No.638248

真・恋姫†夢想~世界樹の史~第二章・歩みの葉編

alcaponさん

拠点パートになります。
皆様、ご協力有り難うございます!(泣)

2013-11-19 23:05:30 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3999   閲覧ユーザー数:2980

 

 

拠点 『おとぎばなし』 桜花

 

 

 

庭を元気に走り回る女の子。

甘えん坊で泣き虫だけど、とっても元気な女の子。

 

女の子には大好きな物語がありました。

 

寝る前にいつも母へせがむ物語。

今日もこのお伽話を聞きながら眠りにつきます。

 

 

---とある国にとても弱い王様がいました。

その王様は、家来にいつもイジワルをされていました。

 

弱い王様は、どんなにイジワルをされてもじっと耐えています。

なぜなら王様には、二人の可愛い子供たちがいたのです。

 

子供たちはその国のお姫様。

ひとりは大人しくて、とても臆病だけど、とても優しい女の子。

ひとりは甘えん坊で、泣き虫だけど、とても元気な女の子。

 

王様にとって、お姫様は何よりも大切な宝物でした。

 

王様は何度もイジワルに立ち向かおうとしました。

すると家来は、王様が言うことを聞かないと、お姫様にイジワルをすると言うのです。

 

弱い王様は子供たちを守ろうとするも、なかなかうまくいきません。

 

その時です!

夜空に流れ星が見えました。

 

王様の国では、流れ星にとても強い王子様が乗っていると噂されていました。

 

弱い王様は流れ星に祈ります。

 

---どうか娘たちを助けてください!--- と。

 

次の日、王様はまたイジワルをされていました。

しかも今度はお姫様たちも一緒にイジワルをされています。

 

するとどうでしょう、なんと流れ星の王子様があらわれ、

イジワルな家来たちをやっつけてしまったのです!

 

王子様はにこっと笑うと、お姫様に言いました。

 

---よく頑張ったね。---

 

それから、王子様はお姫様と…

 

桜花「く~…く~…zzz」

 

蘭「あら?

  ふふっ、寝ちゃったみたいね。

  おやすみ、桜花。」

 

桜花「むにゃむにゃ…あにしゃま~…zzz」

 

甘えん坊で、泣き虫だけど、とっても元気な女の子は、

いったいどんな夢を見ているのでしょうか。

 

 

 

 

 

拠点 『寄り添ってくっついて』 時暮

 

 

「ん…。」

 

目が覚めると、そこは自室の寝所でした。

先ほどまで軍議をしていたはずなのに…と、体を起こそうとするも、重くて動きません。

陽もすっかり落ちてしまっています。

 

爺や「お嬢様、気が付かれましたか?」

 

すぐ左には爺やがいつもの様に控えていました。

 

時暮「私…倒れたの?」

 

爺や「はい。ご無理がたたったのでしょうな。」

 

『ご無理』とは、私の体にとってという事。

体の弱い自分は昔からこのようにすぐ倒れてしまっていました。

今もこうして、おでこに濡れた布を乗せ寝込んでいます。

 

時暮「情けないですね…。」

 

爺や「お嬢様…。」

 

本当に、この弱い体が恨めしい。

健康なら、どんなにたくさんの事が出来るでしょうか。

子供の頃からずっとそんな事を考えています。

 

爺や「この頃はだいぶ強くなられておりましたのに。」

 

それはきっと私の精一杯の強がりのおかげ。

あの方に私が欲しいと言われ、本当に嬉しかった。

だからこそ、こんな体でも付いていこうと思ったのです。

 

時暮「私…駄目ですね。」

 

きっとこれから先、あの方にもご迷惑がかかる…それだけは嫌です。

 

時暮「爺や、私…」

爺や「それはいけません。」

 

時暮「えっ?」

 

私の言おうとしたことが、爺やによって遮られました。

すると爺やは、私の右側へチラリと目を向けます。

 

時暮「あっ!」

 

そこには、あの方が布団へ突っ伏していました。

 

時暮「一刀様…。」

 

顔が熱いのはきっと、熱のせいです。

胸がドキドキするのは…

 

爺や「北郷様は、夕方政務が終わられてからずっと看病されておりました。」

 

時暮「な、どうして…?」

 

爺や「体が弱いと聞いていたのに、無理をさせてしまったと…。」

 

時暮「…!」

 

本当に、どうしてこんなにもこの御方は…。

顔を覗き見ると、とても安らかな顔で眠っています。

 

爺や「…お嬢様。」

 

時暮「どうしたの?爺や」

 

爺や「恐れながら、私はこちらで失礼させて頂きます。

   あとは北郷様へ引き継ぎます故。」

 

時暮「ひ、引き継ぐって…一刀様は寝て」

爺や「失礼致します。」

 

こんなに頑なな爺やを見たのは久しぶりでした。

幼少の頃、風邪を引いているのに外へ出たいと駄々をこねた時以来かしら…。

 

一刀「ん…?

   あれ、時暮目が覚めたのか?」

 

時暮「うぇっ?!は、はいっ!」

 

一刀「良かった…!心配したんだぞ~。」

 

時暮「ご、ごめんなさい…。」

 

顔が熱いのは、本当に熱のせい?

一刀様は私に顔を近づけて…コツン、とおでこを合わせました。

 

一刀「ん~、ちょっと熱っぽいかな?」

 

顔が熱いのも、胸がドキドキするのも、きっと貴方のせいです。

 

時暮「一刀様…。」

 

一刀「ん?」

 

時暮「こんなに弱い私で…お役に立てていますか?

   お邪魔ではないですか?」

 

一刀「…どうしてそう思うの?」

 

時暮「一刀様が日頃から私の体に気を配ってくださっていることは、

   前々から気がついておりました。」

 

一刀「…。」

 

時暮「…私が一緒だと、出来ないことが沢山出てきてしまいます。

   私は…私は貴方の足手まといにだけは成りたくない!

   この体が健康だったら…貴方にこんな迷惑をお掛けすることもなかったのに…!」

 

一刀「迷惑かけちゃ、いけないの?」

 

時暮「えっ?」

 

それは、考えてもみない言葉でした。

 

一刀「俺はそうは思わない。むしろ、時暮にもっと寄りかかって欲しいと思ってる。」

 

時暮「そんな…!それでは一刀様が」

 

一刀「いいのいいの。俺も時暮に寄りかかるから。あははっ」

 

時暮「そ、それはっ…///」

 

願ってもないことだと思ってしまいました。

 

一刀「だから、遠慮なんてせずにドーンと来てよ。」

 

時暮「一刀様…。」

 

一刀「なに?」

 

時暮「…愛しています。」

 

一刀「知ってる。」

 

時暮「たぶん、貴方が思ってる以上ですよ?」

 

一刀「それは知らなかった。」

 

時暮「ふふふっ、一刀様ったら。」

 

一刀「時暮。」

 

時暮「はい?」

 

一刀「…愛してる。」

 

時暮「っ…!

   いま、知りました…。」

 

一刀「たぶん、君が今知った以上だよ?」

 

時暮「一刀様っ…!」

 

私はたまらず、重い体に鞭打って一刀様に抱きつきました。

少し…泣いているかもしれません。

それでもその言葉は、何にも代え難い響きを運んでくれます。

 

それから一刀様を抱きしめたまま、布団へと潜りました。

 

こんな風に、いつまでも寄り添いあって…。

 

 

 

次の日、私の体は嘘のように軽くなりました。

 

時暮「爺や。」

 

爺や「はっ、ここに。」

 

時暮「…ありがとう。」

 

爺や「…恐縮でございます。」

 

小さい頃からそばに居てくれた貴方に心からの感謝を伝えます。

 

時暮「では早速お父様にお手紙を。

   文面は…」

 

爺や「おいたわしや…。」

 

 

 

 

 

 

拠点 『春爛漫』 心

 

 

 

たまの休暇に、私は自室で本を読んでいます。

まるでこの本の物語のような、麗らかな春の陽日。

本の中ではお姫様が王子様を想い、ひとり読書をしています。

今の私のように。

 

ただ少し違うとすれば、私はお姫様ではないということ。

 

 

一刀「心~!街に行こうぜ~!」

 

その時、部屋の外から一刀様の声が聞こえました。

 

心「一刀様?」

 

一刀「服買いに行きたいんだけどさ、一緒にどうかなって。」

 

心「私でよろしければご一緒致しますが…。」

 

一刀「助かる!男物の服だから心にしか頼めなくてさ。」

 

心「う…。」

 

…物語ともっと違うとすれば、お姫様どころか愛する人に男だと思われていること。

 

出会ってからこれまで、一緒にお風呂に入ったり、着替えを見られたりしたのにこの有り様です。

ペタンコな胸やこの傷だらけの体には、色気なんて無いでしょうけれど…。

それでもやっぱり落ち込みます。

 

街に着くと、彼と共に商店へ向かいました。

 

心「か、一刀様…?」

 

一刀「ん?どしたの?」

 

心「気のせいでしょうか…あ、あの…ここは下着売り場では?」

 

一刀「そうだよ?

   この間鍛錬してたら破れちゃってさ。新調しようと思って。」

 

心「…。」

 

一刀「心も買っておけば?」

 

心「け、結構です!」

 

一刀「そう?じゃあちょっと待っててね。」

 

ついため息が出てしまいます。

あっ、一刀様…そういうの履くんだ…い、いけないいけないっ!

これは私の精神状態に異常をきたします。

 

心「か、一刀様!わ、私は店の外で待ってますので!」

一刀「へ?」

 

そういうと私は逃げるように出てきてしまいました。

 

霞「おろ?心やないか。こんなトコで何しとん?」

 

心「霞様っ?!」

 

霞「男向けの下着売り場から出てきよったけど…。」

 

心「あ、いや、こ、これはですね…。」

 

切羽詰まった私は、事のあらましを打ち明けてしまいました。

一刀様に男だと思われていることも。

 

心「…という事なんです…。」

 

霞「か、一刀…案外アホやな~。」

 

心「…。」

 

霞「しゃあない、ウチが一肌脱いだろ!」

 

心「霞様?」

 

霞「ウチに任しときっ!」

 

霞様はドンと胸を叩くと、ぷるんと大きな胸が揺れて羨ましいではなくてですね、とても朗らかに笑いました。

その時、一刀様が店から出てきました。

 

一刀「ごめん待った…って霞?」

 

霞「お~っ!一刀えぇところに!」

 

一刀「ん?」

 

霞「いや~、ウチ思うてんけど、心て女装させたらめっちゃ似合うと思うんよ。」

心「霞様?!」

 

この方は急に何を言い出すのでしょうか。

「ん~。」と唸ると、一刀様は私の足の先からじっくり眺めます。

それだけでもかなり恥ずかしいです。

 

一刀「確かに…。

   よし、霞!心を女向けの服屋に連れて行こう!」

 

霞「おう!」

 

にししっ、と悪戯っぽく霞様は笑うと、一刀様とともに私を両側から挟みます。

そのまま私は、先ほどとは打って変わって綺羅びやかな服屋へ連れて来られました。

私…一体どうなっちゃうのでしょうか…。

 

それから、お二人は服を手に取り、何度も私に合わせていきます。

 

霞「これなんてどうや!」

 

心「こ、こんな露出の高い服は無理です!」

 

一刀「これならどうだ!」

 

心「ひ、ヒラヒラがもうヒラヒラがっ!」

 

霞「ワガママやな~。

  あ、なぁこれは?」

 

心「ほとんど裸じゃないですか!というか、枠しかない服なんてどうしてあるんですか?!」

 

一刀「これは?」

 

心「ピッチピチです!全身ピッチピチです!」

 

こんな調子がもう一刻ほど経ったでしょうか…。

未だ一着も試着しないままに時だけが過ぎていきます。

 

お二人は服選びを諦め、店主と何やら話をしています。

 

店主「お任せくだされ!!すぐに仕上げてみせましょう!!

   うおおおおおっ燃え上がれ心臓(はーと)!湧き上がるほど振動(びーと)!!

   お洒落の神よ我が手に宿らん!!」

 

あの店主は何を言っているのでしょうか。

危うくクナイに手が伸びるところでした。

 

店主「出来たぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

…速すぎます。

一刀様と霞様は手をとって喜び合い、すぐさま会計を済ませました。

あの…私の意見は?

 

店を出るとき、霞様が私の耳元でささやきます。

 

霞「えぇか?今晩この服着て、一刀の部屋に行くんやで?

  皆には近づかんようにうまく言うといたるから。」

 

そう言うと、一刀様がよくやるように片目をぱちんと閉じました。

 

 

その日の夜…。

私は言いつけ通りに服を着て一刀様の部屋へと向かいます…。

 

心「う~…あ、足がすーすーします。この服本当に似合っているんでしょうか…。」

 

それどころか、ここまでして女だと思われなかったらと思うと足が重いです。

そして曲がり角へと差し掛かった時でした。

 

ドンと誰かにぶつかってしまいました。

体勢を崩した私に、その人が覆いかぶさります。

その顔を見て…心臓が止まりかけました。

 

心「か、かかかか一刀様?!」

 

一刀「ててて…ごめんな~…ってあれ、心?」

 

心「こ、こんばんわ…。(む、胸に手がっ!手がっ!)」

 

一刀「あははっ、やっぱりすごく似合うよ!あまりに可愛いから女の子だと思っちゃった!」

 

心「うっ…(酷いです…。)」

 

一刀「…あれ?」

 

そう言うと、一刀様が手を動かします。

 

心「あうっ…やぁっ、そこは…///」

 

私はなんて声を出してるのでしょうか。

それでも手が動くごとに抑えきれずに声がもれます。

 

一刀「あの…心ってもしかして…。」

 

心「ぅ…。」

 

一刀「ご、ごめんっ!!」

 

飛び退くように私から距離をとる一刀様。

 

心「だ、大丈夫、です…。」

 

一刀「えっと…。」

 

心「あの、これから…か、一刀様の部屋に行ってもいいですか?」

 

一刀「うぇっ?!いや、うん、別にいいけど…。」

 

これまで何度も訪れた一刀様の部屋。

足を踏み入れると、私の心臓は跳ねていきます。

 

一刀「あの、さ。

   これまで…ごめん!」

 

心「いえ、頭をあげて下さい。私は大丈夫ですから。」

 

一刀「でも…。」

 

心「なら…その、後ろを向いて私の話を聞いてくださいますか?」

 

一刀「あ、あぁ。」

 

彼は後ろを向き、私はそっと深呼吸。

 

心「私は…貴方に会って、心の闇から救われました。

  私がほしいと言ってくれた時の貴方の言葉、今でも鮮明に覚えています。

 

  行動を共にし、あまつさえ笑顔を向けてくれる貴方に…私はすぐに心奪われました。」

 

一刀「…。」

 

心「こんな見た目の私に言い寄られても迷惑だと言う事は分かっています。

  ですが…

 

  私は、貴方が好きです。」

 

気持ちを伝えるのが苦手な私。

そんな私でも、精一杯の勇気で一刀様を抱きしめます。

 

心「迷惑なら…振り切って下さい。私、もうどうしていいか…。」

 

一刀「迷惑なもんか。」

 

心「…本当に?こんな男みたいな私でも?」

 

一刀「あ、あはは…悪かったよ。

   でも、心の気持ちは嬉しいよ。」

 

そう言うと、彼はこちらに向き直ります。

あまり背丈の変わらない貴方と私。

 

すぐ側にある貴方の顔。

 

見つめ合うと、つぶやきます。

 

心「私…女の子…です。」

 

一刀「あぁ。」

 

心「火傷…気持ち悪いですか?」

 

一刀「前にも言っただろ?勲章だって。」

 

心「ふふっ、女の子でもですか?」

 

ちゅっと火傷の痕に口づけ。

だから私はちょっとのワガママを。

 

心「…口には?」

 

本の中の王子様とお姫様。

 

ただ少し違うのは…

 

私はお姫様じゃなくて、貴方は貴方というところ。

 

 

 

 

 

拠点  『司馬家の日常』  司馬一族

 

 

 

「~♪」

 

私の名前は司馬孚!

街を歩けば皆が振り向くほどの美少女!

 

まぁ、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」を地で行くお姉さまには敵いませんけど。

 

ほらみて、あそこの兵隊さん…もう私に釘付けなんだから♪

 

そんな美少女な私は、長安に来ているのです!

なにやらあのお姉さまが夢中になっているらしい殿方を確認するために…!

お姉さまほどの目をお持ちなら、誑かされてるなんて事はないでしょうけれど…

 

はぁ…少し心配だわ。

 

私はお姉さまからの書簡を門番にみせ、城へと通されます。

中庭へたどり着くと…そこにはお姉さまが…!

 

時暮「暮羽、お久しぶりですね?」

 

綺麗な御御足を組み、優雅にかつ美しくお茶を飲んでいました!

 

暮羽「お姉さま~ん♪」すりすり

時暮「こらこら、お茶がこぼれちゃうでしょう?」

暮羽「はぁはぁ…お姉さまの御御足…はぁはぁ…!」

時暮「もう、仕方のない子ですね。

   まずは皆様にご挨拶せねばなりませんから、玉座の間へ行きますよ?」

暮羽「はぁ~い!」

 

 

 

---玉座の間---

 

蘭「あら、では貴方が時暮さんの?」

 

月「へぅ…か、可愛いです…。」

 

暮羽「始めまして!お姉さまがいつもお世話になってます!」

 

一刀「いやいや、お世話になってるのはこっちの方だよ。」

 

暮羽「…もしかして、貴方がお姉さまの婚約者ですか?」

 

一刀「え?」

全員「「「 ?! 」」」

 

時暮「えぇ、私の旦那様の北郷一刀様です。」

 

「「「 じと~ 」」」

 

一刀「あ、あはは…ど、どうも…。」

 

暮羽「ふ~ん、へ~、ほ~。」

 

時暮「こら暮羽、失礼でしょう?」

 

暮羽「ごめんなさいお姉さま。

   でも…」

 

一刀「あの、何か…?」

 

暮羽「こんな素敵な義兄様(おにいさま)なら安心ですね♪」

 

時暮「そうでしょう?うふふっ♪」

 

詠「そ、それで!

  今日はどういった用でここまで来たの!?」

 

焔「そうだそうだ糞ガキ!!キリキリ吐けやゴラ!!」

 

暮羽「あ、そうでした!

   実は私、こちらに仕官しようと思いまして!」

 

「「「はい~っ?!」」」

 

暮羽「確か面接?があると聞いていたのですが…。」

 

蘭「あら?もしかして…。」

 

心「陛下、どうかなさいましたか?」

 

蘭「えぇ、司馬防様より文官の推薦を受けたのですが…もしかして貴方が?」

 

暮羽「はい!宜しくお願い致します!」

 

 

そんなこんなで始まった面接試験。

お姉さまが見つめる中、失敗は許されません!

 

 

一刀「はい、じゃあお名前から聞こうかな?」

 

暮羽「はい!名前は司馬孚、字は叔達と申します!」

 

詠「ありがとう司馬孚さん。それでは文官の経験は?」

 

暮羽「はい!以前は兄のもとで尚書令をしておりました!」

 

詠「あ、あ~…あのお兄さんの、ね…。(すごく不安だわ。)」

 

霞「なんか生きがいとかあるん?」

 

暮羽「お姉さまの下着を洗うことです!!」

 

「「「 ?! 」」」

時暮「あらあら…ふふふっ。」

 

詠「そ、そう…。(やっぱりこの家いやだわ!)」

 

華雄「見たところかなり華奢だが、武芸は出来るのか?」

 

暮羽「はい!出来ません!」

 

一刀「正直だね。まぁ、こんなに小柄な少女だし…。」

 

暮羽・時暮「はい?」

 

一刀「ん?」

 

暮羽「いやですね~、義兄様♪私、女の子じゃないですよ?」

 

「「「 は?? 」」」

 

詠「えっと…ちょっと待って?もしかして、男?!」

 

暮羽「 ち が い ま す ! 」

 

月「へぅ?」

 

暮羽「私、『男の娘』です♪」

 

時暮「ふふっ、可愛いでしょう?」

 

焔「ん?男の娘?

  て、てめぇもしかして…『付いて』んのか?!」

 

音々音「ほ、焔殿!下品ですぞ!」

 

心「…。」

 

暮羽「ん?お仲間?」

 

心「 違 い ま す !!!」

 

暮羽「うふん♪でも…私のコレは只の付属品ですわ♪

   だから義兄様、ご心配なく!」

 

一刀「何をかな?!」

 

暮羽「もしお姉さまが『女性の事情』で出来なくても…こっちなら大丈夫です!」

 

一刀「何がかな?!」

 

時暮「もう、この子ったら…。」

 

焔「て、てめぇの家は変態ばっかだなコラ…。」

 

 

ここから何度か問答を繰り返し、無事面接を終えました。

さて、ここからは…。

 

 

暮羽「お姉さま、弟達から言伝を預かっています。」

 

時暮「あら、なんて?」

 

暮羽「『ご褒美』が欲しい!だそうです。」

 

時暮「いつまでたっても甘えん坊ですね…。

   爺や?」

 

爺や「ははっ、ここに。」

 

時暮「私の髪の毛が抜け落ちたら送って差し上げて?」

 

爺や「それは大変喜ばれますなぁ。」

 

詠「ボク、司馬家を尊敬するのもう辞めるわ。」

 

 

こうして、私の面接が終わりました。

義兄様のことも確認できましたし、満足満足!

 

 

 

その頃一方、とある街のとある夜の酒場では---

 

司馬防「…愚息よ。」

 

司馬朗「…どうしました?父上。」

 

二人は真剣な表情で机を挟んでいた。上には蝋燭の火が揺らめく。

その二人を、他の席の女性達や給仕の女性は熱い視線を向けている。

女性客A「素敵な殿方…」

女性客B「あの真剣な眼差し…いいわ~」

給仕「どっちも格好いいネ…」

 

そんな声は露知らず、話を続ける二人。

どうやらかなり真剣な内容らしい。

 

司馬防「今、愚息二号が長安へと行っておるな。」

 

司馬朗「そうですね。何やら士官を求めているそうで。」

 

司馬防「まぁ、儂が推薦状を出したのだが…。」

 

司馬朗「おや?お手紙が届きましたね。」

 

司馬防「ぬ?何と書いてある。」

 

司馬朗「…時暮たんからだ!!!!」

司馬防「ぬぁにぃ???!!!!」

 

女性客A「え?」

女性客B「え?」

給仕「エ?」

 

司馬朗「はぁはぁ…くんかくんか…あぁ~、時暮たんの匂いはぁはぁ…!」

 

司馬防「早く読まんか馬鹿者!!!」

 

司馬朗「どぅふふ…え~っと…?

    『推薦状を書いてくださったお礼に、髪の毛を送ります♪キャピッ』」

 

司馬朗・司馬防「「  ???!!!   」」

 

司馬防「こ、これは儂のじゃ!!」

司馬朗「んなわきゃねぇだろうがクソジジイ!!」

司馬防「儂のったら儂のじゃ!!貴様、元は儂の精子の分際で口答えするな!!」

司馬朗「あぁん?!んな事は子宫から顔出した瞬間に後悔しとるわクソが!!」

司馬防「うるさいうるさい!!儂は娘だけ欲しかったのに、なんで七発もオスなんだ!!」

司馬朗「発とか言うんじゃねぇよ!!」

司馬防「いいからその手を離せ!!」

司馬朗「てめぇが離せ!!これで俺は十年生きられる!!」

司馬防「これを使えば儂だって…!!」

司馬朗「つ、使うとか!!」

司馬防「あー!あー!今エロい事考えたー!エロい事考えたー!いっけないんだー!エロー!スケベー!」

司馬朗「ち、ちげぇし?!そ、そういうお前が考えたんだろ!?」

 

司馬朗・司馬防「あっ!」

 

もみくしゃになる二人の手から、一本の髪の毛がひらりと落ちる。

 

その髪の毛は机の上にある蝋燭へと落ち…シュボッと音を立てて燃え去った。

 

司馬防・司馬朗「…。」

 

司馬防「し、時暮の…髪の毛が…!あぁ…!」

司馬朗「せ、せめて燃えたあとの匂いだけでも…!す~は~す~は~!」

 

女性客A・女性客B・給仕「なにあれ気持ち悪い…。」

 

 

 

 

司馬家に自重という言葉無し!

はい、今回もお読み頂き、誠に有り難うございます。

拠点パートは如何でしたでしょうか。

第二章はそろそろ終盤になりますので、ここからは「あれ?」という展開になります。

 

ちなみに…女中ABCをモブから昇格してほしいという、まさかのご感想を頂きました。

もし皆様もご希望であれば、第三章からの登場になりますが、ここでアンケート第二弾をしたいと思います。

第二弾は…ABCそれぞれの名前を募集します!

ご意見ご感想に添えて記載して頂ければ幸いです。

皆様ご協力のほど宜しくお願い致します!


 
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