No.633431

真・恋姫†夢想~世界樹の史~第二章・歩みの葉編

alcaponさん

第一章の完結に伴い、新章に突入です。
最強の一刀とオリキャラも登場します。

2013-11-02 12:26:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3964   閲覧ユーザー数:2921

第壱廻 またね

 

 

 

 

 

荘周「貴方は誰?」

 

一刀「北郷一刀。」

 

荘周「君は誰?」

 

一刀「北郷一刀。」

 

荘周「お前は誰?」

 

一刀「北郷一刀。」

 

荘周「貴方の目的は破壊?」

 

一刀「いいえ。」

 

荘周「君の目的は修繕?」

 

一刀「はい。」

 

荘周「お前は---

 

   何処から来たの?」

 

一刀「   」

 

荘周「どこから…来たの?」

 

一刀「   」

 

荘周「どこから…ぐっ、えぐっ」

貂蝉「もう止めなさい荘周ちゃん。

   もう懲り懲りだわ、こんな姿のご主人様を眺めるのも、貴方の涙を見るのも。」

 

荘周「どうして!なんでなの!

   いつもみたいに軽口を言ってみせてよ!!もう一度…もう一度笑って見せてよ!!」

貂蝉「荘周ちゃん…。」

 

虚ろな瞳で横たわる青年。

彼の名は北郷一刀。歴史に名を残さない彼は外史での英雄である。

 

彼自身は認知していないが、救ってきた外史の数は294,312廻。

三国志という狭い外史の中で、外史という広い世界の中で、喜びも痛みも蓄積していった。

 

プツリと切れた彼の糸は、もう戻ることはないと物語るかのようにゆらりと垂れ下がる。

 

英雄の歩みが止まると、外史の時間も寄り添うように歩幅を合わせた。

彼は歴史に名を残せない。

外史の発端から悠久の旅に出る彼は、とても曖昧な存在だから。

 

それでも、私にとっては何にも代え難い存在。

294,312…この数が示す通り、私は随分と長い、永い時を彼と過ごしたのだろう。

 

荘周「だから…言わなかったのかな?」

貂蝉「…。」

 

荘周「ううん、言えなかっただけ。

   貴方がもし、もしももう一度笑ってくれたら…その時は伝えるね?」

貂蝉「荘周ちゃん…。」

 

荘周「だから今はおやすみなさい、愛しの君。

   また…ね。」

 

英雄は消える。何も残さずに。

 

 

 

 

 

 

英雄の歩みとともに、彼女たちも歩みを止めた。

 

 

外史の根は、正史の草に。

 

 

正史の幹は、外史の葉に。

 

 

しかし、正史も外史も関係なく、物語は唐突に始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

聖フランチェスカ

一刀は友人の及川とともに、教室で昼食をとっていた。

 

及川「…納得できん。」

 

一刀「何だよ藪から棒に。」

 

及川「なんでかずピーばっかりモテるんや!わいかて頑張っとるのに!!」

 

一刀「いやいやいや、別にモテてないだろ!

   彼女いた事ないし…あ~、いかん落ち込んできた…。」

 

及川「ほんまか~?こないだ不動先輩とデートしとったんちゃうん?」

 

一刀「ぶっ!

   違う違う!道着が破れちゃったって言ったら付き添ってくれて…」

 

及川「そら不思議やな~、道着を買うのに付き添いなんか要るん?」

 

一刀「ん~、不動先輩が言うには部活の備品のようなものだから…って。」

 

及川「朴念仁。」

 

一刀「なんか言った?」

 

及川「い~や、何も言っとらんよ。」

 

そこで及川は深呼吸をすると、急に大声で話しだした。

 

及川「そうか~!!一刀は誰とも付き合うてないんや~!!」

 

キラン☆

と周囲が光ったような気がした。

 

一刀「おい、恥ずかしいだろ!」

女生徒A「北郷くん!!」

一刀「はいぃぃ!!?」

女生徒A「今日の放課後なんだけど」

女生徒B「こら!抜け駆け禁止!!ところで北郷くん、よければ今度の日曜日…」

女生徒C「ちょっとちょっと!休日は反則!なら北郷くん、今晩私とホテルに」

女生徒AB「アウトーーー!!!!!」

 

一刀「あ、あははっ、みんな気を使ってくれてありがとう。

   でも大丈夫だよ!俺には部活があるし!一人な分頑張らなきゃ!」

 

女生徒「「「(全然伝わってない~~~~><)」」」

 

一刀「気持ちは嬉しかったよ。」にこっ

 

女生徒A「(きゅんっ)」

女生徒B「(きゅんっ)」

女生徒C「(じゅんっ)ちょっと私トイレに」

女生徒AB「アウト~~~///」

 

及川「はぁ~~~、こら不動先輩も苦労するわ。」

 

 

 

放課後、使い古した道着入れを持ち、そそくさと席を立つ一刀。

 

及川「なんや かずピー、今日も部活かいな。」

 

一刀「おう。大会も近いしな。」

 

及川「近い言うても、全国大会じゃ相手おらんやろ。

   本家とは別種目やのに世界選抜でトップランカーやし。」

 

一刀「そんなことないよ。強い相手も沢山いるからね。」

 

及川「北郷流の本種目の合気道・盾剣術やったらどないになってまうん。」

 

一刀「あははっ、あまり使うことないからなぁ。

   でも、修行してもっと強くならないと!この間も熊に負けそうになったし!」

 

及川「…はい?え、ちょっと待って、熊?」

 

一刀「うん、爺さんの道場に向かう途中でさ、縄張り争いしてる三頭のヒグマが出てきてビックリしたよ。

   一本取られるかとヒヤヒヤした。」

 

及川「ヒグマを三頭て…。引くわ。

   え、そのヒグマはどないしたん?」

 

一刀「美味しかった~!」ほっこり

 

女生徒A「(きゅんっ)」

女生徒B「(きゅんっ)」

女生徒C「(じゅんっ)ちょっと私トイレに」

女生徒AB「え、何で?!」

 

及川「はぁ~、そないに強なって、修行に打ち込んでどないするん?」

 

一刀「約束したんだ。修行を怠らないって。」

 

及川「誰と?」

 

一刀「誰とだろう?」

 

ズッコける及川。

 

及川「な、なんやそれ。」

 

一刀「誰かがね、夢で俺に語りかけてくるんだ。『またね。』って。多分その人かな?」

 

及川「夢の誰かて…そらまた曖昧な存在やな。」

 

一刀「曖昧でもいいんだよ。俺には届いてるんだから。

   じゃ、そろそろ行くよ。またな。」

 

及川「はいは~い、行ってらっしゃい。

 

   ん?おたくらは何してるん?」

 

女生徒A「あぁ、お気になさらず。この超高性能ウルトラハイスピードカメラはただの情報収集用ですから。」

女生徒B「そうね、この暗視ゴーグルと発信機も念のため持っているだけですわ。」

女生徒C「えぇ、もちろん今履いてるパンツもすり替える用です。」

女生徒AB「アウトーーーー!!」

女生徒C「あっ。」

 

及川「おい、どないしたん?」

 

女生徒C「お気になさらず。軽くイッただけですので。」

及川「色々と大丈夫なんあんた!!??」

 

 

 

 

 

聖フランチェスカ・道場にて

 

 

不動「せいっ!!やぁ!!!」

刀弦「甘いわい。」

不動「なっ?!あっ!

   …参りました。」

 

刀弦「ホッホ、腕を上げたがまだまだじゃの。」

 

不動「やはり、まだまだ修行が足りないでござるな。」

 

刀弦「まぁまぁ。不動の娘だけあって筋が良いからのう。まだこれからじゃろ。」

 

不動「有り難うございます!」

 

刀弦「ところで…。」

 

不動「はい?」

 

刀弦「もうウチの孫は落としたかの?」

 

不動「なっ///ななななな何をおっしゃってごじゃる?!///」

 

刀弦「なんじゃ、その様子じゃとまだのようじゃの。」

 

不動「うっ///」

 

刀弦「あ奴も朴念仁じゃからのう。

   もうあれじゃ、裸で迫ったらどうじゃ?」

 

不動「んなっ!?で、ででででできるわけありませんっ!!!」

 

刀弦「初心じゃのう。

   あやつも年頃。持っとるえっちなビデオは迫られるしちゅえーしょんが多いのう。」

不動「その話詳しく聞かせてください!!!!」

刀弦「ホッホ、ひ孫の顔が楽しみじゃ。」

不動「///」

 

 

女生徒A「聞きました?」

女生徒B「勿論聞きましたわ。」

女生徒C「えぇ、しっかりとイキました。」

女生徒AB「天丼は三回まで!!」

女生徒C「あふっ♪」

 

 

 

 

一刀「失礼します!!

   って、爺ちゃん来てたの?!」

 

刀弦「おぉ、一刀!邪魔しとるぞい。」

 

一刀「せっかくだし組手しようよ!」

 

刀弦「馬鹿モン!この老耄じゃもう神童には敵わんわい。」

 

一刀「う~、じゃあ不動先輩!百本組手お願いします!!」

不動「殺す気でござるか?!」

 

刀弦「やれやれ、一刀や。お主の強さは技術でも、力でもない。

   心の強さと素直さ、そしてその吸収力じゃ。

   

   足りぬものは覚悟のみ。」

 

一刀「覚悟…。」

 

刀弦「そうじゃな。

   例えばじゃ、北郷流は元来殺しに特化した技術じゃ。

   今の世じゃそうそう使わんじゃろう。

 

   じゃがな、もし悪漢に不動のお嬢ちゃんが襲われていたとしよう。それも、お主と同じくらい強く邪悪なものにじゃ。」

 

一刀「…。」

 

刀弦「お主、その悪漢を殺せるか?

   もちろん、殺しは良くないことじゃが、何かを守るというのはそれと同様の覚悟が必要じゃ。」

 

一刀「俺は…。」

 

刀弦「…。」

 

一刀「出来るよ。」

 

刀弦「辛いぞ?」

 

一刀「不動先輩を失うほうが辛い。」   バタッ

 

刀弦「…よう言うた。それでえぇ。

   とうとう免許皆伝じゃな。」

 

一刀「えぇ?!良いの?!」

 

刀弦「当然じゃ。

   その為に来たんじゃから。ほれ、皆伝の証に我が家に伝わる盾と剣を授けよう。」

 

一刀「これは…すごく綺麗な盾だね。

   ん?裏に収納スペースがある!もう住めそうだここに!」

 

刀弦「(住む??)この盾と剣はな、いつの間にか我が家に伝わったものじゃそうじゃが…。」

 

一刀「どうかしたの?」

 

刀弦「切れんのじゃよ。刃こぼれ一つしとらんのに、全くな。

   盾も同じじゃ。どんな使い手が使おうとも、ことごとく敗れ去る。」

 

一刀「いわく付きってやつ??」

 

刀弦「うむ。それでも長きに渡り伝わったということは…この武具も探しておるんじゃろうな。使い手を。」

 

一刀「そうか…。

   見てよ不動先輩!この盾…不動先輩?!」

 

刀弦「あぁ、嬢ちゃんならさっきから気絶しとるぞ。」

 

一刀「なぜ?!」

 

刀弦「…お主の言葉を思い出すとえぇわい。」

 

一刀「ふ、不動先輩!不動先輩!」

不動「うにゅ~~~~~~~~///」ぷしゅー

 

刀弦「(何やら胸騒ぎがして来てみたが…やつの目が旅の時を告げておる。

    ホッホ、ひ孫は当分お預けかの。)」

 

 

 

 

聖フランチェスカ・寮へと続く林道

 

一刀「ふ~っ、すっかり遅くなちゃったな。」

 

いつものように林道を抜けると、視界を何かが横切った。

 

一刀「ん?

   …ここの生徒じゃないな。あっちは確か…展示館があるはず。」

 

後を追う一刀。

展示館の一角、青銅の鏡の前にその男は居た。

 

左慈「ちっ、ここでも無いか。」

 

一刀「おい!」

 

左慈「っ?!見つかった!?」

 

一刀「そこで何をしてる!」

 

左慈「北郷…一刀だと?!」

 

一刀「え?どこかで会ったかな?」

 

左慈「そんなバカな!お前は…!」

 

一刀「何をそんなに狼狽えてるんだ?」

 

左慈「お前は存在しないはずだ!!」

 

一刀「…え?」

 

左慈「何故お前がここに居る?!

   いや、そんな事はどうでもいい。

 

   説明している時間がないから手短に言う。貴様が死んで止まった外史がまた動き出した。

   それも、我ら管理者を受け付けずにな。」

 

一刀「俺が死んで?外史?ちょ、ちょっと何だよそれ!」

 

左慈「説明している時間はないと言ったはずだ!

   早くこの鏡の前に立て!!」

 

一刀「え、ちょっ!」

 

左慈「思い浮かべろ!」

一刀「何を?!」

左慈「扉をだ!!」

一刀「思えって言われても…

        ドクン

            えっ?

    ドクン

      ドクン

  『またね。』

           ドクン

         ドクン

       『笑ってよ。』

                ドクン。」

 

 

 

 

         【外史の扉を開きましょう。】

 

 

 

 

 

 

まばゆい光が舞い降りる。

 

荘周「うそ…でしょ?」

貂蝉「ありえないわ!!ご主人様はもう!!」

 

暗い空間をただただ照らす流星を、荘周は必死に追った。

躓いても構わない。涙で目が霞んで見えなくても、その光を追う。

 

その光は突如として現れた扉に吸い込まれていった。

光から聞こえた声は幻聴だったか。

荘周の耳には『またね。』と確かに響いていた。

 

荘周「こんなことが…。」

貂蝉「見て!荘周ちゃん!外史が!」

荘周「?!」

貂蝉「外史が動き出したわ!英雄の帰還よ!!」

 

 

あれがもし、私の希望の光なら。

もし待ち焦がれた光なら。

私は今度こそ間違わない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Another view 董卓

 

 

賈詡「ごめんね月~、こんなに遅くなっちゃって。」

 

董卓「ううん、仕方ないよ。お仕事忙しかったもんね?」

 

賈詡「あの領主…小娘だと思って足元見てくれちゃって…!

   月を夜道に歩かせるなんて危ないのに!」

 

華雄「何を異な事を。その為に我らが要るのだろう?」

張遼「せやせや。」

 

董卓「ふふっ、いつも有り難うございます。

 

   あ、そうだ。皆さん、こんな話を御存知ですか?」

 

賈詡「??」

 

董卓「流星より天の御遣いが舞い降り、そのものは天下に平和をもたらす…って。」

 

賈詡「何かと思えば、管路のインチキ占いじゃない。

   (でも、そんな人が本当に現れてくれたら…。)」

 

董卓「ふふっ。」

 

賈詡「ど、どうしたの月?」

 

董卓「詠ちゃん、本当は占いとか大好きだもんね?」

 

賈詡「ち、ちがっ!」

張遼「なっ?!」

賈詡「そんなに驚くことないじゃない!!」

張遼「ちゃうちゃう!!みんな上見てみ!!」

 

私は言われたとおりに夜空を見上げました。

そこには眩いばかりの流星が一筋流れていました。

 

賈詡「まさか…本当に天の御遣い?!」

華雄「なぁ、流星とは…あんなに長くとどまるものなのか?」

張遼「ていうか…だんだん大きくなっとらん?あれ。」

賈詡「ちょ、ちょっと!こっちに向かってきてるわよ?!」

董卓「きゃっ!!」

 

その時、私達を光が包みました。

お日様のように暖かな、とても柔らかな光でした。

 

 

賈詡「な、なんなのよもう!!」

華雄「私もいささか驚いた…ん?」

張遼「およ??」

 

皆が私の足元を見ています。

なんだろう?そう思って私も視線を下ろしました。

 

そこには綺麗な白い服を身にまとい、盾と剣を携えた男の人が倒れていました。

私は詠ちゃんの言葉を聞かずに、ただ導かれるままにその方の頬へ手を伸ばしました。

 

触れた瞬間に、気が付いていました。

この方が、お日様だと。

 

 

 

 

 

 

 

今回もお読み頂き誠に有り難うございます。

新しいスタートは如何でしたでしょうか。

読みにくい文章かも知れませんが、これからも何卒宜しくお願い致します。

コメント、メッセージなどお待ちしております。

 

※補足説明

この第二章の一刀くんのステータスは、武力・魅力値がMAXを振りきっているものだと考えて下さい。

 


 
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