No.561430

真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第六節:成都入城、衝撃のゲスト

syukaさん

何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

2013-04-01 01:46:25 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5861   閲覧ユーザー数:4344

まえがき コメントありがとうございます。桔梗と焔耶を仲間に加わったことで陣営にバリエーションが増えましたね。加わる前でも全然バリエーションはありましたけど。今回はどちらかというと拠点フェイズですね。ほのぼの光景をお送りします。それではごゆっくりしていってください。

 

 

桔梗と焔耶が仲間に入ったことで成都への入城までに時間は掛からなかった。他の城もすんなり事が進み、成都戦も特に苦労せず済んだので今は謁見の間でこれからについて話し合うことにした。

 

「成都には西方に五胡、南方に南蛮があります。問題があるのはこの二つですね。益州の邑で暴れまわっていると報告が来ています。」

「どっちを先に対処した方が良いとかある?」

「南蛮の方は襲った邑を拠点にしているだけで今は大人しいので、優先するのは五胡でしょうね。被害も日に日に増加していますから。」

「分かった。今はとりあえず兵の休養も兼ねて休みに徹しよう。」

「お館様がうちの兵を消されたからな。」

「・・・すみません。」

「冗談ですぞ。」

「う~・・・。」

 

桔梗にあのことを言われたことで昨日の愛紗のお説教を思い出した・・・。あれは怖かったよ。

 

「うっ、そんな泣きそうな顔をしないでください。何故か罪悪感を覚えてしまいます。」

「じゃあ・・・今日の買い物、付き合ってくれる?」

「分かりました。・・・はい?」

「買い物、付き合ってくれる?」

「は、はい//」

「ご主人様、私も行っていい?」

「うん、いいよ。」

「やった♪」

「桃香様、そのような冴えない男でなく私がお供します!」

「え~、あんたみたいな脳筋が一緒にいたら桃香様に迷惑がかかるよ~。」

「お前のようなチビッ子には私の良さは分かるまい。」

「けっ、無駄におっぱいが大きいからってさ!知識が全部おっぱいにいってるんじゃないの~?」

「なんだと!?私を馬鹿にするとはいい度胸だ。」

「だって馬鹿じゃん。」

 

二人とも仲いいなぁ。喧嘩するほど仲がいいって言うし。そんなことを考えていると桔梗が二人に問答無用で拳骨をかました。

 

「お前たちはもう少し静かに出来んのか!お館様や桃香様の前で・・・。」

「桔梗さん、このままでもいいよ。焔耶ちゃんも蒲公英ちゃんも本気で怒ってるわけじゃないんだしね~。」

「なんか桔梗ってお姉ちゃんみたいだよね。」

「そうだな。桔梗が長女で下の妹たちを叱るってとこか。」

「こんな妹欲しくないよ~。」

「私の方こそお断りだ!というか、どちらかというとお前が妹だろ!」

「蒲公英より頭悪いじゃん。」

「なにをーーー!!」

「いい加減にせんか!!」

 

ゴチン!!と鈍い音が謁見の間に響いた。二度目の拳骨をもらった二人は頭を押さえて悶絶している。一回目よりいい音がしたもんなぁ。

 

「ところでご主人様、何のお買い物に行くの?」

「ん?今日の晩ご飯の食材の買い出しだよ。」

「料理は侍女が作るのではないのですか?」

「そっか、俺が作ってるとこを紫苑たちはまだ見てないね。うちは侍女の人じゃなくて俺と作れる子達で料理してるんだ。順番とかはなくて早いもの順だったり一緒に作ったりね。」

「ご主人様って何でも出来るんだね~。お母さんの料理も美味しいんだよ~♪」

「へぇ、それは一度ご相伴に預かりたいね。」

「暇があるときでよろしければいつでもお作りしますよ。」

「やったね♪」

「むむむ、私も頑張らないと・・・。月ちゃん、また教えてね。」

「良いですよ。そうだ、ご主人様。今晩のお料理は私とご主人様と桃香様で作りませんか?」

「いいよ。じゃあ月も材料の買い出しに行く?」

「はい♪」

「じゃあ今日はこれで解散。」

 

 

・・・

 

俺は桃香、愛紗、月と共に市に出て夕食の材料の買い出しを始めた。俺たちが城を出るちょっと前に霞と星が酒を買うとかで先に来てるはずなんだけど・・・見当たらない。

 

「そういえば、今日は詠ちゃんと一緒じゃないんだね。てっきりついて来ると思ってたんだけど~。」

「詠ちゃんは紫苑さんの部隊の調練をするから行けないと言っていました。」

「今は給仕係が板についてきたからそちらの印象も強くなってきたが、詠も朱里たちと並ぶ私たちの軍師だからな。調練にも参加したくなるのだろう。」

「普段は竹簡の整理もしてもらっているからね。たまには休んで欲しいんだけど。」

「詠ちゃん、いつもなんだかんだ言って楽しそうにお仕事していますよ。今は洛陽の頃より大分楽になったと言ってました。」

 

それを聞いて少し安心した。うちの軍師・・・朱里と雛里は竹簡のお化けとか言って泣きついてきた頃があったからな。まぁ、詠が俺に泣きついてくるとは全く考えてないけどさ、無理してないか心配だったからね。

 

「洛陽じゃ軍師は詠とねねだけだったもんな。ねねは恋にべったりだったろうし。」

「二人とも今と変わりませんでしたけどね。今は私は賑やかで楽しいですよ。」

「それは良かった。」

「それより早くお買い物しようよ~。」

「そうですね。立ち話もなんですし。」

「御使い様方、うちの店の前で話してたついでに、ここで買っていかないかい?」

「ん?」

 

声がした方に視線を向ければ恰幅のいいオバさんが笑顔で客引きをしていた。そのオバさんの狙いは俺たちである。

 

「ご主人様、ここのお野菜いい物ばっかりですよ♪」

「お、そこのお嬢ちゃんいい目をしているね。今並べているのはどれも今日仕入れたものばかりなんだ。やっぱり野菜は鮮度が高いほうが一番さ。」

「オバさん、分かってるねぇ。」

 

ご主人様と月ちゃんが張り切ってお野菜を選んでるよ~。

 

「桃香様も混ざってこなくて良いのですか?」

「私が混ざっても、ちんぷんかんぷんだもん。」

「・・・そうですね。二人の気が済むまで待ちましょう。」

 

・・・

 

「いやぁ、買った買った♪」

「いいお買い物でしたね♪」

 

食材を買った直後に市ですれ違った流琉と鈴々に厨房まで運んでもらった。食材を見た流琉も今日は何を作るか張り切ってたから良しとしよう。

 

「俺は今の買い物で満足したけど、三人ともどこか見たいとことかある?」

「お洋服!」

「私は雑貨品が置かれているところを見たいです。」

「私はご主人様たちが向かう先についていければそれで。」

「愛紗ちゃん!ここは何か言っておかないと!せっかく来たお買い物が台無しだよ。」

「今日の目的はご主人様のお付きですから。」

「じゃあ後で愛紗が喜びそうなとこ連れてってあげる♪」

「? は、はぁ・・・。」

 

とりあえず、桃香の目的地の洋服屋へ向かった。

 

「劉備様方々、いらっしゃいませ!」

「わ~、可愛いのがいっぱいあるね~♪」

「桃香様、そんなに慌てなくても服は逃げませんよ!」

「そうだな。とりあえずゆっくり見よう。」

「うん♪」

 

とは言っても、メインは女性ものなので俺が買うことはなさそうだけどね。

 

「お姉様、こっちの方が絶対似合うって!」

「そんなヒラヒラしたものが私に似合うわけがないだろ~。」

「ん?」

 

 

何か聞き覚えのある声だと思ったら翠と蒲公英だ。それに蒼と胡花がいる。

 

「あ、ご主人様。桃香様たちも、どうされたんですか?」

 

胡花が俺たちに気付いたようでこちらに近寄ってきた。背丈的には美々と同じくらいなのだが、どこか幼さの残る雰囲気があるんだよなぁ。朝に弱いわ、甘えん坊だわ、動物好きだわ・・・。

 

「私もお洋服見に来たの♪胡花ちゃんも?」

「いえ、私ではなく清羅さんです。」

「清羅?姿が見えないが、どこだ?」

「今お着替え中なんです。なんでも気に入った下着があるみたいで、試着すると張り切っていました。」

「そうなんだ。それで・・・そんなに大荷物を抱えて蒼は何をしてるのさ?」

「これ全部!姐さんの買った結果だよ!」

「・・・。」

 

腰のあたりから胸元まで積まれている荷物。かなり重そうだぞ、あれ。

 

「兄貴、姐さんと二人で買い物をするときは気を付けた方がいいぜ。腕が二本じゃ足りねえと言いたくなるほどの量を買うからな。これでも少ないほうだから、いつもよりちっとばかし楽なのが救いだ。」

「蒼兄様~、お姉様の服かなり可愛いからちょっと見て~。」

「蒲公英!余計なこと言うなよ!//」

「お姉様は、素材はいいんだから大人しくしておけばいいの。」

「~~~~~//」

 

翠と蒲公英がこちらにやってきた。というか蒲公英が翠を引っ張っている。

 

「・・・。」

 

黒のゴスロリ・・・。なんでこの店にこんなものがあるんだ?

 

「ご主人様、お姉様のこれ似合うよね?」

「うん。可愛いね。」

「~~~~~//そんなお世辞はいいって!//」

「お姉様ったら照れちゃって~、可愛い♪」

「翠は褒められることに慣れてないからな。西涼にいた頃は男勝りなところも相まって女らしい格好も好まなかったのが原因なんだが。」

「へぇ。」

 

勿体無いなぁ。お洒落しなくても可愛いけどね。

 

「ご主人様、これなんてどうかな?」

 

桃香が持ってきたのは薄緑色のキャミソール。

 

「うん、可愛いと思う。けど、桃香がこれ来たら目のやり場に困るかなぁ。」

「?」

「まぁ買っておくのも良いと思うよ。似合ってるからね。」

「分かった~。」

 

桃香が会計のために親父さんのところに向かった。

 

「胡花ちゃん、どうかしら?」

 

俺の背後の試着室から声がしたと思ったら・・・

 

「な!?ご、ごごご、ご主人様!?」

「ちょっと!?なんでそんな格好で出てくるのさ!?」

 

黒い下着を身に纏った清羅が出てきた。そういえばさっき胡花が清羅は下着を試着してるって言ってたもんな。

 

「だ、だって、ご主人様がいるなんて知らなかったから//」

「姐さんや、俺ならいいのか?」

「蒼は黙ってて!」

「へいへい。」

「それで、ご主人様・・・私の下着、似合ってる・・・かな?」

 

 

清羅が上目遣いで俺を見てくる。うっ、可愛い。

 

「う、うん。似合ってるよ。だから早く服を着てくれ。目のやり場に困るから//」

「えへへ、うん♪」

 

清羅はそそくさと試着室に戻っていった。はぁ・・・びっくりした。

 

「むむ、愛紗ちゃん!私たちもご主人様を誘惑するよ!」

「いえ、それは桃香様のみでお願いします。」

「それでお姉様、それ買うよね?」

「誰が買うか!というか、そんなに金持ってきてないし。」

「え~。」

「絶対買わないからな!」

 

翠はそう言い残すと洋服屋を出て行ってしまった。

 

「もう、お姉様ったら・・・。」

 

うーん、これを買わないのはもったいないよな・・・。

 

「親父さん、これの会計お願い。」

「毎度ありがとうございます。」

 

俺は翠が着ていたゴスロリを買い蒼に渡した。

 

「・・・なぁ、なんで俺に渡すんだ?」

「さ、流石に蒼さんには似合わないと思いますよ。」

「いや、俺もこれを蒼に着せる勇気はないよ。月なら似合いそうだけどね。」

「確かにこれも可愛いですね。一刀さんが作ってくださったこのメイド服も可愛いですし。」

「へえ、これを兄貴が作ったのか。」

「うん。俺の趣味の一つだね。自分で型を作って、着る人の体型が分かってれば大体は作れるよ。」

「兄貴、月ちゃんの体型はどうやって測ったんだ?」

「一回抱きしめたときに覚えた。」

「へぅ・・・//」

「そうかい・・・。まぁ、これは置いておくとして。俺が受け取ったこいつはどうすりゃあいいんだ?」

「翠の部屋にこっそり持って行ってくれ。」

「蒲公英に任せりゃいいだろうに。」

「蒼の方が怪しまれないかなって思ったんだ。」

「・・・月ちゃん、このご主人様にどうにか言ってくれ。何を根拠に言ってるんだってな。」

「? 私もご主人様と同じ意見ですよ。」

「だよね?」

「はい♪」

「この兄貴とメイドちゃんは何を考えてるんだろうな・・・。」

 

この二人は似たとこがあるからなぁ・・・。深く突っ込んだほうが負けなんだろうかね。

 

「蒼、そんな溜息を吐いてどうしたの?」

「・・・なんでもねぇ。」

 

・・・

 

桃香と清羅の会計が終わり、清羅と胡花も加わったことで次は日用品を見に再び市を散策し始めた。馬兄妹は城へと戻っていった。

 

「結局愛紗ちゃんは何も買わなかったね。」

「服など必要最低限あれば問題ありません。」

「愛紗さん、綺麗なのに勿体無いですよ~。」

「胡花ちゃんの言う通りですよ。愛紗ちゃんはもっとお洒落に力を入れても良いと思います。」

「私がその手のものに疎いというのも原因の一つなのだがな。それに、今のままでも十分満足しているから問題ない。」

「うちの隊の子たちが聞いたらきっと愛紗に押しかけてくるだろうな・・・。」

 

そんなことを話しているうちに日用品を売られていることに着いた。

 

 

「オーッホッホッホ!」

「・・・。」

 

凄く聞き覚えのある高笑いが・・・。

 

「おい、麗羽。そのくらいに・・・。」

「白蓮さん、そのくらいで音を上げてはやっていけませんわよ!」

「なにをだよ・・・。」

「白蓮さん、うちの麗羽様がいつもすみません・・・。」

「いや、斗詩のせいじゃないんだ。・・・はぁ、貧乏くじだなぁ。」

 

・・・白蓮、今度埋め合わせするよ。

 

「それで、月ちゃんは何を見に来たの?」

「えと、ご主人様のお部屋の花瓶が欠けていたので代わりの物を探そうと思って。」

「そうなの? 俺、全然気付かなかったよ。」

「先ほどお部屋を見た際に見つけましたので。」

「ご主人様への愛があるこそですね。」

「へぅ//」

「とりあえず、月の言う花瓶を探しましょう。」

「そうですね。私も見たいものがありますし。」

「ほう、胡花がそう言うのも珍しいな。何を買うんだ?」

「秘密です♪」

 

俺たちはそれから月の・・・もとい俺の花瓶を買った後、胡花の目的物を探した。・・・小さい犬の置き物だったんだが、俺への贈り物だったらしく俺にくれた。日頃のお礼らしいんだけど、俺もお返しした方が良いな。ちなみに、俺たちが店を出るときにもまだ麗羽たちは店であれこれ探していた。・・・斗詩にも今度こっそり何かプレゼントを贈ろう。相当苦労させてるからな・・・。

 

・・・

 

翌日、朝から思わぬ来客が来ていた。その人の顔を見た途端に蒼が固まって箸を落とした。

 

「あんた、何を間抜け面してるんだい。いつもそんなみっともない顔をしてるのかい?」

「お・・・お袋。あんた、朝廷にいるんじゃなかったのかよ?」

 

そう、馬騰さんが成都に来た。しかし俺が驚いたのはそこじゃない。

 

「一刀、久しぶりじゃな。」

「薔・・・劉協様。お久しぶりです。」

 

そう、朝廷にいるはずの薔薇が成都に来ているのだ。それと同時に、俺の発言に食事をしていた全員が固まってしまった。

 

「劉協様、何故成都に来られたのですか?しかも事前に早馬もいただきませんでしたし。」

「そこは私から説明しよう。朝廷に蔓延る害悪・・・もとい、十常侍が不穏な動きを見せていてな。そこで劉協様が、一刀たちならなんとかしてくれるかもしれない。ということで成都を訪れたのだ。」

「その・・・俺ならという考えはどこから?」

「そのままの意味じゃ。一刀ならどうにかしてくれるじゃろうとな。」

「は、はぁ。」

 

俺は薔薇にスーパーヒーローとか無敵超人とか、そこらへんだと思われてないか?

 

「それで、不穏な動きというのは何か裏付けが取れているのですか?」

 

お、愛紗が復活した。

 

「実は十常侍共を裏から操っている者たちがいると分かってな。しかしどこにおるのかは分からん。名前は左慈という者とだけ分かっておる。」

「左慈か。」

「あらん、もう逃げ出しちゃったのね。」

「その口ぶりだと貂蝉と卑弥呼は左慈という者を知っているのか?」

「ええ。」

「馬騰殿よ、儂と貂蝉は朝廷まで向かおうと思うのじゃが、良いじゃろうか?」

「勿論だ。私も劉協様を北郷殿に預けて朝廷に早々と戻ろうと考えておったからな。」

「馬騰さんはもう戻るのですか?」

「劉弁様を一人にしておくと、十常侍共が何をしでかすか分かったものではないのでな。」では早速だが北郷殿、劉協様を頼むぞ。それとついでに、うちの手の掛かる娘たちを引き入れてくれたことに礼を言う。ありがとう。」

 

 

「私たちはついでかよ!?」

「とりあえず、私はもう行く。劉協様、お体にはお気を付けて。」

「あぁ、馬騰もな。」

「ご主人様、私が離れるからって泣かないでねん♪」

「それは絶対ないから心配しないで。」

「しばし成都を離れるが、まぁ大丈夫じゃろう。いざとなったら鈴もおるしな。」

「任せておけ。」

 

俺の背後に突如現れた鈴。いつものことだからもう驚かないぞ。馬騰さんたちが朝廷に向かうのを見送った後、再び朝食開始。だが薔薇がいることでみんな緊張しているみたい。

 

「皆、そのように緊張せずともよい。今は皇帝ではなく劉協個人として来ておるのじゃからな。」

 

いや~、薔薇が女の子って分かってるからか少し無理して話してるのが分かるんだよなぁ。これがちょっと面白くて・・・。

 

「ふふっ。」

「一刀、何を笑っているのじゃ?」

「いえ、何でもないですよ。・・・ふふっ。」

「むぅーーー。」

 

あぁ、男の格好をしていても表情に女の子の部分が出てきてる。なんか微笑ましくて頭を撫でそうになったけど、どうにか抑えた。

 

「ご主人様、劉協様と仲が良いのですね。」

「察するに初対面ではないのだな。」

「そっか、紫苑や桔梗たちはまだいなかったからね。」

「蒲公英たちも知らないんですけどー!」

「それは分かってるよ。えと、反董卓連合の後に一度だけ朝廷から招集があってね、そこで劉協様と会ったんだ。」

 

実は着替えの場面に立ち会ってしまって、女の子だと知っているとは口が裂けても言えない。

 

「せやけど、ただ会っただけでそないに親しそうにするっちゅうには思えんのやけどなぁ。」

「劉協様の相談を受けたときに色々と話したからね、それで仲良くなったんだ。」

「ふ~ん。劉協様、うちは張文遠言います。今後共よろしゅう。」

「月の配下の者じゃな。話は聞いておる。酒と戦が好きとな。」

「そないでっか。ちゅうか、月の真名を知っとりはるんやね。」

「朕と月は友達じゃからな。」

「じゃあうちと劉協様も友達や。」

「な、何故そうなるのじゃ?」

「友達の友達は友達や。うちも一刀や桃香様のが伝染ったんやろうなぁ。」

「なるほど。それなら納得もいく。」

「ご主人様と桃香様は誰でも仲間にしてしまいますからね。私もそろそろご主人様のご寵愛を受けたいのですが・・・♪」

 

紫苑が妖艶な笑みを浮かべながら俺を見てくる・・・。なんかちょっと怖いんですけどー!!

 

「そうだな。わしもそろそろ・・・。」

「と、とにかく!劉協様、お腹は減っていませんか?」

 

怪しい方向に話が進みそうだったから無理やり話を逸らした。

 

「今はそうでもない。しかし、ちと疲れが溜まっておるからな。どこかで休ませてもらえると助かる。歩きっぱなしじゃったからな。」

「じゃあ俺の部屋でお休みになってください。」

「そうか、悪いな。」

「いえいえ。じゃあ俺はちょっと席を離れるね。」

 

・・・

 

一刀が席を離れた後は将たちでテーブルを囲んでいつもの一刀について会議が執り行われていた。ちなみに、これについては一刀は知られていない。

 

 

「ねえねえ、ご主人様と劉協様、なんか怪しいよね。ただ仲がいいって雰囲気じゃなかったもん。」

「まさかそっちの毛が・・・。」

「いや、それはねえだろ。というか、それなら俺が一番危ねえって。」

「そうですよね。男色なら私たちにキスなんてしないでしょうし。」

「キス!?//」

「あれ?胡花ちゃんはまだしてもらってない?」

「(ぶんぶん)」

 

胡花が首を思いっきり縦に振っている。下手をすればテーブルにぶつかりそうなくらいに。

 

「胡花ちゃん、そんなに首を激しく振ると痛めるわよ?」

「だ、だって~~~//」

「桃香様、先ほどのお言葉を聞くに、その・・・あいつに唇を許されたように聞こえるのですが・・・。」

「うん♪私の初めて、ご主人様にあげちゃった♪」

「ブーッ!!と、ととと、桃香しゃま!?」

「桃香様だいた~ん♪まさかご主人様と一夜を過ごしてるなんて・・・蒲公英も頑張らないと!」

「え?・・・ち、違う違う!//そんなんじゃないよ~//まだそっちはしてもらってないもん。」

「? 桃香お姉ちゃん、そっちってなんなのだ?」

「え!? え~と・・・私、ご主人様たちの様子を見てくるね!」

「・・・逃げましたね。」

「お姉ちゃんは知らないのか~。朱里は知ってるのだ?」

「はわわ!!//え、えと~・・・明里ちゃんなら知ってるよね!?//」

「え!?」

「明里、教えて欲しいのだ!」

「え、えっとぉ・・・。その・・・。・・・(ボンッ)」

 

考えること十数秒し、明里の顔が真っ赤になり・・・

 

「にゃぁぁぁぁぁぁ!にゃにゃにゃにゃにゃ!!!にゃにゃにゃーーー!!」

 

大暴走。そして城内へ逃亡。

 

「鈴々ちゃん、後で私が教えてあげるわ♪」

「私もついでに加勢してやろう。」

「お~、さすが紫苑に星なのだ。わくわくっ。」

「あわわ・・・。」

「へぅ//」

「(もきゅもきゅ)」

「・・・ぜってぇロクな結果にならねぇな。」

 

・・・

 

とりあえず、薔薇を俺の部屋に連れてきた。

 

「結構片付いているのね。」

 

二人きりになったことで口調も元に戻したみたい。

 

「成都に来てからあまり経ってないからね。物が少ないだけとも言うけど。」

「ふ~ん。とりあえず、着替えを手伝ってちょうだい。」

「分かっ・・・へ?」

「へ?じゃない。早く手伝ってよ。ただでさえ、この格好って暑いし動きにくいんだから。」

「俺、男だよ。」

「そんなの分かってるわよ。けど、仕方ないじゃない。馬騰はいないんだし、一人じゃ着替えにくいんだから。」

「・・・後で文句言わないでくれよ。」

「変なとこ触ったら殺すからね。」

「分かった・・・。・・・ん?着替えって持ってきてるの?」

「一刀のを借りるから問題ないわ。」

「俺のじゃ丈が合わないよね?」

「少し大きいくらい気にしないから問題ない。」

「そっか。」

 

俺も半ば諦めたところで薔薇の着替えを手伝うことになった。カツラを外して・・・薔薇が上着を脱いだ。見事にサラシが巻かれている。

 

「これ、窮屈じゃないか?」

「窮屈に決まってるじゃない。はぁ、なんでこんなに大きくなっちゃったのかしら。小さい子が羨ましい・・・。」

 

 

うちの一部の子たちには聞かせられない台詞だな。

 

「背中の真ん中あたりに結び目があるでしょ。それを外してちょうだい。」

「お、おう。」

 

う~、なんで俺がこんな目に。サラシが外れて少し胸が揺れたのが視界に入った。煩悩退散!悪霊退散!!

 

「なんでもいいから私が着れそうな服取って。」

「お、おう!」

 

とりあえずタンスから着れそうなもの・・・どれもブカブカそうだけど、とりあえず薔薇に渡した。

 

「ちょっと向こう見てて。」

「うん。」

 

布が擦れる音が聞こえるが気にしない。気にしちゃいけない!俺は無だ!無!!

 

「もういいわよ。」

「・・・。」

 

うん、ブカブカですね。こういうのも可愛いなぁ。

 

「とりあえず、私はちょっとだけ眠らせてもらうわ。寝台を借りるわね。」

「おう。」

「・・・ねぇ、手を握っててくれない?」

「どうしたのさ、いきなり。」

「ちょっと心細くなって・・・駄目ならいいんだけど。」

「ふふっ、いいよ。」

 

俺は薔薇の手を両手で包んだ。やっぱり小さな手だな。この手はどれだけの苦労を積み重ねてきたんだろうな・・・。

 

「すぅ・・・すぅ・・・。」

「もう寝ちゃったか。」

 

少しでも気の休まるといいな。起きるまではこうしておいてあげようかね。・・・なんか視線を感じるんだけど。

 

「ジローーーーーーー。」

「・・・。」

 

扉の向こうには桃香と胡花。・・・あはは、言い訳は・・・できないよねぇ。ちょっと憂鬱になりそうになった正午前だった。

 

 

あとがき 読んでいただきありがとうございます。薔薇ちゃん久しぶりの登場!俺大歓喜!さて、拠点風でしたがいかがだったでしょうか。いや~、一刀さんパネエっす。書いてて2828が止まらなかった自分が嫌です。それでは次回 第六節:皇帝ちゃんの冒険 でお会いしましょう。次回もお楽しみに。

 


 
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