエイ型の契約モンスター“エビルダイバー”を召喚し、それに飛び乗って後を追って行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい!? 二人一気にやられちまったぞ!?」

 

「あぁもう、何を余計な事をしてくれてんだよZEROの奴…!!」

 

騎神ディバイドが騎神達を撃破してしまった事を察知したファイズとウィザード。しかし残った両軍を襲おうとしている怪人達がまだ残っている為、今はそちらの退治を優先しなければならない。

 

「どけ、邪魔だ!!」

 

「ヌァッ!?」

 

杖で防御しようとしたアルター・ゾディアーツだったが、ウィザードはウィサーソードガンでその杖ごと一閃。その横では兵士達に攻撃しようとしていたバクラーケンをファイズが蹴り飛ばしている。

 

「くそ、数が多過ぎる…!!」

 

敵の数が多過ぎる事に、ファイズが思わず舌打ちしたその時…

 

-ボゴォォォォォォンッ!!-

 

「「「「「!?」」」」」

 

突如、とある方向から何発もの光弾が飛んできた。光弾は怪人達を次々と粉砕していき、リュウガ軍やオーガ軍、更にグレイブ軍にまで襲い掛かる。

 

「ちょ、おい!? 何だよこの攻撃はよ!?」

 

「ッ…見ろ、ロキ!! あいつだ!!」

 

「え……何じゃありゃ!?」

 

光弾の飛んできた方向を見て、ファイズは唖然とした。

 

「ムゥン…ハァッ!!!」

 

その方向からは、崖の上に立っている騎神アークがいたからだ。騎神アークは額の青い宝石部分から何発もの光弾を発射しており、彼等に容赦なく攻撃を仕掛けてきている。

 

「ユキムラ様!! このままでは我々も巻き込まれます、一度撤退しましょう!!」

 

「ッ…シンゲン殿!!」

 

「あ、あぁ、分かっておるわ……全員、引き上げいっ!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

騎神グレイブの提案を受けたユキムラは未だ落胆していたシンゲンに確認を取り、シンゲンも落ち込んでる場合ではないと判断しリュウガ軍の兵士達に撤退命令を下し、この場からの逃走を図る。

 

「ケンシン様、我々も撤退しましょう!! 騎神オーガを討ち取られてしまった以上、我々にはもう勝ち目がありません!!」

 

「く…本来なら逃げるのは主義に反するけど……やむを得ない、撤退だ!!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

流石のケンシンも勝ち目が無い事は分かっているのか、すぐにライオトルーパー達を率いて撤退していく。

 

「ロキ、俺達も撤退するぞ!!」

 

「くそ、しょうがねぇ…!!」

 

ウィザードとファイズもグレイブ軍やリュウガ軍と合流し、消え去るように戦場から撤退していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、騎神アークは光弾の発射を止めずに怪人達を攻撃し続けていた。

 

「その辺にしておけ、騎神アークよ」

 

「…!」

 

騎神アークの隣に、馬に乗ったノブナガがやって来た。彼の指示で騎神アークは攻撃を止め、ノブナガの後ろからはランマルやミツヒデ、アーク軍の兵士達も続く。

 

「うっはぁ、すげぇ光景だな…」

 

「地獄絵図だな。まさに」

 

「……」

 

そしてBlazや蒼崎、そして二百式もアーク軍と同行していた。彼等も同じように、崖の上から爆発し続けている戦場を見渡している。

 

「リュウガ軍とオーガ軍も、それぞれの騎神を騎神ディバイドによって討ち取られた模様。今なら両軍の領地を攻め落とす事も、そう難しくはないかと思われます」

 

「ふむ……騎神ディバイド、やはり奴はアレを…」

 

「ノブナガ様…?」

 

「いや、何でもない……総員、撤退しろ。一度城に戻り、リュウガ軍とオーガ軍の領地を攻め落としに向かう」

 

ノブナガの指示で、騎神アークやアーク軍の兵士達は城まで撤退していく。

 

(……)

 

ミツヒデは馬に乗っているノブナガの後ろ姿を見据えながらも、何も言わずに他の兵士達と共に城まで戻っていく。

 

「さて、俺達も城に戻るかね」

 

「そうするか。やれやれ、何の為に俺達はここに連れて来られたんだか…」

 

「……」

 

蒼崎とBlazも立ち去ろうとする中、二百式は爆発による煙が上がっている戦場の方を眺めていた。

 

(誰か仲間がいたような気がしたが……俺の気の所為か…?)

 

「お~い、二百式~?」

 

「…あぁ、今行く」

 

何となく旅団メンバーがいたように感じ取れた二百式だったが、Blazに呼びかけられすぐに帰還しようとしているアーク軍の下まで駆け寄っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撤退していったグレイブ軍の中に、ロキとハルトがいた事にも気付かないまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、楽園(エデン)で待機中のメンバーは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、これがウズメちゃんの分だよ」

 

「あ……ありがとうございます」

 

食堂にて留守番組のメンバー達は、アスナが厨房を借りて作ったアイスクリームを分け合っているところだった。もちろんFalSig達によって助け出された少女―――ウズメにもバニラ味のアイスが適した分量で分け与えられ、彼女も嬉しそうにそれを受け取る。

 

「しかし美空ちゃんとウズメちゃん、ここまでそっくりだと見分けるのも本当に大変だな」

 

「だから二人共、それぞれ違う色のリボンを着けてあげたんじゃないか。美空ちゃんが赤、ウズメちゃんは青って感じでさ」

 

「あ、あの……見分けにくくてすみません」

 

「すい、ません…」

 

「いやいや、二人が悪いんじゃないよ!?」

 

「そうだそうだ。悪いのは二人じゃなくて、他でもないお前だぞFalSig」

 

「ちょ、一回言っただけでそこまで怒られんのか俺!?」

 

まぁFalSigの言う通り、先程までは美空とウズメの容姿はそっくりな為に見分けがつけられない状況だった。現在は美空が赤いリボンを、ウズメが青いリボンをつける事でどうにか見分けがついている。ちなみにこのリボンは咲良から借りたものであり、貸した本人からは「二人共可愛いよ~♪」という可愛らしい感想を受け取っている。

 

「しかし、アイツ等本当に遅ぇな。捜索組のメンバーが出撃してから、もう三日は経ってんぞ?」

 

「気長に待つしかないだろうさ。あの空間の裂け目とやらが、一体いつ何処に出現するのかもまだ分からない状況なんだし」

 

そう言って、awsが食べ終わったアイスを厨房まで持っていこうとしたその時…

 

 

 

 

 

 

「ガウッ!!」

 

 

 

 

 

 

「…へ?」

 

大きな犬のような生物が一匹、awsの背後から飛び掛かって来た。

 

「え、ちょ……へぶしぃっ!?」

 

「「「awsさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」」」

 

「あっちゃあ、勝手に飛び掛かっちゃ駄目だってウインディ!」

 

突如飛び掛かって来た生物―――ポケモン“ウインディ”によってawsは床に思い切り押し倒され、そのまま押し潰されてしまった。awsに乗りかかったウインディの背後から一人の少女の声が聞こえてきた。

 

「! フィアレスちゃん?」

 

「あ、アスナちゃんじゃん! ヤッホー!」

 

ウインディの背後からヒョコッと顔を出したのは、天使のように可愛らしい容姿を持った背の低い少女だった。少女―――フィアレスはアスナに返事を返し、ウインディの背中から降りて床に着地する。

 

「ほぇ~。珍しいね、フィアレスちゃんが楽園(エデン)までやって来るなんて」

 

「いやぁ~暇な時間が出来ちゃったもんだからさ、ちょこっと寄っちゃったのよ。ちなみに来たのは私だけじゃないよ?」

 

「…どうも、です」

 

「あ、ユイちゃんだー!」

 

「…こんにちは」

 

大人しめな雰囲気を持った少女―――ユイ・アカツキがウインディの背中から床に降り立ち、メンバー達に挨拶した。咲良は嬉しそうにユイの足元に抱きつき、ユイも満更でもなさそうな表情で咲良を両手で抱き上げる。

 

更に…

 

「あ、どうもこんにちは」

 

「ほう、久しぶりに見る顔がいっぱいだな」

 

「あ、リリィさんこんにちは~!」

 

「んげ、白蓮さん!?」

 

どうやらロキのパートナーであるリリィと、げんぶの妻である白蓮も来ていたようだ。こなたは元気良くリリィに挨拶したのに対し、FalSigは白蓮を見て嫌そうな表情をする。

 

「む、何だねその目は。まるで私に来て欲しくなかったかのような表情だな」

 

「いやだってさぁ。白蓮さんに能力なんか発動されたら、俺の能力が全く役に立たなくなっちゃうじゃないですか~…」

 

「それはそうだろう? 何せお前の能力は、私にとっては全然普通じゃないのだからな(・・・・・・・・・・・・・)

 

「?」

 

白蓮の説明についてクエスチョンマークを浮かべるこなただったが、ここである事に気付く。

 

「あれ? そういえば蓮ちゃんはどうしたんですか?」

 

「あぁ、蓮かい? 今日から小学校の修学旅行だったからね、今はいないよ。少なくとも三日間は帰って来ないだろうね……あ、そういえば耕也は今どうしてるんだい?」

 

「あ、あぁ……げんぶさんは今…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ここにはいない!?」」」」

 

「あ、あぁ……一応、そういう事にはなる…」

 

ウインディの足元からどうにか抜け出したawsが、来たばかりのフィアレス達に事情を説明する。説明された側は驚きを隠せず、無表情のユイですら少しだが目を見開いている。

 

「とにかく。その裂け目とやらがこの次元世界の何処かに出現しない限り、探しに向かう事も不可能な状態って訳だよ」

 

「なんてこったい、レイは今ここにはいないってのか…」

 

「キリヤさんも…」

 

「はぁ……耕也の奴め、何の連絡もしないで…」

 

「その裂け目が見つかれば話は別なんだろうけどさ、そう都合良く見つかる訳が―――」

 

『皆さん、聞こえますか!!』

 

「ブフゥーッ!?」

 

言いかけていたところで、イーリスから通信が入ってきた。ガルムは口に含んでいたチョコ味のアイスを盛大に噴きつつ、通信に出る。

 

「ゲホ、ゲホ……何、どうしたのイーリスちゃん?」

 

『至急、ミッドチルダに向かって下さい!! 例の怪人達が出現しました!!』

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドチルダ、首都クラナガン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁ怪物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

「キャァァァァァァァァァッ!!」

 

「「「「「グルァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」」」」」

 

街中にて出現した、複数のミラーモンスター達。逃げ遅れた民間人は、デッドリマーの銃で容赦なく背中を狙い撃ちにされたり、ソロスパイダーが吐いた蜘蛛の糸に捕まってそのまま捕食されたりと、被害はかなり酷くなっていっている。

 

しかしそんな状況の中でも、無謀な挑戦をする愚者は存在していた。

 

「ハッハァッ!! 湧いて来やがったな、雑魚共が!!」

 

管理局の魔導師―――イーディル・クレッソがモンスター達の前に立ち塞がった。彼はバリアジャケットにデバイスを構えた状態で、モンスター達は一斉に警戒態勢に入る。

 

「残念だったな怪物共……テメェ等はこの俺がぶっ潰して、なのは達を俺に惚れさせる計画の礎とさせて貰うぜっ!!」

 

そう言いながら自信満々にデバイスを構える彼は、実は不正転生者の一人である。この怪人達を倒す事でミッドチルダのヒーローとなり、自分が好意を抱いている人物達を自分に惚れさせようと企んでいるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

しかしそんな計画が、この状況で都合良く完遂出来る筈など無いのである。

 

 

 

 

 

 

-ブゥゥゥゥゥゥン…-

 

 

 

 

 

 

「あん?」

 

今回も、謎の赤い結界が街中に張られる。しかしクレッソ自身は、まだこの結界の効果を知らない。

 

「はん、それがどうしたぁっ!! 行くぜ、エクスカリバァーッ!!!」

 

クレッソは何も気付かないまま余裕の笑みを浮かべ、怪人達に向かって右手を翳す。

 

が、もちろん…

 

「…な、お、おい!? 何で出ねぇんだよ!! この…ッ!?」

 

能力は何も発動しなかった。それどころか彼の纏っていたバリアジャケットも解除され、管理局の制服姿に戻ってしまう。

 

「ちょ、おい!? 何でバリアジャケットが……おい、反応しやがれクラヴィス!! 何か言えよポンコツがっ!!!」

 

クレッソは自分のデバイスを何度も叩くが、デバイスは何の反応も示さない。「くそっ!!」とクレッソが舌打ちしたその時、何体かのミラーモンスター達が彼に接近し始めていた。

 

「「「グルァァァァァァァ…!!」」」

 

「ひっ!? お、おい待て、やめろって!!」

 

クレッソは反応を示さない自身のデバイスを思い切り投げ付けたが、モンスター達にとってそれは何の足止めにもならなかった。

 

「俺はオリ主だぞ!? 主人公なんだぞ!? こんなところでで死ぬ訳にはいかねぇんだ!! なのにこんな所でくたばって……おい待て、やめろ!! 来るな…来るなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

能力が使えないと分かった途端、急に命乞いをし始めるクレッソ。しかし人間の命を主食としているミラーモンスター達が、彼の命乞いに耳を傾ける筈も無かった。

 

「グルルルルル……グルァッ!!!」

 

「「「キシャァァァァァァァァァッ!!!」」」

 

「い、嫌だ、やめ……ぐが、ぁ、が…あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

最初にワイルドボーダーが飛び掛かった事で、他のモンスター達もそれに続く。クレッソの断末魔が上がる中で、モンスターに肉を食い千切られていく音だけが無残に響き渡る。

 

「グルルルルル…!!」

 

数分後、そこにはもはや肉片すらも残ってはいなかった。ワイルドボーダーやその他のモンスター達は満足したように唸り声を上げる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おうおう、こりゃまた酷ぇ状況だなぁおい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ズドドドドォンッ!!-

 

「「「「「ガルゥッ!?」」」」」

 

その時、モンスター達にメダル状の銃弾が何発も命中した。モンスター達が怯む中、バースバスターを構えたFalSigが駆け付けて来た。その後方からはこなたやアスナ、フィアレスやユイ、更に白蓮も駆け付ける。

 

「「「「「グルルルル…!!」」」」」

 

「おやまぁ怒ってらっしゃる……んじゃ、行きましょっかねぇ?」

 

「行かなかったら行かなかったで、俺達が団長さんに怒られちまうしなぁ」

 

「大変だねぇ、アンタ等OTAKU旅団も…」

 

FalSigはバースドライバーを巻き付け、こなたはダークカブトゼクターをキャッチし、アスナはカードデッキを構えて変身ポーズを取る。

 

「「「変身!!」」」

 

『カポーン!』

 

≪HenShin≫

 

FalSigはバースに、こなたはダークカブトに、アスナはファムに変身。それぞれの武器を構えてモンスター達に突撃していく。

 

 

 

 

 

 

「なるほど、これがガルム君達の言ってた奴等かい……それじゃユイ、行けるね?」

 

「…もちろん」

 

≪Stunding by≫

 

ユイは一本のベルト“サイガドライバー”を腰に装着、サイガフォンの『3』『1』『5』の順番に数字を押してからエンターキーを押し、閉じたサイガフォンを軽く宙に投げてから再びキャッチする。

 

フィアレスは目を閉じたまま大きく息を吐き、目を開くと同時に両手を前でクロス。すると彼女の真横に、緑の体色を持った生物感溢れる異形の影が重なる。

 

「「変身…!!」」

 

≪Complete≫

 

サイガフォンがベルトに装着され、ユイは『Ψ』の意匠を持った空の帝王“仮面ライダーサイガ”に、フィアレスはアギトの不完全態とも言える異形“仮面ライダーギルス”に変身した。

 

「It's show time…!!」

 

「行こうか……グルァァァァァァァァァァッ!!」

 

サイガは左手の親指で自身の首を掻き切るような仕草をし、ギルスは両腕を広げて高らかに吠えてからモンスター達に突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

「えぇっと、私はこれを使えば良いんだった…なっ!!」

 

「ヴェウッ!?」

 

一体のシアゴーストを蹴り飛ばした白蓮は竜の紋章が刻まれたカードデッキを突き出し、自身の腰に銀色のベルトを装着。右腕を斜めに突き出す変身ポーズを取る。

 

「変身!!」

 

カードデッキをベルトに差し込み、白蓮は竜の意匠を持った赤き鉄仮面の戦士“仮面ライダー龍騎”への変身を遂げる。

 

「…しゃっ!!」

 

拳を握り、龍騎も同じようにモンスター達に向かっていくのだった。

 


 
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