No.606708

音々音の夏祭り

XXXさん

季節感大事

2013-08-08 21:32:20 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1543   閲覧ユーザー数:1401

浴衣よし、ポーチよし…後は髪型なのです。

ねねは鏡の前で髪をチェックするのです。

今日はいつもと違ってうなじを見せるようにポニーテールにしました。

浴衣の時にうなじを出すと色気が出るらしいのです。

これでかず兄ィも……

 

「おーい、音々音ー!行くぞー!」

 

玄関の方からかず兄ィの声がするのです。

ねねからすれば夜のほうが雰囲気があっていいのですが…やっぱりかず兄ィと一緒にいる時間が長いほうがいいのです!

そう、今日は待ちに待った……夏祭りなのです!

 

 

 

 

音々音の夏祭り

 

 

 

 

 

「早くしないと花火までの時間がなくなるぞー」

 

玄関にはもう扉を開けたかず兄ィがいました。

いつもと同じような服をきているのです。

 

「ん?珍しいな、今日はポニーテールなのか?」

 

「そ、そうなのです……夏祭りだしこんな髪型でもいいなーって」

 

「いいと思うぞ?可愛いじゃんか」

 

そう言ってかず兄ィは褒めてくれました。

思っていた反応と違うけどまあいいのです。

ねねは一生懸命口元が緩むのをこらえています。

そしてねね達は家を出ました。

一緒に歩く時は手を繋ぎたいけど……ツンデレの為にもぐっとこらえるのです。

 

 

 

「いっぱいお店があるのです!」

 

「ほんとだなー」

 

太鼓が鳴り響く中、商店街には露店がたくさんあった。

綿菓子を売るところや金魚すくい、さらには射的等もあり、飽きさせることがない。

 

「さて…花火まで時間があるし、音々音は何か行きたい店はある?」

 

俺は音々音の方を向き何がしたいか尋ねる。

音々音はうーんとうーんと、と可愛らしく迷っていると目の前に金魚すくいの屋台があった。

 

「金魚すくいがやりたいのです!」

 

「よし、じゃあいこうか」

 

バイト先でこの日のために稼いだため今日は困らないだろう。

俺は店の親父に二人分の掬いを貰い、やりはじめる。

音々音は慎重に金魚の様子をうかがっている。

そして一瞬目がキラリと光ったような気がしたが…音々音が掬いあげようとした。

だが勢いが良すぎたのか、水からでた後は掬いに穴が空いていた。

 

「あぅうう……」

 

「あー…残念だな。よし!お兄ちゃんが仇をとってやる!」

 

袖を少しまくり戦闘体制に入る俺。

五歳の時から金魚すくいをやっているので大体のコツはわかる。

横から音々音の頑張れという表情が見える。

失敗する訳にはいかないな…。

目の前に金魚が泳いでくると俺はすかさず掬い上げる。

成功……そうここまでは成功だった。

 

 

「あれ?先輩じゃないか?」

 

 

急に後ろから声がした。

集中していたのでかなりビビったので掬い上げた金魚が宙を舞う。

そして次の瞬間…

 

「ひゃぁああああ!?」

 

さっき声をかけられた人物の軽い悲鳴が聞こえる。

振り向いてみると…そこには後輩の焔耶がいた。

どうやらさっき投げた金魚は浴衣の中に入っているのだろう…全身をくねらせている。

 

「え、焔耶!?大丈夫か!?」

 

「はっ…はっ……これが!あん…ぁあ大、丈夫なわけぇ…あるかあ…ふぅんん!」

 

顔を赤めらせ反論する焔耶。

ヤバ……前屈みにならないと……ハッ!?殺気!?

 

「ちんきゅー……前蹴りぃ!!」

 

「タコスッ!!」

 

後ろから音々音の前蹴りが股間に炸裂する。

強力な一撃で地に伏す俺。

周りからおお~、と歓声が聞こえる。

おい、人の心配しろ。

音々音は焔耶の着物の中に手を突っ込むと金魚を取っていた。

 

 

 

 

あのあと、焔耶に土下座し謝った。

何度も怒られたがいたしかたあるまい。

最後の方にこっそり『嫁にいけなくなったらどうするんだ』といっていたが気のせいだろう。

そしてその後、俺は音々音の機嫌を直すために綿あめを買ってやった。

綿菓子には満足しているようだがまだ怒っている。

そして歩いている途中で声をかけられた。

 

「おっ!一刀やないか!」

 

「霞先輩」

 

射的屋の所に座っていたのは霞先輩。

はっぴを着ており中はさらしを巻いている。

おっとヤバ……鼻の下が伸びてたらまた蹴られる。

 

「先輩の両親の店ですか?」

 

「せや。今ちょっと店番頼まれてなぁ……暇してたんや。どや、やってみよか?」

 

「どうする、音々音?」

 

「ねねもやりたいのです!」

 

こうして俺達は射的をすることになった。

音々音は大きなパンダのぬいぐるみをネラッテいるのか……。

 

「えい!えい!」

 

「あー~~おっしいな~~ねねっち」

 

「むぅ~…」

 

「じゃあ次は俺の番ですね」

 

そう言って俺は銃を取る。

あのパンダのぬいぐるみを取りたいんだけどなかなか難しい。

足った六発でどうしようか…そうだ。

 

「霞先輩、もう一つ銃使っていいですか?弾はそのままで」

 

「ええよ?」

 

左右からバランスを崩せば……。

俺は二丁の銃を同時に撃ってパンダを倒す。

正直うまくいって良かった。

 

「おお!?よー倒したなぁ。ほな、持ってきぃ!」

 

「ありがとうございます。ほら、音々音」

 

そうして俺はパンダを手渡す。

その大きさは音々音の顔が隠れるぐらいの大きさだと改めてわかった。

音々音はパンダに顔をうずくめると小声で『ありがとうなのです…』と言った。

 

 

 

花火まであと三十分ほどのとき俺と音々音の腹がなった。

俺達は手頃な店があったのでそこで夕食を食べることにした。

ってあれ?見覚えが……めっちゃある人がいる。

 

「おお、北郷か。なんじゃ?、お前もきとったのか」

 

「祭さん……店やってんすか」

 

その人は俺のバイト先の店長の祭さんだった。

店長といっても店員は祭さんとバイトの俺のみの小さな居酒屋。

だが客は結構入ってるので収入はいい。

実のところをいうと、俺の料理の師匠だったりする。

 

「おっぱいお化けなのです…」

 

「妹と一緒か。どれ、何が食いたいんじゃ?ん?」

 

「じゃあ焼きそばを一つずつ…あと焼きとうもろこしも」

 

「ちょっと待っとれい」

 

そう言って俺達が待っていると……馬鹿(及川)がやって来た。

 

「おお、かずぴー…とねねちゃぁぁぁん!!」

 

「近づくななのです、げすやろう」

 

及川が急接近した所に音々音の罵倒が浴びせられる。

そいやあ、音々音は及川が嫌いだったな。

 

「おおう、相変わらずきっついなぁ……もしかしてツンデレなんか?」

 

「そんな考えが出来るお前の脳みそどうかしてるのですか?脳外科行ったほうがいいのですか?死んだほうがいいのですか?」

 

「そんなこと言われたら…………興奮してまうやろぉおおおおお!!」

 

「いい加減にしろやぁあああ!!」

 

「ぐぼぉ!!」

 

俺は音々音に飛び付こうとした及川に回し蹴りを繰り出す。

こいつ……どこまで堕ちるつもりだ…?

とりあえず…

 

「テメェ、人の妹に何襲いかかってんだよ」

 

「い、いや~…不可抗力で…」

 

「問答無用!!北郷キック!!」

 

シスコンでもいい。

こいつ……ぶちのめす。

 

 

 

かず兄ィは及川と格闘中なのです。

せっかくの夏祭りなのに及川の馬鹿が出るなんてついてないのです。

 

「お主も大変じゃのう、ねね」

 

「全くなのです…」

 

「ホレ、これでも飲むか?」

 

「ありがとうなのです」

 

祭さんから何か飲み物を貰いました。

ってんん!?

 

「けほっ!けほっ!苦いのです!」

 

「おっと悪かったのう…」

 

そう言って祭さんはねねからコップを取り上げました。

 

 

 

 

「………………………………………ひっく」

 

 

「…たく、ゴキブリかよあいつの生命力」

 

オクトパスホールドからのキャメルクラッチをしても動けるって相当だぞ。

そう思って戻ると音々音がうつむいていた。

どうしたんだろ?

 

「音々音……?どうしたんだ?」

 

「………んっ」

 

音々音は何も言わず俺の手をとり場所を移動させる。

焼きそばをとりに行きたいが勢いがすごくて戻れない。

そして着いたのは…寺の裏側?

 

「なあ、音々音…どうしてここに…」

 

「……てくらひゃい…」

 

「えっ?」

 

「ねねをおしょってくらひゃい!」

 

「はい!?」

 

は!?今なんて!?

襲って…襲ってください!?

何で……ってなんか呂律回ってないし顔も赤い…。

酒臭いってまさか!?

 

 

 

 

「ん?…………しまった、酒飲ませてしもうた」

 

 

 

 

「何やってんだ、祭さぁああああああああん!!」

 

「むっ…他のおんにゃのひとろことを考えないでくらひゃい!」

 

ねねはむっとして俺を押し倒す……ってどこにこんな力が。

 

「ちょっ!?音々音ストップ!ストップ!俺達兄妹!血は繋がってないけど兄妹!」

 

「………だからいいのです」

 

「へ?」

 

音々音は俺の腹の上に股がりうっすらと笑う。

月明かりに照らされた顔は妖美と言うのにふさわしい。

思わずドキッとしてしまった。

 

「ねねは……責任を取って貰うのです…襲って貰うのです…結婚して貰うのです…子作りして貰うのです…」

 

「ちょ…音々音さーん?」

 

ぶつぶつと小声で何か言っている。

そしてかっと見開くと、

 

 

 

「このままじゃ……いつまでもかず兄ィって呼べないのです…」

 

 

一言いい残して眠ってしまった。

くー、くーと可愛らしい寝息をたてながら俺の上で眠る音々音。

 

「なんだったんだ…?」

 

 

 

 

 

「んん…」

 

周りから何か大きな音がしてうるさいのです。

ねねはまぶたを開くと、

 

 

「わぁ…」

 

 

目に前に花火が上がっていました。

 

「おっ、起きたか?」

 

「ふぇ?」

 

気がつくとかなり近い距離にかず兄ィの顔がありました。

へっ!?へぇぇぇ!?

 

「ななななななッ!!?」

 

「あっと!暴れるなって…音々音が寝てたから背負ってるんだぞ?」

そう、ねねはかず兄ィにおんぶされていたのです。

いつの間に…

 

「ねねは……寝てたのですか?」

 

「ああ、少しだけどね」

 

「そうですか…」

 

全く記憶にないのです。

しばらくねね達は花火を見ていました。

すっごくきれいなのです。

 

「なぁ……音々音…」

 

「どうしたのですか?」

 

「俺のこと、かず兄ィって呼びたいの?」

 

「にゃ、にゃんですと!?」

 

えっ?えっ?何でばれたのですか!?

完璧に待ってたはず……まさか!?

 

「も、もしかして寝言で…」

 

「えっ?ああ、うん。寝言で…言ってたよ…」

 

「……………」

 

どうしよう……ばれちゃったのです…。

このままじゃ…妹としてしか見られないのです…。

 

「俺さ……その…かず兄ィって呼んでくれると嬉しいな…」

 

「…何でなのですか?」

 

「だってさ……音々音いつも俺のこと名前とかで呼ばないだろ?だから……兄としてでも、一人の男としても……俺は音々音と…もっと仲良くなりたいんだ」

 

………ズルいのです。

お兄ちゃんとしてでも男の人としてでも仲良くなりたいなんて言われたら…

 

「呼んで……いいのですか…?」

 

「うん」

 

「本当に?」

 

「本当に」

 

「本当の本当に?」

 

「大歓迎」

 

「………かず兄ィ……」

 

「なにかな?」

 

「       」

 

 

 

 

大好きなのです

 

 

その言葉は花火の音で聞こえませんでした。

 

どうも、XXXです

 

いや、やっぱり季節感大事ですね。

こういう夏祭りとか浴衣とか浴衣とか…

浴衣ばっかりなのは突っ込まないでください。

ちなみに昨日花火大会に行ったんですけど……

うんリア充エクスプロージョン

 

 

さて、次回は恋姫式か小説…かな?


 
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