No.579114

Familia

家族や仲間の絆をテーマに書いています。
一人では何もできなくても家族や仲間いれば頑張れる。
怖くても前に進める。
命の尊さを伝えられたらといいな~と思っています。

2013-05-22 21:32:09 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:309   閲覧ユーザー数:309

 
 

政治や軍事を重点視した、王都を中心とした東と各郷土を大切にした西。

 

他国からは政の東、祭の西と呼ばれていた。

 

半年の歳月が流れ、いつまでも進展のない常態に痺れを切らした東が西へ宣戦布告をし、東桜都と西桜都の戦争が始まった。

 

そこまで軍事に力を入れてない西国が東国に勝てるはずがないと思われていたが西国の決死の抵抗で戦争は長引いた。

 

それが後に語れ告がれる東西30年戦争である。

 

過去の中で一番長い戦争であり、この戦争の敗北で西国は完全に戦力を失った。

 

東国のバード・M・フォル皇桜は全世界に統一したことを告げ、神聖ペルーシャ皇国と名乗り皇桜を皇帝と改名、西国の再起防止をした。

 

その後、皇帝は超越した力を恐れ二人を殺害。公には不慮の事故と告げ、詳しい調査もさせずこの件を揉み消した。

 

帝国の旗揚げ後、圧倒的な力の差を見せ付けられた西国はなにも言うこともできず、ただただ従うしかなかった。

 

そして長い年月が過ぎた----------

 

 

 

1章 始動

 

北州 オッカーフック 北エリア

 

「村長買出しに行ってきます」

 

村の外に行くときは必ず村長に報告しなければならない。

 

「ナギ待つのじゃ。いつも言ってることではあるが何があっても首を突っ込む出ないぞ」

 

「分かっますよ。そもそもそんな緊急なことなんて今まで起きてないから大丈夫ですよ」

 

「ならいいんじゃが・・・ふむ・・・何も言うまい。気をつけて行って来なさい」

 

「では行って来ます」

 

見送ってくれるくれる皆にてを振って村を後にした。

 

「ナギよ必ず戻ってくるのじゃぞ・・・」

 

「ナギなら大丈夫」

 

「ん?・・・お主か」

 

「ナギも色々経験を重ねてるからもう心配ない」

 

「そうじゃな。信じてやらねばのぅ、あやつも成長しとるんじゃな」

 

「うん・・・多分」

 

「・・・ん?」

 

「きっと・・・そうあってほしい・・・そうだったらいいなぁ」

 

「ほ、本気で言っておるのか?」

 

「・・・さぁ」

 

それだけを言い残して戻っていった。

 

「余計に心配になるんじゃが・・・」

 

 

 

 

「やっと森の入り口に到着っと。にしても、村からこの距離っておかしいだろ」

 

この森もあれだけど、村が村だけにしょうがないか・・・

 

そう思いながら森を抜けていった。

 

森を抜けてしばらく行くと中央エリアがあり、北州で一番栄えた大都市である。

 

中央区は東国と西国が共存している唯一の都市である。そして東国の人間が暮らしているから物資が大量にくるのだ。

 

物資がほとんど入ってこないので物資を調達したい場合は中央区に行くしか手段がないのだ。

 

東国と西国の人間では値段が違うのは言うまでもない。

 

「中央区は今日も平和で以上な~し♪今日も用事は食品売り場~♪」

 

中央区商店街にある「食道」名前の通り食に関する専門の通りである。

 

「さて、早く終わらせて帰りますか~いざ突撃~」

 

 

「こちらサクラ、目的の人物ナギ・ジーニスを確認。追跡を開始します」

 

会話が一段落した後、少し早足でナギに近づいていく。

 

一方ナギの方は・・・

 

「これも安いなぁ~。あっこれも安い。欲がついつい出てしまうな~」

 

「あんたお得意さんだからこれも付けて安くしてあげるから買っていきなさいよ」

 

と店主と会話をしながら買い物を満喫していた。

 

「まもなく、接触・・・5、4、3、2、1」

 

彼女がナギの後ろで止まった。

 

 

 

 

「あのーすみません」

 

彼女が話しかけてもナギは気付いていない。

 

「あのーすみません」

 

やや声を大きくして言ってなんとか気付いてもらえた。

 

「ん。え?あっ、えーっと・・・どちら様ですか?」

 

「あっすみません。私、サクラ・タチバナと申します。ナギ・ジーニスさんでいらっしゃいますか?」

 

「そうですけど俺に何か用ですか?」

 

「そうなんですが・・・ここではなんなので場所を移しませんか?」

 

サクラ・タチバナと名乗る女性は何かを警戒してるかの様に周りをきょろきょろ見渡していた。

 

「どうかしました?」

 

「えっいえっ何もないですよ!では・・・行きましょうか」

 

彼女は明らかに焦っている様にしか見えない。

 

しかしまだ俺にはやるべきことが残っている。

 

「あの~まだ終わってないので終わってからでもいいですか?」

 

それは買い物である。これだけは終わらせておきたい。

 

「え?買い物・・・ですか?」

 

「そうです。もう少しで終わるので待ってもらってもいいですか?」

 

「ごめんなさいこの後色々と詰まっておりましてできれば今すぐにお願いしたいのですが」

 

「では無理ですね。それでは買い物の続きがあるので失礼します」

 

「あ、あのごめんなさい、待ちますので終わってからお付き合い頂きたいのですがよろしいですか?」

 

「それは問題ないですよ」

 

それから買い物をすませ近くの喫茶店に入った。

 

 

 

 

「それで早速なんですが、どこのお方で俺に何の用ですか?」

 

「魔道ギルド黄金の花から参りました。えっとあなたを捕まえにきました」

 

「・・・ん?んんんん!?」

 

想像のはるか斜めの答えだった。

 

「お、俺が何・・・したんですか?」

 

もっと色々言いたかったがこの言葉を出すのが一杯一杯だった。

 

「そのー悪い事をしたとかそういうことではないのです」

 

「じゃあなんで捕まえられないといけないんですか!」

 

大きい声を出してしまい周りの客の視線が一斉に集まった。

 

「ご、ごめんなさい」

 

周りに謝り椅子に座った。

 

「聞き直しますがなんで捕まらないといけないんですか?」

 

「お、落ち着いて下さい。語弊を招いてしまったようですみません。捕まえるというより保護に参りました」

 

「保護?」

 

「はい。詳しい事はここではお話できませんのでギルドまで来ていただけませんか?」

 

「なんでここでは話していただけないのですか?」

 

物事の整理ができないうえに話に進展がなくイライラするばかりであった。

 

「極秘の内容なのでこういう公の場では話せません」

 

 

 

 

「いい加減にしてください!!」

 

怒鳴り声にまた視線が集まったが周りがどうこうなんて関係なかった。我慢の限界に達してしまった。

 

「何一つ教えてもらえないのに一緒に来いとか正気ですか?見ず知らずの怪しい人にほいほい着いて行くほどおめでたい頭はしてませんよ。失礼します」

 

帰ろうとした時、手を掴まれた。

 

「待ってください。話せるだけ話します。それを聞いてから帰るかどうか決めてもらえませんか」

 

掴んだては微かだが震えていた。

 

「・・・分かりました。皆さんご迷惑をおかけして本当にすみません」

 

再度周りに謝罪し椅子に座った。

 

「ナギさん確認しておきたいことがあります」

 

「なんですか?」

 

「その昔のお話ですが2人の異常な力を持った者が現れたお話です」

 

「知ってますよそのぐらい。それと俺が何の関係があるんですか?」

 

「その2人は人々から夜叉と阿修羅と呼ばれていたそうです」

 

「へぇーそうなんですか」

 

「そしてそのお墓が北エリアにあるそうなんですよ」

 

「そ、その事も関係あるんですか?」

 

「いえ。これは別に関係ないですよ。ただの余談ですすみません」

 

「・・・」

 

「それでなんですがその夜叉と阿修羅の力を持った者が現代に現れたみたいなんですよ」

 

「2人共ですか!?」

 

「2人共かは分かりませんが、夜叉の方は既に確認されています。立派な国の雄犬になってますよ」

 

「どういう事ですか?」

 

「それはおいおい話していくとして夜叉の特徴として言い伝え通り武器を使用してます。現代の夜叉は剣を使っています」

 

「剣・・・ですか」

 

「王道でシンプルすぎると思いました?」

 

「あっいえそういう訳ではないですが」

 

「そして彼の事を・・・」

 

言い終える前に彼女の顔が急に険しくなった。

 

「お話中すみません。怪しい2人がいると通報がありまして来ました」

 

そこにはざっと数えて10人近い聖騎士団がいた。その中でも目の前に立っている騎士は別格であることはすぐにわかった。

 

「蒼夜叉・・・」

 

彼女がそう言ったのがはっきり聞こえた。

 

 

 

 

「通報の内容から考えると強引にギルドへ入れさせようとしてるっというところか」

 

蒼夜叉は睨まれていても全く気にせず淡々と状況分析していた。

 

「ちょっと何を勝手に決め付けているんですか。失礼極まりない人ですね」

 

「とりあえず一緒に来て貰おう、話はそこでだ」

 

彼女の手を掴もうとした時であった。彼女が蒼夜叉の手を払い落とした。

 

「寝言は寝て言って下さい。そもそも店員がいつ通報したのですか?連絡している姿を一度も見ていませんが。証拠の通報履歴を見せて下さい。それともなんですかストーカーが居ると通報したらいいですか?」

 

蒼夜叉は深くため息をついた。

 

「そこまで確認済みとはな。まぁ、こうなるのは想定内ではあるが・・・捕獲だ」

 

その言葉と同時に後ろで待機していた騎士達が一斉にサクラ・タチバナ目掛け動き出した。

 

しかしそれよりも早く彼女が動いていた。

 

この場所から立ち去るまで一瞬の出来事だった。

 

店の扉の音に気付いた騎士達が店から出て行った。

 

「なめられたものだな。ご丁寧に支払いまで済ませていくとはな。しかも2人分」

 

蒼夜叉がこっちに視線を落とした。

 

 

 

「一緒に来てもらおうか。色々と事の成り行きを聞きたいのでな」

 

「え・・・?」

 

「別に何をしようというわけではない」

 

「そうですか・・・わかりました」

 

そう言ったものの、このまま付いて行けば帰れないような気がした。そう本能的に感じたのだ。

 

「皆様ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」

 

さすが騎士団。そういうところはしっかりしてるんだなっと思いながら席を後にした。

 

「あのー蒼夜叉さん」

 

店を出てすぐ勇気を振り絞って声をかけた。

 

「ん?」

 

「あのトイレ行っていいですか?」

 

ありきたり過ぎて冷や汗が一気に流れだした。

 

「あぁ、構わんよ」

 

「え?あ、あぁじゃあ行ってきます」

 

無意識のうちに全力で走っていた。

 

「一般人にはありがちなことだ・・・言い忘れていたがそっちにはトイレはないぞ」

 

呆れた顔でため息をついた後、蒼夜叉は笑みを浮かべた。

 

「鬼ごっこか。久しぶりだな。いい運動になるといいが」

 

 

 
 

 
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