No.630300

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 802

soranoさん

第802話

2013-10-22 00:12:34 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1066   閲覧ユーザー数:999

~古戦場~

 

「はは……」

「フム、なかなか賑やかになりそうだな。」

その様子を見ていたロイドは苦笑し、ツァイトは呟き

「メルカバの中も少しは華やぎそうだね。」

ワジは口元に笑みを浮かべて言った。

「―――そうだ、チキさん。リーシャはどこにいるんですか?」

その時ある事を思い出したロイドはチキに尋ね

「そういえばさっきから全然姿を見かけませんよね……?」

ロイドの疑問を聞いたティオは周囲を見回して不思議そうな表情をした。

「……銀様は……………ベルガード門で工作活動をする為に3日前にこちらを離れ………その後……『ベルガード門制圧作戦』に参加する予定となっておりまして………現在は……ガレリア要塞跡まで進軍し終えたご主人様達――――メンフィル帝国軍に合流し終えたと昨日の定時報告にありました………」

「なっ!?」

「まさか……メンフィル帝国軍……いや、『ゼムリア同盟軍』がついに本格的なクロスベル侵攻を始めるのかい?」

チキの話を聞いたロイドは驚き、ワジは真剣な表情で尋ねた。

「いや、今回進軍してきているのはメンフィル帝国軍とギュランドロス達率いる警備隊の混合軍だ。」

「とは言ってもメンフィル帝国軍は正規軍1個師団に加えて機工軍団が1個師団、さらに”英雄王”リウイ皇帝、”聖皇妃”イリーナ皇妃、”闇の聖女”ペテレーネ神官長、”空の覇者”ファーミシルス大将軍、”破壊の女神”シェラ元帥、”聖魔皇女”リフィア皇女、”殲滅天使”レン皇女、”ルリエンの娘”シルフィエッタ皇妃、”紅の殲滅姫(クリムゾン・ルインプリンセス)”セオビット大尉が出撃し、そこに”癒しの聖女”ティア神官長やユイドラ領主の娘達やセシルが同行している形となっています。」

「そんな……まさかリウイ陛下どころかファーミシルス大将軍やシェラ元帥まで直々に来るなんて………」

ヴァイスとアルの説明を聞いたティオは表情を青褪めさせ

「そこに加えてギュランドロス司令達率いる警備隊だろ?こりゃ、国防軍に勝ち目は一切ないどころか蹂躙か殲滅されるのが目に見えてくるよ。ただでさせ”英雄王”がいるだけでも最悪なのに、そこにメンフィル帝国軍の両翼を担う将軍もいるから、完全に”詰み”だね、こりゃ。」

「しかもセティ達やセシル姉まで同行しているなんて……!」

(一体何を考えているのかしら……?)

ワジは疲れた表情で溜息を吐き、ロイドは唇を噛みしめ、ルファディエルは考え込み

「けど、あの人形兵器に関してはどうするつもりかしら?二大国の軍も次々とあの人形兵器達によって壊滅させられたのに……」

エオリアは真剣な表情で考え込んだ。

 

「―――だからこそ、リウイ達は万全の陣営で挑むんだ。―――”至宝”の力に対抗できるとしたら”神”の力ぐらいだしな。」

「……なるほど。”魔神”と”姫神”の力を宿すメンフィルの王様とリフィアさん、”姫神”の継承者であるエクリアちゃん、”混沌の女神(アーライナ)”や”妖精母神(ルリエン)”を召喚できるペテレーネちゃんとシルフィエッタさんであの人形兵器に対抗するつもりなんですね……」

そしてヴァイスの答えを聞いたリタは納得した様子で呟き

「………確かにリウイ陛下達は”本物の神”の力を宿していますし、ペテレーネさんとシルフィエッタ姫に至っては”神”を召喚できますから、恐らく”至宝”の力でも敵わないでしょうね……」

ティオは複雑そうな表情で考え込みながら言った。

「……………リフィア殿下まで出撃しているという事は………リィンもリフィア殿下と共に出撃しているんだろうな……」

「………そういえばリィンさん、支援課の件が終わったら、リフィア殿下の親衛隊に所属するという話をしていましたね……」

「ノエルとリィンたちが戦う事になってほしくないねー……」

複雑そうな表情で言ったロイドの言葉を聞いたティオとキーアは不安そうな表情で言った。

「…………………チキさん。リーシャ………いや、”銀”には何としても戻ってもらう場所があり、”彼女”を待っている人達がいます。」

「……………察するに………ロイド様達は……銀様をアルカンシェルに戻らせろ……と……仰りたいのですね………」

そして複雑そうな表情で考え込んだ後厳しい表情で自分を見つめて言ったロイドの言葉を聞いたチキは静かな表情で呟き

「はい。」

ロイドは頷いた後真剣な表情でチキを見続けた。

「……………銀様がそちらをご希望されるのなら………別に……構いません……」

「本当ですか!?」

「驚く程あっさりと了承してくれましたね………」

「銀ほどの戦力、そんなにあっさり手放してもそっちはいいのかい?」

チキの答えを聞いたロイドは明るい表情をし、ティオは驚き、ワジは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「……確かに……銀様の能力を考えると手放すのは惜しいですが………無理矢理繋ぎ止めた所では……いつか裏切られるだけでしょうし……それに……私達も………また……観てみたいですから………―――――アルカンシェルで”彼女”が輝く姿を。」

尋ねられたチキは静かな口調で答えた後微笑んだ。

「あ……………」

「チキさん……」

チキの微笑みを見たロイドとティオは明るい表情をし

「フッ、それは俺達も同感だな。」

「ええ……初めて見た時は私も彼女達の演技に惹きこまれたわ。」

「あれほどの演技、両世界を探しても観れるかどうか怪しいぐらいですものね。」

ヴァイスやエルファティシア、アルは静かな笑みを浮かべ

「フフ、裏組織に所属している割には黒月やルバーチェと違って、寛容ね。」

「まあ、ラギール商会の本来の役目は商売人ですし。」

エオリアとリタは微笑んだ。

「………ただ……”彼女”を説得できるかどうかは………貴方達次第です………彼女の憎しみや……決意は……そんな簡単には……揺るぎませんよ………?」

「―――それでも俺達は”彼女”を必ず”彼女”が待つ人達の元へ帰してみせます。」

そして真剣な表情で言ったチキの言葉にロイドは決意の表情で答え

「…………………」

キーアは優しげな微笑みを浮かべてロイドを見つめ続けていた。

「あ、みなさ~ん。」

その時、警察官の制服を身に纏ったフランが荷物を持ってロイド達に近づいてきた。

「ああ、フラン……荷物はまとめ終わったのか?」

「ええ、この通りです!」

ロイドの言葉に頷いたフランはその場で一回りした。

「フランさんの制服姿も久しぶりですね。」

「ふふ、わたしもだよ~。」

ティオの言葉にフランは嬉しそうな表情で微笑み

「さてと……そろそろ行こうか。」

「ああ。」

ワジの言葉にロイドは頷いた。

 

こうしてヴァイス達との協力を結んだロイド達は新たに見つかった”力場”の”隙間”――――マインツ山道に向かった。

 

~同時刻・ガレリア要塞跡~

 

「――――リウイ様。全軍、いつでも進軍できます。」

「―――こちらも準備が整いました、ギュランドロス様。」

一方その頃、ガレリア要塞跡に多くのメンフィル兵や警備隊員、さらにはメンフィル帝国の超大型戦艦――――”モルテニア”や飛行艇、メンフィル帝国に出向しているエイフェリア達が魔導兵器開発部に教えた技術によって創られた超大型魔導戦艦――――”ヴァリアント”と”フォーミダブル”が一機ずつ、2機の周囲には小型の魔導戦艦――――”ルナ=ゼバル”が約20機、さらにメンフィル帝国に出向しているオルファン達が魔術研究部に教えた合成儀式によって創られた”竜”――――”歪竜”―――”ペルソアティス”が一体、さらにペルソアティスの周囲には一回り身体の大きさが小さい”歪竜”―――”ゼラウラス”が数体空に集結している中、ファーミシルスとルイーネはベルガード門を睨んでいるリウイとギュランドロスに報告し

「そうか………」

「おう。」

二人の報告にリウイとギュランドロスはそれぞれ頷いた。

「打ち合わせ通り、俺達が例の人形兵器――――”神機”を破壊後、お前達が先陣を切り、お前達の旗色が悪くならない限り、俺達は参戦しない。それでいいな?」

「ああ。あれさえブッ壊せば、後は俺達だけで十分だ。装甲車も”銀”の工作でほとんど使えなくしてくれたから、俺達得意の白兵戦で挑めるって訳よ。」

リウイに尋ねられたギュランドロスは頷いた後不敵な笑みを浮かべてリーシャに視線を向け

「………………………」

視線を向けられたリーシャは目を伏せて黙り込んでいた。

「―――銀。お前はベルガード門に俺達より先に先行して潜入、警備隊が国防軍との戦闘を開始したらベルガード門の砦内で攪乱戦をして砦内にいる兵士達を混乱させ、ギュランドロス達の援護をしろ。」

「はい。それとリウイ陛下。本当にメンフィルと”六銃士”の混合軍がクロスベル市を制圧すればイリアさんを治療してくれるんですよね……?」

そしてリウイに指示をされたリーシャは頷いた後、真剣な表情でリウイに尋ね

「……実際その為にペテレーネとティアを連れて来た。それでも信用できないか?」

「……いえ、実際に御二方がいるのも確認させて頂きましたし、十分です。それでは手筈通り、侵入後ファーミシルス大将軍のエニグマに連絡させて頂きます。――――失礼します。」

リウイに尋ね返され、目を伏せて会釈をした後リウイ達に背を向け、跳躍して近くの木の枝に飛び移り、そこから次々と木の枝から木の枝へと飛び移って去って行った。

「………あの、ギュランドロス殿。くれぐれも国防軍の兵士達の命は……」

その時、黙り込んでいたイリーナは心配そうな表情でギュランドロスを見つめ

「大丈夫だ、全員生かしてはおくぜ。奴等はただ”神機”の”力”に目が眩んで、ディーターに従っているだけだろうしな。」

「それに彼らには後に私達の兵士として働いてもらうのですから手加減はしておきます。ですのでご安心ください、イリーナ皇妃。」

見つめられたギュランドロスは口元に笑みを浮かべて答え、ギュランドロスに続くようにルイーネが微笑み

「……銀にもそこの所も言い含めてある。だから心配するな。」

「……はい。」

さらにリウイにも言われたイリーナは静かな表情で頷いた。

 

「―――こちら、ファーミシルス……そう、潜入を終えたのね。ならば手筈通り時が来れば、砦内を混乱させなさい。後はそうね………混乱させる手始めに司令を無力化しておきなさい。―――――リウイ様、銀がベルガード門への潜入を終えたようです」

「そうか。―――始めるか。」

そしてリーシャが去って半刻後、エニグマでリーシャとの通信を終えたファーミシルスの報告に頷いたリウイはギュランドロスに視線を向け

「おう!」

ギュランドロスは頷いた後、リウイと共にそれぞれ用意されてある漆黒の馬にまたがり

「「――――全軍、注目!!」」

二人の行動を見たファーミシルスとルイーネは集結しているメンフィル兵と警備隊の混合軍に視線を向けて叫んだ。すると混合軍の兵士や警備隊員達はそれぞれ姿勢をただして、馬にまたがり自分達を見つめるリウイとギュランドロスに注目した。

「―――これより『ベルガード門制圧作戦』を始めるっ!!我らメンフィル……いや、誇り高き”闇夜の眷属”を侮辱すればどうなるか、暗君ディーターや国防軍に思い知らせてやれっ!!」

「全員、気合いを入れろっ!ここからが俺達『クロスベル帝国』の”覇道”の第一歩目だっ!!」

リウイとギュランドロスはそれぞれ全身に膨大な覇気を纏い、武器を空へと掲げて号令をかけ

「オオオオオオオオォォォォォォォオオオォォォオオオオ――――――――――――――ッ!!」

二人の叱咤激励に応じるかのように、混合軍に所属している兵達はそれぞれの武器を空へと掲げて辺りを轟かせる勇ましい雄たけびを上げ

「「全軍、進軍開始ッ!!」

そしてベルガード門に向けてそれぞれの武器を向けた二人の”覇王”の大号令によって、混合軍の兵士達はベルガード門に向かって進軍を開始した!

 

こうして二人の”覇王”率いるメンフィル帝国軍とクロスベル警備隊の混合軍による『ベルガード門制圧作戦』が始まった……………!

 

 

 

 

え~……………今回の話を見て驚愕したと思いますが、メンフィル、”神機”に対抗する為にえげつなさすぎる陣営で来ました!!(爆笑)冗談抜きでクロスベルを一瞬で灰塵と化できますよ、この軍団だと(ガタブル)なお、リウイ達の場面からのBGMはVERITAの”覇道”で次回の話も同じBGMだと思って下さい♪………感想お待ちしております


 
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