No.641839

【獣機特警K-9ⅡG】ヴァイスとレルカ【交流】

古淵工機さん

小さい小さいとバカにされているヴァイス警視長。
ある日、レルカの薬屋を訪ねてきたのですが…。

■出演
レルカ:http://www.tinami.com/view/640817

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2013-12-01 15:58:29 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:905   閲覧ユーザー数:870

「何度も言わせないで欲しいね。ないものはないよ。さぁ帰った!!」

ここはラミナ市の外れにある小さな薬店『サザルの雫』。

中から聞こえてきた声は、その店名の由来ともなった先住民族の女性のものである。

彼女の名はサザル族のレルカ。もともと彼女は村でも優れた薬師だったのだが、

その後勉強を重ね今やファンガルドを代表する生物学・薬学博士となっている。

民族衣装の上から羽織られた白衣が、その経歴を物語っている。

 

「うぎぎー、ここまで頭下げてるのに!」

歯を食いしばって悔しがるのはファンガルドプラネットポリス本庁勤務のシーナ・ヴァイス。

彼女はこの歳になってもなお、未だに小学生並みの体形であるのを気にしている様子である。

ある日とうとう痺れを切らしたのか、この店にやってきていたのだ。

 

「だから、身長を伸ばす薬なんて都合のいいものはないんだよ刑事さん」

「ぐっ…じゃあせめて胸を少しでも大きくできる薬は!?」

「それもウチじゃ扱ってないね…」

ため息をつくレルカに、ヴァイスは怒鳴りつける。

 

「あ゙ーーー!!何よもう!薬のことなら何でもござれの『サザルの雫』なんじゃなかったの!?身長を伸ばす薬ぐらいおいてくれたっていいでしょうが!!」

「だから!そんな都合のいい薬があるわけないだろ!!ていうか薬に頼るな!!」

二人の言い争いは数分にも及んだ。両者とも疲れが出ているようだ。

 

「はぁ…はぁ…あたしこのまま…、このまま一生『子供みたい』だってバカにされるんだわ……」

悪態をつくヴァイスの目には、わずかながら涙が浮かんでいた。

「あれ?もしかして泣いてる?」

「な、泣いてなんかいないわよ!」

「目に光ったそれは何?」

「だから泣いてないって言ってるでしょ!!いちいち癪に…」

と、むきになって言い返すヴァイスの口をレルカはそっと押さえると、諭すように話しかけた。

「…いいかい刑事さん。薬ってのは万能じゃない。あくまでも人間の持ってる力を引き出すだけなんだよ」

「そ、そんなことぐらいわかって…」

と、言い返そうとしたヴァイスに、レルカはさらに強い調子で続ける。

「いいや、わかってない。あんたは薬に頼って身長を伸ばそうとしたけど、そんなのは夢のまた夢だ。そういう上手い話に騙されて命を落とした人だっているんだよ」

「ぐ…!!」

 

「確かにいい薬はよく効く。でもそれはその薬がその症状に対して正しい働きをしているからであって、薬だって摂りすぎれば毒なんだよ」

「でも…」

「いいかい。薬に頼ってばかりいる人間はいずれ必ず駄目になるんだよ。だからあんたの言うような身長を伸ばす薬は出せない…」

 

ヴァイスはしばらく歯を食いしばりながら立ち尽くしていたが、一息つくとこう答えた。

「…わかったわよ。やっぱり薬に頼ってちゃいけないわよね…はぁ…」

がっくりと肩を落とし、ため息をつきながら店を出て行こうとするヴァイス。

 

それを見ていたレルカは、思い出したようにヴァイスを呼び止める。

「あー、身長を伸ばしたいんだったら、薬以外の方法ならあるよ」

「え…」

ヴァイスは立ち止まって振り返った。

「本当!?どんな!?どんな方法なの!!」

「立ち直り早いね…それじゃぁアタシに付いてきな」

しかし、ヴァイスを待ち受けていたのは…。

 

「うぎゃー!!痛い痛い痛い!!こんなに痛いなんて聞いてないわよ!!」

黒髪のサザル族の女性がヴァイスの背中を強く押す。ヴァイスは激痛に叫んでいた。

「暴れるな、ガマンしてろ。ガマンしない、アナタ身長伸びない」

と、たどたどしい言葉で黒髪の女はなおもヴァイスの背中を押す。

「ちょっとアンタ!これ本ッッッ当に効き目あるの!?」

と、レルカを睨み付けながら叫ぶヴァイス。レルカは薄ら笑いを浮かべながら続ける。

 

「身長を伸ばすなら、ツボを刺激するんだ。サザル族流の古式マッサージさね!」

「そっちのほうが胡散臭いじゃないのっあいたたたた…!くっそぉー、ダマされたーっ!!!」

「騒ぐな、集中できない。アナタ身長伸ばす、ガマンする一番大事!」

「の゙ぉぉぉぉぉ!!」

女性がさらにツボを刺激する。ヴァイスがさらに叫ぶ。

「どうした?身長を伸ばすんじゃなかったのかい?」

「れ、レルカーっ、あとで覚えてなさいよっ、ぐえええぇぇぇぇぇ…」

木々が生い茂るサザル族の村に、マッサージの激痛に苦しむヴァイスの悲鳴がこだました…。

数日後。

「…あー…あの時は本当に殺されるんじゃないかと思ったわ…」

夫・フェルトの前で少々疲れたような表情を浮かべるヴァイス。

フェルトは苦笑しながらその話を聞いていたが、ふとこう切り返した。

「でもシーナ、少し身長伸びたんじゃない?」

「まさか。ただ背中をぐいぐい押されただけなのよ」

「まぁまぁ。測ってみればわかるさ」

「はぁ…」

ヴァイスは半信半疑で身長計に立ち、スイッチを押して測定する。すると…。

 

「…うっ…!」

「シーナ?あ…2センチ伸びてる」

「サザル族すげえなオイィィィィ!!?」

 

…ヴァイスの身長は確かに伸びていた。数字は2センチプラスの数値を叩き出していた。

 


 
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