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新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第015話

おはようございます!

こんな早く投稿するつもりではなかったのですが、今回ついに……私をお気に入り小説家にしてくれた人数が、三桁代に突破しました!!

これも皆さんの応援があってこそですww

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2013-06-17 08:46:00 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1531   閲覧ユーザー数:1330

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第015話「武人を蔑む(ためす)鬼の所業」

董卓軍、汜水関にて。

 

華雄「離せ張遼!敵にあそこまでコケにされて、黙って居られるわけないだろ!?」

 

張遼「ええから、話を聞かんかいアホ華雄」

 

ただ今董卓軍は、劉備軍からの挑発攻撃受けており、それは特に華雄を中心とした挑発だったので彼女はお冠。

それを必死に同じく汜水関に配属された張遼が(なだ)めている感じである。

 

張遼「ええか。今出て行ったら、確実にアンタは負ける。向こうは大軍で、兵糧切れを待っておけば勝手に引き上げてくれる。そして何より、兵力差がありすぎるんや。だったらここで防衛しているのが最善の策や」

 

華雄「しかし!」

 

張遼「華雄、忘れたんか?今、月がどうなっているかを」

 

華雄「!!」

 

彼女の言葉に華雄は固まってしまう。

月というのは、彼女の主董卓の真名で、今どうなっているかは彼女が知るのみである。

 

張遼「武将としての尊厳も大事や。やけど、そんなもん月の命に比べれば大したことない。月の為にここは堪え……」

 

華雄「……わかった――」

 

劉備側ではというと、関の前ではひたすら汜水関の兵士、主に華雄に向けての挑発が行われていたが、敵の反応はというと静かなままであった。

 

劉備「……動かないね」

 

諸葛亮「大丈夫ですよ桃香様。ゆっくりと敵を落としていけばそれでいいのです」

 

劉備「そうかなぁ……それでも影村さんが出した条件じゃ」

 

諸葛亮「大丈夫です。きっと袁紹さんの事ですから、永遠に終わらないと思いますよ」

 

劉備「………結構痛いこと言うね、朱里ちゃん」

 

影村が出した条件とは、袁紹が自分の名前を綺麗に書けるようになるまでに、汜水関の兵を引っ張り出すことであった。

 

諸葛亮「しかし余りにも挑発にのって来ないようであれば、また別の策を考えないといけませんね」

 

重昌「ほら、そこは跳ねるとこだろ。そしてここは掃う。……違う。ここは止めるだって」

 

袁紹「――きぃぃぃぃぃぃっ!!さっきから似たような事ばっかり。いいじゃないですか!他の人が読めれば字なんt「『ビシッ』字なんてなんだ?それにそういう言葉はちゃんとした字を書けるようになってから言ってもらおうか?次に口答えすれば、口答えする度にミミズ腫れを作ることになるぞ?わかったらやって貰おうか?」……ハイ――」

 

文醜「おい見てみろよ、斗詩。あの姫が人のいう事を聞いているぜ。すごいな、影のおやっさん」

 

顔良「ホントだ。いつもあんな感じなら、私達も苦労しないんだけどなぁ」

 

袁紹の邪魔をしないように遠くにいる二人は、そんな軽口を叩いていた。

 

袁紹「きぃぃぃぃぃぃぃっ!!もう、なんなんですk「『ビシッ』何か言ったか?」……イエナニモ――」

 

所変わり曹操軍陣幕。

ここに一刀達西涼軍の者が訪れていた。

 

曹操「久しぶりね、北郷。今は合戦中よ。自分の所に戻らなくてもいいのかしら?」

 

一刀「その心配はないさ。今日はこうr……徐庶や姜維に任せてきている」

 

曹操「あぁ、あの貴方が話していた、将来有望な二人組ね。それより貴方の主である影村。先ほどの諸将のまとめ方。体制はれんh……いえ、袁紹が総大将ですけど、実質的に大将はあの人でしょうね。その手腕は見事だったわ。しかし気になっていたのだけど、あの者はずっと袁紹に付きっ切りで文字の練習をさせているけど、今回アレが目的でこの連合に参加したとか無いわよね」

 

その言葉に、後ろに控えている愛紗(椿)、瞳も視線を逸らす。

 

一刀「ははは、まさか、ソンナワケナイジャナイカ」

 

曹操「………片言になっているけど、大丈夫?」

 

一刀「ハハハ。実は今回、君に提案があってここに来たんだ。柑奈さん」

 

彼が話を逸らしその名を呼ぶと、後ろより真紅肩当てに紺色の鎧に身を柑奈が現れた。

 

柑奈「初めまして曹操殿。私の名前は正木通綱(みちつな)。影村様に仕える将の一人であります。これは我が主の書状でございます」

 

曹操は柑奈より書状を受け取ると、「可愛いわね。うちに来ない?」と軽い勧誘を薦めるが、彼女は「これでも人妻で、子供もいます」と一蹴すると、曹操は驚きと共に残念様な顔をする。

今までこのシリーズを読んできた皆さんは、重昌にデレデレする柑奈しか見たことないと思うが、これが彼女の本来の姿である。

 

曹操「………へぇ、私達とこの戦の間、一時的な同盟を結びたいと?」

 

一刀「勿論、君にも関の一番乗りを果たさせる好条件付きだが……いかに?」

 

曹操「一つ質問があるわ」

 

一刀「聞こうじゃないか」

 

曹操「今回の戦……一体何があるの?」

 

彼女のその質問に、一刀の後ろで控えている愛紗(椿)達や、曹操の後ろで控えている夏候淵達も黙る。

 

曹操「私も貴方の主にあやかって情報網の幅も広げてみたら、董卓は洛陽で悪政を働いていないという情報を掴んだわ。むしろ、私たちが訪れた時、お世辞でも富んでると言えない街を、逆に復興させる善政を敷いたと聞く。私たちが今回この戦に参加したのは、勿論名声を挙げる為の一つとしてだけど、本来の目的はこの戦の裏に何が隠されているのかを確かめる為よ。私達とこの戦の間同盟を結ぶことは構わないし、何だったら貴方の主にその間は軍も預けてもいい」

 

軍も預けると言ったとき、流石に後ろで控えている曹操の直臣も反論したが、それを彼女は直ぐに抑えて話しを続ける。

 

曹操「話が逸れたわね。この戦の間、お互い隠しあいは無しにしましょう。これが私の出す条件よ――」

 

彼女の発言の後、一刀は暫く考え込んだ”フリ”をして「わかった」っと了承した。

元々彼女がこんなことを言い出すであろう事は、予想の範疇でシミュレーションしていた。

だが簡単に了承してしまえば、彼女に仰しやすいと侮られかねない為少し間を置いた。

以降は一刀と曹操以外は陣幕外に待機してもらい、周りに怪しい者が来ないか警戒してもらった。

 

曹操「交渉は成立ね。それじゃあまず、私の知っている情報は――」

 

彼女が知っている情報と、考えていることはこうだ。

今回の戦は、董卓を傀儡として操っている者が居るというものだ。

それを操っているのは張譲である。

張譲は先の黄巾の乱の終結の際、何進に次いで帝である劉宏、更に何皇后までをも殺害し。

後は十常侍討伐の命で自身は死んだことにする。

そして劉弁を帝に祭り上げ、自身は劉弁の残された唯一の肉親である劉協を人質に、帝、董卓と続き、その権力を欲しいままにしている。

これが曹操の張り巡らせた情報網の末考え付いた答えである。

 

一刀「なるほど。俺たちが掴んでいる情報にもかなり似通っているな」

 

曹操「あら、私達と同じ情報じゃ、同盟の件も無しかもね」

 

一刀「まぁそう言うな。これから話すのは、”俺が”集めた情報だ――」

 

彼が話す内容も最初は曹操と似通っていたので、軽い説明で終わったが、最後に話した内容は曹操の考えとは全く予想も出来なかった内容であった。

 

曹操「まさか……そんなことが――」

 

一刀「いや……もしかすると、今回の戦いは更に根深い所に、人の憎悪と欲望が渦巻いていると思う。それで?結論を聞こうかな?」

 

曹操「……いいわ。貴方たちと手を組みましょう。一時的ではあるけども、私の軍も貴方達の指揮下に入らせて頂くわ。見せてもらうから、影村の力を――」

 

汜水関前。

未だ劉備軍による挑発は続いていたが、何時までたっても董卓軍は出てくる隙を見せない。

試しに軽く関に攻撃を浴びせたが、それでも敵は出てくることは無く、逆に関から弓を浴びせられ少し兵が負傷した。

どうやらちゃんと兵はいるようだ。

やがて影村が出したタイムリミットはやってき、指揮をしている劉備、諸葛亮、ホウ統の後ろからゆっくりと足を浮かせない、スライド式な歩き方の重昌が近づいてきた。

 

重昌「残念だが劉備殿、時間切れだ兵を引かせろ。当初の予定通り以降は我が隊が指揮を取る」

 

劉備「え!?でも袁紹さんh『バッ!』」

 

彼は劉備の目の前で、堂々と見事な文字で『袁紹本初』と書かれた竹簡を目の前に出す。

 

重昌「今頃袁紹殿は疲れて机でのびているだろう。判れば後退して本来の持ち場に着け」

 

劉備「ちょ、ちょっと待ってください!もう少し、もう少しで敵が出て来そうなんです。お願いですから時間を――」

 

重昌「断る」

 

劉備「影村さn「君は子供か?私はちゃんと機会を与えて、君はそれを実行できなかった。判ればとっとと下がれ。従わなければこの戦が終わり次第厳重な処罰を命ずるぞ」!?」

 

やがて影村軍が、陶謙・劉備軍は入れ替わる形配置され――

 

重昌「いや、申し訳ない陶謙殿。しかしこれも皆で決めた事。軍記を乱すわけにも参らぬ為、ここは堪えて下さい」

 

そういうと重昌は一つ陶謙に頭を下げて、陶謙は慌ててこれを制する。

その陶謙の後ろからは、陶謙の下についていた関羽が重昌をずっと睨め続けている。

自らの主は冷遇し、陶謙に変われば厚くもてなす。

関羽も陶謙の人柄と実力に関しては高く買っているし好感も持っている。

だがこの自らの主に対する扱いの差はなんだと思いながらも、どうしても影村を睨まずにはいられない。

やがて重昌が顔を上げると、陶謙の沽券が下がりかねないので、流石に視線を逸らした。

 

重昌「それと言ってはなんですが陶謙殿。貴方には是非ともここに残って頂き、若輩者ではありますが我が策を見て行ってはくれませぬか?ついでですので、貴方の後ろに控えている彼女にも見て行って貰いましょう」

 

陶謙「ほう。鬼謀である影村殿の采配が見れますか?是非とも残らせて頂きましょう」

 

重昌「鬼謀?」

 

陶謙「知らないですかな?他の諸将の間では有名ですけれども?」

 

重昌「そんな大それたモノではありませんよ。しかし鬼謀と言われれば、頑張るしかありませんね」

 

実際重昌も、この時代でまで”鬼謀”と言われているとは思っていなかった。

軍の入れ替えを完全に終えたところで、彼は背に何か布きれを巻いた棒状の物を持った柑奈を連れて戦線の丁度中間辺りまで出ていく。

丁度、両軍ぎりぎり矢が届かない辺りだ。

 

陶謙「関羽ちゃん。影村殿がどんな策を披露するか、見物だな」

 

関羽「………そうでしょうか?朱里や雛里の策でも落ちなかった関ですよ。あの者に落とせるとも限りませぬが?」

 

陶謙「……関羽ちゃん、世の中は広い。君ももっと実践と経験を積めば、諸葛亮ちゃんやホウ統ちゃんの様に策を弄して、戦局を覆せる様な武将になれる筈じゃよ」

 

関羽「………考えるのは……苦手です――」

 

陶謙「大丈夫。そのうち判る」

 

関羽「しかし――」

 

その時、二人の間に一陣の風が吹き、陶謙の関羽に向ける微笑がなんとも鮮やか過ぎて、関羽の中に何か胸騒ぎに似た物を感じた。

 

陶謙「ホッホッホッ、君が影村殿を嫌っているのも判っている。しかし見ておきなさい。いつかきっと君の役にも立つ筈じゃ。そう、きっとな――」

 

重昌と共に前線に出ている柑奈は、背の棒を取り出すと、包んでいた布を外す。

その棒状の布に書かれていたのは、華雄の印である『華』の文字であった。

この旗は董卓軍からこっそり盗まれたもので、曹操が何かの足しにならないか?ということで重昌に渡した物であった。

両軍、何故前線の中心に華雄の旗を立てるのか、わけが判らなかったが、重昌は急に松明に火を付け、重昌の持つ松明は景気よく燃え盛っている。

両軍は今同じ結論に達した。

まさか?いや、そんなことをする筈は無い。

しかし本当にそんなことをするのであろうか?

重昌の持つ松明は華雄の軍旗に近づいていき、やがて……華雄の旗は燃え上がった。

突然のことで両軍は完全に沈黙してしまったが、汜水関では……

 

華雄「………華雄隊。戦備体制を整えろ」

 

静かな怒りに震える華雄は、小さく兵士に指示を出し、兵士はそれに応えて準備を進める。

 

張遼「な!?華雄、あかん!!あんな見え透いた挑発に乗ったら、それこそあいつらの思うつb『ガシッ』」

 

再び華雄を説得しようとする張遼であったが、彼女は華雄に両肩を掴まれる。

 

華雄「張遼……判っているのだ。あれは見え透いている挑発だと言うことも。……私も月様の為にも耐えてはきたが、アレを見せられては黙って居る訳にもいかない」

 

張遼「判ってんねやったr「言うな。その代わりと言ってはなんだが」……?」

 

華雄「突撃は私兵五千のみで行う。お前はこのまま残りの兵を連れて、虎牢関に退却してくれ」

 

張遼「――って、あんた死ぬ気かいな!?あかんて、いいから考えn」

 

彼女が「考え直せ」と言おうとした時、華雄は右手で張遼を制しして言葉を止める。

暫く二人は見つめあい、張遼は何かを判ったように頷くと、華雄の私兵以外をまとめて、虎牢関へと撤退した。

 

華雄「皆、私のわがままに付き合ってくれて、本当に恩に着る」

 

華雄兵1「何言っているのですか、華雄様」

 

華雄兵2「そうですよ。俺たちは地獄のそこまで将軍に付いて行くと決めたのです」

 

華雄隊の面々は華雄の言葉を、さも当たり前かの如く笑い飛ばすと、華雄はそれに対して微笑を浮かべる。

 

華雄「門を開け!」

 

彼女の言葉を聞き、汜水関の関門が開く。

 

華雄「者共!我が主君である董卓様を狙う賊共を、我らは排除しに行く。行くぞ!」

 

華雄の言葉に華雄隊は雄叫びをあげる。

 

華雄「これより華固有、死地に入る!!」

 


 
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