No.619551

太守一刀と猫耳軍師 第22話

黒天さん

今回は董卓軍の面々が主役の回です。
曹操との戦はおそらく次々回から

2013-09-15 03:36:59 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9255   閲覧ユーザー数:7126

月と詠の処遇について、今のままでいいのかとしばらく考えてみて、

 

ふと思いついて、朱里と紫青に兄弟姉妹がいるのかという話を聞いてみると、居るには居るが、二人がいうには凡人。

 

史実や演義のようにどこかの勢力に重要人物として居るような人物ではないらしい。

 

そこで、月と詠に兄弟の名前を貸してもらえないか? という話をしてみると

 

自分の一存では決められないが、頼んでくれるとのこと。

 

それなら、と文を出してお願いしてもらった。月と詠がどこの何者かはふせて、2人はうまい事頼んでくれた。

 

その結果、快諾してくれたのが諸葛均と司馬孚叔達の2人だった。

 

────────────────────────

 

「というわけで、月は諸葛均、詠は司馬孚叔達を名乗って、それぞれ朱里と紫青の身内として振る舞ってほしいんだけど……」

 

「ボクや月に相談しないで何一人でそんなこときめてんのよ!」

 

「詠ちゃん……」

 

2人を部屋によんでこの話をしてみると、まぁ、詠のこの反応はなんとなく予想はしてた。

 

「いろいろ不便を強いてるし、それが少しでも解消できればとおもったんだけど……。

 

それに詠だって、侍女の仕事よりも政とかそっち関係の仕事を主にした方がいいだろ?

 

月も、この仕事ばっかりっていうのもあれだとおもうし、もうちょっと広い範囲で、内政関係の人の秘書的な事をしてもらおうかと」

 

「それは、そうだけど……」

 

「詠ちゃん、私達は姓も名も字も捨てたんだから、それを用意してくれたご主人様に感謝しないと……」

 

「そういう話なんだけど、二人ともどうだろ?」

 

「私は、ご主人様と一緒にいられる時間が減るから、寂しい、です。

 

でも、もっとご主人様のお役に立ちたいから、お受けしたいとおもいます」

 

「月ぇ~……。ボクと一緒に居られないのは寂しくないの?」

 

詠が月に情けない声で抗議するのはいつもの事か。

 

「それで、二人はそれぞれ、月が朱里の妹、詠が紫青の妹ってことになるから、よろしくね」

 

「はい」

 

そんなわけで2人は名前を改め、今までよりかなり自由に動けるようになった。

 

その後、詠は紫青のことを姉さん、月は朱里のことをお姉ちゃんと呼んで結構仲良くやってるらしい。

────────────────────────

 

休憩時間にぼんやりと庭の机に座る。詠ちゃんと一緒の仕事じゃなくなったから、こうして一人で休憩することも増えた。

 

今日は白蓮さんのお手伝い。仕事はあらかた片付いたから今日は上がっていいよって言ってくれた。

 

ここの人はみんな優しくて、いい人ばかり。ご主人様が優しいからかな

 

最初にご主人様に会った時の事を思い出す。

 

詠ちゃんにつれだしてもらって、抜けだそうとしたけど気づかれて……。

 

もうちょっとで殺されてしまう所を、助けてくれた。

 

そのあと……

 

ご主人様にお姫様抱っこで抱いて運んでもらったのを思い出す。

 

すごく近くにお顔があって、私を抱える両手は逞しくて。

 

顔が熱くなって、きっと顔が赤くなってるだろうなってわかる。

 

「お、月ちゃん、こんなとこで何しとるん?」

 

私を見つけてきたのは霞さん、隣には華雄さんもいて。私を見つけると霞さんは華雄さんと一緒にこっちにきて、私の前に座った。

 

「ふふ、顔赤いでー? ご主人様の事でも考えよったん?」

 

「へぅ……。助けてもらった時の事を……」

 

気恥ずかしくなって思わず両手で頬を抑える。

 

「まぁそやろなぁ、ウチやってあないして助けにきてくれたら惚れてまうやろし」

 

「霞、そのへんにしておけ」

 

「ええやんええやん、華雄やってご主人様の事好きなんやろー?

 

ふふ、警邏しよるとき、かーわいい着物着てご主人様と一緒に歩きよったん見たで?」

 

「っ!?」

 

華雄さんの顔も真っ赤になる。思わず、くすくすと笑ってしまう。

「霞さんは、どうですか……?」

 

「ん? ウチやって好きやで。月ちゃんを助けてくれた恩人でもあるし、それにぃ、よーみたら結構ええ男やしぃ」

 

赤くなったり恥ずかしがったりしないのは、さすが霞さん。

 

こういうことに慣れてるのかな?

 

「恋も気に入ってると言っていたな。アレで結構かまってもらっているらしい」

 

「へー、あの子もか。ほんなら、詠ちゃん以外はみーんなご主人様にホの字なんかぁ……。競争率たっかいなぁ……」

 

「詠ちゃんも……、きっと好きだよ?」

 

「えええ!? あの詠ちゃんが!?」

 

霞さんが大げさに驚いて見せる。華雄さんも、少し驚いた顔。

 

「隠してるけど、きっとそうだとおもう」

 

「そや、ええこと思いついたんやけど」

 

「?」

 

私と華雄さんは霞さんの言葉にそろって首をかしげる。

「あのな、みんなでお金だしてご主人様になんか贈り物せーへん?」

 

「霞、そんなに金を集めて一体何を贈るつもりだ……?」

 

「いやいやいや……。ちょっとずつでええねん。気持ちや気持ち。みんなで別々に物送ってだぶったりかさばったりしたらあれやし、

 

それにコレやったら抜け駆けとか無いやろ」

 

「ふむ、それなら、主はあれで甘いものも好きみたいだし、菓子でも買っていくか?」

 

「えー、それって買い出しのついでに華雄が食べたいだけちゃうのん?」

 

「何か、なくなったりするものじゃなくて、形が残るものがいいとおもいます」

 

私が提案すると、霞さんがうんうんと頷いてくれる。華雄さんも一緒。

 

「ウチらは、ほれ、あの日時計っちゅうんで1時間ぐらいあとから警邏に出るんやけど、そんときに月ちゃんも暇やったら一緒にどない?

 

贈り物決めるんやったら、月ちゃんも一緒のがええやろ?」

 

庭の片隅にある、石を幾つか置いた物を見る。ご主人様が作らせた物で、名前は日時計。

 

影の向きで時間を見るもので、石1つ分で1時間。

 

「時間は大丈夫です」

 

「なら、霞と私で恋を探してこのことを話しておこう。月は、詠に話してくれるか?」

 

「よっしゃ、ほんなら1時間後にここでな」

 

頷いて詠ちゃんを探しにいく。

 

今日は紫青ちゃんの所でお仕事っていってたから、多分そこかな?

仕事をしてる所に行ってみると、二人がいた。

 

「姉さん、魏への対応の方針って決まってるの?」

 

「一刀様は戦わずにすむようにと望んでいますので、戦わずにすむよう、書状を送ったりはしていますが……」

 

「あの……」

 

「月さん? どうかしました?」

 

「少し、詠ちゃんを借りてもいいですか?」

 

詠ちゃんに部屋の外にでてきてもらい、霞さんと華雄さんとした話をする。

 

「何であいつの為にお金出さなきゃいけないのよ」

 

「詠ちゃんも、ご主人様のこと、好きでしょ?」

 

「そんなことあるわけ……」

 

詠ちゃんが嘘ついてるのは知ってる。だってご主人様の事を話すとき、とても楽しそうだから。

 

説得すると、しぶしぶといった様子で詠ちゃんもお金を出してくれた。

 

日時計のところに戻ろうとすると、私の肩を誰かが叩く。振り返ると後ろにいたのは紫青ちゃん。

 

「私も出資させてください」

 

そういって、紫青ちゃんにお金を渡される。

 

「私も、一刀様の事をお慕いしてますから」

 

紫青ちゃんの言葉に頷いてお金を受け取って、私は日時計のところに戻った。

────────────────────────

 

時間通りに霞さんと華雄さんと合流して、街に出る。

 

「ほんでも、贈りもんいう手も何がええんやろうなぁ……」

 

「主の好みそうなものというのがいまいち思い浮かばないな」

 

「鉄扇とか、どうでしょう……?」

 

「テッセン?」

 

華雄さんと霞さんが首をかしげる。

 

「扇子はしってますか?」

 

「ああ、ご主人様が流行らせた折りたたみ式のウチワやろ? ウチも持っとるから知っとるよ」

 

「ご主人様から聞いたんですけど、鉄でできた扇子の暗器があるそうなんです」

 

「鉄の扇子で鉄扇か。しかし頼りなさそうな武器だな。剣の一撃を受けたら壊れてしまいそうだ」

 

「剣を持ち込めない時や剣を抜くと問題になる場の護身用に使えるそうです」

 

「そやなぁ、作ってもらうんやったら、金物屋やろか?」

 

「普通に武具関係の店でいいだろう」

 

3人で武具関係の店にいって、値段の見積もりをしてもらうと、持って行ったお金で2つ作れるとのこと。

 

ご主人様への贈り物だと知ると、店のおじさんは急いで作ってくれるって言ってくれた。

────────────────────────

 

それから数日後に鉄扇が霞さんの所にとどいたので、見せて貰いに行く

 

「やっぱり、ウチらが持つには頼りないけど、確かに外見だけやったら武器には見えんな」

 

霞さんがそれを開くと、確かに扇子。磨かれた鉄が光を反射して綺麗……。

 

「おー、ええなこれ」

 

「綺麗です……」

 

「武器としては頼りないが、な」

 

「で……。これにな」

 

要の近くの目立たない所に、霞さんが自分の真名を小さく書き込む。

 

華雄さんも、真名じゃなかったけど名前を書いて、私も名前を書かせてもらった。

 

「恋と詠と紫青にはもう片方に書いてもらったからこれでいいな」

 

「じゃあ、これは月ちゃんにもってってもらおかな。みんなでぞろぞろ行くのもアレやし」

 

「私、ですか?」

 

「そや、頼むで」

 

霞さんが考えたからそのほうがいいんじゃないかって言ったけど、霞さんも華雄さんも元の主の私に持って行ってほしいって言ってくれた。

 

それなら、と、鉄扇を持ってご主人様の部屋に行くと、ご主人様は今日も忙しそうにお仕事中。

 

「どうしたの?」

 

「あの、これ、ご主人様に……」

 

木の箱に入った2つの鉄扇をご主人様に手渡すと、さっそく箱を開いて、中身を見て驚いたよう。

 

「月がこれを、俺に?」

 

「ここに書いてあるみんなからの、贈り物、です」

 

箱から鉄扇を取り出して開き、真名が書き込まれた場所を教えて差し上げて。

 

「月、華雄、霞、恋、詠、紫青。か」

 

「私も、みんなも、ご主人様をお慕いしてます」

 

私がそういうと、ご主人様は照れくさそうに笑った。

あとがき

 

どうも黒天です。

 

今回は月をメインにして董卓軍の面々のお話でした。

 

月の他の人の呼び方に関しては、わからなかったので、

 

基本は黒天主観で小さい人がちゃん付け、大きい人がさん付け+詠以外には丁寧口調。で書いてます。

 

三点リーダがあんまり増えると読みにくくなりそうなので、結構省いてるので、違和感あるかも。

 

あと霞さんの呂布や詠の真名の呼び方もわからないので、知ってる人はこれも違和感かも。

 

これからの予定としては次回、今回出番の少なかった詠の拠点をやって次々回から対曹操戦に突入になります。

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 

 


 
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