No.589511

遊戯王GX cross story turn4 月一試験

よ、ようやく……刀菜さんが出ます……ただし、デュエルはしませんけどね。

2013-06-20 23:20:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4056   閲覧ユーザー数:3789

覗き事件より数日後、特にこれといった問題もなくのんびりと過ごしていた僕たちは今日この日だけは必死になって勉強していた。理由は明日行われる月に一度きりの、それでいてアンケートしたらその多くの人が『嫌い』と言われるだろう大イベント。

とどのつまり、テストが行われるからだ。

 

アカデミアではこうして月に一回、筆記と実技のテストをして、総合成績が高ければ昇格し、逆に酷ければ降格、そして平均点であれば現状維持をして生徒たちのやる気を漲らせようとしていた。まあレッドとブルーに効果はいまひとつらしいけどね。

 

「ドローパン買ってきたぞー」

 

丁度勉強が区切り良いところで終わったところに購買部に行っていた一夏が大量のドローパンが入れられているビニール袋を手に帰ってきた。

 

「おお!待ってました!」

 

「さて、今日はなーにっかな?」

 

「黄金の卵パン……来い!」

 

みんながそれぞれ決められた数のドローパンを確保すると思い思いに袋を破いた。

このドローパンにはカードが一枚入っていて、時には菓子パンやカレーパン等といった様々な種類の味があって、中でもこの島に住む鶏が1日に一回産むといわれている黄金の卵を調理した黄金の卵パンはレア中のレアで、このドローパンには他では手には入らない究極のレアカードが入っているとか入っていないとか、とにかくそんな噂が絶えないらしい。

当然のことだがこのメンバーの中にその卵パンを引き当てた者は誰一人いない。あのチートドロージュウダイユウキですら引き当てられていないから仕方ないのかもしれないけどやっぱりきて欲しいと願う自分がいた。

 

「さあきてくれよ黄金の卵パン……ドロー!」

 

いつもどおりカッコつけながら袋からパンをデュエルディスクのデッキから引くかのような動作をするとすぐに中身を確認する。

 

遊輝 普通の卵パン、カレーパン(激辛)、唐揚げパン(オーロラソース入り)

 

一夏 餃子パン、エビフライパン、水雲パン

 

当麻 潰れた具なしパン、カビの生えた具なしパン、腐った具なしパン

 

明久 クリームパン、パエリアパン、ハンバーグパン

 

「おお!激辛味のカレーパン!」

 

「ふむ、水雲を除けばまあまあかな」

 

「……不幸だ」

 

「わーい、パエリアだーい!」

 

さて、次はカードの確認だね。

 

「「「「デステニードロー!(うち一名ヤケクソ)」」」」

 

遊輝 瞬足のギラザウルス、ジェスター・コンフィー、ゾンビ・キャリア

 

一夏 風霊使いウィン、地霊使いアウス、光霊使いライナ

 

当麻 終焉のカウントダウン、無限ローン、終焉の炎

 

明久 ワイト、ワイトキング、ワイト婦人

 

「ほほう、これはこれは……」

 

新しいデッキ構築に使えそうだね。

 

「女性カードばかり、というかそれしかないな……」

 

この光景を見てたらなのはが嫉妬しそうだね。

 

「不幸だ……」

 

ドンマイ当麻。その具なしパンと卵パンをトレードしたげるから

 

「……もしかしてこれは僕の骨のごとき軽い身のこなしの現れでは……」

 

現実逃避はいけないよ明久。

 

「もしくは死んで尚生き続けようとする生命力が……」

 

それ凄く怖いよ!?なにさそのホラー系は!

 

「脳みそがない=バカってことじゃないのか?」

 

あっ(察し)

 

「言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!僕が必死に隠そうとした事実を包み隠さずに言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

あはは、まあひとまず頑張れ?明久。

 

 

 

 

翌日

 

「よし、行くか」

 

「これでラーイエローに」

 

「頑張りますかね」

 

気合い充分の三人と共に寮を出た僕たちはその足でアカデミアへ向かった。その途中で

 

「よいしょ、よいしょ」

 

購買のおばちゃんがリアカーを押している姿を発見した。

 

「どうしたんですかトメさん?」

 

「ああ、遊輝君かい?今カードを運んでいるんだけどね。ここは坂道のせいで大変でね。気にしないで行ってくれて良いよ?」

 

からからと笑うトメさんを見て、僕たちはそれぞれアイコンタクトで会話をすると

 

「これを見て、知らん振りは出来ないよね?みんな」

 

「「「当たり前だ」」」

 

僕たちはトメさんの押しているリアカーの後ろに回ると力一杯押し始めた。

 

「今日は試験なんだろ?良いのかい?」

 

「構いませんよ。困ったときはお互い様ですから」

 

それにもし落ちても来月の試験で合格してしまえば良いだけの話だからね。

それから五人でリアカーをアカデミアまで押していくと僕たちは大急ぎで試験場へダッシュで向かった。

 

「「「「すいません、遅刻しました!」」」」

 

「静かにしろオシリスレッド!テストを受ける気がねえなら出て行け!」

 

遅刻したことを素直に告げながら慌てて試験場に飛び込むと元神童(笑)こと坂本雄二が文句を言った。というか君の方が絶対に五月蠅いよね?周りの皆も僕たちよりも坂本の方を嫌そうな目で見てるし、特にオシリスレッドがだけど

 

「篠宮遊輝君、織斑一夏君、上条当麻君、吉井明久君!早く問題用紙を取りに来るにゃ、もう時間がないにゃ」

 

「「は~い」」

 

「「今行きます」」

 

僕たちはそう返事を返してからテストを受け始めた。

 

第一問

 

以下のイラストのモンスター名を答えよ

 

これは、確か坂本雄二……じゃなくて怒れる類人猿だね。

 

第二問

 

以下のうち仲間外れのカードが一枚だけ存在する。そのカードとは?

 

1、 ゴゴゴギガース

 

2、 ゴゴゴゴーレム

 

3、 ゴゴゴゴースト

 

3のゴースト。このカードだけアンデット族だからね。

 

第三問

 

スターライト・ロードの効果によって特殊召喚されたスターダスト・ドラゴンが自らの効果で墓地に行った場合どうなる?

 

蘇生制限によってフィールドに帰還できなくなる、とこれ昔はよく間違えてたなぁ……

 

 

 

 

それから数分後、筆記試験が終わるやいなや生徒たちは一斉に試験場を出て真っ直ぐに購買部へと走り去っていった。

そういえば今日って新カードが大量入荷される日なんだっけ?

あっ、てことは今朝運んだのが正にそれだったわけか……一パックくらい貰っておけば良かった……

 

「君たちは購買部に行かないのか?」

 

そう言いながら僕たちに近付いてきたのはラーイエロー主席の……み、み、……三沢……だい…大、地?だったと思いたい。

 

「あぁ、今下手に入れてもかえってバランスが悪くなるだろうからな」

 

デッキの確認をしていた一夏がそれに答えた。にしても皆新しいモノに目がないねぇ、まあそれは僕にも言えることだけど

 

「そういう君こそいいのか?」

 

「ああ、俺は今のデッキを信頼しているからな。新しいカードなんて必要ない」

 

きっぱりと言い切る三沢に僕たちはそれが当然だなと顔に出していた。だってデッキっていうのは何度も試行錯誤していって完成するものだもの。テストプレイもせずに挑むなんて自殺行為にもほどがある。

 

「んじゃあこれからみんなで飯食いに食堂行くか」

 

「わーい!お昼のカロリー接種の時間だー!」

 

ああ、そういえばここに来る前の明久の主食って……塩と水だけだったんだよね。

 

「失礼な!ちゃんと砂糖だって食べてたよ!」

 

「それを食べるとは言わないぞ!?」

 

三沢、ナイスツッコミだよ。

 

「食べるというよりも舐めるのが正解ね」

 

そうそう、そもそも調味料は味を整える為にあるもので直接空腹を満たすためのものじゃあないんだよ…………ってんん?

 

「あっ、お久しぶりです刀菜さん」

 

「ふふっ♪久しぶりねみんな」

 

気付いた時には既に一夏の隣にさっきまではいなかったはずの一人の少女がいた。彼女の名前は更識楯無。一夏に絶賛片思い中兼略奪対象と見なされている上に妹の簪に対して熱烈なシスコンという三つの要素を持った残念なのか凄いのかよくわからない人である。余談だが彼女はこのアカデミアの中では最強(女子の中での話)の生徒であり、使用デッキがリチュアであることから『水鏡の女王』と呼ばれていた。

 

「それじゃあ刀菜さん。俺らは今から食堂に行くんですけどどうします?」

 

「無論ついて行くに決まってるでしょう?久しぶりに一夏君と戯れたいし」

 

そんな事したらなのはに殺されますよ……現に中学時代にも似たようなことをして魔王を降臨させたのはアナタなんですから

 

とまあ、そんなこんなでいつものメンバー+三沢&刀菜さんを加えた僕たちは食堂で昼食をとった後、各々のデッキ確認をしながら午後二時の実技試験を迎えた。

 

 

 

 

「……これは、どういうことでしょうか?ミイラ……クロノス教諭」

 

「誰がミイラナノーネ!!」

 

現在、僕は実技試験会場であるデュエルフィールドにやってきていた。

この実技試験では原則として同じ寮の、同じ学年の生徒とのデュエルをするというのがここの決まりだったはずだ。けれども僕の目の前には青い制服を着たいつぞやのモテなさそうな顔した男子生徒がふんぞり返っている姿しか見えなかった。

 

「コホン、シニョール篠宮は入試試験で筆記、実技ともに上位ナノーデオシリスレッドの生徒では役不足と考え、オベリスクブルーの生徒であるセニョール須川に相手をしてもらウーノ」

 

ふ~ん、別に相手が誰であろうと何だって良いけどさ、アカデミアの決まりをそんな理由で破っちゃってもいいのかな?

 

「覚悟しろよオシリスレッド!」

 

いや、先日ボッコボコにやられていた君の方こそ覚悟しておくべきだと思うんだけど…………?

 

「「デュエル!!」」

 

遊輝LP4000

 

須川LP4000

 

「ドロー!炎を支配する者(フレイム・ルーラー)を召喚!」

 

炎を支配する者(フレイム・ルーラー) ATK1500

 

「さらに手札から魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》発動。これで俺はもう一度通常召喚を行える!」

 

炎を支配する者(フレイム・ルーラー)は炎属性のダブルコストモンスター、となれば狙いはやっぱり上級モンスターなのかな?

 

「俺は炎を支配する者(フレイム・ルーラー)をリリースして絶対服従魔人を召喚だ!!」

 

絶対服従魔人 ATK3500

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

須川

手札二枚

モンスター 絶対服従魔人

魔法:罠 伏せ一枚

 

「僕のターン、ドロー。僕はカードガンナーを召喚」

 

カードガンナー DEF400

 

「カードガンナーの効果。デッキトップからカードを三枚墓地に送るよ」

 

「ははは!攻撃力3500の絶対服従魔人の前に壁モンスターしか出せないのか?」

 

須川の言ってる事なんて無視して僕は墓地に送られたカードを確認した。墓地に送られたカードはドラグニティ-ファランクス、ドラグニティ-レギオン、聖なるバリア-ミラーフォース-……ってたまには仕事しようよミラフォ…………

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

遊輝

手札四枚

モンスター カードガンナー

魔法:罠 伏せ一枚

 

「俺のターン、ドロー!ふふふ……わかる、わかるぞ篠宮!お前の考えはこうだ。絶対服従魔人は自身以外のフィールドと手札にカードがあると攻撃出来ない。だから伏せカードと手札のある俺はこのターン攻撃する事が出来ない。そう思っているな?」

 

そう思ってましたが何か?

 

「だが!俺はお前の二歩先を行く!装備魔法《愚鈍の斧》を絶対服従魔人に装備させる」

 

魔人の手に装備された斧から怪しげなオーラが醸し出されたと思っているとそれを満遍なく浴びた魔人は、眼の焦点が定まらないような間抜けな面を晒している。

 

「愚鈍の斧を装備したモンスターの攻撃力は1000ポイント上がり、効果は無効となる。つまり攻撃出来ないという効果も無効だ!」

 

絶対服従魔人 ATK3500→4500

 

「そしてトラップカード《メテオ・レイン》を発動!このターン、俺のモンスターに貫通効果を与える!」

 

周囲からはすげえ!とか流石はブルー……等といった声が上がる。

それもそのはずで現在の魔人の攻撃力は伝説のデュエリストでありデュエルアカデミアのオーナーでもある海馬瀬戸が持つ伝説のモンスター、青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)と同等なのである。

 

「行け!絶対服従魔人で雑魚を攻撃!アルティメット・クラーッシュ!」

 

魔人の持つ斧がややふらつきながらもカードガンナーを粉砕した。

その際に破壊された欠片と暴風が遊輝を襲い、砂埃が舞う。

 

「よっしゃあ!俺の勝ちだぁ!!」

 

ライフポイントを確認せずに勝手に一人で舞い上がっている須川を砂埃が舞っている中から呆れた目で遊輝は見ていた。

確かに今の一撃は無効にはなっていないから端からすれば遊輝は4100のダメージを受けて負けたことになるのだろう。だが、遊輝はまだ負けていない。

 

遊輝LP4000

 

それどころか、ライフポイントすら削られてすらいないのである。

 

「……あれ?なんでお前のライフが減ってないんだ?!」

 

ようやく遊輝のライフポイントに、気が付いた須川は慌てるように遊輝につっかかる。

 

「なんでって……ダメージステップ時にこれを使ったからだよ」

 

そう言って遊輝が視線で指したのはオープンされたトラップカード《ガード・ブロック》であった。

 

「この効果によって僕が受けるダメージは一度だけ0になり、このカードとカードガンナーの効果によって二枚ドローしたんだ」

 

遊輝の言うとおり、彼の手には新たに二枚のカードが加わっているのが須川の眼にも見えた。

 

「……で、誰が勝ったって?」

 

「っ!!お、俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ!」

 

須川

手札零枚

モンスター 絶対服従魔人

魔法:罠 愚鈍の斧(絶対服従魔人に装備)、伏せ二枚

 

一瞬にして戦況を変えられた須川は慌てて場を固める。その結果、手札は無くなってしまったがフィールドには二枚の伏せカードが生まれた。

 

「僕のターン」

 

これで手札は七枚。勝負を決めるには多すぎるくらいだ。

 

「手札から《死者転生》を発動。手札のアキュリスを捨てて墓地のレギオンをサルベージする」

 

「「「「「「「「あっ(察し)」」」」」」」」

 

背後の方でみんなが察してくれているようだ。

 

「ドラグニティ-レギオンを召喚!」

 

ドラグニティ-レギオン ATK1200

 

「レギオンの効果で墓地のアキュリスを装備する」

 

レギオンの右腕に墓地から出現したアキュリスが巻き付く。

 

「さらに《ナイトショット》発動!右側の伏せカードを破壊する」

 

「くそっ!」

 

ナイトショットによって撃ち抜かれたカードはボム・ガード。危ない危ない、レギオンの効果を使う前にさきにナイトショットをしておいてよかったよ……

 

「そしてレギオンの効果発動!装備されたアキュリスを墓地に送って絶対服従魔人を破壊する」

 

レギオンから撃ち出されたアキュリスが魔人の胴体を意図も簡単に貫き、破壊した。

 

「お、俺の服従魔人が……」

 

「続けてアキュリスの効果で残った伏せカードを破壊する」

 

最後に破壊されたのは聖なるバリア-ミラーフォース-……このカードがちゃんと働くときは来るのだろうか?

 

「「「「「「「「出た!遊輝の鬼畜コンボだ!!」」」」」」」」

 

「……僕はレギオンをリリースしてドラグニティ-ミスティルを特殊召喚」

 

ドラグニティ-ミスティル ATK2100

 

「特殊召喚されたミスティルの効果によりファランクスを装備。そこからミスティルを除外してドラグニティアームズ-レヴァテインを特殊召喚!」

 

ドラグニティアームズ-レヴァテイン ATK2600

 

「レヴァテインの効果でファランクスを装備。そしてファランクスの効果で特殊召喚」

 

ドラグニティ-ファランクス ATK500

 

「レベル8のレヴァテインにレベル2のファランクスをチューニング!天舞う気高き翼よ!蒼き旋風になりて、世界を包み込め!シンクロ召喚!ドラグニティナイト-エクスセイバー!」

 

ドラグニティナイト-エクスセイバー ATK3000

 

ドラグニティナイト-エクスセイバー

風属性 星10 ドラゴン族 攻撃力3000 守備力2000

 

『ドラグニティと名の付くドラゴン族チューナー』+『チューナー以外のドラグニティと名の付くモンスター1体以上』

このモンスターがシンクロ召喚に成功したとき、デッキと墓地からドラグニティと名の付くモンスターを二体まで装備する事が出来る。

このカードがモンスターとバトルするとき、装備されているドラグニティと名の付くモンスターを1体墓地に送ることでバトルする相手のモンスターの攻撃力分の数値をダメージステップ終了時までこのモンスターの攻撃力に加える。

 

「エクスセイバーの効果でデッキからブランディストックを、墓地からアキュリスを装備する。そしてバトル!エクスセイバーでプレイヤーにダイレクトアタック!聖剣二連撃!!」

 

須川LP4000→1000→0

 

「そ、そんな……オベリスクブルーのこの俺が、二度もオシリスレッドなんかに……」

 

「一つ言っておくよ。君は中等部出身らしいけど、このアカデミアでは中等部出身なら誰でもオベリスクブルーになれるんだよ」

 

つまり一年のうちにオベリスクブルーになってる人っていうのは大抵実力に似合っていない人って事なんだよ。

 

須川にだけ聞こえるくらいの音量でそう言うと、僕は静かに観客席へと戻っていった。

 

 

 

 

「あっ、ゆーくんお疲れ様~」

 

「遊輝、お帰り」

 

「うん、ありがとうはやて、フェイト」

 

観客席に辿り着いて最初に労ってくれたのは、はやてとフェイトの二人だった。流石は僕の幼馴染みだね

 

「これで残るは当麻だけになったわね……」

 

「相手は誰かな?」

 

「やっぱし俺らと同じでブルー生か?」

 

「でも当麻って不幸体質だから僕らの相手以上に強い人だったりして」

 

「ふふ、確かに彼ならありえるわね」

 

上から美琴、なのは、一夏、明久、刀菜さんの順でそれぞれ思ったことを口にする。確かに当麻は不幸体質だからなぁ、万丈目辺りと当たる可能性がかなり高い。

 

「む?だが先のデュエルでオベリスクブルーは全員終わったはずだぞ?」

 

あり?そうなの?

 

「因みに付け加えるとオシリスレッドもラーイエローも一年は全員終わっているよ」

 

へ?てことは当麻ってもしかして不戦勝……なわけないよね。大方教師側の誰かが変わりに相手をしてくれるんだよね。そうだよね。

 

「……気になる情報を一つ」

 

「わっ!?いきなり現れないでよムッツリーニ……」

 

突然背後から声が聞こえたので思わず振り返るとそこには他学年の視察に行っていたムッツリーニと秀吉がいた。

 

「それで?気になる情報ってなんの事かしら?」

 

「……三年のオベリスクブルーがまだ一人だけ実技試験を行っていない」

 

…………ゑ?

 

「ついでに言うと今試験を行っておらんのは当麻とその三年のみらしいぞい」

 

…………ということは…………

 

「当麻の相手って……その三年生?」

 

「「「「「「「「「……………………………………」」」」」」」」」

 

僕の言葉にみんなはしばらくの間だけ、無言となる。

 

「「「「「「「「「「「いやまさかね」」」」」」」」」」」

 

この時はそう思っていた僕たちだったけれど、数分後、僕たちはこの考えを真っ向から崩されることになるということにまだ気付いていなかった。


 
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