No.629663

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 794

soranoさん

第794話

2013-10-20 00:32:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1136   閲覧ユーザー数:1058

 

~ウルスラ間道~

 

「も、もう何が何だか………正直、頭がパンクして考えられない………」

「やれやれ………まさかそんなとんでもない事実を”千の護手”が黙っていたとはね。せめて僕達―――”守護騎士”達には教えて欲しかったよ………生きている存在が時空を操る事にも驚いたけど、まさかあの”ブレイサーロード”や”剣聖”が空の女神(エイドス)の血を引いている上………おとぎ話だと思っていた『赤家の冒険家の冒険日誌』が実話でその主人公と、最初の物語――――『イース篇』に出てきた女性がエイドスの両親だなんてねえ……………教会が知ったら大騒ぎするのは間違いなしだね。」

説明を聞き終えたロイドとワジは疲れた表情で溜息を吐き

「しょ、正直夢物語を聞いている気分ね………セリカさんからカシウスさんやエステルちゃんが空の女神(エイドス)の末裔だって話を聞いた時も正直、夢でも見ているのかと思ったわ………」

「まさか時空を自由自在に駆ける事ができる存在がいるとは………」

エオリアは驚きの表情で呟き、ツァイトは信じられない表情で言った。

「けどこれならキーアちゃんに色々と聞きたい事やこれから起こる事とか聞けるんじゃないですか?何せ”未来”から来ているのですから当然、現在のキーアちゃんの状況や今後起こる出来事も知っているでしょうし。」

「!!……キーア、色々と聞きたい事がある。話してもらえないか?」

そしてリタが呟いた言葉を聞いたロイドは目を見開いた後真剣な表情でキーアを見つめて言った。

「……………………………ゴメンなさい………未来の出来事を話す事や”この時代のキーア”の状況、そして”キーア”が何を考えていたのか話す事はできないの。……キーアがこの時代に来るとき、絶対に話さないという約束をミントとしているの………”過去の人達”に未来に影響を与えるような事を話す事は禁じられている事だし……………」

ロイドの言葉を聞いたキーアは複雑そうな表情で考え込んだ後、申し訳なさそうな表情で答え

「………けど、それならどうしてわざわざ未来から来たんだい?”未来のキーア”が僕達の時代にいる時点で既に歴史の流れは大きく変わっていると思うけど。」

キーアの答えを聞いたワジは真剣な表情でキーアに尋ねた。

「………それが”歴史の流れ”だから。キーアがこの時代に来た理由の一つは歴史の流れを守る為。」

「ふむ……という事は今私達の目の前にいる”キーア”が”この時代のキーア”だった時も”未来のキーア”が現れたという事だな……」

キーアの答えを聞いたツァイトは重々しい様子を纏って呟き

「それに………キーアは”償い”をしたかったの………たくさんの人達に迷惑をかけてしまった罪の”償い”を……………」

「キーアちゃん……………」

「………………………もしかして未来のキーアがイーリュン教に入信しているのも、その”償い”が関係あるのか?」

辛そうな表情で言ったキーアの言葉を聞いたエオリアは静かな表情でキーアを見つめ、ロイドは複雑そうな表情で黙り込んだ後尋ねた。

「うん……………それにね。キーアはロイド達の力になりたかったの。ロイド達、ずっとキーアを守ってくれたから、今度はキーアがロイド達を守りたいの……!」

尋ねられたキーアは頷いた後静かな口調で答え、決意の表情でロイドを見つめた。

「キーア………………」

キーアの答えを聞いたロイドは驚き

「キーア、イーリュン教の信者だから攻撃はできないけど、みんなの傷を回復したり守ったりすることはできるよ!キーアは”イーリュン教の信者”として……そして”キーア”の力をジャマして、無効化する事くらいしかロイド達に力を貸せないけど………キーア、ロイド達を手伝ってもいいー?」

キーアは説明をした後不安そうな表情でロイドを見つめて尋ねた。

「……………そんなのこっちからお願いしたいぐらいだよ。よろしくな、キーア。」

「うん………!ロイド、大好き!!やっぱりどの時代のロイドも優しくて、カッコイイよ♪」

そして静かな笑みを浮かべて言ったロイドの言葉を聞いたキーアは嬉しそうな表情で頷いた後ロイドに抱き付き

「(や、柔らかいし、いい匂いがする………ハッ!)キ、キーア!今のキーアは立派な大人の女性なんだからそう無暗に人に抱き付いたりしてはいけないぞ!」

キーアに抱きつかれたロイドはキーアの豊満な胸を押し付けられた時の感触や、キーアが付けている香水の香りに一瞬顔を赤らめたがすぐに我に返って慌ててキーアを離し、真剣な表情でキーアを見つめて言い

「アハハ、相変わらず親バカだけど……内心もっと抱きついて欲しかったと思っているんじゃない?」

ロイドの言葉を聞いたワジは笑った後口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ

「ワジ!」

見つめられたロイドはワジを睨んで叫び

「キーアちゃん、胸が凄く大きいものねぇ………私、完全に負けちゃっているわ……」

エオリアは法衣を纏っていてもはっきりと膨らんで見えているキーアの胸と自分の胸を見比べて苦笑していた。

「えへへ。今のキーアの胸の大きさ、”今の時代”のセシルと大体同じくらいの大きさだよー。」

「ええっ!?」

「ヒュウ♪将来有望とは思っていたけど、まさかここまで化けるとはねえ?」

そして嬉しそうな表情で言ったキーアの話を聞いたロイドは驚き、ワジは口笛を吹いた後興味深そうな表情をし

「フフ、ティオちゃんが今のキーアちゃんを見たら、大ショックを受けた後恨めしそうな目でキーアちゃんの胸を見そうですね。」

「何を言っているのよ!ティオちゃんはあの慎ましい胸が可愛いのよ!?」

リタは苦笑し、エオリアは真剣な表情で叫んだ。

「それと、”今のキーアは”みんなみたいに”家族”の名前があるんだよ♪」

「あら………」

「へえ?まさか既に結婚もしているのかい?」

嬉しそうな表情で言ったキーアの言葉を聞いたリタは目を丸くし、ワジは興味深そうな表情をし

「なっ!?キ、キ、キーアが結婚………!?しかも20歳で!一体どこの馬の骨が俺達の大切なキーアを奪ったんだ!?それに何で未来の俺やエリィ達はみすみすとそんな事を許しているんだ!?」

ロイドは混乱し

(くかかかかかかっ!完全に溺愛している娘に恋人がいると知らされた父親の反応じゃねえか!)

(まあ、本物の娘同様にあんなに可愛がっていたから仕方ないかもしれないわね……)

ロイドの様子を見たギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは苦笑し

「えへへ………―――――”キーア・バニングス”。それが”今のキーア”の名前だよ♪」

キーアは無邪気な笑顔を浮かべて改めて名乗った。

 

「………………………」

キーアの名前を聞いたロイドは全身が石化したかのように固まり

「え”。」

そして呆けた声を出した。

「まあ………」

「ほう………?」

一方リタは目を丸くし、ツァイトは興味深そうな表情をし

(おおおおおおっ!?衝撃の事実!まさか未来のロイドにはロリコンの属性も追加されるのか!?)

(…………………さすがにそれはないと思うわよ………?大方ロイドが養子にしたのだと思うけど……………)

ギレゼルは興奮し、ルファディエルは大量の冷や汗をかいて呟いた後表情を引き攣らせながら呟き

「アハハ!これはとんでもない事実じゃないか!いや~、まさかロイドがロリコンだったなんてねぇ?なんせ幼い頃からあれだけ好かれているのだから、落とすのもさぞ簡単だったろうね♪今までそのつもりで育てていたとは……さすがはルファディエルさんの愛弟子だけあって策士だねえ?」

「見損なったわよ、ロイド君………まさかそのつもりで今までキーアちゃんを育てていたなんて………」

ワジは声を上げて笑った後からかいの表情でロイドを見つめ、エオリアは蔑みの表情でロイドを見つめた。

「人聞きの悪い事を言うな、ワジっ!!それと誤解しないで下さい、エオリアさん!俺は純粋に”保護者”としてキーアを育てているんですから!!」

ワジやエオリアの言葉を聞いたロイドはワジを睨んだ後慌てた様子でエオリアに説明し

「でも実際キーアちゃんはロイドさんのファミリーネーム―――”バニングス”を名乗っていますよね?その事についてはどう説明するつもりなんですか?」

「養子だ、養子!俺がキーアと結婚するなんて絶対にありえないから!」

リタの疑問を聞いたロイドは必死の表情で叫んだ。

「………………………やっぱり”この時代のロイドも”オトメ心がゼンゼン、わかっていないね。出会った時からずーっとロイドの事を大好きなキーアだってロイドと結婚する可能性は十分あるのに。」

一方ロイドの叫びを聞いたキーアは真剣な表情でロイドを睨んだ後、頬を膨らませてロイドを睨み

「アハハ!”この時代のロイドも”という事は10年後のロイドも性格はこのままってワケだ?」

「やれやれ………何年経っても鈍感は治らないのだな……」

キーアの言葉を聞いたワジは笑った後口元に笑みを浮かべ、ツァイトは呆れ

「キーア!?キーアの”大好き”は”家族としての”意味で、キーアは俺の養子なんだろう!?」

キーアに睨まれたロイドは驚いた後必死の表情で尋ねたが

「キーア、未来の事を教えたらダメだから、これ以上は教えてあげなーい。」

キーアはロイド達に背を向けて歩き出し

「ちょっ!?待ってくれ、キーア!そこまで話しておいて、肝心な事を話さないなんて、ひどすぎないか!?頼むから肝心な事を教えてくれ……!」

キーアの行動を見たロイドは慌てた様子でキーアを追って行き、その様子を見たワジ達は顔を見合わせて苦笑した後、ロイドとキーアの後を追って行った。

 

なおその後ロイドはキーアに”バニングス”を何故名乗るかを何度も聞いたが、キーアは一切答えず、見かねたルファディエルに杖で思いっきり頭を叩かれて我に返るまでのロイドは混乱し続け、その様子をギレゼルは腹を抱えて笑いながら見続け、ワジ達も笑っていた……………

 

 


 
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