No.584246

司馬日記32

hujisaiさん

その後の、とある文官の日記です。
ところで先般から考えていたのですが、R-18であったり、シリーズの流れから外れる小ネタ過ぎるもの等、tinamiにふさわしくないと思われるものについては今後私自身の休眠していたブログ「裏紙の落書き。」
http://akari6d.blog45.fc2.com/
にて公開させて頂こうと思います。
さしあたりましては事後シリーズで桐花編を(一部の特殊な方々の得の為に!)そちらにupしておりますので、もし宜しければ御覧になって下さいませ。

2013-06-06 17:10:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:18450   閲覧ユーザー数:11086

11月23日

三国会議で事件が起こった。

(個人の私室以外での御伽を前提とした)占用許可及び鍵の管理、警備や通行制限等の取り決めについて、一刀様が『必要に応じて各々で公序良俗に反しないよう適宜行って頂きたい』という趣旨の御発言をされたところ、黄蓋殿が

「そのくらい『俺の好きな時に好きなところでやらせろ』と言えば良いんじゃ、いつまで経ってもだらしないのう」

と発言され、一刀様は苦笑いされた。

今までも黄蓋殿は一刀様に対して荒っぽい言動が見られていたが、今の物言いには一言注意させて頂こうとしたところ隣席の妙才様が机の下で私を制されながら、

「『我々の』一刀の教育が悪く申し訳ない、より気の利く好い男に責任持って育て上げる為御容赦頂きたい」

と黄蓋殿に陳謝された。それを聞いた黄蓋殿は片眉を跳ね上げ何か言おうとしたがそれよりも早く周瑜殿が

「いや一刀の不出来は長年連れ添った『我々呉の』育成不足でありこちらこそ陳謝する」

と剣呑な表情で言われ、さらに趙雲殿が

「いやいや魏も呉も無い、付き合いの長さで言えば最も長いこの趙子龍が主殿を育てたも同然、『我が身を以って女の扱いを一通り教えた私の』不行き届きであり改善を約束する。また強いて加えるならば稟と風を含めた三人こそが責められるべき」と発言すると、会議は異様な雰囲気となった。一刀様が御取り成しの為か何か言われようとしたが、それよりも先に妙才様が

「…なんにせよ、一刀をこれからも教育していくのは任せて頂きたい。ああ、垂れた乳の褒め方だけはお任せしよう、こちらでは判らないのでね」

と言われると黄蓋殿がなんじゃ死にたいのか小娘、と怒気を孕んだ声と共に立ち上がった。応じるように妙才様もやるなら受けて立ちますがと立ち上がると、一刀様が立ち上がって「いや二人とも待ってくれ、俺はみんなに育てて貰ってる、二人も含めて本当に感謝している」と言われた後、一言二言妙才様に耳打ちされるや黄蓋殿の方へ行き、祭ちょっと話をしようと言われ、明らかに不満気な黄蓋殿を連れて会議室を出て行かれた。

 

曹操様が暫時休憩を提案されその間に各国王が硬い表情で打ち合わされたところ、今日の会議は流会とし各国内で意見調整の上明日再会議となった。

 

11月24日

朝に公達様が総務部の管理職を集め、昨日のその後の経過を御報告頂いた。

「まああれよね…みんな本当に『一刀様は私が育てた』って本気で思い過ぎなのよねえ。部長級以上が集められてさ、華琳様が『魏としては一刀の意向を尊重して、三国及び関係者全員で一刀の人格養成を助けておりこれからも継続する』って見解にするわ、って言われたんだけどもぉすんごい雰囲気悪いの!秋蘭は『実質一刀を御育てになった華琳様がそれで宜しければ』って言うけど凄い仏頂面で『一刀は私と華琳様が育てた大事な男だ』って顔に書いてあるしさぁ、桂花はふて腐れきって『あいつに仕事教えたのは私なのに』って態度ありありだし、あと風!あの娘、何も言わないから別に気にしてないのかと思ってたのよ私は。でも稟は華琳様のいる会議中では飴舐めないのに今日は銜えたままでおかしいって気づいてたみたいで会議後に飴取り上げてみたら噛み割ってたのよ!?

…なんて言うか、うち(総務部)の娘達は凡そ関係ないと思うけど、あんまり一刀様に関してヘタな自尊心持つと面倒な事になるからそういうの勘弁してよね」

とのことであった。

 

何にせよ、公私とも一刀様に御指導頂いてばかりの私には余り関係の無い話だ。

…ただ不謹慎な話ではあるが、一刀様についてそれだけの自負を持てると言う事に多少の羨ましさは禁じ得ない。

 

11月25日

過労らしくふらふらしていた子敬に誘われ、元直と共に飲みに行った。

子敬の話では本日、黄蓋殿、周瑜殿、妙才様、趙雲殿らが一刀様、各国王立会いの下で今回の件の手打ち式を行ったという、今回の件で相当業務に支障をきたしたらしく酷く愚痴っていた。

しかし一刀様はここ二日間はほぼ不眠不休で先の四人を順繰りに何度も御説得されていたらしい。子敬の言葉を借りると『赤玉出るまで振り続けた』というが意味が良くわからず聞いてみると体を張った御説得の事だという。

 妙才様は文武に優れしかも冷静であり協調性も高く、言葉は多くは無いが一刀様をさりげなく立てるようにもされており、私は尊敬している。しかし、それでも一刀様の好まざるところを敢えて行ってしまったのは宜しくなかったのではないか思うが、自分が妙才様の立場であったらどうだろうか?

…そもそもが天の御遣い様と下女の間柄でしかないので、想像が出来ない。

しかし世の一般では、糟糠の妻が他所の女が夫について判ったような事を言っている現場を見たらきっと気分が良くないという話なのだろう。

 

11月27日

新後宮が竣工した。

これから開庁までに個々人の分も含めた備品搬入と内覧会が行われるほか、消耗品や備品管理、案内・警備、清掃等について実際の配置で予行を行う。

各部会担当者の他、国王様方も開庁前に一度検査されるらしい、段取りを組まなくてはならない。

 

11月29日

元直が定時頃に近親上等☆姉妹こと劉封殿と関平殿を連れて職場へやって来た。

曰く、交換留学で二人をこの職場へ連れて来たという、どうやら公達様は御存知だったようだが子丹御嬢様は御存じなかったようで顔を顰め、士載に小声で近寄ってはいけませんよと注意していた。

元直が近年見たことのない清清しい笑顔で宜しく御願い致しますと挨拶して引き揚げていくと、公達様が

「じゃ仲達あんたが二人の指導員ね、財務の仕事は少し減らしてあげるから。あとこれ報酬ね」

と言い、私に二枚の紙を渡された。紙には『一日なんでもしてあげる券 一刀』と書かれ、一刀様の印が押されていた。二人がやって来た事にも指導員にされた事にも驚いたが、何よりも先般の打ち合わせでのお話を思い出し頭が真っ白になってしまった。

 

11月30日

…夕べはまた妄想で一刀様を穢してしまった。自分の品位の下劣さ、淫乱さに嫌になる。

これではあの姉妹の事など笑えないと思いながら眠い眼を擦り出勤すると、例の姉妹に元気良く挨拶され、思わずたじろいだ。

御加減は宜しいのですかと聞かれ、別に病気ではないがと答えると不思議そうな顔をされ「周囲の方から御持病が発症されたのでお帰りになったと聞いたのですが」と言われた。そういえば昨日のあの後から家に帰るまでの記憶が無い。

 

12月1日

公達様と共に元直を訪ねて指導方針についての要望を聞いてみたが、

「殺さなければなんでもありです、好きにしちゃって下さい!」

と劉備様や関羽殿に確認もとらずに笑顔で即答した。

その言い草もどうかと顔を顰めていると公達様が

「あの娘達、才能有りそうなんだけど。型に嵌めちゃってもいいって事ね?」

と訊かれ、

「ありです、それで大人しくなったらめっけものです!でもあの娘たち、それ専門にはならなさそうな気がしますけど」

と答えていた。

型に嵌めるとはどういう意味だろうか。

 

12月2日

さしあたり、劉封殿と関平殿に備品の納品受付と整理を手伝ってもらった。

これまで見てきた姿に比して真面目に取り組んでおり、また受け答えもはきはきとしていて気持ちが良い。

今まで彼女らを過小評価していたかもしれない。

 

それにしても、例の券はどうしたものか…

一刻程お茶を御一緒して頂くだけでも十分過ぎる程幸せではないかと思う一方、それだけでは余りに惜しいと思う気持ちも否定出来ず、さりとて一刀様の御優しさに縋って甘い夜を望むのも身の程を弁えぬ、一刀様のお気持ちも御負担も考えぬ下品な淫乱女の行いのようにも思う。

…この二枚の札は私の身の丈を超えたものなのかもしれない。

 

12月3日

二人に忘れていましたと言われ何かと思っていたら、だしぬけに真名を預けられ驚いた。

仲達様の真名を伺えるでしょうかと言われたが、今しばらく親しくなってから考えさせて頂きたいとひとまずお茶を濁した。

物怖じしない娘達と思ってはいたが筋金入りのようだ、関羽殿は厳格だが劉備様は彼女らと同じく人の懐に飛び込む事に躊躇い無い方だとは聞いてはいるが。

 

12月4日

一刀様の御健康増進の為、今まで合間をみて行われていた不定期の御鍛錬について定期的な鍛錬の御時間を設けてはどうかという提案があり、各国の将軍、武官の方々からの提出された提案書の整理を詠様より指示された。

 

馬超殿、文遠殿、白蓮殿からは馬術という意見であった。

提案書は個別に出して頂いているが、何故か全員馬術場での御指導ではなく遠掛けとして一泊二日となっていた。

 

妙才様、黄忠殿、黄蓋殿は弓術の提案がなされた。これも何故か全員、射の姿勢の指導となっていた。騎射も遠射もあると思うのだが…

 

周泰殿、蒋欽殿及び華雄殿からは格闘技という提案だった。

危険度の高い打突技は行わず拘束技及び関節技に限るとし、また呉特産の海藻から取れる粘液を使用することで一刀様の擦過傷を防ぐと書かれている。

…一刀様の御安全まで検討されており良い提案なのではと思うが、海藻という単語に何か聞き覚えがあるような気がする。

 

趙雲殿の提案書には、

「鍛錬内容:槍術 場所:主殿の寝台」

とのみ書かれていた。槍術であれば剣道場ではないのかと思い詠様に伺ったところ、いつもと何が違うのよと言いながら笑顔で提案書を破り捨てられてしまった。

…捨ててしまって問題なかったのだろうか?

 

また士季からも提案書が提出されていた。

実用性を重視して暗殺対策とし、夜間の屋内模擬戦で具体的には襲撃役からの避難演習及び襲撃者の確保演習と書かれていた。また確保演習では身体能力上文官の方々にも協力頂くと記載され、演習には振り返りが重要とし夜明けまで反省会を行うとしている。

 

詠様に整理結果をお見せしたところ士季の提案書で手を止められ、暫く無言で眺められていた為お声掛けした。するとはっとしたような表情と浮かべ、じゅるっという音と共に口の端を抑えられながらこれいいわね、残りのも適当に見繕って計画書にしてと指示された。

士季の提案書のどこが詠様の琴線に触れたのだろうか。


 
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