No.613509

リリカルなのはSFIA

たかBさん

リリカルなのはSFIA IFエンド3話。ずっと一緒だよ

2013-08-28 23:33:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4668   閲覧ユーザー数:4321

 リリカルなのはSFIA IFエンド3話。ずっと一緒だよ。

 

 

 アリサファンの方。すずかファンの皆様へ。二人のイメージが色んな意味でぶっ壊れになっていますので飛ばし読みしてもらっても構いません。

 これはヤンデレ化しているので後味悪いものとなっています。

 

 ある意味でのBADエンドの一つだと思って読んでください。

 

 

 高志視点。

 

 とある教会。その小さな個室で俺は一人の男性と話していた。

 

 「本当にいいのかい、高志君?別に私の娘でなくても…」

 

 アリサの親父さん。バニングスさんがお世辞にも明るい表情とは言えない顔で俺に話しかけてくる。

 かくいう俺も満面の笑顔で彼を迎えることが出来ないでいた。

 あの闇の書事件から十年の間に俺はどうにかしてスフィアに関することを解決した。多大な犠牲を払って…。

 

 「いえ、これが俺なりの責任の取り方。いや、贖罪なんですから」

 

 「だが、君を慕う者は…」

 

 「それに俺はアリサの事が好きですから」

 

 その言葉を聞いてバニングスさんは辛そうな表情をする。

 そう、今日俺は彼の娘。アリサ・バニングス。そして…。

 

 「…新婦さん()をあまり待たせちゃいけないですよ」

 

 と、メイドのファリンさんが俺とバニングスさんのいる部屋の扉を開ける。

 その奥には右腕の無い花嫁。すずかがいた。

 

 「…もう、高志君。これは高志君の所為じゃないって何度言ってもわかってくれないんだから」

 

 そして、

 

 「………………」

 

 無表情なまま虚ろな瞳をして車椅子に乗せられたアリサがいた。

 

 彼女たち二人はDエクストラクターの実験で心身を失った。

 すずかは右腕を。アリサは心を。

 今から二年前。Dエクストラクターの実験の最中に起こった事故でそれぞれ体の一部と心を壊した。

 事故現場には全身に重傷を負ったアリサとすずか。

 そして、数人の研究者と管理局の捕縛が逃れた犯罪者の死体が転がっていた。

 二人の持っていたDエクストラクターのデータは真っ白になる程の衝撃を受けたようで事故現場で何が起こったのかを語れたのは、重症から復帰したすずかだけだった。

 

 「…悪いのは試作品のDエクストラクターの実験中にそれを奪われた私達なんだから」

 

 「でも、それは。Dエクストラクターは…」

 

 俺が続きを言おうとしたら、それをすずかの左手の人差し指で抑え込まれた。

 

 「それは私が。私達が望んでしたこと。高志君の力を模写した力を欲したのは私達でそれを望んだのも私達。そして、それをあの犯罪者が欲した。私達がそれを阻止した。だけど、その時に試作品のDエクストラクターが暴走して大きな被害が出た。だけど、それは君の所為じゃない。それに…」

 

 すずかは一度視線を下に向けて、俺に表情を見せないようにポツリとつぶやいた。

 

 「…恋人だったアリサちゃんもそれを望んでいないよ」

 

 そう、事故当時。俺はアリサと恋人関係だった。

 小学生の頃は俺やはやてのボケに突っ込むアリサをからかっていたが、中学生に進学したころにアリサの事を一人の女の子のように思うようになった。

 高校一年の時に気がつけば彼女のことを本気で好きになっている自分がいて、その直後にアリサに告白されてとぼけながらもそれを受け入れた。

 周りの皆からはいろいろ言われたが、最終的には皆から祝福された。

 アリサの親父さん。バニングスさんにも結婚を前提に交際を認めてもらえるように必死に勉強して管理局でそれなりの地位について、いざプロポーズしようとした瞬間にこのような事故が起こった。

 

 「それに私も、ね」

 

 すずかは落ち込んだ状態で言葉をつなげる。

 すずかは事故の直後。自分の右腕が無くなっていることに大きなショックを受けていた。心の壊れたアリサ程ではないが半狂乱と言ってもいいほどのショックだった。

 その時、俺はどんなことでもする。と、言って彼女を落ち着かせた。

 その時にすずかが俺に求めた行動は、

 

 『こんな風(・・・・)にした私を幸せにして』

 

 それが、彼女が俺に求めた罰だった。

 だけど、俺にはアリサがいた。

 将来を一緒にすると約束した女性がすぐ傍にいた。

 それでもすずかはその願いを下げることは無かった。

 

 「…ねえ、あの時の言葉を無理に守ろうとしなくても」

 

 これ以上を言わせてはいけない。

 俺は俯いているすずかの顎を指で掴んで無理矢理上に向かせる。そして、それ以上何かを言おうとしたすずかの唇を唇で押さえた。

 

 「…あ」

 

 あれ以上言わせてはいけない。何故ならすずかは『私が貴方で幸せになれないなら消えた方がまし』といって、、自分の首元に刃物を当ててその刃の下にある動脈を切ろうとするから。

 結局俺はその願いを聞きれる為にバニングスさんと忍さんのところを言ったり来たりを繰り返しながら、アリサとすずかの二人の花嫁に迎え入れられることになった。

 戸籍上では俺達三人のフルネームに変化はない。

 だけど、俺は婿として。アリサは妾として、月村の姓を名乗る事になるだろう。

 自分の娘と妹を酷い目に会わせたのに両家の党首達も最初の頃は俺に悲痛な言葉を投げかけるも、すずかが間を取り持ってくれたことでどうにか丸く収まった。

 

 「…絶対。お前を。お前達を幸せにしてやる。だから消えるなんて言わないでくれ」

 

 俺はすずかから唇を離すとアリサの唇にもキスをする。

 すずかにやった事はアリサにも。アリサにやった事はすずかにも。

 それが、俺が彼女達にした約束だった。

 

 「ずっと三人。一緒だからな」

 

 俺が出来たのは二人の花嫁に向かって微笑むだけだった。

 それから一人の花婿と二人の花嫁の結婚式が行われた。

 いつかアリサの瞳がこの教会の外の天気のように光で満ち溢れ、幸せで満たされる事を願って。

 俺は二人の花嫁の指に指輪をはめた。

 

 

 すずか視点。

 

 結婚初夜。

 私はとあるホテルのスイートルームで髪をとかしていた。

 隣には同じ様(・・・)に身綺麗にしたアリサちゃんがいる。

 

 「…私と同じ様に綺麗にしてあげるからね。アリサちゃん」

 

 私はベッドに寝かされているアリサちゃんの上体を起こして、その綺麗な髪をくしでとかしてあげる。

 これは高志君との約束。

 私をアリサちゃんと同じように愛してくれるという約束。だから、私はアリサちゃんの髪も綺麗にしてあげる。

 すっと一緒にいられるように。

 

 「まさか、こうなるなんてね」

 

 アリサちゃんの心が壊れたあの日。

 私はアリサちゃんが高志君と正式に結婚を前提にした交際をし始めると聞かされたあの時じゃあ、考えられないなぁ。

 正確に言えば、実験が起こる前数日前だけど…。

 あの時のアリサちゃんはぶつぶつ文句を言いながらもとても嬉しそうな、幸せそうな顔をしていた。

 私といえば、それを聞かされた時は泣き叫びたかった。怒り狂いたかった。

 どうして!?私の方がアリサちゃんよりも高志君が好きなのにどうして!?

 彼は私のだ!だけど、無理矢理彼を奪うことは出来ない。だって彼が最も力を発揮するのは彼が本気で守りたい存在。家族。その家族になると約束した存在を。アリサちゃんを傷つければ彼の心は決して私の所へ帰って来ない。

 

 びくりっ。

 

 と、アリサちゃんの体が震えた。

 心は壊れても食事を与えれば固形物でも食べられる。排泄を催せばその表情からは受け取りづらいが何となく察知することは出来る。肌に火を押し付けられればひっこめるといった反射までは行える。

 

 「ふふふ。大丈夫だよ、アリサちゃん。もう(・・)傷つけたりしないから」

 

 私の言葉を聞いてアリサちゃんは微かに震えている。

 あの時。あの暴走事故で暴走したのは私の持つDエクストラクター。いや、私自身なんだから。

 私の持つDエクストラクターは私の嫉妬の感情を溜めこんでいた。そして、それがあの事件の時に発動した。事件が起こったその瞬間、私は…。

 

 『アリサちゃんがいなくなれば…。あの人は私の所に来てくれる』

 

 そう、アリサちゃんがいなければいいんだ。

 はやてちゃんやリインフォースさんみたいに高い魔力の資質を持っているわけでもない。

 アリシアちゃんのようにしがらみにまみれている存在でもない。

 ただの普通の女の子と恋愛がしたかった存在。それは私とアリサちゃんしかいない!

 だから、アリサちゃんがいなくなれば彼は!

 そんな事を考えていたからか…。

 暴走した私のDエクストラクターは私の右腕を吹き飛ばしながら、周りにいた研究員。管理局からの脱獄囚を粉々に吹き飛ばし、Dエクストラクターの共振であるアリサちゃんの心を壊した。

 事故後、状況を理解した私はこの状況を利用した。

 

 

 

 彼の傍にずっといられるように。

 

 

 

 事故後の彼は管理局の仕事を止め、今は私達の家の仕事に従事しようと今も勉強中だ。

 アリサちゃんと私への罪悪感で彼は私達の傍にいる。いや、私は傍に侵せてもらえているだけかもしれない。

 アリサちゃんをどうこうしようとはもう思わない。だって、彼は傍にいるんだから。

 この瞬間を迎えるまでに私は何度もアリサちゃんを消してしまおうと思った。だけど、彼は約束してくれた。三人で一緒に幸せになろう。と、

 だから…。

 

 

 

 

 

 「ずっと一緒だよ。アリサちゃん」

 

 

 

 

 

 かすかに震え続けるアリサちゃんを私は背中から優しく抱きしめた。

 

 

 


 
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