No.576251

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-05-14 15:12:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:587   閲覧ユーザー数:570

 

 

 

episode166 極寒の地…『南極』

 

 

 

 

そうしてナハトヴァールとの戦いが終わって二日が経った・・・・・・

 

 

 

一旦IS学園に戻ってそこで鈴の遺体を預け、そのまますぐにネェル・アーガマの秘密ドッグに向かい、そこで修理と補給を行う事更に二日を有した。

 

 

 

 

 

 

 

「まもなく南極圏内に入ります」

 

「・・・・」

 

修復と補給を終えたネェル・アーガマは南極の海域に入る。

ちなみに南極に向かうまでに更に五日を有する事になった。

 

 

 

「・・・これが・・・南極・・・なのか?」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

ブリッジにいた隼人はその光景に目を疑う。

もちろんその場に居た者も同じだ。

 

海域だけでも氷が一面を覆い、一面真っ白な世界になっていた。

 

「南極ってこんなに・・・真っ白だったっけ?」

 

輝春は目をぱちくりとさせる。

 

「今の南極は気温上昇によって氷や雪がほとんど解けているって聞いているけど・・・・・・これじゃ・・・まるで北極だな」

 

隼人も少し戸惑い頭を掻く。

 

「南極周辺の気象データを見る限りじゃ・・・どうやら半年以上超大型のブリザードが続いていたみたいだね」

 

束は気象衛星にハッキングして一年間の南極周辺の気象データを閲覧していた。

 

「超大型の・・・」

 

「ブリザードだと?」

 

「しかも半年以上も続いていたのか・・・」

 

「うん。それで気温が急激に下がり、それが半年以上続いた為に今の南極は一昔前の南極に戻っているみたいだね」

 

「一昔の南極か・・・」

 

「・・・・」

 

「今はブリザードは収まっているけど、今の状態で北極よりも気温が下がっているみたい」

 

「かなり過酷な環境に変わっているな。だが、なぜそんなブリザードが?」

 

「原因は不明みたい。そもそもこんな大きなブリザードなんか記録上今まで無かったみたいだし」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「マスター」

 

「どうした、フィア」

 

「1時の方向に金属反応がいくつかあります」

 

「金属反応だと?」

 

「はい。しかしそこは凍った海面の上ですので、漂着物や南極に残された施設の残骸とは考えにくいです」

 

「・・・・」

 

「そんな場所に金属反応って・・・漂流船か?」

 

「半年以上もブリザードが続いている以上、近付く船は無いだろ」

 

「まぁ、確かに・・・」

 

 

「と、なると・・・」

 

「バインドに関係するものかもしれんな」

 

「・・・・」

 

「・・・隼人、頼めるか?」

 

「もちろん」

 

隼人はフェイよりインカムを受け取る。

 

「ユニコーン。第一格納庫に来てくれ。調査の為に出撃する」

 

艦内放送をかけて隼人はインカムをフェイに返し、ブリッジを出る。

 

 

 

 

「・・・何となく・・・はっくんの雰囲気変わったかな」

 

少しして束は呟いた。

 

「あぁ。少し変わったかもしれんな」

 

「あいつの雰囲気ねぇ」

 

輝春が窓から外を見ると、隼人のバンシィ・ノルンとユニコーンが第一カタパルトより飛び出した。

 

「あんな事があれば・・・変わってしまうよな」

 

「・・・・」

 

「・・・それが悪い方向に転がらなければいいけどね」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うぅ、さっぶっ!」

 

隼人は少し震え、氷の上に着地する。

 

「さすがにこれは堪える寒さだね」

 

ユニコーンも少し震える。

 

「お前でも寒がるのか?まぁ見た目が寒そうだけど」

 

ユニコーンはリミッターを解除した状態のままな為、以前の全身装甲ではない。

 

「金属は熱を伝えやすい。それは冷気も同じ事。だから金属を持つ機械の弱点は寒さになってしまう。最も私やバンシィは完全な金属の身体じゃないから何とか大丈夫だよ」

 

「そうなのか。以前の形態じゃこの寒さに耐えられないのか?」

 

隼人は周囲を見ながら話す。

 

「そうだね。少なくとも数時間で機能停止に陥るよ。今の形態のほうがよっぽどマシ」

 

 

「なるほどな・・・・・・お前の言う通りだ」

 

と、隼人は片膝を付いてしゃがむ。

 

目の前には不自然に盛り上がる雪があった。

 

「バインドもこの状況を想定してなかったんだろうな」

 

隼人はその雪を払い除けると、そこにはカチコチに凍って機能停止していたレギナが埋まっていた。

 

「言えてるね」

 

ユニコーンも近くに雪を払い除けると、同じようにレギナが埋まっていた。

 

「こちら隼人。金属反応はバインドの量産機だ」

 

『やはりやつらのか』

 

「あぁ。あまりもの寒さに冷凍マンモス状態になってるよ」

 

『分かりやすい例えなのやら、そうじゃないのやら・・・』

 

『何とか持ち帰れない?』

 

「温度が上がったら恐らく回復してしまいますよ。そうしたら機密保持の為に自爆する恐れがあります」

 

『やっぱり・・・』

 

『当然だな』

 

「まぁでも、完全に機能停止にすることは出来ます」

 

と、隼人はレギナの頭を掴むと、サイコフレームを発動させて金色の光が漏れ出し、レギナに光が流れ込む。

 

「バインドに関する情報は得られなくても、少なくともあいつらがここに来た目的が分かるはずです」

 

『出来るのか?』

 

「今情報を取っています。その後に各回路を遮断、その後自爆装置の停止をします。最低一体だけ持ち帰れます」

 

『さっすがはっくん!待ってるよ!』

 

 

 

「そう言ったけど、分かるのかな?」

 

「解析はしている。時間は掛かるだろうがな」

 

「・・・・」

 

 

そうして情報の摘出を終えて、回路を全て遮断してからレギナを持ち上げる。

 

「本当にカチコチだな。ロウ人形ならぬ氷人形か」

 

「いや別にうまい事言わなくても」

 

「言っただけさ。別に狙ってない」

 

「そうかな?」

 

隼人はレギナを抱えてユニコーンと共にネェル・アーガマに帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、隼人」

 

「何だ?」

 

「本当に大丈夫なのか?あいつらの量産機を持ち込んでも」

 

隼人が格納庫の隅にレギナを置いて調査をしていると、一夏と箒がやってきた。

 

「全ての回路は遮断して自爆装置も停止させた。もうただの鉄人形だ」

 

「・・・・」

 

「ところで、何で二人がここにいる?」

 

「あぁ。それは箒が――――」

 

と、一夏が言おうとしたが、箒はすぐに一夏の口を塞ぐ。

 

「いや、何でも無いぞ?」

 

「そうには見えないが?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「・・・まぁいいや」

 

隼人は野暮な事と思い、深く聞こうとはしなかった。

 

 

「しっかし、厄介な事になったな」

 

「どういう事なんだ?」

 

箒は一夏の口から手を離すと、怪訝そうな表情で聞いてくる。

 

「外は北極以上の寒さになっている。例えISを纏ってエネルギーシールドがあってもISスーツじゃ急激に体温が低下する」

 

「・・・・」

 

「そりゃ・・・まぁ」

 

隼人の言う事に二人は納得する。

 

肌の露出が覆いISスーツだと冷気をもろ肌に受けてしまう。エネルギーシールドである程度は防いで、ISによって体温調整がされても体温低下は免れない。

 

「全身装甲の機体でも寒いんだ。Gモードだとしてもこの環境でISスーツで活動するのはあまりにも無謀だ」

 

「確かにそうだが・・・」

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ、はっくん!」

 

と、突然束が三人に元に現れる。

 

「うわっ!?」

 

一夏は驚いて三歩分飛び退く。

 

「ね、姉さん・・・」

 

箒は少し身を引く。

 

「こんな事もあろうかと、その対策は準備しているよ!」

 

「対策?」

 

「元々別の開発方針だったけど、こういう環境でも大丈夫なものを作っておいたんだよ!」

 

「つまり?」

 

「ズバリ!!全身型のISスーツだよ!」

 

「全身型の・・・ISスーツ?」

 

箒は少し驚いた表情を見せる。

 

「過酷な環境でもある程度順応できるように作ったパイロットスーツだよ」

 

「別方針で作っていたとなると、元々は真空状態、言わば宇宙空間での行動を想定したものですか?」

 

「その通りだよ、はっくん。まぁ宇宙進出までISは完成してなかったから一時はお蔵入りになったけど、今回の調査にはうってつけかと思って急遽作ったんだよ」

 

「なるほど」

 

「ってことは、かなり寒い場所でもほとんど問題は無いんですか?」

 

「その通り!察しのいい男子は好きだよ、いっくん♪」

 

「は、はぁ」

 

若干満更でもない様子の一夏に箒はムッとする。

 

「で、でも姉さん。全身になると電気信号が伝えにくくなるのでは?」

 

そもそもISスーツの露出が多いのは、ISに肌から発せられる電気信号をISに直接伝える為である。

服などの繊維状の物が肌の上にあると電気信号を伝えにくくしてしまう。

 

「そこは心配御無用だよ箒ちゃん。この全身型のISスーツには電気信号を伝えやすいように特殊素材で出来ているんだよ」

 

「・・・・」

 

「しかも、体温調整が出来る機能付き」

 

「す、凄い・・・」

 

「さすがですね」

 

「当然!なんたってこの天才科学者篠ノ乃束の手に掛かれば朝飯前だよ!」

 

「は、はぁ・・・」

 

「まぁ一応みんなの分は作っているよ」

 

「準備がいいですね」

 

「そうでしょ?」

 

疑問系で言われてもなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして格納庫に専用機持ちが集まった。

 

「これが全身型のISスーツかぁ・・・」

 

シャルロットは身に纏った全身型のISスーツを見る。

 

「さすが篠ノ乃博士だ。このようなものを作っておいたとは」

 

ラウラもISスーツを見ながら整える。

 

 

 

「本当に束さんには脱帽だな」

 

隼人も全身型ISスーツを着て右腕を回す。

 

(ぶっちゃけ言えばバンシィのパイロット専用のパイロットスーツと同じだな)

 

隼人のISスーツは原作でバンシィのパイロットが着用する特殊パイロットスーツと殆ど同じ形状なのだ。

唯一の相違点はビスト財団のマークが無いぐらい。

 

(で、他のメンバーはCBのパイロットスーツがモデルか。単なる偶然なのかねぇ)

 

この場に居るのは一夏、箒、セシリア、シャルロット、ラウラ、エリーナ、楯無、簪がいた。

 

八人の全身型ISスーツのデザインは同じだが、カラーは一夏が白と紺、箒は紅と黒、セシリアは青と黒、シャルロットはオレンジと白、ラウラは黒と赤、エリーナは緑と白、楯無は水色と白、簪はグレーと白と、それぞれの専用機のカラーリングがモチーフになっている。

 

他にリインフォース、ツヴァイ、ユニコーン、バンシィがいたが、颯は右腕の損傷が直っておらず、マドカもプロヴィデンスの損傷が直り切ってないので今回はネェル・アーガマの防衛に付く。

 

「そういえば、師匠のだけスーツが違いますね」

 

「束さんが差別化を図ったんだろうな。同じデザインだと栄えが無いとか」

 

「そうでしょうか?」

 

「でも、隼人はそっちの方が似合ってるよ」

 

「そうか?シャルも似合ってると思うぞ」

 

「そ、そうかな?」

 

シャルロットは少し頬を赤く染める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、これより作戦を伝える」

 

そうして隼人達の前に千冬が立って作戦説明を行う。

 

千冬も出撃するのか白と薄いグレーの全身型ISスーツを着ていた。

全身型ISスーツの形状は一夏達と同じ。

 

「我々はバインドが目撃された南極の遺跡に向かう。そこで可能な限り情報を収集する」

 

「・・・・」

 

「今回遺跡調査に向かうのは神風、織斑、篠ノ乃、デュノア、更識姉妹、ユニコーン、バンシィ、リインフォース。そして私と兄さんを含む十一人だ」

 

「残りはネェル・アーガマの防衛と言う事ですか」

 

「あぁ。まぁ、大半がまだ完全にISか身体がよくなって無いのが理由だがな」

 

主にその理由なのはラウラ、マドカ、シノン、颯であるが、最も颯は怪我の為に出撃できない。

 

「その点では箒も同じなのでは?」

 

「確かにそうだが、篠ノ乃に関しては活動に問題は無い。それに格闘戦が出来る者は一人でも多い方がいい」

 

「そうですか」

 

「ちなみにハルトマンとオルコットに関しては兵装適正がよくは無い」

 

「そりゃそうですよね」

 

遺跡の調査となれば建造物内部への進入になる。ドラグーンやライフルビットなどの遠隔操作武装を使用するにはあまりにも狭すぎる。むしろ防衛の方が適正が高い。

 

 

 

「では、作戦開始は十分後だ。各員は準備に取り掛かれ」

 

『了解!』

 

そうしてそれぞれ準備に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・」

 

隼人は準備を終えるとヘルメットを被り半透明のオレンジのバイザーを下ろしてからバンシィ・ノルンを展開する。

 

「もうバンシィはいいのか?」

 

と、全身型ISスーツを着用してヘルメットを脇に抱える輝春が近付いてきた。

 

輝春のISスーツは他のメンバーと異なり、白と黒のカラーリングが施されていた。

 

(声が似ているからって・・・AGEの『ウルフ・エニアクル』と同じ色と形状のパイロットスーツって言うのはなぁ・・・って、何でこうも様々な事が重なるんだろう・・・)

 

そう思っていると輝春はヘルメットを被って半透明のグリーンのバイザーを下ろし、グラストロランチャーを外したAGE-1グランサを展開する。

 

「もうすっかり修復し終えましたからね。それより、背中のグラストロランチャーはやっぱり外しますか」

 

「まぁな。今回の調査には邪魔になりそうだからな」

 

「確かに」

 

そう思いながらビームマグナムを展開し、左手にマガジンを展開して装填し、徹甲弾が入ったリボルビングランチャーをマグナムの銃身下部に装着する。

 

 

 

『時間だ。各機出撃!』

 

千冬の合図と共に格納庫が開き、隼人達は極寒の南極へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 


 
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