No.638182

真・三国†無双―二つの呂旗―

ユウヤさん

か、書ぁき終わったぁぁぁぁ!
な、長かった。長かったのです。
実質第一章完と思ってください。
突っ込みは・・・入れんといてぇ・・・
では本編どうぞ。

2013-11-19 19:11:13 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6555   閲覧ユーザー数:4882

真・恋姫†無双―二つの呂旗― 第六話『大切なもの』

 

 建業に着いて早三日、丁爺は古い友人とまた会うからと出掛けて行った。酔って帰ってこない所を見ると酒は飲んで無いらしい。ただ今日は少し小遣いお~くれって言われたから細いのが無いから砂金を少し渡してあげた。ちなみに砂金はまだいっぱいある。さすが丁爺だ。此処まで砂金を溜められる将なんてめったにいないだろう・・・

 

 一刀「それにしても、汝陰も大きかったけど此処建業も別の意味で大きかった。南に行くとかなり建物の様式が変わるって丁爺に聞いてたけど此処までなんてな。」

 

 様式は確かに中華風だけどどこか洗練されていた。

 

 恋「・・・一刀、ご飯。」

 

 一刀「ん?ああ、じゃ、行こうか。」

 

 ちなみに今はデート中です。

 

 恋「・・・此処にする。」

 

 一刀「お、意外とおしゃれだね。」

 

 そこはオープンカフェ形式の茶店だった。恋のお腹で大丈夫だろうか・・・

 

 一刀「すみませ~ん。二人お願いします。」

 

 店員「はい、こちらへどうぞ。」

 

 一刀「さて恋、何食べようか。」

 

 恋「・・・此処から此処まで。」

 

 一刀「うん、そうだね。恋はそうだよね。じゃあ俺は・・・・」

 

 むぅ、麻婆か・・・炒飯か・・・餃子も捨てがたい。・・・よし。

 

 一刀「すみませ~ん。注文お願いします。」

 

 店員「はい、お伺いします。」

 

 一刀「麻婆茄子に炒飯、餃子で。後はこの子に此処から此処まで全部お願いします。」

 

 店員「・・・・はぁ?」

 

 一刀「見かけによらず大食いなんですこの子。」

 

 恋「・・・・褒めないで。」

 

 一刀「うん・・・もうある意味褒め言葉だね。」

 

 店員「は、はぁ・・・」

 

 一刀「あ、お金の心配なら大丈夫です。」

 

 そう言って俺はちらっと砂金を見せる。

 

 店員「!?う、承りました!」

 

 一刀「さてと・・・ねえ恋。丁爺の知り合いって誰か知ってる?」

 

 恋「・・・ふるふる」

 

 一刀「ん~、董君雅さんの所より前にどっか居たのかな?」

 

 恋「・・・・官軍に居たって聞いてる。」

 

 一刀「あ、そうなの?ならその繋がりかなぁ。」

 

 恋「たぶん。」

 

 一刀「そうか~。こっちで官軍に繋がりのある人かぁ・・・う~ん。」

 

 と、唸ってると早速恋の注文した・・・わお・・・メニューの最初ってよく見なかったけど特盛りラーメンになってる。どんな表示の仕方だよ。って、恋の指定した所全部特盛りゾーンだ!?

 

 恋「・・・いただきます。あむあむ、もぐもぐ、もきゅもきゅ。」

 

 一刀「ほわわ~ん。」

 

 店員「あ、あの。麻婆茄子と炒飯、餃子お持ちしました。」

 

 一刀「っは!あ、ありがとうございます。」

 

 いや~失敗失敗。恋の食事風景ってどうしてこうなるんだろう。量に関しては引く量なのに・・・

 

 こうして俺が食べ終わる頃に恋はちょうど最後のメニューを食べ始めるところだった。その光景を見ていた俺と他のお客が『ほわわ~ん』となったのは言うまでも無いだろう。

 

 そして日も落ちかけ宿に戻った俺と恋は丁爺の帰りを待っていた。

 

 一刀「おそいな・・・禁酒令また破ったかな?」

 

 恋「今度は・・・剃る。」

 

 一刀「どこを?」

 

 恋「なけなしの・・・髪。」

 

 セキト「!?」

 

 一刀「丁爺、哀れw」

 

 セキト「く~ん・・・。(かわいそうに・・・)」

 

 そんな他愛のない会話をしていた俺たちだったが、その夜、丁爺は帰ってこなかった。

 

 その翌朝・・・

 

 

 街人「おい、近くの裏路地で人が死んでるってよ。」

 

 街人「マジか!?もしかして最近出てきた賊の・・・」

 

 街人「うそ・・・街の中にまで出てきたの?」

 

 街人「今朝早く(ねぐら)が割れたって言ってたぜ。」

 

 街はその話題で持ちきりだった。嫌な予感しかしなかったんだ。なぜあの時俺の勘が働かなかったのか、そればっかりが頭をめぐっていた。そして、俺と恋はその裏路地へと到着した。

 

 一刀「恋・・・お前は此処に居ろ。」

 

 恋「・・・・・恋も行く。」

 

 一刀「ちゃんと、落ち着いて居られるか?」

 

 恋「・・・約束。」

 

 一刀「分かった。・・・・通して下さい!お願いします!!俺達の家族かもしれないんです!!」

 

 街人「ん?お、おぉ。おいお前たち道を空けてやれ。(くだん)の仏さんの家族が通るぞ!!」

 

 街人「あぁ。坊やたち、こっちだこっち。」

 

 一刀「あ、ありがとうございます。」

 

 街の人達が俺たちを現場まで案内してくれる。とても親切だ。そして・・・

 

 一刀「・・・・・あ、う・・・・丁・・・・爺・・・・?」

 

 恋「・・・・・・丁爺・・・・」

 

 そこには・・・丁爺がいた。いや、丁爺だった物があった、と言うべきだろう。

 

 一刀「・・・・・・・」

 

 恋「・・・・・・・」

 

 いたって冷静だった。いや、怒りがあったがそれを通り越して冷静で居られた。外傷は多いが致命傷は背中の一刺しか・・・血の出方からして最初に刺されたのか?周囲には何やら食材と・・・壺?これは酒壺か。丁爺め・・・この期に及んで・・・割れた壺の口は風が切れてない。俺達のお土産の食材とそれをネタに酒を許してもらおうって魂胆か?・・・懐には金子・・・は、無いか。と言う事は金目的。丁爺の買い物を見て砂金を奪おうと考えたか・・・つまり俺が砂金を渡したから?・・・これは考えないようにしよう。考えれば鬱になる。あの状況では仕方なかった。そうだ・・・賊は・・・複数人だな。血の掛かった状態。固まり方で足跡が血の下になってる。他の街の人の足跡である可能性があるけど・・・それにしては丁爺の方向につま先が向いてるのが多い。おそらく・・・・5,6人だ。などと思考の海に意識を泳がせていると。

 

 恋「・・・・一刀、誰か来た。」

 

 一刀「え?」

 

 ???「通せ!退くんだ!!」

 

 街人「お、おい。道を急いで開けろ!!」

 

 街人「そ、孫堅様だ!!」

 

 一刀「孫・・・堅・・・?」

 

 孫堅「丁原殿!!・・・・そ、そんな・・・丁原殿ぉ!!」

 

 一刀「あ、あの・・・・」

 

 孫堅「・・・?お、お前たちは・・・もしや呂北に呂布か?」

 

 一刀「は、はい・・・なぜ俺達の名前を?」

 

 孫堅「あ、ああ。丁原殿の自慢話にお前たちの事ばかり出てくるからな。すぐに分かった。」

 

 一刀「・・・なるほど。」

 

 孫堅「・・・・すまない。これは、私の・・・責任だ。」

 

 一刀「どう言う事ですか?」

 

 孫堅「建業周辺に新しい賊が、それもかなり腕の立つ者が数人居る賊が出てきてな、しばらくの間、塒を探していたのだ。それが見つかったのが・・・つい今朝の事でな。もう少し早く見つけ討伐していればこんな事には・・・」

 

 この人は・・・俺と同じように考えてるんだな。

 

 一刀「それは間違いです。・・・これが今の世の中です。だから・・・頭を上げてください。」

 

 恋「・・・一刀の言う通り。これは・・・仕方無い事。」

 

 孫堅「だ、だが。私は、それでは納得できんのだ・・・」

 

 一刀「孫堅さん、あなたは賊の討伐にこれから赴くんですよね?」

 

 孫堅「あ、あぁ。そうだが。」

 

 一刀「なら、俺達も参加していいですか?」

 

 孫堅「な、それは・・・いや、丁原殿から聞いた武が在るのなら・・・問題無いが。」

 

 一刀「なら、お願いします。」

 

 恋「・・・一刀、敵討できる?」

 

 一刀「ああ、それまで怒りの炎は心の内に燃やしておけ。今は・・・静かに、ね?」

 

 恋「・・・・分かってる。一刀も・・・大丈夫?」

 

 一刀「あぁ、問題無いよ。さぁ、孫堅さん。行きましょう。」

 

 孫堅「あ、あぁ。分かった。兵も貸し与えよう。100ずつでいいか?」

 

 一刀「はい、いい経験になりそうです。」

 

 恋「・・・こく」

 

 孫堅「よし、すぐに出陣だからな。行こうか。」

 

 こうして俺達は孫堅軍として賊討伐に向かった。

 

 

 一刀「あれが?」

 

 孫堅「そう、賊の住処の砦・・・と言うのははばかれる位質素なものだけどね。」

 

 恋「・・・・数は?」

 

 孫堅「ざっと、500よ。」

 

 一刀「じゃ、300対500ですか。」

 

 孫堅「ま、物の数じゃないさ。一気に蹴散らしてやるよ。」

 

 一刀「それだと被害が出ます。此処は策を用いましょう。腕の立つ奴もいるんでしょう?」

 

 孫堅「だが・・・今はウチの軍は軍師が出払ってるんだよ。」

 

 一刀「・・・孫堅さんの部隊はあの右翼にある森に潜んでください、恋は左翼の小高い丘の上、俺は正面に立って囮になります。俺の隊に盾を二つづつ持たせてもらっていいですか?」

 

 孫堅「ん?あぁ、構わないが・・・」

 

 一刀「奴等が砦から出てきたらまずは恋、君の隊が横撃を掛ける。そこで敵は正面と左翼に目が行く、恋も俺も少しずつ引いて行きます、そうすればたとえ腕の立つ賊とはいえ全軍で押し返そうとします。そこで最後の仕掛けです。」

 

 孫堅「奴等が出切ったら私が背後から・・・か。」

 

 一刀「はい。俺達はそれを機に一気に盛り返します。先頭は俺達二人が出ますから、兵には滅多なことでは被害が出る事はありません。」

 

 孫堅「・・・いいだろう。兵達には私から言おう。お前からだと効かない場合があるからな。」

 

 一刀「お願いします。」

 

 孫堅「よし・・・なら行くか。」

 

 二人「・・・・こく」

 

 その後孫堅さんから俺と恋の部隊に作戦の概要を話し少しどよめいてはいたが自分たちの主の言葉として納得してくれていたようだ。そして・・・砦の前で佇む俺達の部隊。

 

 

 一刀「さて・・・皆、盾は二つ持ったか?それはみんなのを守る盾だ。盾でも人は殺せる、だがそれは今は二の次だ。今は隣の友を守れ。自らを守り隣の友を守れば今度はその友が君たちを守り君たちの仲間を守ろう。孫堅殿が背後を突くまで我慢に我慢を重ね奴らを引きずりだす。作戦の概要は理解したか?しただろうな。何せ君たちは誇り高き江東の・・・孫文台様の率いる精兵なのだから!!」

 

 呂北隊「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 一刀「よし!ならば出陣の銅鑼をならせぇ!!!」

 

 ガァン、ガァン、ガァン、ガァン!!

 

 その銅鑼の音が鳴ると同時に俺達の隊は出陣した。と同時に敵の砦の門が開いた。

 

 一刀「・・・・は?」

 

 呂北隊副官「・・・おそらく勘違いしたんじゃないか?」

 

 一刀「・・・馬鹿の集まりなのはわかった。なら俺達の勝率はさらに上がったと見えるな。皆!奴らは俺達の銅鑼を味方の者だと勘違いする馬鹿どもだ!!俺達は冷静に状況を見極め作戦通りに動くぞ!!」

 

 呂北隊「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 恋「・・・・」

 

 呂布隊副官「・・・あの、まだでしょうか?」

 

 恋「・・・もうちょっと・・・今は目測で150しか出てない。」

 

 呂布隊副官「み、見えるのですか?」

 

 恋「・・・こく」

 

 呂布隊副官「・・・す、すごい・・・」

 

 恋「そろそろ準備。」

 

 呂布隊副官「はっ!全体抜刀準備!」

 

 恋「・・・・・駆け抜ける!」

 

 呂布隊副官「行くぞーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 呂布隊「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 賊「なんだぁ!?向こうの丘から敵が出て来たぞ!!」

 

 大柄の賊「はっ!数は少ねぇじゃねぇか。手前ぇらやっちまえ!」

 

 賊「おおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 小柄の賊「正面の奴らはどうするんだ?」

 

 大柄の賊「それこそ踏みつぶしちまえ。相手は盾しか持ってない馬鹿どもだ。」

 

 小柄の賊「だな。なら俺が言ってくらぁ。」

 

 大柄の賊「おう、俺は向こうの伏兵の方に行ってくらぁ。」

 

 

 

 孫堅隊副官「うまく引いてますね。」

 

 孫堅「ああ、見てみろ。正面の隊はうまく敵の攻撃を防ぎ受け流している。呂布隊も敵の攻撃など物ともせず屠っている。」

 

 孫堅隊副官「・・・優秀ですね。」

 

 孫堅「・・・親を殺されて此処まで冷静に戦える・・・私はあの子たちが不憫でならないよ。それをさせるこの世の中がね・・・・憎くてたまらんよ。」

 

 孫堅隊副官「・・・ですね。おや?そろそろ頃合いのようです。」

 

 孫堅「そのようだね。孫堅隊、抜刀!!奴等の背後を突くぞ。突撃ーーー!!」

 

 孫堅隊「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

 賊「なぁ!?ま、まだ伏兵がいたのか!?」

 

 賊「ま、まずいぞ。背後を突かれた!!か、頭ぁ!!」

 

 賊の頭「な、何でぇ!相手は少数だろ!!正面の奴らをぶち倒して反転だ!」

 

 賊「わ、分かりました!!」

 

 

 

 呂北隊副官「呂北さんよぉ、孫堅様が出て来たぜ?」

 

 一刀「そうか・・・全体一度でいい、一気に押し返し前線に隙間を作れ!!」

 

 呂北隊「おおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 その号令と同時に呂北隊は敵賊との間に隙間を作り上げる。

 

 呂北隊副官「ど、どうするんだ?」

 

 一刀「こうするのさ!」

 

 そう、俺は盾隊の前に出て突貫した。もう、耐える必要が無いのだから。

 

 一刀「・・・・俺の家族を殺したんだ・・・覚悟は出来てるんだろうなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 一振りで10人だろうか?吹き飛ばした。そこから流れるように俺は白銀を振るう。水が流れる如く、風が吹き抜ける如く、炎が燃え広がる如く、大地があらぶるが如く。それを見た呂北隊は・・・

 

 呂北隊副官「す、すげえ・・・いや、すごいです。隊長!皆、俺達の隊長に続けぇ!!」

 

 呂北隊「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 恋「・・・もう、我慢する必要無い。突撃。」

 

 呂布隊「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 呂布隊副官「・・・あなたも行ってください。呂北殿はもう敵陣に突っ込みましたよ?」

 

 恋「・・・わかった。ちょっと離れる。・・・・・本気出す。」

 

 呂布隊副官「っは!」

 

 恋「・・・・・・・・・・・・ふっ!」

 

 恋は一気に内に秘めた怒りの氣を爆発させる。それはまだ10歳の子供が発するものじゃなく、呂布隊の面々は恐怖した、と同時に歓喜にも震えた。これが味方なのだと。

 

 恋「・・・往く。」

 

 その後の呂布はまさに鬼神の一言に尽きる武功をあげた。呂布隊の先頭に立ち近付く敵はもはや見る影なく爆ぜてしまっていた。

 

 

 

 孫堅「これが・・・・丁原殿の御子息たちの力か。」

 

 孫堅隊副官「・・・す、すごい。」

 

 孫堅「あの子たちがあんな武を振るわねばならぬこの世は・・・正しいと言えるのか?」

 

 

 

 大柄の賊「何やってやがる。あんなの唯のガキだろうが。そこのクソガキこの俺が相t」

 

 恋「・・・邪魔。」

 

 大柄の賊「ぐぼぉ!!」

 

 恋「・・・・散れ。」

 

 賊「ぎゃああああああああ!!」

 

 

 

 小柄の賊「なんだ手前は!ガキの出る幕じゃねぇんだよ!!」

 

 一刀「・・・君もそう変わらないだろう?」

 

 小柄の賊「はぁ!?なめてんn」

 

 一刀「語る事は特にない、死んどけ。」

 

 小柄の賊「なn・・・・!!」

 

 俺の目の前の賊は悲鳴を上げる事が無かった。当然。頭を消し飛ばしたんだから。それを見た賊は・・・

 

 賊「ひ、ば、化け物・・・」

 

 一刀「そう?ならそうなんだろうね。化け物に敵対した奴の末路、辿っときな。」

 

 賊「ひぎゃぁあああああああああ!!」

 

 

 

 孫堅「あんたが賊の頭か?」

 

 賊の頭「あ?何者(なにもん)だ!?」

 

 孫堅「・・・建業太守、孫文台。」

 

 賊の頭「・・・ひ!?孫堅!!」

 

 孫堅「我が魂の師父を無きものとした罪をその命で贖え(あがなえ)。」

 

 賊の頭「ぎゃあああああああああああああああ!!」

 

 孫堅「・・・・敵大将は討ち取った!者共、後はただの有象無象、屠り抜け!!」

 

 孫堅隊「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 賊「か、頭がやられた!!に、逃げろ~~~~!!」

 

 孫堅隊「逃すと思うか獣がぁ!!」

 

 孫堅隊副官「お前達、一人として逃すんじゃねぇ!!」

 

 孫堅隊「応!!」

 

 

 殲滅完了。その報告を聞き俺は隊の纏めに入っていた。

 

 一刀「隊列を整えて、各分隊は被害報告。死亡者、けが人の報告を!!」

 

 分隊長「我が隊の死亡者は0、けが人は10です。いずれも軽症で簡易的な治療の後隊列に復帰しました」

 

 分隊長「こちらも死亡者は0、けが人は8.こちらも軽症のみ、すぐに隊列に復帰できます。」

 

 次々と報告が上がって最終結果は死亡0、軽症42、重傷1とまともに敵の突撃を受けた割に被害は少なかった。

 

 孫堅「すごいな。さすが丁原殿の御子息だ。」

 

 一刀「そちらはどうでした?」

 

 孫堅「うむ、死亡者は居なかった。もとより混乱していたからな。戦いやすかったよ。」

 

 恋「・・・・こっちも死亡者なし。怪我はちょっと一刀のとこより多い。」

 

 一刀「ああ、恋の方に少し多く流れたみたいだからね。仕方無いよ。」

 

 孫堅「・・・二人はこれからどうするんだ?もし、もしよければだが、私が二人を引き取ってもいいんだが?」

 

 一刀「いえ・・・俺達は行く所がありますから・・・」

 

 孫堅「・・・・行く所?」

 

 俺は恋と目を合わせ、孫堅さんに向き合うと。

 

 二人「・・・・・・海へ。」

 

 そう、答えた。

 

 孫堅「・・・・そうか。なら仕方ないな。二人とも、私の真名は(くれない)だ。私はお前たちの心の母として居よう。・・・いつでも、帰っておいで。」

 

 二人「!?」

 

 この人は何を言ってるんだろう。唐突な言葉、唐突な申し出、だけど・・・涙が止まらなかったんだ。

 

 一刀「・・・俺は、呂北・・・丁郷・・・真名を、一刀です。」

 

 恋「・・・恋は呂布奉先・・・真名・・・恋。」

 

 紅「ああ、確かに預かったよ。一刀、恋。さあ、皆の衆。我等が江東の新たな家族、一刀と恋の旅立ちだ!勝鬨を持って送りだすぞ!!勝鬨を上げよーーーーーーーーーー!!」

 

 孫堅軍「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 

 こうして俺達は新たな大家族を得た。だが俺達は足を止める訳にはいかなかった。その足で俺達は呉の町に行き、海へと抜けた。

 

 一刀「着いたな。」

 

 恋「大きい・・・・」

 

 一刀「ああ、海は広いぞ。この先に俺達の知らない大陸や島国が存在するんだ。」

 

 恋「・・・一刀、丁爺を。」

 

 一刀「・・・ああ。」

 

 俺は懐から丁爺の遺体から切り取った髪を取りだすと天へと掲げた。

 

 一刀「さあ、丁爺。目的地の一つ、海だよ。丁爺は此処から海の旅へ行くんだ。いつか語ってくれたよね。海を渡り旅をしたいって。さあ、旅立ちの時だよ!!」

 

 その言葉に答えるかのように潮風が吹き丁爺の遺髪はその風に乗り飛んでいく。

 

 『達者での、二人とも。』

 

 そう、聞こえた気がした。

 

 その後俺達は予定通りに交州を抜け、涼州に戻ってきた。1年という歳月がかかってしまったけどそれでも得る物があったと思う。五胡の襲撃もあったがそれをあしらうほどの武を俺達は持ち合わせていた事が判った。その後俺は恋に事情を説明し一人旅に出た。理由一つ、月を守るための布石を置くためだ。西涼の馬騰に顔合わせをして信頼を勝ち取り、何れ起こるであろう戦の可能性を話し、その時は手を貸してくれるようにした。その後北に向かおうと思ったが取りやめた。劉備や公孫賛を探そうにも当てがない、ならばと俺は心の母、紅母さんの元へと足を運ぶ。その後面会をしていずれ来る戦いの救援の約束を取り付け尚且つ一緒に賊討伐した呂布隊、呂北隊の計200人を俺に与えてくれると言う。その申し出を快く受け、俺はその足で天水に戻った。この旅で俺はまた2年の歳月を費やしたが得たものは多かったのだ。西涼の救援、孫呉の救援、戦友200人の兵士補充。こうして恋のつてで君雅さんの軍に仕官したのだった。それから2年後、15歳のときに君雅さんが病死、そのまま月が引き継ぎ董卓軍が完成した。16の時に華雄が参戦、17の時に張遼と、陳宮が参戦、18の時に何と洛陽からお呼ばれしてその勢力を広く伸ばした。そして19の時・・・ついに始まったのだ。

 

 

 次回

 

 月「一刀さん、ついに一刀さんが行っていた乱が起こりました。」

 

 恋「・・・十常侍・・・邪魔。」

 

 一刀「・・・張角、張梁、張宝。この三人が今回の目標だ。」

 

 ???「さ~、みんな~。洛陽はもうすぐだよ~。」

 

 第七話『黄巾の乱』

 

 少年たちはついに乱世へと足を踏み入れる。そこで得る物はなんなのだろう。

 


 
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