No.564496

ALO~閃姫After story~ EPFinal 新生ALO

本郷 刃さん

前半の最終話となる、EPFinalです。
ついに新生する妖精の世界。

どうぞ・・・。

2013-04-09 10:05:21 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:12645   閲覧ユーザー数:11470

 

 

 

 

 

 

 

EPFinal 新生ALO

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

土曜日の夜6時25分、俺とスグは夕食をとっくに済ませて自分達の部屋に戻った。

俺は棚に置いているナーヴギアに一瞥した後、その手にアミュスフィアを持ち、それを被る。

既にナーヴギアの中に俺のSAO時代のデータは無く、全てこのアミュスフィアへと移し終えている。

アミュスフィアを被った俺はベッドに横になり、6時半ジャストのタイミングであの世界へ向かう為の言葉を放つ。

 

「リンク、スタート!」

 

そう、今日は……ALO復活の日だ!

 

和人Side Out

 

 

 

キリトSide

 

虹色の光が弾けてはロゴが表示され、OKが成されて消えていく。

SAOを始めた時と同じセットアップステージがなされていく。

最後のOK表示が現れると暗闇に包まれ、アカウント登録ステージに立たされる。

 

『『アルヴヘイム・オンライン』へようこそ。

 最初に新規IDとパスワードを入力し、次にキャラクターの名前を入力してください』

 

女性のアナウンスが流れ、現れたホロキーボードにSAOとALOの時に使っていたものを設定し、

次に名前を『Kirito(キリト)』と入力する。

なお、性別の選択は完全に排除された。

というのも、アミュスフィアに予め設定されている性別がそのまま反映する仕様にされているのだ。

性別を偽る事が出来なくする為のもので、早い話し問題が起こらないようにする為である。

チュートリアルが流れ、その説明を聞きながら、みんなも同じ段階なのだろうかと考える。

『ソードスキル』、そして『オリジナル・ソードスキル』と呼ばれる自分だけのソードスキルが作れるシステムが実装されたそうだ。

加えて滞空制限が無くなり、飛行時間が無制限化したそうである。

そして最後の飛行説明が終わり、次の選択へと変わった。

 

『続いて、セーブデータの引き継ぎ確認を行います。

 貴方のアミュスフィアにはSAOのセーブデータが残されております。

 容姿とステータスの引き継ぎが可能です。

 なお、容姿のみの引き継ぎも可能となっています。引き継ぎを行いますか?』

 

「う~ん……悩むなぁ~…」

 

ここで引き継ぎの選択かぁ…。

確かにSAO時代のステータスで始めれば、他のプレイヤーよりもかなり良いアドバンテージを得られる。

前回のALOから始めたプレイヤー達も同じだ。

それを考えれば、この新生ALOから始めるプレイヤー達にとっては酷なものにも思えるが、

かといって大半の者が引き継ぎを行うだろう。

明日奈やスグ、他のみんなも引き継ぐことを言っていた…というか、

明日奈達はALO組となっているのでアイテムなどもALOからの物であれば可能なんだったな。

俺は、どうしようか…、

 

 

あの世界のキリトの役目は終わった……だが、俺もまた彼のキリトであり、どの世界でも戦い、高みを目指すことに変わりはない…。

それに、まだ会ったことのない強き者と、キリトを戦わせてみたい……それならば!

 

 

『分かりました、容姿とステータスの引き継ぎを行います』

 

俺は引き継ぎを選択した。

これでキリト(・・・)は問題無いが、折角なのでまた今度別のアカウントを作ってみよう。

 

『それでは種族を決めましょう。9つの種族から1つ、選択してください』

 

表示された9つの種族、俺の眼を引いたのは影妖精族(スプリガン)だった。

黒装束に身を包み、得意な魔法体系は幻術魔法や戦闘外の補助魔法が主。

元々剣士である俺にとっては丁度良いものだ、魔法は戦闘のサポートになればそれでいい。

 

『スプリガン、ですね。容姿は引き継ぎにより固定されています』

 

全ての選択を終えた俺は、最後のOKを押し、新たな世界での半身を生み出した。

 

『今回は復活した『アルヴヘイム・オンライン』の特別サービスにより、

 全プレイヤーが『イグドラシル・シティ』に転送されます。幸運を祈ります…』

 

どうやら種族領のホームタウンではなく、特別な場所に転送されるようだ。

アナウンスが終わると、俺を青白い光が包み込んだ。

 

 

―――楽しみたまえよ……キリトくん…

 

和人Side Out

 

 

 

キリトSide

 

アバターの誕生を察した俺が眼を開くとそこは大きな街の広場だった。

どうやらここが『イグドラシル・シティ』のようだな、俺の他にも次々とプレイヤー達が現れてくる。

にしてもアイツは……最後に聞こえたような気がした白衣の男の言葉に俺は苦笑する、その時…。

 

「キリトくん♪」

 

「パパ~♪」

 

「アスナ、ユイ!」

 

愛する恋人と愛娘の声に呼ばれて振り返ると、水妖精族(ウンディーネ)姿のアスナと小妖精(ピクシー)姿のユイに抱きつかれた。

この間の短かったユイとの再会も、いまの喜びのお陰で吹き飛んでしまった。

 

「キリトくんも引き継ぎしたんだね…というか、耳以外はキリトくんそのものだね」

 

「スプリガンを選んだからな。アスナ的には、この方がいいんじゃないのか?」

 

「そ、そんなことないもん///(ぷいっ)」

 

「ホントに…?」

 

「ごめんなさい、凄く嬉しいです//////」

 

俺の姿に感想を漏らしたアスナに意地悪くそう言うと、そっぽを向いたのでさらに言葉で聞いてみるとあっさりと訂正した。

うん、ウンディーネになろうがやっぱりアスナは可愛いな。

 

「ユイ、ママは可愛いな」

 

「はい、ママは可愛いです♪」

 

「も、もぅ…//////」

 

俺とユイの連携プレーでアスナは真っ赤になりながらもじもじとしてしまった。

まだまだこの空気を堪能していたいが、いまは先にやらないといけないことがあるからここまでにしておこう。

 

「アスナ、ユイ。みんなはもう来てるんだろ?」

 

「はい、パパが最後でした」

 

「みんな待ってるよ」

 

どうやら待たせてしまったようだな、俺は2人に案内されながら広場を後にした。

そういえば気になっていたことがあったんだ。

 

「なぁ、アスナ。この街は何処にあるんだ?」

 

「ふふ、ここはね……世界樹の上にあるんだよ」

 

そうか……前回のALOに無かった世界樹の上の都市を今回で作り上げたのか。

それで北欧神話の世界樹であるイグドラシルから由来して『イグドラシル・シティ』なんだな…。

 

 

 

広場から少し離れた高台にみんなが集まっていた。

ハクヤ、ハジメ、ヴァル、ルナリオ、シャイン、ティアさん、カノンさんの黒衣衆組。

リズ、シリカ、リーファ、クライン、エギルといった面々。

ケイタ、サチ、テツ、ロック、ヤマトの月夜の黒猫団。

改めて思うと錚々たる面子だな。

 

「お、キリト! ようやく着やがったな!」

 

「遅いじゃないのよ」

 

「7時まではまだ時間があるだろ? それに俺はみんなと違ってSAOからの引き継ぎ扱いなんだ、色々と考えることもあるんだよ」

 

クラインは待ってましたと言わんばかりに声を掛け、リズは軽口を叩く感じでそう言ったので、俺も軽く返事をした。

ALOで一度ステータスが引き継がれたみんなとは違うのだよ。

 

「けど、キリトのデータが引き継がれたとか……どんな悪魔だよ…」

 

「おい、誰が悪魔だ」

 

「……お前以外に誰がいる、魔王め」

 

「まったくだぜ。茅場を倒すステータスとかどんなだよってことだ、魔神め」

 

「よしお前ら、少しO・HA・NA・SIしようか?」

 

ハクヤの言葉にツッコミをいれると、ハジメとシャインがそのまま続いたのでさすがにブチッといきそうだ。

少なくとも俺に次ぐステータスを持つ【死神】と【剣帝】と【鉄壁】には言われたくない!

 

「はいはい、そこまでにしてください。それよりもキリト君、装備一式はどうでしたか?」

 

「やはりと言いますか、スプリガンの初期装備ですね。まぁステータスのお陰で特に支障はないですけど」

 

ティアさんが話しを逸らしたので取り敢えずそれにのることにした。

周囲にホッとしたような溜め息と空気が流れる、文句ならそこの3人に言ってくれ。

 

「あ、それなら……はい、キリトくん。キミの剣だよ」

 

「ああ、ありがとう…」

 

アスナは何かに思い至ると自分のメニューを操作してアイテムストレージからトレードの表示を出した。

そこに表示されたものは『セイクリッドゲイン』、『ダークネスペイン』、『アシュラ』、『ハテン』、俺の(相棒)達だ。

そのトレードを受けて、俺の元へと戻ってきた剣達。

SAO生還者(サバイバー)』の内、俺の救出に名乗り出たプレイヤー達には、

SAO時代の最後に装備していた武器が残されたままになっている。

どうやら茅場が俺の救出に尽力した者達への記念にでもしたのだろう、ただ俺を含む黒衣衆の装備だけは違った。

おそらくは戦闘の中心になることを理解して、俺達の武器だけは最強のものを複数残したのかもしれない。

ちなみに、俺の武器は元々アスナのストレージに収められていたのでこうして手元に戻ってきた訳である。

ただ1つだけ、俺達は余程の場合ではない限り、SAO時代の武器達を使うことはないだろう。

それはみんなが思っていることで、あの武器達を簡単には使ってはいけないと思っているからだ。

そんな空気を払拭するかのように、声が掛けられる。

 

「だけど改めて思うと不思議ですよね。キリトさんって、あの時のALOではどういう設定だったんですか?」

 

「あ、俺も気になる」

 

興味本位からなのかシリカがそう尋ね、ケイタもそれに賛同する。

見てみれば周りのみんなも同じようなものだ、そんなに気になるものかと思うが、俺でも気になるな。

 

「最初の設定ではゲストプレイヤーみたいなものだったな。

 茅場との合流後はサブGMみたいな感じで、最終的には不完全ながらGMになっていた」

 

「無茶苦茶だな、お前…」

 

「いや、むしろ今更って感じっすね」

 

いざ答えてみればエギルは呆れ、ルナリオには今更だと言われた。

無茶苦茶なのは自分でも理解しているけどさ、さすがにGM権限渡されたりすればそうなるっての。

 

「ま、なにはともあれ…良かったじゃんか」

 

「だな。みんな帰って来れたし」

 

「ALOもまた復活したからね」

 

テツとロックとヤマトが笑みを浮かべて言ったものだから、俺達もそれに笑みで応える。

そんな時、俺はふとリーファの笑みに寂しげなものが含まれているのに気が付いた。

それを感じたのは俺だけではなく、ルナリオも同じようである……俺の出る幕じゃないな…。

 

「あら? もう時間みたいね」

 

カノンさんの言葉に俺達はメニューの時計を見た、6時57分。

その時、アナウンスが流れた。新生ALOのセレモニーが行われるらしい。

 

「それじゃあ、行きましょう」

 

「楽しみだね~」

 

「そうですね」

 

ヴァルがみんなに声を掛け、サチとリーファを筆頭にみんなが広場へと向かう。

俺とアスナとユイも、みんなの後に続いて歩みを進めた。

 

 

 

そのあとのセレモニーはまぁ広場に集まったプレイヤーに対しての前回の謝罪やら、

今回またプレイしてくれることへの感謝の言葉などであった。

といいつつも、現在のALOを稼働させている会社はベンチャー企業の有志達なので、

謝罪は必要ないとここにいる全ての者達が理解しているだろう。

現に、ここにいる者達にはこれから楽しめるという喜びで満ち溢れているからだ。

だから……、

 

『それでは皆様、セレモニーにお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 是非とも、新生『アルヴヘイム・オンライン』をお楽しみください!』

 

さぁ、始めよう……妖精達の新たな物語を!

 

キリトSide Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

今回で「After」の前半は終了になりますが、明後日か明々後日くらいからは後半を投稿しますね。

 

この作品のキリトはSAOのデータを引き継ぎましたが、サブアカウントも作ります。

 

勿論、そちらも設定上では料金を払って、和人の姿にさせるつもりというものですw

 

まぁウチのキリトはどの世界のキリトも和人であり、キリトであるという考えを持っていますからね。

 

キリトだけではなく、アスナや黒衣衆、キリト救出に携わったSAO生還者達はSAO武器を持っていますが、

彼らがこの武器を使うのは余程のことがなければありえないでしょう。

 

それでは明後日or明々後日に投稿する『ALO~閃姫Next after~』をお楽しみに♪

 

ではまた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愚かな罪人は闇によって喰い尽くされる・・・。

 

彼の愚か者の末路をその目で見たいお方はどうぞ次の話しへ進んでください・・・。

 

ただし、『限定』ですがね・・・。

 

後悔もしないでくださいよ・・・。

 

では、どうぞ・・・(ニィッ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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