No.629023

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-10-17 17:56:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:692   閲覧ユーザー数:667

 

 

 

episode222 転生する希望の翼

 

 

 

『隼人・・・・・・隼人・・・』

 

『隼人さん』

 

 事切れた隼人の傍で二人は嘆き続けていた。

 

 

『・・・なぜ、こんな結果になるんだ・・・』

 

『・・・・』

 

『また私の前で・・・・・・』

 

『お姉ちゃん・・・』

 

 

 

 

 すると、二人に近くの空間が歪む。

 

『『っ!!』』

 

 とっさに二人は臨戦態勢を取ると、そこからノアとグリッターが現れる。

 

『お前達は・・・!』

 

 

 

「・・・遅かったか」

 

 事切れて倒れているバンシィを見てノアは驚きを隠せれなかった。

 

「・・・だが、まだ間に合う――――」

 

 

『うあぁぁぁぁぁ!!』

 

 するとリインフォースはノアに掴み掛かると、そのまま床に押し倒す。

 

『お姉ちゃん!?』

 

「っ!?」

 

『お前達は!!お前達はぁぁぁぁぁ!!』

 

 涙を流しながらリインフォースはノアを殴りつける。

 

『お前達の身勝手でこんな事になったんだ!!お前達のな!!』

 

 戦闘形態では無い為に、リインフォースの拳から血が滲み出る。

 

「・・・・」

 

『お前達のせいで!!隼人は死んだ!!お前達のせいで!!』

 

 

『お姉ちゃん!!やめてください!!』

 

 ツヴァイはとっさにリインフォースをノアから引き剥がす。

 

『離せ!!こいつらのせいで隼人が死んだんだぞ!!こいつらが利用した挙句の結果がこれだ!!』

 

「・・・・」

「・・・・」

 

『お前達のせいで・・・お前達、の・・・』

 

 リインフォースは俯くと、歯を食いしばる。

 

 

『・・・こいつらのせいで・・・こいつらのせいで・・・』

 

 涙を流しながら、念仏を唱えるように言葉を続ける。

 

「・・・・」

 

 ノアは立ち上がると、二人を見る。

 

『・・・・』

 

『返してくれ・・・私の愛する人を・・・返してくれ・・・』

 

(お姉ちゃん・・・。それほど・・・隼人さんの事を・・・)

 

 

 

「・・・まだだ。まだ終わりではない」

 

『・・・何?』

 

 リインフォースは顔を上げる。

 

「・・・神風隼人は・・・・・・ここで終わる者ではない」

 

『何を言っている』

 

 怒りの篭った声でノアに向けて言う。

 

『お前はまた隼人に辛い思いをさせようって言うのか!!』

 

 またノアに飛び掛ろうとするも、ツヴァイが何とか止める。

 

『そうやって、バインドを滅ぼせば用済みになったこの世界を滅ぼすのだろ!!』

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 ノアとグリッターは何も答えない。

 

 

 

『・・・やっぱり、あの人が言った事は事実なんですね』

 

『・・・・』

 

 ツヴァイは二体の反応から確信を得る。

 

「聞いたのだな。レイ・ラングレンから」

 

『・・・・』

 

「・・・言い訳はしない。やつが言った事は全て事実だ」

 

『・・・貴様ら』

 

 リインフォースは血が滲むぐらいに拳を握り締める。

 

「だが、止む得ないのだ。こうしなければ、いずれ世界は崩壊する」

 

『秩序を守る為か!そんな御託で何の罪のない世界をどれだけ滅ぼしたんだ!!』

 

「・・・・」

 

『・・・どうして、そんな事を』

 

 ツヴァイは冷静になってノアとグリッターに問う。

 

 

「・・・この世界には、同じであって異なる世界が幾多にあると、やつから聞いたのだな」

 

『はいです』

 

『・・・・』

 

「そうだ。この世界だけでも数え切れないほどの世界がある」

 

「中には自己崩壊する世界だってある。だが、やつの言う通り我々が滅ぼしている世界も存在する」

 

「そして、それによって時々あの者と同じような存在が生み出される事がある」

 

『・・・・』

 

「あの者は異常なほどまでに力を得てしまった。そして神々が力を出し切る事が出来ない世界へと入ってしまった」

 

『・・・だから、神々は高みの見物か』

 

「・・・・」

 

『自分は手を汚さずに済む。そうやって転生させられた者達を利用して、一体どれだけの犠牲を払ったんだ!』

 

 

 

「・・・許してもらおうとは思っていない。恨むなら恨むがいい」

 

「どれだけ言われようとも、やらなければならない」

 

『・・・・』

 

「もう彼しかいないのだ。全ての世界を救えるのは」

 

『そして後で滅ぼすのだろ。隼人があいつと同じ存在になる事を恐れて!』

 

 

 

「・・・いいや。この世界は滅びる事は・・・恐らくない」

 

『・・・何?』

 

『どういう事・・・ですか?』

 

 ノアの言葉が理解出来なかった。

 

「神風隼人が居る限り、世界の崩壊は無い」

 

『・・・・』

 

『どういう事だ』

 

 

「・・・・・・我々が命と引き換えにして神風隼人を今一度転生させる」

 

『なんだと?』

 

『二人の命を引き換えにして、隼人さんを?』

 

 まさかの言葉に二人は目を見開く。

 

「それで神風隼人は前の神風隼人ではなく、新たに命を得て転生する」

 

「人間でありながらも、神の力を宿した存在となる」

 

『・・・戦闘機人としてではなく』

 

『人間として・・・転生するのか』

 

 信じ難い内容だった。

 

 

「Gシステム78で、我々が残した最後の切り札。それは我々本来の力だ」

 

「さっきも言ったが、我々神々は創り出した世界内では本来の力を発揮できない」

 

「そこで、別ルートで本来の力を封印した物をGシステム78に封じたのだ」

 

『それを、持っているのか』

 

「既に取りに行って力を宿した」

 

「だが、やつの力は予想以上に持っている。我々だけではやつを倒すことは出来ない」

 

「・・・人任せ、と言う見方になってしまうが、もうこれしか世界を救う方法は無い」

 

『・・・転生と同時に、お前達は命と引き換えに更に隼人を強くさせる・・・・・・そう言いたいのか』

 

「・・・・」

 

『どこまでお前達は・・・』

 

 音が出るほど歯を食いしばる。

 

 

 

 

『・・・だが、もうそれしか方法は無い・・・のは事実だ』

 

 認めたくはないが、それしか方法が無いのは事実。

 

『お姉ちゃん』

 

 

 

『・・・利用すると言うのは許せない・・・・・・だが、頼む』

 

 俯きながらも、リインフォースは言葉を続ける。

 

『隼人を・・・・・・頼む!』

 

『お姉ちゃん・・・・・・。リインからも、お願いします!』

 

 ツヴァイも少し気が進まないも、頼み込む。

 

 

 

「・・・分かった」

 

「・・・・」

 

 ノアとグリッターは軽く頷くと、事切れたバンシィの近くに立つ。

 

 二体は身に纏うボロ布を脱ぎ払うと、金と銀色のボディーが現れる。

 

 その姿はハルファスとフェニックスと瓜二つであった。

 

 

「・・・・」

「・・・・」

 

 二体は両腕を前に出すと、両手より光を出し、隼人に光を浴びせる。

 

「神風隼人・・・」

 

「こうまでしてお前を戦わせると言う暴挙。許してもらうとは思っていない」

 

 申し訳なさそうに俯く。

 

「だが、お前しかいないのだ。あの者から世界を救うには」

 

「・・・・」

 

 

 すると光は一層増し、隼人も一層光に包まれる。

 

 

「・・・絆の力・・・『ノア』・・・」

 

「・・・希望の光・・・『グリッター』・・・」

 

 

「「我が命と共に、この者を転生させ、力を宿したまえ」」

 

 そしてノアとグリッターは光に包まれると球体に変化し、そのままバンシィの中へと入っていく。

 

『・・・・』

 

『・・・・』

 

 するとバンシィに受けた損傷に光の粒子が埋まっていって修復され、色を失った箇所に色が戻っていき、ほぼ完全な状態へと戻る。

 

『隼人・・・』

 

『隼人さん』

 

 

 

 

 

 

 

 二人が見守る中、ピクリとバンシィの指が動くと、バンシィのツインアイに光が灯ると、サイコフレームに金色の輝きが戻る。

 

『っ!』

 

 リインフォースはすぐに隼人に寄り添う。

 

『隼人!』

 

 

「・・・リイン・・・・・フォース・・・・?」

 

 隼人はゆっくりと声がした方を向く。

 

『・・・私が・・・分かりますか?』

 

 

「・・・あぁ。分かるよ、リインフォース」

 

『っ・・・!隼人っ!!』

 

 リインフォースは感極まってバンシィに飛び付く。

 

『隼人!!隼人!!』

 

 涙を流して、何度も名前を呼ぶ。

 

「・・・すまない、な。心配を掛けて」

 

 隼人は優しくリインフォースの髪を撫でる。

 

 

『良かった。本当に良かったです!』

 

 リインフォースに支えられながら隼人は一旦バンシィから人の姿に戻る。

 

「・・・何があったんだ。俺は確か・・・」

 

 ダークネスカイザーに胴体をGブレイドで貫かれ、二人に看取られながら死んだはず・・・

 

『・・・私が説明します』

 

 リインフォースはさっきあった事を隼人に話す。

 

 

 

「・・・そうか。あの二体が」

 

 隼人は自分の右手を見る。

 

「俺は生き返った、と言うより、再度転生したって事か?」

 

『そうなると思います』

 

「・・・だから、どうも身体に少し違和感があるのか」

 

『違和感って?』

 

「いや、なんて言うか・・・・・・以前より温もりとか、そんな感じなものが感じられる」

 

 正確には人間の身体では無いので、少し温もりは感じられた。

 しかし、今はそれよりも温もりを感じられる。まるで人間のように・・・

 

 

 

「それより、あいつは何所に行った?」

 

『どうやら更に奥があるようで、そこへと行きました』

 

「そうか」

 

 隼人は玉座があった場所を見ると、入り口らしき所があった。

 

「あそこがこのニューロの中枢とも言える区画になるのか」

 

『・・・・』

 

「・・・ツヴァイは戻ってみんなに伝えてくれ。今すぐここから抜け出せと」

 

『り、リイン無しで二人だけで行くんですか!?』

 

 ツヴァイは目を見開く。

 

「通信が妨害されている以上、誰かが伝えに行かないといけないのは事実。俺とリインフォースであいつに再戦を挑む」

 

『でも、ツインユニゾンですら敵わなかったのに・・・二人だけじゃ!』

 

 

「大丈夫だ」

 

 と、ツヴァイの頭に手を置く。

 

「勝てなくても、時間は稼げる」

 

『・・・・』

 

「だが、もう死にはしない」

 

『隼人さん・・・』

 

 

 ツヴァイは後ろに下がると、後ろを振り返って戦闘形態に変身して背中の翼を羽ばたかせ、そこから飛び出す。

 

 

 

 

「・・・行くぞ、リインフォース」

 

 隼人は後ろを振り向く。

 

『はい、隼人』

 

 リインフォースは頷くと、隼人の左手を握る。

 

 

『・・・?』

 

 リインフォースはある違和感を感じる。

 

「どうした?」

 

『あ、いえ。・・・何となく、以前より・・・温もりを感じます』

 

「・・・・」

 

『とても・・・温かい』

 

「そうだな。俺も、今までと違って、温もりを感じている」

 

 そして互いに手を握り合う。

 

 

「『ユニゾン・・・インッ!!』」

 

 二人は声を合わせて言うと、光に包まれて一つになり、光が弾け飛ぶとエクセリオン・ゼロが現れる。

 

「行くぞ!」

 

『はい!隼人!!』

 

 背中の四基のウイングを展開し、レイが進んで行った隠し通路へと入る。

 

 

 

 

 

 


 
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