No.607188

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 645

soranoさん

第645話

2013-08-09 22:59:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:953   閲覧ユーザー数:904

~太陽の砦・最奥~

 

「―――ヨアヒム・ギュンター。察するに、あなたは数々の実験を総括していた責任者のだったようね……?」

「フフ、その通りだ。だからといって教団内の位階が高いわけではない。そもそも我が教団は、真なる神の元、平等の―――」

「レンはそんな事、知る気はないし知りたくもないわ。―――それより、だったら知ってるはずよね?”楽園”と呼ばれたロッジのことを……」

ヨアヒムの説明を遮ったレンは真剣な表情で尋ね

「レン………」

「……………」

「レンちゃん………」

レンの言葉を聞いたエステルとヨシュアは真剣な表情で、ミントは心配そうな表情でレンを見つめ

「その名前は………!?」

「あの黒いファイルにあった………」

レンの言葉を聞いたロイドとエリィは驚き

「ほう……その存在を知っているのか?あれは教団の有力者がわざわざ作らせたロッジでね。各地の有力者を取り込み、弱味を握って教団の手づるとする。正直、僕が考えていた実験の趣旨からかけ離れてしまったロッジだったよ。」

「そう……………やっぱり………」

「なるほど………そういう事か………その”楽園”とやらに引き込んで議長の弱みを握ったんだな!?」

意外そうな表情をした後答えたヨアヒムの説明を聞いて納得した様子で頷き、ロイドは真剣な表情で尋ね

「あ………!」

「やっぱりそう繋がんのかよ………!」

エリィとランディは声をあげた。

「フフ、僕は全てのロッジの実験結果に目を通していたからね。6年前の、あの忌々しい作戦で殆んどのロッジが失われた後………丁度いい後ろ盾を手に入れることが出来たわけだ。”ルバーチェ”なんていう、便利な手足のオマケ付きでね。」

「やっぱりか………警備隊を操れているのもそのあたりの関係だな………?」

「そ、そういえば………」

「どうやって”グノーシス”を連中に服用さえやがったんだ!?」

ヨアヒムの話を聞き尋ねたロイドの疑問を聞いたエリィはある事に気付き、ランディは目を細めて尋ね

「ああ、議長の子飼いである警備隊司令に強引に回させたのさ。ウルスラ病院で開発された画期的な栄養剤という触れ込みでね。クク、まさかこんなにあっさりと信じるとは思わなかったが………」

「くっ………やっぱりか………!」

「阿保司令が……さすがに迂闊すぎんだろ………!」

ヨアヒムの説明を聞いたロイドは唇を噛みしめ、ランディは目を細めて叫んだ。

 

「―――”楽園”に話を戻すがあれは例の作戦に参加した”英雄王”や”闇の聖女”達によって潰されたようなんだよね。」

「…………………………」

話を戻したヨアヒムの話をレンは真剣な表情で黙って聞いていたが

「ああ、しかし”楽園”には一つだけ大きな心残りがあったな。天才的な感応力を持つ、一人の幼い検体がいたんだが………これがまた傑作でね!周囲にいた別の検体の人格や検体の属性を”グノーシス”投与をきっかけに自分のものとして取り込んだのさ!いや、その実験データだけでもせめて回収できていれば―――って、君は!ハハハハハハハッ!まさかティオ・プラトーだけでなく、”楽園”での検体まで―――」

「―――もういいわ。知りたい事は全部わかった。もう、それ以上話す必要はない。それ以上話せば肉片も残さず”殲滅”するわ。………ロイドお兄さん、ごめんなさいね。レン、少し出しゃばったみたいね。」

醜悪な笑みを浮かべて語るヨアヒムの説明を聞き、膨大な殺気を纏わせてヨアヒムを睨んで話を中断させた後ヨアヒムを睨みながらロイドに謝罪の言葉を言い

「いや、おかげでこちらもかなり整理できた気がする。―――これで心置きなく逮捕に踏み切れそうだ。」

レンの謝罪の言葉を聞いたロイドは口元に笑みを浮かべて答えた後ヨアヒムを睨みながら呟き、そして警察手帳を出し

「―――”D∴G教団”幹部司祭、ヨアヒム・ギュンター。自治州法に基づき、傷害、騒乱、不法占拠、薬物使用、虐待などの数多の容疑で逮捕する………!」

「略式ではあるけど、捜査令状、および逮捕状も既に出ているわ!」

「大人しくお縄に付いてもらおうか!」

エリィとランディと共に宣言した!

 

「―――フフ、いいだろう。僕と君達のどちらが目的を達せられるのか………ここは一つ。賭けをしようじゃないか。」

ロイド達の宣言を聞いたヨアヒムは口元に笑みを浮かべた後片手を上げた。するとヨアヒムの全身に瘴気が纏った後ヨアヒムの髪は白髪になると共に眼は怪しげな紅に変わり、さらにヨアヒムの上空に杖が現れた後ヨアヒムの手に収まった!

「そ、その髪は……!?」

「しかも魔導杖の一種ですか………」

変わり果てたヨアヒムの髪を見たエリィは驚き、ティオは真剣な表情でヨアヒムが持つ杖を見つめていた。

「フフ、僕の髪はこちらの方が地の色でね………”グノーシス”を投与し続けて少々風変わりな体質になったんだ。何せここ数年、まったく睡眠を取っていないくらいだからねぇ。」

「おいおい………シャレになってねぇぞ。」

「なるほど………それで病院勤めをしながらここまでする時間が取れたのか。」

ヨアヒムの説明を聞いたランディは目を細め、ロイドは納得した様子で呟き

「フフ、さすがは捜査官。いい所に気付くじゃないか。―――ちなみにこの杖は例の錬金術師たちが造り上げた魔導具の最高傑作の一つさ。古代遺物(アーティファクト)すら凌駕する力を秘めていてね……」

ロイドの言葉を聞いたヨアヒムは口元に笑みを浮かべた後説明し、そして短い詠唱をしてなんと”暴虐”のロストフルムと”深淵”のアスタルテを自分の周囲に召喚し

「こんなものまで使役できるくらいさ………!」

高々と叫んだ!

「くっ………!」

「あの”悪魔”達は………!」

「”暴虐”のロストルムと”深淵”のアスタルテか………!」

悪魔達を見たロイドは唇を噛みしめ、ミントは驚き、ヨシュアは厳しい表情で叫んだ。

「さて、そろそろ幕切れとさせてもらうよ。多分、今日という日は記念すべき一日になるだろう………キーア様が”神”となって我等が悲願が達せられる日にね!」

そしてヨアヒムは戦闘の構えをした後高々と叫び

「痴れ言を……!」

「あなたなんかに………絶対に負けない……!」

「”殲滅天使”を本気で怒らせたらどれほど恐ろしいか………その身を持って味わいなさい!」

ヨアヒムの叫びにロイドとティオ、レンは叫んだ後仲間達と共にヨアヒム達に分散して向かい、ロイド、エリィ、ティオ、ランディ、レンはヨアヒムに、エステル、ヨシュア、ミントはロストルムに、エクリアとフェミリンスはアスタルテに向かい、それぞれの戦闘を開始した!

 

こうしてロイド達は”D∴G教団”幹部司祭、ヨハヒム・ギュンター達との決戦を開始した……………!


 
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