No.658869

九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~

竜神丸さん

第9話

2014-01-30 18:00:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1044   閲覧ユーザー数:656

現在、楽園(エデン)では…

 

 

 

 

 

「さぁて、次はどんな武装を作っちゃおっかな~?」

 

awsと共に留守を任されたガルムは、研究室にて機体に装備する為の武装を技術スタッフと共に開発している真っ最中だった。現在はほとんどのメンバーが異世界に向かって行ってしまった為、留守番の彼はこうして暇な潰している訳である。

 

「ガルムさん、後は私達だけでも大丈夫です」

 

「先に休憩しちゃってもOKですぜ?」

 

「あ、そう? んじゃお言葉に甘えて、ちょいと休憩させて貰うぜ」

 

部下の技術スタッフ一同にそう言われた事で、ガルムは遠慮なく休憩する事になった。ちょっとばかりコーヒーでも飲もうかと思った彼は、一直線に食堂まで向かう。

 

「む、ガルムか」

 

「お? awsじゃん」

 

食堂までの道のりで、awsとも合流した。彼もちょうど食堂まで向かうようだ。

 

「awsも食堂に行くのか?」

 

「あぁ。トレーニングも終わった事だしな、そろそろ昼食でも取ろうかと思って」

 

「昼食かぁ……よし、んじゃ俺も休憩ついでに昼食でも食べちゃおっかな…」

 

「「「お~い!!」」」

 

「「ん?」」

 

そこへちょうど、FalSig達も帰還して来たようだ。

 

「大変だ大変だ~い!!」

 

「二人共、ちょっとこっち見てみてよ!!」

 

「何だ? 妙に騒がしく叫んでる、な…」

 

「ん? 急に黙ってどうし、た…」

 

ガルムとawsはFalSig達の方を振り返り……そして絶句した。

 

「ほらほら、そっくりでしょそっくり!!」

 

「凄いでしょ!! 正直私達もビックリだよ!!」

 

「…ヤケにテンション高いわねアンタ達」

 

「わ~い♪ 美空ちゃんが二人~♪」

 

「「あ、あの……えっと…」」

 

 

 

 

 

 

そこには、それぞれ服装の違う美空が二人いたのだから。

 

 

 

 

 

 

「「…美空ちゃん、いつの間に分身の術を覚えたの?」」

 

二人がそう突っ込みたくなるのも、無理は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇっとつまり、君はとある事情で怪人達に追われていたって事か」

 

「んで、その追われている理由については明かせない、と」

 

「…はい」

 

その後は食堂にて、美空そっくりの少女はアスナから借りた服に着替えてからガルム達に事情を説明していた。といっても何故自分が追われているのかについては、頑なに話そうとはしない。

 

「怪人達に追われてるねぇ……まさか、裏で敵と通じて―――」

 

「馬鹿な事は言うもんじゃないよ」

 

「え、ちょ、今の一言だけで殴られんのか俺は」

 

最初は疑っていたガルムも、同じく話を聞いていたこなたによって拳骨を食らう。しかし身長が低い所為で頭に届いてないのはご愛嬌である。

 

「まぁ何にせよ、敵と通じてる可能性は無いだろうな。もし彼女が敵なら、この楽園(エデン)に来た時点ですぐに見破られていただろうしな」

 

「あぁ、竜神丸の部下のイーリスさんだっけ? 確かあの娘、他人の心が読めるんだっけ? むしろその方が早くないか?」

 

「プライバシーの侵害だぞ馬鹿者」

 

「痛だぁっ!? ちょ、おま、刀の鞘で殴んのは反則だろうがよ…!!」

 

今度はawsによって刀の鞘で殴られ、痛そうに後頭部を押さえるガルム。そんな彼を他所に、アスナはその少女の頭を撫でる。

 

「とにかく。何か事情も深そうだし、少しの間だけでも泊めてあげたら? 今はほとんどのメンバーがここにいないしさ」

 

「まぁ別に構わんだろう。幸い、今は口うるさいメンバーもここにはいないし」

 

(デルタさんと竜神丸さんの事ですね、分かります)

 

FalSigは脳内で二人の姿を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はぁっくしゅん!!」」

 

この時、異世界にてその二人がタイミング良くクシャミをしたのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というか、こういう状況に限って……我等が団長は、外出していて不在なんだよなぁ」

 

そう。現在クライシスは外出してしまっている為に、この楽園(エデン)にいないのだ。外出する前にガルム達に「少しだけ出てくる」と告げて以降、彼との連絡は全く取れない常態になっているのだ。

 

「全く、今回は一体何処に出掛けたのやら…」

 

「団長が突然いなくなる事など、いつもの事だ。それに美空ちゃんがここに滞在する事だって普通に許可してくれたんだ、一人か二人増えたくらいでは何の文句も言わんだろうよ」

 

「あの……ありがとうございます。わざわざ泊めさせてくれるなんて…」

 

「礼を言う程でもないさ。しかしここまで美空ちゃんそっくりとは……なるほど、俺達が思っている以上に、世界というのは広いようだ」

 

awsが美空と美空そっくりの少女を交互に見て、見られている二人は若干だが恥ずかしそうに顔を赤らめている。

 

「awsさん?」

 

「あぁ、安心しろ。手を出すつもりなど微塵も無い」

 

こなたがギラリと目を光らせた為、awsはすぐに視線を逸らす。awsにとっても、やはり女の子は怒らせるとかなり怖いようだ。

 

「…ん? そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」

 

「あ、すいません。自己紹介が遅れてしまいました…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、ウズメと言います。よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、戦獄の世界では…

 

 

 

 

 

 

 

(全く、一体誰が噂してるんでしょうか…?)

 

デルタは誰かが自分の噂をしてるのではないかと推測しつつ、ティッシュで鼻水を拭き取る。

 

現在のデルタ達は、森で合流したリュウガ軍の面々と共に、リュウガ軍の領地まで向かっているところだった。リュウガ軍の後にグレイブ軍が続くように移動しており、それぞれ先頭と最後尾は騎神リュウガと騎神グレイブが周囲を見張りながら移動。旅団メンバー達とユキムラ、シンゲンの八人は装甲車に乗っている。

 

「では、やはりそちらの領地でも…」

 

「相も変わらず、怪物共が我々の領地を荒らしてくれよる。それも、戦続きで人手が不足している時に限って起こっておる。これも全てあの騎神ディバイドの仕業に違いないわい」

 

どうやらシンゲン達リュウガ軍も、騎神ディバイドが解き放っていると思われる怪人達の対処には困っているらしい。実際先程も、グレイブ軍や旅団メンバーの助太刀がもう少し遅ければ、かなり危ない状況だったのだ。

 

「そんな状況だったからこそ、そなた等には感謝しているぞ。異世界の騎神達よ」

 

「い、いえ! そこまで礼を言わなくても…」

 

「てか、そんなに頭を下げて謝らなきゃ気でも済まないんかい」

 

「いやいや!! 感謝しているからこそ、するべき礼はきっちりしておかなければならん!! そんなのは今回に限った話ではない!! 何事も、するべき時にしっかり礼をするのが一番なのだ!!」

 

「は、はぁ…」

 

「すげぇな、ディアを怯ませてんぞ」

 

シンゲンのとてつもない迫力に押され、若干だが怯んでしまったディアーリーズ。そんな様子を端で見ていたokakaは関心し、ユキムラも思わず苦笑する。

 

「ほほう。流石はリュウガ軍の武将、すげぇ真面目だな」

 

「ユキムラさんの真面目さも、シンゲンさんの性格からきてるのかしら?」

 

「ははは、その通りだよ。私もシンゲン殿から色々な事を教わった。私にとって、一番の恩人だ」

 

「うむ!! かつてのユキムラも、なかなかに真面目で強き心を持っておった。不真面目な若者に見習わせてやりたいものだ」

 

(おぉう、何かちょっと暑苦しい気がするぜ…)

 

「ガッハッハッ!」と高笑いするシンゲンに対してロキが若干の暑苦しさを感じている中、デルタは一枚の手紙らしき物を読んでいた。

 

「んあ? デルタさんよ、さっきから何を読んでんだ?」

 

「あぁはい。実は移動する少し前に、一羽のハトがこれを届けに来たんですよ」

 

「「「「「ハト?」」」」」

 

「えぇ。内容は何やら、リュウガ軍に対する果たし状みたいな感じでして」

 

「ほほう、そうかそうか。我々への果たし状か―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「果たし状だとぉっ!!?」

 

「「「「「うるせぇよっ!?」」」」」

 

シンゲンは声を大きく張り上げて驚き、ロキ達もあまりの煩さに思わず耳を塞ぐ。

 

「えぇ。どうやら、オーガ軍とかいう勢力から届けられたようですよ」

 

「オーガ軍……そうか、ケンシンか!!」

 

デルタが持っていた手紙をシンゲンが受け取り、内容を読み上げる。

 

「『長き因縁に決着をつけてくれよう カワナガジマにてリュウガ軍の到着を待つ   オーガ軍 上杉ケンシン』…ぐぬぬぬぬぬぬぬ!! ケンシンめ、今度こそ引導を渡してくれようではないかぁっ!!」

 

手紙をグシャグシャを破り捨てて吼えるシンゲンを放置し、アキがユキムラに問いかける。

 

「ねぇ、ケンシンってのは誰の事かしら?」

 

「ケンシン……オーガ軍の武将だよ。シンゲン殿が率いるリュウガ軍とは何度も剣を交えているけど、まだ決着がついていない状況なんだ」

 

「なるほど。因縁の宿敵同士って訳か」

 

(ふぅん、この辺は史実と一緒なんだな。川中島と言い…)

 

ロキがそんな事を考えていたその時…

 

「ユキムラ様!!」

 

「!」

 

「「「「「うわビックリした!?」」」」」

 

突然一人の忍者が装甲車の上に姿を現し、デルタ以外の五人はいきなり現れたその忍者に対して驚きの反応を見せる。

 

「サスケか、何故ここへ?」

 

「はっ! ユキムラ様にご報告したい事があります!!」

 

ユキムラの部下と思われる忍者―――猿飛サスケは、口を開きある事を告げる。

 

「東の領地にて、騎神ソーサラーが騎神ディバイドに討ち取られました!!」

 

「騎神ソーサラーが!?」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「その際、何やら見た事の無い騎神が戦に乱入し、騎神ディバイドが騎神ソーサラーを討ち取る手助けをした模様!!」

 

「何、見た事の無い騎神とな!?」

 

「サスケ、特徴は分かるか?」

 

「はっ! 目撃した部下の話によりますと、その騎神は全身が紫色で蛇のような特徴を持ち、何やら妙に苛立っている様子で…!!」

 

「…ん?」

 

サスケが告げた特徴に、okakaは覚えがあった。

 

(ま、まさかな…)

 

「更にその騎神は騎神リュウガと同じ力を使い、巨大な蛇と妙な犀を同時に操っていたとの事です!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁやっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「うぉい!? 急に叫んでどうしたんだokaka!!」

 

やっぱり覚えがあったのか、okakaは自分の頭を押さえながら嘆き出した。

 

「間違いねぇ、たぶん王蛇の事だ!! それにさっき言ってた特徴、明らかにZERO以外思いつかねぇよ!!」

 

「あ、あぁそうか。ZEROの事か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ZERO(さん)だとぉっ!!?」」」

 

ロキやディアーリーズ、ハルトも同じく声を上げて驚いてみせる。これには流石のデルタも目を見開いて驚いた表情になる。

 

「ど、どうしたんだい? 急に声を荒げて」

 

「あ、あぁ……実は…」

 

okakaは頭を抱えながらもユキムラ達に、その騎神は自分達の仲間かもしれないと説明する。

 

「…じゃあ、君達の仲間もこの世界に!?」

 

「はい、そういう事になりますね…」

 

(仲間って割には、味方にも容赦ねぇけどな…!!)

 

「ふむ……もし本当にそなた等の仲間なら、あの噂も本当だったのやも知れぬな」

 

「? シンゲンさん、あの噂って…?」

 

「うむ。実は昨日の夜から、何人かの新たな騎神がアーク軍の領地の外れで目撃されたという噂がこちらでも流れてるのだ。最初はそんな話はあり得ないと思っておったが…」

 

「ロキさん、それって…!!」

 

「あぁ、間違いない……他の皆も、こっちの世界に来てる!!」

 

「「「「!!」」」」

 

旅団の仲間達も、こちらの世界に来ている事が確信してきた。そうと決まれば、何時までものんびり過ごしている訳にはいかない。

 

「シンゲンさん!! アーク軍の領地って、どうやって行けますか!?」

 

「う、うむ。少し待て、地図を出そう」

 

シンゲンは懐から地図を取り出し、それを広げて全員に見せる。

 

「我々リュウガ軍の領地から、北東に向かった先だ。それほど遠いという訳ではないが、それでも歩いて行くとなればかなり距離になる。時間もかかり過ぎてあまり効率的ではないぞ?」

 

「その辺は心配無用!」

 

≪コネクト・プリーズ≫

 

ハルトは魔法陣を使い、まず自分の専用バイクである“マシンウィンガー”、そしてファイズの専用ビークルである“オートバジン”を出現させる。

 

「おぉ、オートバジンまで!」

 

「それくらいの道のりなら、乗り物さえありゃ時間もかからんだろうよ!」

 

「とは言っても、どうするのだ? あくまで噂で聞いただけの話だ、本当に来ているかどうかは分からんぞ?」

 

「可能性がどれだけ低かろうとも、それは何もしなくて良い理由に繋がりません。僕達の仲間もこの世界に来ているかも知れないのであれば、僕達が動かない訳にはいきませんよ」

 

「いよ、言ってくれるねぇウル!」

 

「全くよ。ウルが何もしないなんて言ったら、今頃私が散々弄ってるわよ?」

 

「…今も十分弄ってくる癖に」

 

「あら、何か言ったかしらウル?」

 

「イエ!!何デモアリマセン、アキサマ!!」

 

(アキ様…?)

 

アキが一瞬だけ見せた阿修羅オーラに、ディアーリーズは素早く敬礼し片言で返事を返す。

 

「ふむ、そうか。では我々も協力しない訳にはいかんな、ユキムラよ?」

 

「はい。私達も彼等に、協力しなければいけませんね……皆さん、もう一度地図を見て下さい」

 

ユキムラは地図に描かれている騎神の紋章の内、スペースシャトルのような紋章を指差す。

 

「南の領地はモトナリ殿が率いる、なでしこ軍によって統括されている。なでしこ軍は他の勢力とは違って非戦派だ、事情さえ話せば仲間の捜索に協力してくれるかも知れない」

 

「ユキムラさん、情報をありがとうございます!」

 

「では、ここからは三手に分かれましょう」

 

ここでデルタが提案する。

 

「ロキさんとハルトさんは、ユキムラさん達の下で待機。ディアーリーズさんとアキさんは、そのなでしこ軍の下まで向かって下さい。私とokakaさんで、アーク軍の領地まで向かいます」

 

「うし、それで決まりだな!」

 

「おっと、言い忘れとったわ。アーク軍の領地に向かうのであれば、あまり騒ぎを起こさないよう気をつけるのだぞ」

 

「? 騒ぎを起こすと、何かまずいのか?」

 

「今のアーク軍は、どの勢力よりも一番規模が大きく状態だ。ヒデヨシの率いるエターナル軍やミツナリの率いる歌舞鬼軍を傘下に収め、より強力な軍隊と化しつつある」

 

「ッ!?」

 

シンゲンの台詞を聞いて、ロキが気付いた。

 

「まさか、アーク軍の武将って……織田信長か!?」

 

「な、信長だと!?」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「む、知っておったのか。確かにアーク軍を率いておるのは、武将ノブナガだ。そして…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「民達から、魔王(ロード)という二つ名で呼ばれておる男だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そのアーク軍の城では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「……」」」

 

ランマルよって連れて来られた二百式、蒼崎、Blazの三人が、唖然とした表情になっていた。

 

「…魔王の城かよ、ここは」

 

Blazが呟いた通り、城の内部構造は明らかに戦国時代には合わないものだった。通路には綺麗な赤いカーペットが敷かれており、天井には立派なシャンデリア、通路や部屋のあちこちで西洋らしい甲冑を纏っている兵士達、そして三人の目の前には王族が座るような金製の玉座。完全に洋風の城というイメージが強くなっている。

 

「…ねぇ、ランマルちゃんや。何この豪華な城は」

 

「あぁ、城の内部は全てノブナガ様がデザインしたものだ。どうだ? とても豪華だろう」

 

(((全部ノブナガがデザインしたのかよ!?)))

 

「む、何か無礼な事を考えなかったか?」

 

「「「いえ、何でもありません」」」

 

ランマルがギロリと睨み付け、三人は即座に否定する。

 

(おい二百式、何で俺達はこんな所まで連れて来られてんだよ!?)

 

(俺に聞くな。そもそも本来は付いて行く予定なんて無かったんだ、それなのに…)

 

「はぁ……それにしても、ランマルちゃんは可愛いなぁ~♪」

 

((この女好きが、付いて行くなんて言うから…!!))

 

二百式とBlazがジト目で見ているのを他所に、蒼崎はランマルに対してベタ惚れ状態。ちなみにランマルは蒼崎のそんな状態には気付いていない。

 

「む、ランマルさん? いつの間に戻って来たので?」

 

「「「!」」」

 

そんな彼等の前に、眼鏡をかけた茶髪の青年が姿を見せる。

 

「ミツヒデか。ちょうど戻ったところだ」

 

(ミツヒデ…?)

 

(明智光秀の事だろうよ。織田信長に仕えていた武将だ)

 

(な~んだ、男か…)

 

地球の歴史をよく知らないBlazに二百式が説明し、蒼崎は興味無さ気にそっぽを向く。

 

「? ランマルさん、その人達は…」

 

「村の民を救ってくれた者達だ。どうやって救ってくれたのかまではまだ聞いていないが…」

 

「あぁ、救った方法はこれだよんっと」

 

≪Henshin≫

 

「あ、馬鹿!!」

 

≪Change Beetle≫

 

「「「「「!?」」」」」

 

「あっちゃ~…」

 

「遅かったか…」

 

ランマルに教えようとした蒼崎はBlazの止める声を無視し、ケタロスに変身してアピール。ランマルとミツヒデ、城の兵士達は蒼崎が変身した事に驚き、Blazと二百式は「やってしまったか」と言いたげに溜め息をつく。

 

「な、騎神に変身した!?」

 

「じゃあ、村に出た怪物を仕留めたのも…」

 

「その通りだよ~」

 

ランマルの疑問に答え、ケタロスはすぐに変身を解除して蒼崎の姿に戻る。

 

「俺達はこれであの怪物共を倒したって訳さ♪」

 

「あぁもう、この馬鹿は…!!」

 

蒼崎がランマル達に対してペラペラと喋ってしまい、二百式がそんな彼に対してとうとう頭まで抱え始めたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、他にも騎神が存在していたとはなぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!!」」」

 

ドスの利いた、低くて渋い声が聞こえてきた。

 

「「!! ノブナガ様…!!」」

 

ランマルとミツヒデ、兵士達は声のした方に素早く跪く。

 

「!? ノブナガだと…」

 

二百式達が声のした方向に振り返った先から、一人の人物がこちらまで歩いて来ていた。二百式達はその人物を見て、素早く身構える。

 

「ふ、そう身構えるな……取って喰らう訳ではないぞ?」

 

西洋の騎士を彷彿とした甲冑、背中には大型の両手剣。後ろに結んでいる長い黒髪や、無精髭を生やした強面の男。何よりも、その風格は通常の人間とは明らかに違う、支配者のような存在感を醸し出している。

 

(この男が、ノブナガ…!!)

 

目の前からやって来ている人物の強大な威圧感に押された影響からか、二百式達はすぐに構えを解く事が出来なかった。先程までランマルにベタ惚れだった蒼崎も急に真剣な表情になり、Blazに至っては何時でも構えられるようサソードヤイバーに手をかけている。

 

「ッ…な、何だ!?」

 

「な…!?」

 

「…うっそぉん」

 

現れた男の後方から現れた大男に、二百式達は唖然とした。

 

「ヌゥン…!!」

 

「…でか」

 

現れたのは、3メートル以上の身長を持った魔王らしき戦士“仮面ライダーアーク”だった。悪魔をイメージした全体的に黒いボディや、胸部に存在する口を厳重に塞いでいる鎖。腰にはあのレイキバットそっくりのメカコウモリ“アークキバット”が止まっている。

 

「人の身でありながら、騎神の力をも己の力としているか……なるほど、実に謎の多い連中よ」

 

仮面ライダーアーク―――もとい騎神アークは玉座の背後に立ち、そしてその玉座に甲冑の男が座る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このノブナガ……お前達に対し、興味を隠せそうにないなぁ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーク軍武将“織田ノブナガ”は玉座の隣に両手剣を突き刺し、そう告げるのだった。

 


 
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