No.595105

バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十八話

ザルバさん

メンドクサイヨナ、ジュンビスルノッテ。デモキョウリョクシャガイルトタスカルナ。
「零」
シルヴァガイル。テコトハ・・・・

2013-07-06 22:33:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1089   閲覧ユーザー数:1056

 翌日、二年生全員で肝試しの準備を開始していた。

「にしてもこれってどこから支給されているの?」

「だよな。しかもなんか昔から使われていたっぽいし。」

 創作している全クラスの生徒は支給されている材料に疑問を持つ。

「鋼牙、これどこから仕入れたんだ?」

「ああ。母の知り合いの企業が二本のお化け屋敷を作っていたのでな、使わなくなった材料を送ってくれたんだ。」

「これ全部か!?」

「いや、ほんの三割だ。」

「これでか!!」

「そんなに騒ぐな。うるさいぞ。」

「お前のせいだよ!」

 雄二が大きな声を上げるといきなり三年生が殴り込んでくる。

「「お前らうるせえんだよ!!!」」

「おお。誰かと思えばこの前問題を起こした先輩方ではありませんか。」

「問題?」

「ああ、雄二は知らないか。まあ本人達のためにあえて言わないがな。」

「てめえ冴島!よくもあんなことさせてくれたな。おかげで恐い思いしたわ!」

「そうだ!あんな高いところ何に使うんだよ!」

「侵害ですね。あの程度で終わったのですから。」

「うるせえんだよ!」

「そうだぜ!お前らの声がうるさくてこっちとら全然夏期講習に集中で気無いだろ!」

「そちらは鈴構造になっているのでこちらの声は届かないはずです。大方めんどくさくなってサボっていたのでしょう。よく出来たいいわけですね。」

「黙れ!大体、テメェらが馬鹿騒ぎしてくれたおかげでこっちは大迷惑なんだよ!」

「おやおや、よくもまあ言えた口ですね。ただ推薦のためだけに人を傷つけても平気な感情を持っている人にどうこう言えたものではないでしょう。どうですか?」

「うぐっ!」

「う・・・・・うるせえんだよ!ええい、やるぞ常村!」

「ああ、夏川!」

『試獣召還!』

 Aクラス 常村勇作 & 夏川俊平

 世界史  378点   369点

 牛頭と馬頭か。

「試獣召還。」

 Fクラス 冴島鋼牙

 世界史  1798点

 鋼牙は剣を抜刀する。

「なんだよお前?もしかして召還獣召喚で気無いのか?」

「へっ、観察処分はこれだから。」

「無駄口をいう暇があるのならかかって来い。」

「舐めんじゃねえ!」

 牛頭が上に飛翔してハンマーを振り下ろしてくる。だがその時であった。牛頭に向かい一本の双剣が飛んでくる。剣は牛頭に当たり、牛頭は落とされる。

「な、なんだ!」

「だ、誰だ!」

「この剣は・・・・・まさか!」

 中に浮いている剣を黒いコートを着た男性が空中でキャッチし、着地する。

「二体一とは卑怯だね。俺が助太刀してやるよ、鋼牙。」

「すまないな、零。」

 涼邑零

 世界史 1750点

「誰だよてめぇ!」

「余計なことすんな!」

「そうもいかないんでね。いくよ。」

 鋼牙と零が二人の召喚獣に攻撃しようとした瞬間であった。

「待ちな、がきども。」

『学園長!』

「全く、騒ぎを起こすのが好きだねぇ。騒ぎを起こすのなら明日にするんだよ。」

「もしかして、学園のPRのためにするつもり?学園長。」

「そうだよ鈴邑。そういうわけだからあんたらはさっさと戻った戻った。」

「はぁ!なんでこんな奴らと肩を並べて肝試しなんかしなきゃいけないんだよ!」

「だよな。やる気なくすぜ。」

「へぇ~、そう言って逃げるんだ。よく出来ました。」

「「ああっ!」」

「零!」

「鋼牙、こいつらに敬意を表す必要はない。簡単に自分のプライドを捨ててまでも得ようとしたものなんてたとえ得たとしてもすぐにもろく崩れ落ちていく。こんな奴らに先輩の資格なんかないよ。」

「てめぇ・・・・言いたいだけ言いやがって!」

「やってやろうじゃねえか!」

「おい待てよ。」

 雄二が仲介してくる。

「どうせなら三年が驚かす方で二年がそれに立ち向かうようにしようぜ。一定の場所にボスキャラ的な奴を置いてそいつら全てを倒したら俺らの勝ち。出来なかったら俺らの負け。負けた方は罰ゲームを受けてもらうってのはどうだ?」

「いいぜ。そのこと忘れんじゃねえぞ!」

 三年生全員は教室に戻っていく。零は鋼牙のほうを向く。

「久しぶりだな、鋼牙。」

「ああ、久しぶりだ。」

「おい鋼牙、そいつは一体誰だ?」

「自己紹介がまだだったね。俺は涼村零。元文月学園魔戒騎士・銀牙騎士絶狼の継承者だ。」

「・・・・・・お前も魔戒騎士かよ。」

「アラ、結構生意気ナ子ネ。」

「・・・・・今の声何処からだ?」

「ココヨ。」

 雄二は礼のぶら下げているペンダントを見る。

「魔導具のシルヴァだ。」

「ヨロシクネ。」

「指輪に腕輪に鏡にペンダント・・・・・・・何でも有りだな。」

「気にするなって。それより君が坂本雄二君だね。鋼牙からシルヴァを通して聞いてたけど真っ赤な赤だね、髪の毛が。」

「そらどうも。」

「お主は鋼牙の友達なのか?」

「ん?君は木下秀吉君だね。確かに鋼牙の言う通り女の子に見える男の子だ。族に言う『男の娘』ってところだね。」

 秀吉は零の肩を掴む。結構早いな。

「お主らくらいだけじゃ!わしを男と見てくれるのは!」

「鋼牙から聞いている以上に苦労しているようだね。同情するよ。」

 その時二人の姿を土屋がデシカメで撮る。

「・・・・・いい写真が撮れた。」

「君が土屋康太君だね。通り名はムッツリーニ君でいいよね?」

「・・・ああ。問題ない。」

「それでそっちのポニーテイルの女の子が島田美波ちゃん、ピンクの髪の子が姫路瑞希ちゃんだね。」

「は、はい。」

「そうよ。」

「ふ~ん。」

 零は二人を見て何か納得する表情を見せている。

「ど、どうかしたんですか?」

「な、何よその表情。」

「いや~、恋ってのは大変だな~って。」

「「っ!!」」

 何を言ったんだこいつは?よく聞き取れなかった。

「おっ!なんか新しい子がいるね。」

 っ!この声は・・・・・

「・・・・雄二、その人は誰?」

「夏なのにその格好は暑くないの?」

「ペンダントなんてお洒落だね。」

 霧島に優子に工藤か。声が相当大きかったからここまで来たのだな。

「君たちはAクラスの生徒だね。そっちの静かっぽいのが霧島翔子ちゃん、秀吉君と同じ顔をしているのが木下優子ちゃん、それでそっちの髪の短い子が工藤愛子ちゃんだね。」

「・・・・どうして名前を知っているの?」

「鋼牙から聞いているからね。俺の名は涼村零。元文月学園魔戒騎士・銀牙騎士・絶狼の継承者だ。」

「君も魔戒騎士だったんだね。これまで君を含めて六人会っているわ。」

「六人?」

「そういえばそうじゃな。確か・・・」

「もしかして俺を含めて四人は元文月学園魔戒騎士?」

「よくわかったな。」

「これでも銀牙騎士だからね。伊達に称号は継承していないよ。で、あとの二人は?」

「・・・姉妹校の一年生二人。」

「新米魔戒騎士か・・・・・戦ってみたいね。」

「零、 その癖を何とかしろ。おかげであの通り名が広まっているのだからな。」

『あの通り名?』

 鋼牙の言葉に皆は疑問を持つ。

「俺たち五人は称号を継承してまだ間もない頃にちょっと面識のある子がチンピラに絡まれちゃってね。鋼牙は『黄金の希望』、俺は『笑う銀狼』、翼は『白夜の魔獣』、ワタルは『怒りの雷鳴』、レオは『閃光する使者』ってあだ名がついたん。」

「あの時は無闇に鎧を召喚したからな。」

「まあ脅しとしてはちょうどいい材料だったけど。」

「オメエらが恐ろしいってことはわかった。ところで涼村、お前も参加するのか?」

「皆も零でいいって。もちろん俺も参加するよ。面白そうだしね。そうだ鋼牙。」

「なんだ、零?」

「久々似合ったんだ。西村先生に許可をもらって『奈落の間』でも行こうぜ。」

「実際にはあそこは奈落ではないがな。」

「おい鋼牙なんだその・・・」

「『奈落の間』か?まあ簡単に言えば度胸試しみたいなものだな」

「膳は急げだ。」

 零は窓を開け、三階から飛び降りる。

「待て。たく・・」

 鋼牙も三階から飛び降りる。

「なあ、なんであいつらは普通にこんな高さから飛び降りられるんだ?」

「・・・・・慣れ?」

「・・・・・どうしたら慣れるんだ?」

「魔戒騎士の訓練でものすごく高いところから落ちたりするのがあったりして。」

「あ、あはは・・・・(苦笑)」

「そんなのあったら見てみたいわ。」

「じゃあ見に行ってみる?西村先生のところ行くって言ってたし。」

 

 放課後の文月学園七不思議のひとつの場所、高い二つの塔。何故それが存在しているのかは誰もよく知らない。ただの建造物にしては高すぎるため文月学園の七不思議に入っている。高さは39.69km。異常すぎる高さだ。

「なんだこの高さ・・・・」

「・・・・首が痛い。」

「お前らが見たいといってここに呼んだが・・・・・首が痛いだろう。」

 西村先生がそう言うと皆は返事をする。

「ディスプレイで見れるようにしているから見ろ。」

 全員はディスプレイを見るとそこには二つの塔の頂上に別々に立ってる鋼牙と零の姿があった。

 

「久々に剣を交えるか。」

「何時以来だろうね?こうして戦うのは。」

「確か貴様が俺と称号で張り合った頃以来だな。」

「そうだな。」

『西村先生、戦いの立会人をお願いします。』

『よろしい。貴様達存分に戦え。』

 塔を大きく囲むように魔導空間が広がる。零は懐から二本の短い双剣を逆手で抜く。鋼牙は赤みの鞘から双剣を抜刀する。

鋼牙は剣を天に向け、円を描く。描かれた円からは光が漏れ、鋼牙は牙狼の鎧を身に纏う。

 零は二本の短い双剣を持ち直し、剣を下で十字にし、徐々に上に上げ二つの円を同時に描き、振り下ろす。二つの円は一つになり、光が漏れる。零は絶狼の身に纏う。

「いくぞ、零。」

「ああ。」

「はあぁ!」

「ふっ!」 

二人は同時に飛び降りる。

「ああああ!」

 絶狼と牙狼が互いにぶつかり合う。

「うああああ!」

 ギン、ギン、ギン

「はあああ!」

 牙狼剣と銀狼剣がぶつかり合う。絶狼が牙狼を蹴り飛ばし、壁に叩きつける。牙狼は足でその衝撃を耐え、前に蹴り飛ぶ。絶狼も反動で後ろに飛ぶが足で受け止め前に出る。

 ギンギン、ガン、バシ

 空中で火花が散る。

 牙狼と絶狼は壁を蹴り、互いにすれ違いながらも剣を交える。牙狼が絶狼の上に付くと牙狼は牙狼剣を思いっきり振る。絶狼は銀狼剣を十字に構え防御体制をとる。牙狼剣を受け止めた絶狼は牙狼を自分の後ろに飛ばす。牙狼は横に回転をしながら体制を立て直す。絶狼は両腕を大きく広げ、牙狼に向かい右手の銀狼剣を突き出す。牙狼はそれを左腕で掴み、絶狼に剣を打ち込む。だが絶狼はそれに屈しず牙狼に頭突きを喰らわせる。

「ぐうっ・・・・・・!」

 絶狼は二本の銀狼剣を時間差で飛ばし空中でバク転、二本の銀狼剣を逆手でキャッチし牙狼に迫る。

「があぁぁぁぁ!」

 絶狼は画廊を壁に擦り付けるが牙狼は身体を反動で動かし壁から離れる。絶狼は画廊を地面落とすように殴る。牙狼は頭を地に向けたままうつ伏せに壁に身体を擦り付けながら落ちてゆく。

「うおおおおおお!」

絶狼が壁に足を擦らせながら牙狼に迫ってくる。銀狼剣を突き刺す絶狼。しかし牙狼は左腕をたての代わりとし自身の前に出す。銀狼剣は牙狼の左腕に刺さる。

「ぐううっ!」

 牙狼は体制を変え、壁に両足を擦り付けながら絶狼と剣を交える。

「ふううん!」

「りゃあああ!」

 ギン、キンキン

「うおりゃ!」

「がああああ!」

 一度は二人とも壁から離れ剣を交えるも絶狼が牙狼に蹴りを喰らわせる。牙狼はまた壁にうつ伏せの状態になる。絶狼は構え、牙狼に向かい蹴り飛ぶ。しかし牙狼は牙狼剣を壁に突き刺した。絶狼が牙狼に近づいた瞬間、牙狼は牙狼剣を軸に身体を起こし絶狼の攻撃を見事にかわす。そして牙狼はもう一度牙狼剣を壁に突き刺しその場に静止する。牙狼は肩で息をする。

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

「うあぁぁぁ・・・」

 絶狼がバランスを崩したところを牙狼は見逃さない。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 牙狼は牙狼剣で壁を斬りながらも絶狼に接近し、そして一撃を叩き込む。

「ぐああ!」

「らああ!」

 画廊は止めの一撃を絶狼に喰らわせる。

「ぐぅあああああああ!!!」

 地上まで残り4秒のところで二人は鎧を解除し、壁蹴り押しながら地上に着地する。それと同時に零は片膝を付き、息を荒くする。鋼牙は立ちながら肩で息をする。

「腕は衰えるどころか上達しているな。」

「貴様もな。先ほどの攻撃は効いたぞ。」

「でも何時かは追い抜くからな。」

「そうしようとするならば俺も更に強くなるつもりだ。」

「それ以上強くなりすぎるなよ。」

 鋼牙は零に手を差し伸べ、零はその手を掴み立ち上がる。そんな二人に雄二達は駆け寄る。

「おい、お前ら大丈夫か!」

「なんだ雄二、どうかしたのか?」

「そうだよ。そんなに騒いで。みんなの耳がダメになるじゃないか。」

「お前らな!あんな高さから落ちて平気なのか!?」

「「別に普通じゃないのか?」」

 二人が息をそろえていったことに皆はずっこける。

「なんでこけているの?」

「わからん。そんなにおかしいことなのか?」

「おかしいのじゃ!」

「・・・・普通なら死んでいる。」

「そうです!あんな高さから落ちて恐くないんですか!」

「そうよ。大体えっと・・・・秒速何秒で降りてたっけ?」

「え~と、V=gtからV=9.8×約90秒として・・・・」

「・・・・・882m/秒。」

「・・・・・相当速いわよ。」

「別に。それに俺と鋼牙はこれが二回目だし。」

「前にもやったのか!」

「ああ。その頃は称号で争ってた。」

「まあ俺もこいつの称号に憧れていたからね。」

「その称号ってなんなんだ?」

「俺からは言わないよ。それより、明日の肝試し勝負に俺も参加させてくれないか?」

「いいのか?こっちとしてはありがたいのだが・・・・」

「いいって。それに面白そうだしね。」

「そ、そうか。じゃあよろしく頼む。」

「ああ。こちらこそ。」

 雄二と零は握手を交わす。

 

「零、 雄二にはああ言ってたが本心はどうなんだ?」

「やっぱり気付いてたか。実はあの先輩が単に気に入らないんだ。自分のことしか考えていない奴がね。俺はお前の親父さんの行った行動を聞いた時に最初は馬鹿らしいと思った。だが、魔戒騎士の訓練や歴史を学ぶたびにその気持ちは変わってった。『守りし者』の意味をあの頃の俺は浮いていたからお前を軽蔑していた。でも、今ならわかる。お前の親父さんは、立派な魔戒騎士だ。」

「零・・・」

「もし、あいつらと戦うのなら俺も一緒に戦わせてもらうぜ。」

「ああ。ところで貴様は何処に今住んでいるんだ?宿なんか取るようなやつではないのがわかるが・・・・」

「俺のこと知ってんならわかるだろ。いつもどおりの野宿だ。」

「オイオイ、ソレマ流石ニマズイダロ。」

「ネエ鋼牙、アナタノ家ニ泊メテクレナイ?流石ニネ。」

「・・・・そうだな。零、家に来い。」

「そうか?そうしてくれるなら遠慮なく。」

「ゼロ、今後ハチャント民宿ニデモイイカラ泊マルノヨ。」

「はいはい。」

「軽いことではないぞ、流石に。」

 


 
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