No.621041

武器の御遣い 第弐章

第参話
荊州の戦い

2013-09-20 13:15:55 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1752   閲覧ユーザー数:1621

 

 

 

魔王が降臨し、世界のすべてを蹂躙した。時空を歪め、三国志の外史と戦国の外史を滅茶苦茶に合体させた新たな外史を作り上げた

そして、あらゆる勢力に挑み、その殆どを打ち破った

それでも魔王は戦いを終わらせなかった。まるで己を打ち倒す強者が現れるのを待つが如く

 

 

 

 

その魔王の名は、遠呂智と言った

 

 

 

 

当然、神仙や仙人の目にも止まったが、魔王は邪魔をさせぬ為に、作り上げた外史に結界を張り、仙人達の介入を防いだ

 

 

 

 

そして、いま1人の魔王が其れを見ていた

その者は遠呂智に抗う者を纏め、挑み、打ち破ってやろうと決意した

 

 

 

 

いま1人の魔王。その者の名を、織田信長と言った

(無双OROCHI戦国の章第1章荊州の戦いのあらすじより引用)

 

 

 

 

~襄陽城内~

 

 

襄陽城の城壁では弓兵と紫苑が城壁を登って来ようとする遠呂智軍の兵士を射抜いていた。弓兵でない槍兵等はぐつぐつと煮えたぎった熱湯や岩等を落として城壁を登って来る遠呂智兵を攻撃して居た

 

 

兵士1「報告します!」

紫苑「どうしたの!?」

兵士1「関平将軍、並びに関興将軍の部隊が遠呂智軍の伏兵により全滅の危機に瀕しています!!」

紫苑「伏兵ですって!!?」

兵士1「い、いかがいたしますか!?」

紫苑「………………」

 

 

紫苑は冷静になって考えた。普通ならばすぐにでも援軍を送ってやりたい。しかし、今の城の現状を考えるとそちらに手を回す余裕などない。この城はなんとしても守らねばならない

 

 

紫苑「………援軍は出せないわ。城の防衛に専念しなさい!!」

兵士1「は、はっ!」

 

 

命令を聞いた兵士は駆け足で自分の持ち場に戻っていった。周りに居た兵達も話を聞いていたのか、悲痛の表情に成る。それでも何も言わずに唯只管(ただひたすら)遠呂智兵を攻撃しているのは状況を確りと理解しているからだ

 

 

『今、援軍を出せば関平将軍と関興将軍は助かるかも知れない。しかし、援軍を出せば今度は城が落とされる』

 

 

このどちらかを諦めなければいけない二者択一の選択に自分達の非力さを悔やみながら敵を攻撃して行った

 

 

紫苑「ごめんなさい、愛莉ちゃん、愛海ちゃん。どうか無事で!!」

 

 

残酷な判断をした事を愛莉と愛海に謝罪しながら紫苑も城壁に寄ってくる遠呂智兵を射抜いていった

 

 

 

 

タカタカッ  タカタカッ  タカタカッ

 

 

ここは荊州の襄陽城から南西に少し進んだ所

 

 

そこに馬に乗って走る影が一つ

 

 

艶やかな黒色をした長髪の女性、彼女の名は織田信長

 

 

ザシュ!ザシュ!

 

 

彼女は手に持っていた剣で後ろから馬に乗っている2人(?)の遠呂智兵に近付き、斬り捨てる

 

 

信長「業が…渦巻いている…………遠呂智…魔王と呼ばれし者」

 

 

そう呟きながら斬馬刀と大剣を手に遠呂智兵数十人と戦っている少女2人に近付いて行く

 

 

関平「蜀のみんなの仇を…取らねば…」

関興「………」

 

 

戦っていた少女等の名は関平と関興、真名を関平が愛莉、関興が愛海と言う。彼女等は近くにいた敵を斬り倒し、疲労が祟って片膝をついてしまう

 

 

蛟型「イエアァァ!」

 

 

そして、蛟型の将が新たに現れ、愛莉と愛海に斬り掛かる。目に映っていた敵を倒し、安心して居た愛莉と愛海はとっさに動く事が出来なかった

 

 

最早此れまで。2人はそう思い、せめて仇討だけでもしたかったと思い、目を閉じる

 

 

ザシュ!と、肉を切る音が聞こえた。が

 

 

蛟型「グオオオ」

 

 

断末魔は先程自分達を切り裂かんとしていた蛟型の将だった事に驚いて2人は目を開ける

 

 

そして2人が眼を開けると足元に先程自分達を切り裂かんとしていた将の亡骸が目に映った。そして2人は騎馬の足を目にし、視線を上へと上げる

 

 

いつの間にそこにいたのだろう。それが2人の思った事だった

 

 

目の前にいたのは馬に跨る信長であった

 

 

漆黒に所々金の線が混じった最低限の部分が鋼に成っている服の様な鎧、風に翻るマント、手には長剣、腰まで届く艶やかな黒髪

 

 

そして、強烈な威圧感を備えた眼差しが2人を真っ正面から射抜いていた

 

 

愛莉「あなたは…!?」

信長「………生きよ」

 

 

信長は2人にそう言うと馬を走らせてその場から去る

 

 

信長「この信長、業を束ねて、うぬに問いにゆこう…ぞ。クク…」

 

 

 

 

襄陽城はすでに風前の灯火であった

敵の強行により少しずつだが確実に兵が傷ついていく

遠呂智兵ももうすぐ城が落ちることがわかっているのだろう。雨の如何に関わらず一向に士気は落ちない

 

 

そんな中、その戦況を少し離れたところから見守る軍があった

 

 

??「うっひゃ~~~。あれ早く助けてあげないとやばいんじゃないですか?」

??「だな」

??「…………」

??「………聞いてました?」

??「…………はあ?」

??「聞いてねぇな」

??「ああ、すまぬ。ぼーっとして居た」

??「どーせ『大殿ぉ、何処に行ったのですかぁ。勝家は心配ですぞぉ』とか思ってたんだろ」

勝家「んな!?」

信長「呼んだか?」

??「あ、お帰りなさいませ!どこに行ってたんです?」

信長「なに、生を拾ってきただけよ。孫、準備はできているか?」

孫市「ああ、億が一の為の逃走経路の洗い出しまでな」

信長「フフフ………………ではこの死地を………存分に興じよう、ぞ」

孫市「んじゃ、進軍開始!」

 

 

勝家と呼ばれた一対の大斧を持った女性は顔を真っ赤にして悶え、孫と呼ばれた女性は信長の言と共に進軍の指示を出し、軍を進めた

 

 

 

 

信長「襄陽城は風前の灯火…か。彼女等の生、信長が拾うてやろうぞ。敵は多いが城に近い、西を行くか…。やや遠くなるが敵の少ない、中央を行くか…。敵を避け、東へ大きく迂回するか…フフフ…」

 

 

不敵に笑いながら一人馬を走らせて軍から突出する信長

 

 

孫市「あ!おい信長!………って、行っちまったよ」

勝家「孫市!何故大殿を止めんのだ」

孫市「いや無茶言うなよ。信長の性格はかっちゃんも知ってるだろ?」

??「そうだぞかっちゃん。信長様が突っ走ったら誰にも止められんのだ~」

勝家「ええい!かっちゃんと呼ぶでない! とにかく!大殿を追いかけるぞ!孫市!秀吉!」

秀吉「アイさ!」

孫市「ハァ、本当ならこの立ち位置は光秀の場所だったんだがな。ハァ、何処に行っちまったんだよぉ、光秀ぇ、帰って来てくれよぉ、ボクにはこの立ち位置は務まらないよぉ」

 

 

勝家に秀吉と呼ばれた三節杖を持った少女は元気よく返事をし、孫市は遠い目をして今は居ない同僚の名を呼んだ

 

 

 

 

雨音と視界の悪さから対応が非常に遅れた。突然横やりを入れてきた謎の騎馬隊に遠呂智軍は混乱。城壁の上の紫苑はその様子をただ呆然と眺めていた

 

 

兵士2「黄忠様、如何いたしましょう。あの軍は敵では無いようですが」

紫苑「そのようだけど、あの軍は何処の所属?」

 

 

見たことのない旗印。その戦いぶりを見る限りかなり精強な兵達だ。しかし、それ以上に紫苑の目を引きつけるものがあった

 

 

先頭を突出して走る騎馬に乗る黒髪の女性。その女性は次から次へと遠呂智兵を切り捨てていく。その武もさる事ながら、その剥き出しの覇気に紫苑は目を奪われた。一瞬、その覇気を感じて『華琳ちゃんの軍かしら?』と思ったが、髪の色・身長・髪の長さ・騎馬等の違いにより、紫苑は全く違う軍と認識した

 

 

そして、襄陽城に居る誰もが謎の軍が味方であるように祈った

 

 

 

 

一方の遠呂智軍本陣は背後からの織田軍の急襲に混乱していた

 

 

遠呂智兵1「お、隠形鬼様!!我が軍は混乱し崩壊寸前です!!」

隠形鬼「落ち着け!!後退して陣を立て直すのだ!!」

 

敵の総大将は比較的冷静だが、兵たちの中には背を向けて逃走しだす者も見られる。

それでもやっと命令が行き届いたようで遠呂智兵は後退を始めた

 

 

 

 

 

 

どーでもいいが、隠形鬼やら水鬼やら鉄鼠やらは人間が見ればどれも同じに見え、主に量産型・蛟型・百々目鬼型・牛鬼型の4種類にしか見えないが、遠呂智兵からすれば結構違って見えるらしい

 

 

 

 

 

 

しかし、その隙を逃す織田軍では無い

 

 

秀吉「あ!遠呂智軍が後退してる!」

孫市「んな暇与えてやるかよ! 雑賀衆!蜂の巣にしてやれ!」

勝家「雑賀衆の発砲が終わり次第残りの敵を片付けるぞ!」

 

 

後退する遠呂智兵に容赦ない追撃を加えていく織田軍。唯でさえ、城門からの攻撃と突然の奇襲で挟撃に会って混乱している中に雨霰と銃弾や矢が降り注いできて遠呂智軍は指揮系統が滅茶苦茶に成り、完全に瓦解。踏んだり蹴ったりである

 

 

そうこうして、配備されていた蛟型の将を除く遠呂智兵は討ち亡ぼされた。配備されていた蛟型の将は隙を見て量産型の兵数人を連れて逃亡した

 

 

 

 

孫市「信長、遠呂智兵の死体の焼却終わったぜ」

信長「そうか」

孫市「あ~、それからよぉ。突出するの止めてくんね?オレが勝家に怒られるんだわ。頼むからやめてくれ」

信長「前回の戦闘の際も言っただろう。と・に・か・く・い・や・だ!」

孫市・勝家「「orz」」

秀吉「あはは、其処が信長様の良い所でもあるんだから諦めなよ。それよりも信長様、取敢えずあの城に入りましょう!もしかすると城に籠って抵抗していた人達が仲間に成ってくれるかもしれませんよ!」

信長「ふむ。で、あるか」

 

 

 

 

紫苑「援軍感謝いたします。貴女方が来なければ我々は………私は黄忠と申します」

愛莉「私は関平、字は雲景と申します」

愛海「………関安国」

信長「フフッ………織田信長だ」

勝家「柴田勝家だ」

秀吉「豊臣秀吉!お会いできて光栄です!!」

孫市「オレは雑賀孫市。よろしくな」

 

 

一通りの自己紹介を済ます武将達

 

 

柴田勝家は背が高く、愛紗に近い体型をした赤紫色の髪の女性

 

 

豊臣秀吉は鈴々ぐらいの背丈でまだあどけなさが残る少女

 

 

雑賀孫市は愛紗と音々音の中間位の身長で、コートを着て編み傘を被っている

 

 

愛莉「あの、貴女方も遠呂智と戦っているので?」

勝家「ああ、そうだが?」

愛莉「ならば私達も仲間に加えて頂けませんか!?」

紫苑「どうかお願いします。遠呂智相手に我らだけではとても」

愛海「………お願いします」

孫市「いいんじゃねぇの?なあ、信長」

信長「……………生き抜く覚悟はできておろうな?」

愛莉「は、ハイ!!」

紫苑「もちろんです」

愛海「………(コクン)」

信長「ならばよかろう」

 

 

かくして、織田軍に蜀の一軍が加わった

 

 

 

 

後書き

 

 

戦国・三国のオリキャラたちはもう少し数が出てから投稿します

 

 

 


 
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