No.619470

【恋姫二次創作】死神の毒 共同

三連休。
まさに極楽の響きである。

ランスシリーズはよ次回作出さんかい(ホモはせっかち)

2013-09-14 22:15:48 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1126   閲覧ユーザー数:1071

~一刀 side~

 

朱里「曹操さんの部隊から、夏侯の旗が突進していきました。恐らく夏侯惇、夏侯淵さんの部隊かと。」

 

雛里「頑張って踏ん張っていた一部の黄巾党もこれがダメ押しになって総崩れに崩れると思います……。」

 

一刀「よし。なら俺たちの勝ち……かな?」

 

朱里「はい。私たちの大勝利ですよ♪」

 

一刀「そっか。ふぅ~……」

 

桃香「あははっ、ご主人様、お疲れ様ぁ~♪」

 

一刀「うん。……俺が一番何もしてないのに、一番疲れてるってのが、なんだか申し訳ないけど。」

 

相変わらず、殺し合いを見るのに慣れないし、仲間たちのことが心配で心配で……。

 

戦いが終わったあとは、いつも想像以上に消耗してしまう。

 

朱里「はい、ご主人様。お水です。」

 

一刀「ありがと、朱里。」

 

とてとてと走り寄ってきて、水の入ったお椀を差し出してくれた朱里にお礼を言って受け取る。

 

一刀「んぐ……んぐ……」

 

それを一息で飲み干していると、前方の兵たちの歓声を浴びながら、愛紗と鈴々が姿を表した。

 

愛紗「ご主人様。ただいま戻りました。」

 

鈴々「お兄ちゃん、ただいまー♪」

 

一刀「お帰り。……二人とも怪我は無い?」

 

鈴々「当然なのだ♪」

 

愛紗「ふふっ、鈴々の言う通り。我らには匪賊の兇刃など届きませんからね。」

 

一刀「そっか。……でも無事で良かった。」

 

言いながら、愛紗の体をそっと抱きしめる。

 

愛紗「ご、ご主人様?」

 

一刀「いつもありがと。……お疲れ様でした。」

 

鈴々「お兄ちゃんもお疲れ様なのだ♪」

 

ポンポンと、鈴々が俺の背中を叩く。

 

一刀「ははっ、ありがと」

 

俺のことを気遣ってくれた鈴々の頭を、クシャクシャと撫でつける。

 

―――互いの無事を祝いあう、戦いの後の束の間の休息。

 

だけどそれに浸っている場合でもない。

 

黄巾党の本拠地を落としたのは良いけど、グズグズしていれば、敵の本隊が奪還のために引き返してくるだろう。

 

一刀「敵の本拠地を陥落させたのは良いけど……これからどうするべきか。」

 

桃香「このままここに居るのは、ちょっと不味いんじゃないかなぁ?」

 

一刀「桃香もそう思うか?」

 

桃華「うん。敵の本隊が引き返してくれば、いくら曹操さんと行動を共にしてるって言っても、対抗できないと思うし。」

 

朱里「本隊の規模がどれほどのものかは分かりませんけど、黄巾党の全勢力から推察すれば、十万人は下らないと思います。」

 

愛紗「十万……さすがに対抗できんな。」

 

鈴々「戦いは数だもんな、姉者ー。」

 

一刀「うんうん。……ってことで、俺たちはここからさっさと逃げるってのが、一番だと思うんだけど。」

 

雛里「私もその方が良いと思います……。」

 

ソウ「逃げも時には必要な事ですねぇ。」

 

桃香「でも折角、敵のご飯を奪えたのに。……自分たちの分だけでも持っていっちゃおうよぉー。」

 

一刀「それもそうか。じゃあ、皆で協力して―――」

 

ソウ「それはやめた方が良いですねぇ。」

 

桃香「えっ!?ソウさん反対なの?」

 

ソウ「えぇ。僕らに協力してくれている義勇兵の皆さんは、義憤から参加した人、成り上がりたくて参加した人など、様々な人が居ますからねぇ。」

 

雛里「その中で一番多いと思われるのは、食べるために参加した人だと思うんです。」

 

朱里「その人たちが山積みになったお米を見たら……」

 

愛紗「……なるほど。驚愕し、我らの指示を聞かなくなるかもしれない、ということか。」

 

朱里「そうなったら、事態の収集にどれほどの時間が掛かるか……」

 

雛里「その間に敵の本隊が急行してきたら……私たちは全滅しちゃいます。」

 

桃香「う、そうか。……じゃあ今回はご飯、諦めるしかないかぁ~……」

 

愛紗「しかし、このままでは兵糧が底をつくのも時間の問題になってしまいます。」

 

鈴々「みんな良く食うからなー。」

 

一刀「おまいう。」

 

我が軍一の大食い娘のくせに、シレッと言ってのけた鈴々に、笑いの渦が巻き起こる。

 

ソウ「笑ってばかりもいられませんよ?」

 

一刀「うっ……そうだよね。どうしよ?」

 

朱里「今のところは特に案が思いつきませんね……」

 

顎に手を添えて、しきりに考え込んでいた朱里の後ろが、ざわざわとざわめき立つ。

 

愛紗「何事か!」

 

劉備兵「はっ。それが……曹操様がお見えになったようでして……」

 

桃香「あ、じゃあここにお通ししてくれる?」

 

劉備兵「はっ!」

 

走り去った兵士を見送っていたとき、頭の中がパチンと音をたてた。

 

一刀「あ、そうか。……曹操と取引してみるか。」

 

桃香「へっ?曹操さんと取引?何の?」

 

一刀「兵糧くれーって。」

 

愛紗「そ、それはさすがにミジメ過ぎるのでは……」

 

ソウ「命知らずですねぇ。」

 

鈴々「お兄ちゃんに誇りは無いのかー。」

 

一刀「誇りも重要かもしれないけど、今は一杯のお茶碗が大切だと思う……」

 

朱里「……ご主人様の言う通りかもしれません。まだまだ戦いは続くんですから、兵の皆さんには何とか残って貰わないといけませんし。」

 

雛里「ご飯が食べられないと分かれば、兵士さんたちはみんな逃げちゃうと思います……」

 

愛紗「うーむ……背に腹は代えられんか。」

 

桃香「はぁ~……貧乏部隊の悲哀だねぇ。」

 

愛紗「何をのんびり仰っているのです。全く……」

 

桃香「あははっ、ごめんね。でもね、下を向いていたって事態は好転しないんだし。なら落ち込むだけ損ってものでしょ。」

 

鈴々「……お姉ちゃんはノーテンキなのだなぁ。」

 

桃香「うっ、鈴々ちゃんに言われると、すごーく落ち込むんだけど。」

 

鈴々「にゃはは!気にしない気にしない~♪」

 

どっちもどっちの言い合いをしている二人の姿に、大きな笑いが巻き起こっているところへ、

 

曹操「あら、賑やかにしているわね。勝利の余韻に浸っているのかしら?」

 

お供を背後に引き連れて、戦装束に身を包んだ曹操がやってきた。

 

一刀「余韻に浸っているんじゃなくて、これからどうしようかって悩んでたら、いつの間にか笑いが起こってたって感じかな?」

 

曹操「……??良く分からない状況ね。」

 

一刀「そうかな?まぁ俺たちにとっちゃこれが普通なんだけど。」

 

不思議そうに首を捻る曹操に、肩を竦めて答えたあと、

 

一刀「それより、これからどうするんだ?このままここに居るのはマズイんじゃないかな?」

 

曹操「あら。気付いていたのね。」

 

一刀「一応ね。……曹操たちはこれからどうするつもりなんだ?」

 

曹操「我らはこれから西方に向かい、渠帥の一人が率いる部隊を蹴散らすつもりよ。」

 

一刀「きょすい……ってなに?」

 

ソウ「黄巾党の将軍みたいなものですねぇ。」

 

一刀「なるほど。それじゃ結構強敵なんじゃない?」

 

???「黄巾党如き雑兵が我らに敵うはず無かろう!孟徳様の忠実な兵士たちを見損なうな!」

 

一刀「えーっと……」

 

曹操「夏侯惇よ。そしてこっちが夏侯淵。最愛の従姉妹にして、我が両腕よ。本当ならここに曹家の頭脳が居るんだけどね。」

 

ソウ「……」

 

一刀「なら夏侯惇さんに一言申し上げる。……戦いって観念だけでやってたら必ず負けるよ?」

 

夏侯惇「な………………なにぃぃーーーーーーーっ!!」

 

曹操「春蘭!落ち着きなさい。みっともない。」

 

夏侯惇「うっ……で、でも華琳様ぁ~……。」

 

曹操「北郷の言うことも尤もなことよ。……で、その有り難いご助言の裏には、何があるのかしら?」

 

一刀「やっぱり分かる?」

 

曹操「分からないと思っていたのなら、それは私に対しての侮辱以外の何物でもないわね。」

 

一刀「さすがに分からないとは思ってないけどね。……俺たちから一つ提案があるんだけど……。」

 

曹操「聞きましょう。」

 

桃香「あのね、曹操さん。黄巾党との戦いが終わるまで、私たちと一緒に行動しませんか?」

 

一刀「俺たちが提供できるのは兵と、それを率いる将。……ソウの実力は知っているとして、関羽や張飛の力はその目で直接見てただろう?」

 

曹操「えぇ。勇敢でもあり果敢。……春蘭や秋蘭に負けず劣らず、とても良い将才があると見ているわ。一人は矢を避けるのが上手そうだし。」

 

夏侯惇「華琳様っ!私がこんな奴に負けるはずがありません!」

 

夏侯淵「……落ち着け姉者。だから華琳様は、負けず劣らずで互角だと言っているのだ。」

 

夏侯惇「なに?そうなのか?……ならばよし。」

 

ソウ「良いのかよ!」

 

満足げに頷く夏侯惇と、それに素でツッコンだソウ。

 

思わず吹き出しそうになるのを、腹筋総動員で何とか堪える。

 

一刀「良く言うだろ?一頭の獅子に率いられた百頭の羊は、一頭の羊に率いられた百頭の獅子にも勝るって。」

 

曹操「ふむ?そんな言葉は初耳ね。……だけど言いたいことがどういうことかは良く分かるわ。」

 

深々と頷いた曹操が、

 

曹操「……良いでしょう。あなたたちの提案、受けてあげましょう。それで……私たちが提供するのは、兵糧ということで良いわね?」

 

全てを見透かしたかのように、俺たちの欲しかった答えを提示してくる。

 

一刀「……正解」

 

曹操「ふふっ、そんなことだと思ったわ。」

 

桃香「あぅ……お見通しだったんだ。」

 

曹操「あなたたちの軍に何が足りないのか……それを考えれば、この答えが導き出されるのは当然でしょう。」

 

一刀「むぅ……そこまで見透かされてたのなら、駆け引きなんて意味ないなぁ。……じゃあ改めて。兵糧と武器と防具と、あと資材とかも頂戴。」

 

桃香「ご、ご主人様、開き直ったねぇ。」

 

一刀「全部バレてるんなら、遠慮したって仕方ないだろ?……貧すれど、心は綿で飾ってれば構わないさ。」

 

曹操「……良いでしょう。そのぐらいならば提供してあげましょう。ただし」

 

一刀「……何?」

 

曹操「その分はしっかりと働いてもらいますから、そのつもりでいることね。」

 

一刀「……了解。お手柔らかに」

 

曹操「ふふっ、考えておきましょう。……春蘭、秋蘭。戻ります。」

 

二人「「はっ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅ~……何とか取引成功かな?」

 

愛紗「あれが取引と言えるかどうか。……全てを見通すあの慧眼には、諸手を挙げるしかありませんが。」

 

鈴々「チビのくせにスゴイのだなー、あいつー。」

 

朱里「私たちが抱える問題を的確に見抜く観察眼。そして全てを受け入れることの出来る度量。……さすがに覇王を目指す人ですね。」

 

桃香「ホントだねぇ~。曹操さんってすごいなぁ。」

 

愛紗「……桃香様。感心している場合ではありません。桃香様の理想を実現させる上で、あやつは大きな壁になるやもしれないのですよ?」

 

桃香「だけど、どう逆立ちしたって私には勝てそうにないもん。それに理想を実現するにしたって、道は一つだけじゃないよ、きっと♪」

 

雛里「ふふっ……桃香様の仰る通りかもしれませんね。」

 

鈴々「これぐらいノーテンキな方が、お姉ちゃんらしくて良いのだ。」

 

桃香「むぅ……そんなにノーテンキかなぁ、私……」

 

そんな二人のやり取りに笑いが起こる。

 

一刀「愛紗の言いたいことも良く分かるけどね。……ま、何にせよ、俺たちが理想を語るには、もう少し実力を養わないと。……って訳で朱里、ソウ。」

 

朱里「はい?」

 

ソウ「なんですかねぇ?」

 

一刀「曹操と共同作戦を展開する間、曹操軍の兵士の動きとか、組織の作り方とか、出来るだけ情報を集めることって出来るかな?」

 

朱里「あ、なるほど。それはもちろん可能ですよ♪」

 

一刀「じゃ、手配しておいてくれる?」

 

ソウ「今回は朱里一人でやってみてください。僕が居なくても出来るでしょうからねぇ。」

 

朱里「御意です♪」

 

桃香「えっ?えっ?ご主人様、どういうこと?」

 

一刀「曹操のやり方を真似て……ゴホンッ。勉強させてもらって俺たちの今後に役に立たせようってこと。」

 

桃香「………………………………ああ!うわー、ご主人様あったまいいー!」

 

長い沈黙だったけど分かってくれてよかった。

 

一刀「折角の機会なんだからね。……という訳で、愛紗、鈴々もそのつもりでお願い。」

 

愛紗「了解しました。曹操軍の強さ、しっかりと分析させてもらいましょう。」

 

鈴々「にゃぁ~……めんどくさいなー。」

 

相変わらずの『らしい』言葉に、思わず苦笑が漏れてしまう。

 

一刀「まぁそう言わないで頼むよ、鈴々。」

 

鈴々「仕方ないなー。頑張ってあげるのだ。」

 

一刀「ははっ、ありがと。」

 

ソウ「僕が雛里と、足りない物資の目録を作っておきましょう。」

 

一刀「それは助かるよ。ありがとう。それじゃ、ここをすぐに移動しよう。落ち着ける場所に到着したら、目録を向こうさんに渡して物資を受け取って……」

 

桃香「新たなる戦いへ、ってことだね。」

 

一刀「ああ!」

 

この乱が、いったいいつまで続くのか―――。

 

それは俺にも分からない。

 

だけどこの乱を上手く利用できれば、桃香たちの理想に一歩近づくことになるだろう。

 

……勝ち続けること。

 

今の俺たちに必要なのは、その一事だけなのかもしれない。

 

攻め落とした陣地に火を放って全てを焼き尽くしたあと、俺たちは曹操の軍と共にその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「……」

 

ソウ「言いたいことは、分かっていますよ。」

 

??「……」

 

ソウ「仕事っていうのは頼られている証拠ですからねぇ。」

 

??「……」

 

ソウ「周りに愛を配る天才。しかし、その周りはあまりにも狭い。偶然、中に入った者が外に出るとその差に驚くものですねぇ。」

 

??「……」

 

ソウ「まぁ、もう少し見極めてみてください。もしそれでも変わらないなら……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウ「ケケッ、なかなか良い雰囲気ですねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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