No.570282

真・金姫†無双 #36

一郎太さん

という訳で、#36。

ついにあの娘たちが登場。

ちっちゃい方がしっかりいじられてるよ!

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2013-04-27 01:32:09 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:7953   閲覧ユーザー数:5938

 

 

 

#36

 

 

兵として連れて来たりはしたが、元々は商人であり、軍の糧食でも美味い飯を作ることができる奴らだ。おおまかな俺の指示をくみ取り、朝食の準備をしていく。ある程度工程が進んだところで波才に任せ、俺はちょいと休憩に入る。

 

「そういや一刀」

「なに、霞たん?」

 

すると、霞たんが隣に立ち、声をかけてきた。

 

「せやからその呼び方は……まぁ、えぇ。さっき自分、孫策とも仲がいいみたいな事言うてたな」

「そだよ」

「華雄が捕まったけど、待遇は期待してもえぇような奴か?」

 

仲間想いの霞たん。

 

「あぁ、その点は請け合うよ。華雄がよっぽどの事をしない限り、危害を加えたりって事はない筈だ」

「そか、ならえぇわ」

 

そんな事を話していれば。

 

「くぁぁ…いい匂い……」

 

新たな登場人物。紅いクセっ毛、褐色の肌をしたお嬢ちゃん。重たそうな戟の柄に眠ったままの緑髪した幼女をぶら下げ、幼女ごと戟をズルズルと引き摺り、欠伸をしながらやって来た。

 

「おっ、朝飯かい? もうすぐ出来るから、待っててくれ」

「ん…」

 

俺の言葉に頷き、お嬢ちゃんは瞼を閉じる。

 

「……zzz」

「寝たか」

「寝たなぁ」

 

そのままスヤスヤと寝息を立て始める。小動物系のお嬢ちゃんだ。

 

「で、この娘らは?」

「あぁ、おっきい方が呂布で、ちっこいのが陳宮や。董卓軍の将と軍師やな」

「へぇ、この娘が呂布なのか。見かけによらないねぇ」

 

もしかしたら、波才辺りは見た事があるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

で、朝食完成。

 

「もきゅもきゅもきゅもきゅ…………」

「すげー食うな」

 

準備完了の声をかければ、途端に目を覚ました呂布たんが食事に食らいつく。朝食の山はどんどんとその量を減らし始め、それを見た兵士たちも空腹で戦わされてはかなわないと、我先に食べ始めた。

 

「恋は大食漢やからな」

「大食漢どころじゃないだろ。ま、気に入ってもらえたようで何よりだ」

 

霞たんは霞たんで、ちゃっかり自分の朝食は確保している。流石は神速。

 

「おっ、美味いな! こりゃ兵らもやる気出すわ」

「気に入ってくれたようだな」

「おぅ。今回だけやのぅて、これからもウチで働いて欲しいわ」

「料理人としてか? ヤダよ。それだけじゃつまらん」

 

しかも宮仕えだろ? 肩が凝りそうだ。

部下に食事をとるように指示を出し、俺も自分の朝飯を始める。と、料理の山を抱えた呂布たんがやって来た。

 

「これ…お前が作った……?」

「おぉ、そうだよ。美味いか?」

「ん、すごく……」

「そうかそうか。そりゃよかった」

 

ほんのわずかに口角が上がっている。本当に喜んでくれているようだ。嬉しいねぇ。

 

「恋て、呼ぶ…」

 

あれ? もしかして、真名預けられた?

 

「あっはっはっは! よっぽど気に入ったようやな、恋! コイツは北郷。ウチらを手伝ってくれる奴や」

「…? ……ご飯作ってくれる人じゃなくて?」

「ご飯もお手伝いのひとつさ。そんなに喜んでくれて嬉しいよ。霞たんが言ったように、俺は北郷。一刀って呼んでくれ」

「…ん。美味しい、一刀」

 

コクと頷き、恋たんは食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

相変わらずもきゅもきゅと食事を続ける恋たんに和みながら、俺はひょいと首を傾けた。

 

「ちんきゅーきぃぃいっ……ぐぇっ!?」

 

妙な叫びと共に顔の横を通過した幼女の襟首を掴む。襟が喉に引っ掛かり、蛙が潰れたような声を上げた。

 

「おいおい、いきなり飛び蹴りとは危ない幼女様だな」

「はっ、放すのです!」

「霞たん、なんで襲われたの、俺?」

 

ぷらぷらと揺られながらも、幼女――陳宮は暴れる。こら、食事中だぞ。

 

「ねねは恋にべったりやからな。ただのヤキモチや。気にせんでえぇ」

「霞殿!?」

「そうかそうか。俺は北郷。ちょいと手伝いに来た、ただの商人だ」

「ただの商人が、ねねの『ちんきゅーきっく』を避けられるはずがないのです! どこの刺客なのですか!」

「刺客がなんで飯を提供してんだよ」

「きっと毒を入れているに違いないのです! 恋殿! 食べては駄目なのです!」

「もきゅもきゅもきゅもきゅ?」

「恋殿っ!?」

 

人の話を聞かない奴だ。俺は箸でおかずを摘まむ。

 

「おい、陳宮」

「気安く呼ぶななのでムグっ!?」

「どうだ、美味いだろ?」

「もぐもぐ……ごくんっ」

「ん?」

「……お、美味しい、のです」

 

よろしい。

 

「腹が減っては戦は出来ない。軍師であろうとも、まずは腹拵えだ。詳細はこの文に書いてあるから、食いながら読んでくれ。ちなみに霞たんも認めてるので、文句は彼女に言うように」

「えー、ウチめんどいわー」

「俺は恋たんの為におかわり作んなきゃいけないの」

「もきゅもきゅもきゅ……まだ、ある?」

「今から作るんだよ。あとどんくらい欲しい?」

「もきゅ……」

 

『おかわり』という単語に反応した恋たんが、首を傾げて考える。そして。

 

「……んと、いっぱい」

「かしこかしこまりましたかしこー」

 

俺の部下たちもまだ食事中だ。こういう時に動くのが、一番偉い奴の仕事なのさ。

 

 

 

 

 

 

「おなかいっぱい……ケプッ」

「お粗末様」

 

結局一番長く食事をしていたのは、恋たんだった。その恋たんも満足したようで、使った材料の量を竹の板に書きまとめている俺の膝を枕に、ごろんと寝転がった。

 

「霞たん、恋たんがまた寝そうだけど、いいの?」

「あぁ、まだかまへん。ちぃと関の上から見てきたけど、敵さんも飯作っとったし」

「そうか。まだ寝てていいってさ」

「ん…一刀の手は、気持ちいい」

 

紅い髪を撫でれば、気持ちよさそうに眼を細める。クセっ毛だが指に絡むという事もなく、触り心地がよい。

 

「恋たんの髪も気持ちいいな。今度またお昼寝しよっか」

「ん…」

 

俺の下衣(ズボン)の腿辺りを握り、恋たんは再びスヤスヤと寝息を立て始めた。可愛いなぁ、もぅ。

 

「賈駆からの文は読んだか、陳宮?」

「読んだのです……」

「そういう事だ。ま、出来る限り協力するさ」

「うぅ…霞殿だけでなく、恋殿もお前の事を信じてるのです……仕方がないから、ねねもお前を信じるのです」

「そうかぃ、ありがとよ」

 

そっぽを向きながらもそう言ってくれるチン球ちゃんは可愛かったです。

 

「待つのです! なんか卑猥な感じがするのです!」

「え? 名前、チン(キュウ)じゃないの?」

「そうなのです! そうなのですが!」

「何がいけないんだよ、チン球」

「あぁぁあああああああ! 何故かわからないけど、その呼び方をやめるのです! えと、えっと、字は公台なのです。字で呼ぶのです!」

 

我が侭な娘っこだ。

 

「仕方がないな。わかったよ、睾大(コウダイ)

「やっぱりおかしいのです!?」

「何がいけないんだよ。変な奴だな、肛大(コウダイ)は」

「だから、何かがおかしいのです!?」

「どうしろと」

 

メタな娘っこだ。

 

「あぁぁああああっ! わかったのです! もう真名を預けるのです! ねねの真名は音々音。『音々音』でも『ねね』でも、好きな方で呼ぶのです!」

「そうか、ありがとな、ねねたん」

「ねねたんっ!?」

 

うるさい娘っこだ。

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、作戦会議。

 

「では、これから今日の作戦を説明するのです」

 

ねねたんが小さい身体ながらに両腕を振り上げて、頑張って説明を始める。背伸びした姿が可愛らしい事この上ない。

 

「とはいえ、この面子であれば、やる事は決まっているのです。恋殿は門の前方にて、攻め来る敵の迎撃。霞殿は騎馬隊を率いての遊撃。どちらも、攻め過ぎないようにするのです」

「ねねたん、質問」

「何なのですか、一刀」

「俺は?」

「霞殿の話では、霞殿と張り合えるくらいに強いとの事なのです。よって、恋殿と共に門前での迎撃についてもらうのです」

「りょーかい」

「張遼隊のように遊撃も考えましたが、騎馬の数は足りませんし、一刀の部下たちを分けるの訳にもいかないのです。よって、お前は自部隊を引き連れて恋殿の補佐について欲しいのです」

「はーい」

 

そういう流れとなった。

 

ようやく回想が終わるぜ。

 

***

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、#36でした。

 

 

いじられてるねねたんの可愛さは最高。

 

 

そしてあんな真名の預け方が未だかつて無い件について。

 

 

今回はおまけがないけど許してね。

 

 

職場の歓送迎会で、こんな時間に帰ってきたんだ。

 

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 


 
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