No.61890

宵風の家出

そらさん

宵風が雪見にケーキを作ったことがないので書きました!!

2009-03-06 21:14:41 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1285   閲覧ユーザー数:1225

 

「あんの莫迦・・・何処行きやがった・・・」

 

宵風が家を出てもう三日になる。

前に壬晴に会いに行った時は

「さよなら」といって出ていったが、今回は何も告げずに出て行ってしまったのだ。

普段はあまり気にしないが今回はかなり心配だ。気羅でかなり弱っているし、あいつには考えられないが事故にあってしまっていたら・・・と考えると・・・

 

(て、俺かなり父親っぱくね?)

 

そんなことを考えながら車を走らせてきたのは和穂の家だ。

あいつなら壬晴か俺の身内の家にやってくると思い、まず、比較的俺ン家に近い和穂の家に行く。

 

近くに車を停めた。しかし、和穂の家でやっている寿司屋は今日は休みだった。

裏口に行き、インターホンを鳴らす。だが、出てこない。

 

(出かけてんのか?それなら宵風は来てないか・・・)

 

車に乗った。次に行く場所は前に訪ねた寝ぐせ兄さんのところだ。遠いが・・・もし、宵風が来てると壬晴が寝ぐせにいさんに言ったらまっさきに自分の家にこい勧めると考えたからだ。

 

 

 

「やっとついた・・・」

車に酔ったりしたが、無事ついた。ここら辺は道が入り組んでいてわかりにくい。萬天についた後半はほとんど歩きだった。

 

「相変わらずこの家の庭すげーな・・・」

 

ガーデニングが好きだとは・・・女か?

 

家の前に立ち、インターホンを押す。

 

・・・出てこない・・・ここも留守のようだ。

 

(今日はなんかあんのか?)

 

下まで歩き再び車に乗る。

 

「最後は壬晴の家か・・・ってガソリンもうねーじゃん!!!」

 

雪見はすぐにガソリンスタンドへ車を走らせた。

 

「ったく・・・なんなんだよ・・・って、んん!?」

 

雪見の前を雷光と俄雨が通った。

 

雪見はすぐに車をとめ、二人のところに歩み寄り、話しかけた。

 

「よおっ!!」

「あ、先輩」

「い゛!?」

 

俄雨の頭にごっと雷光の拳が当たる。

 

「すいません、先輩」

「いや、いいんだが・・・てんぱ君大丈夫か?」

「俄雨なら平気ですよ。いつも鍛えてますから。」

 

完全に大きなたんこぶが出来ているんだが・・・

 

「ところで先輩はどうしてここに?」

「いや、実は、宵風が何も告げずにどっかいっちまって・・・お前ら何か知ってるか?」

「・・・いえ、知りません・・・」

「あ、宵風君なら」

またゴッと俄雨に雷光の鉄拳があてる。

 

・・・あいつらかなりあやしくね?

 

「では、私たちはこれで。行くよ、俄雨。」

「はい・・・」

「あっちょっとまて・・・!!」

 

引きとめようとした瞬間、雷光の目が光った。

 

「助けてーーーー!!ちかんーーーー!!」

雷光が突然叫んだ。

 

「へ!?」

雪見はかたまり、呆然とする。その雪見に人々の冷たい視線があたる。

 

「行くよ!!!」

「はい!」

 

雷光たちはその隙に逃げ出した。

 

「おい!!待てーーー!!」

 

 

「あ゛~~・・・何でこんなめに・・・」

 

雪見はそのあと危うく警察の御用になるところだった。

誤解を解くのに一時間かかった。

辺りはもう暗く、月も星も綺麗に見えている。

 

雪見は家に帰ろうとしたが、宵風が心配だから、さっき雷光たちが向かった方向へ足を進めた。

 

あいつら何か隠してる・・・

 

「つか、こっちの方向って・・確か・・」

 

坂道を進んで見えてきたのは『太萬天』ののれんと明るく光った家だった。

 

「最終的に小悪魔小僧の家かよ・・・最初からここにくりゃあよかった・・・」

 

雪見はそう言いながら店のドアを開ける。するとクラッカーの音が開けると同時に5、6発鳴った。そして

「「雪見さん、お誕生日おめでとうーーー!!!!」」

 

そこには、雷光も俄雨も虹一も雷鳴も帷も英も和穂も壬晴も宵風もいた。

 

「へ・・・?」

 

「もう、にいさんたら、自分の誕生日忘れちゃったんすかぁ?」

 

和穂が言う。それでようやくきがついた。

 

ああ・・・・そうか・・今日は俺の誕生日だったな・・・

 

「雪見さん」

「雪見・・・」

 

声がした方には服に粉をつけた壬晴と宵風がいた。その手にはおおきなケーキが。

 

「これ―――お前が作ったのか?」

「うん・・・壬晴を手伝ってくれて・・・」

 

本来なら、ここで怒る『それなら一声かけろ』と―――だが、こいつの姿を見るともう怒れない。

 

「いつも、世話になっているから―――」

 

やばい・・・泣きそう。何これ?俺、昔こんな感情あったっけ?

 

それぐらいないてないのだろう。

 

「雪見さん、泣いているんですか?」

メガネ君の声ではっと我にかえる。

 

「父親みたいだな。ぷっ・・・」

「おい、今笑っただろ」

「別に、何のことだ?」

しじまははぐらかした。

 

「いいじゃないの。泣くほどうれしいんでしょう?雪見さん。」

「・・・そうだな。ありがとな。宵風、みんな。」

雪見は笑いながら宵風と壬晴の頭をなでた。

 

「さあ、食べましょうか!!今夜は宴よーーー!!!」

「はな・・・おばさんくさいよ・・・」

 

ケーキのほかに、壬晴の作ったお好み焼きもある。ビールがほしくなった。

お好み焼きに手を伸ばそうとするとツインテール侍がそれをさえぎる。雷光の妹とは思えないほどよくたべる。

 

メガネ君はしじまと話している。あいつら妙にあやしいんだよな。

 

寝ぐせ兄さんは英サンに「もう少し女らしく・・・」と言っている。しかしおばさんパワーはそんなことじゃ折れない。

 

ピンクとてんぱは・・・いつもと同じ。

 

壬晴と宵風は少し笑いながら飯を食っている。話すことはないのか?

 

(さて・・・俺も食うか・・・何も萬天の奴らの行動を今日調べる必要はないし)

 

そして、俺はケーキに手を伸ばす。

 

あいつが俺に初めてつくってくれたケーキは甘くてイチゴが少しすっぱくて

涙ですこししょっぱかった。

 

 

 
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