No.557066

遊戯王GX †青い4人のアカデミア物語† その13

赫鎌さん

誤字脱字報告、感想等お待ちしております。
■長らくお待たせしました!卒業だったり就活だったりで慌ただしかったものでして、少しずつ以前のペースを戻していこうと思います。
■今回は若干短めです。

2013-03-20 01:42:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1337   閲覧ユーザー数:1310

 

 暗いような、明るいような、不思議な色をした空が広がっている。

 雲はなく、星もない。月と太陽が同時にあり、互いが互いに主張しあっている。目の前の空は月が慎ましやかに夜を作っており、後ろの太陽はギラギラと昼を立てている。

 これが夢だと気づくまで、そう時間はかからなかった。

 夢の中で夢だと理解できている。これが俗にいう明晰夢というやつなのだろう。どこまでも続く石畳を踏みしめながら、俺はそう結論づけた。

 どこまでも続く鳥居をいくつもくぐり、奥へ奥へと歩いて行く。

 どこへ向かっているのだろう、などという気持ちはない。

 

 

 頭の上では、今も月と太陽が喧嘩していた。

 月は夜を広げて空を黒く塗りつぶしている。

 太陽は昼を広げて影を強くしている。

 どちらも押しては引いて、引かれては押されて。

 決着のつかないまま、二つの境は朝になっていた。

 

 

 カランッ。

 後ろで乾いた音がした。

 振り返ると、誰もいない。

 カランッ。

 また音がした。今度は前だ。

 顔を戻すと、そこには子供が立っていた。

 腰まで届く長い髪が揺れ、獣の尻尾のように左右する。

 狐の面をしているので、顔はわからない。自分の胸までしかない背丈からして、子供なのは間違いないだろう。

 カラン、コロンッ。

 乾いた音を響かせる下駄を鳴らし、子狐は歩き出した。向かう場所は同じようだ。

 子狐の後を歩き、しばし一緒に歩を進める。

 どこまでも続くと思われた無限回廊の果て、鳥居がようやく終わった。

 終点には鳥居ではなく祠があった。いや、社と言うべきか。

 社と言うには大分小さいが、祠と呼ぶには見事な造形だ。いうなれば、小屋だろうか。

 小屋の前には、石で作られたテーブルが鎮座していた。表面に幾つもの線が等間隔に刻まれており、その数は十四。ちょうどデュエルモンスターズの配置と同じだった。

 子狐が下駄を鳴らしながら、テーブルの向かい側に陣取る。袂(たもと)へ手をいれると、カードの束を取り出した。デッキだ。それも、デュエルモンスターズの。

 

「デュエルしよう、ということか?」

 

 子狐の表情はわからない。頭(こうべ)を一つ垂れたということは、正解なのだろう。

 腰のデッキホルダーを開け、愛用のデッキを取り出す。

 何度か軽くシャッフルをすると、テーブルの枠組みの下段、一番右側に置いた。テーブルデュエルにおいて、デッキを意味する場所である。

 子狐も、同じようにデッキを置いた。

 初期手札となるカードを五枚引いたところで、子狐に尋ねた。

 

「先攻はどうする?」

「………………」

 

 子狐の小さな人差し指が、自分を差した。先攻はいただく、ということなのだろう。

 

早乙女ケイ LIFE4000

???? LIFE4000

 

「それじゃ、始めよう」

「…………ドロー」

 

 子狐が初めて声を出した。

 デッキからカードをドローする。その手つきは繊細で、粗雑な様子は一切ない。

 

「…………モンスター、セット。カード、セット」

 

 モンスターゾーンと魔法・罠ゾーンに一枚ずつカードが置かれる。

 丁寧に扱われるカードからは、さながら良家の子女のような気品すら感じ取れた。

 

「…………ターン、エンド」

「俺のターン、ドロー」

 

 引いたカードを手札に加え確認する。

 僅かな逡巡の後、モンスターゾーンにカードを置いた。

 

「『隼の騎士』(ATK1000)を攻撃表示で召喚する」

『クァアアアア!』

 

 置かれたカードから、親指ほどのサイズの『隼の騎士』が現れた。

 普段デュエルディスクを通じて見ているが、今はデュエルディスクを使っていない。

 モンスターが実体化するという不思議な体験を目の当たりにしたというのに、全くと言っていいほどに動揺はなかった。

 

「さらに『城壁壊しの大槍』を装備する」

 

 『隼の騎士』の持つ双剣が、巨大な槍に変わる。片手で持つこともままならず、両手でふんばるように構えている。

 

「『隼の騎士』でモンスターを攻撃。そして『城壁壊しの大槍』の効果発動。裏側守備表示モンスターを攻撃するとき、攻撃力が1500ポイントアップする」

 

『隼の騎士』ATK1000 → 2500

 

 『隼の騎士』が大槍でセットモンスターを串刺しにした。

 現れたのは土偶のような形をしたモンスターだった。

 

「…………『磨破羅魏』(DEF1700)、破壊」

 

 子狐はそう呟くと、『磨破羅魏』のカードを墓地に置いた。

 

「『隼の騎士』は一ターンに二回攻撃ができる。攻撃力は戻るが、攻撃だ」

「………………」

 

???? LIFE4000 → 3000

 

 『隼の騎士』の二度目の攻撃に微動だにせず、子狐はライフが減るのも厭わないようだった。

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

「…………『磨破羅魏』、効果発動」

 

 その言葉と同時に、子狐はカードを一枚ドローする。しかしそのカードを手札に加えることはなく、デッキの一番下に戻した。

 『磨破羅魏』は召喚・リバースしたターンの次のドローフェイズ時、ドローするカードを確認して一番上に置くか一番下に置くか選択できる効果を持っていた。その効果が、今適応されたのだ。

 

「…………ドロー」

 

 改めてカードをドローする子狐。ドローしたカードを手札に加えず、そのままフィールドに出した。

 

「…………『因幡之白兎』(ATK700)、召喚」

「ほう」

 

 『隼の騎士』と同様、『因幡之白兎』も実体化する。こちらは元々のサイズが小さいため、親指と言うよりは小指程度の大きさしか無い。

 

「…………攻撃」

 

 『因幡之白兎』の持つ杵(きね)は、ただの杵ではない。近未来的なジェット推進エンジンを搭載した、実にロマンあふれる武器である。

 その杵が火を噴き、ジェットの勢いで俺に突撃しようとしてきた。

 しかしそれは見えぬ壁に阻まれてしまい、弾かれた白兎は自分のカードの場所へと戻った。

 

「罠カード『ガード・ブロック』だ。ダメージをゼロにして、カードを一枚ドローさせてもらう」

 

 使用したカードを墓地に置き、一枚ドローする。

 狐のお面に隠されて、表情は未だにわからない。

 

「…………『強制転移』、発動」

「おっ」

 

 この手には素直に感心した。

 先程使われた『磨破羅魏』、今場にある『因幡之白兎』、そのどちらもスピリットモンスターと呼ばれるカードである。

 スピリットモンスターは召喚・リバースした時に発動する効果が大半であるが、そうでないカードもある。しかし一貫して同じ効果に『召喚・リバースされたターンのエンドフェイズ時に手札に戻る』というのがある。

 『強制転移』で自分のスピリットモンスターを渡してしまえば、エンドフェイズ時には自分の手札に返ってくる。つまり、相手のモンスターを丸々奪ってしまえるのだ。

 

「互いにモンスターは一体ずつ。ということは、このモンスターのコントロールが入れ替わるわけか」

「…………そう」

 

 『隼の騎士』のカードを渡し、『因幡之白兎』のカードを受け取る。

 モンスターゾーンに置くと、再び実体化したモンスターが出現した。

 

「…………『八汰烏の骸』、発動」

 

 モンスターを置き終えると、次は伏せていたカードを発動させた。

 罠カード『八汰烏の骸』。普通に使えばカードを一枚ドローできる効果なのだが、相手フィールド上にスピリットモンスターがいる場合、この効果が変化する。

 

「…………二枚、ドロー」

 

 そう、相手の場にスピリットモンスターがいる場合に限り、一枚ではなく二枚ドローできるのだ。

 たとえスピリットモンスターがいなかったとしても、『サイクロン』等の除去カードにチェーンして発動できる、非常に優秀なカードである。

 ドローしたことにより手札が五枚に増えた。そのうちの二枚を、魔法・罠。ゾーンに置いた。

 

「…………二枚、セット。…………『因幡之白兎』、効果発動」

 

 スピリットモンスター特有の『エンドフェイズ時に手札に戻る効果』が発動された。

 俺の場からカードを拾い上げ、手札に加える。

 一枚は判明しているものの、手札は四枚、場には『隼の騎士』と伏せカードが二枚存在する、という状況が出来上がった。

 

「…………ターン、エンド」

「では、ドロー」

 

 焦ることはない。さっきのドローと今のドローで、こちらの手札も四枚に増えた。

 ボード・アドバンテージこそ向こうが勝っているが、ライフはこちらが上なのだ。五分五分、といったところだろう。

 

「俺は『機動砦のギア・ゴーレム』(ATK800)を攻撃表示で召喚だ」

 

 子狐は首をかしげた。それもそうだ。ゴーレムの攻撃力では、隼の騎士の攻撃力には及ばない。素直に守備表示で出しておけばしのげるのだから、そうするべきである。『城壁壊しの大槍』の効果は裏側守備表示にしか対応していないため、なおさらである。

 

「ここで俺は、伏せていた罠カード『反転世界(リバーサル・ワールド)』を発動する。この効果はフィールド上の表側表示の効果モンスター全ての攻守を逆転させる」

 

 空間がぐにゃりと歪む。

 ぐにゃり、ぐにゅぉんと擬音がつきそうなほど、まるでスライムのように歪んでいく。

 しかしそれも僅かな間のみで、すぐに元に戻った。

 

『機動砦のギア・ゴーレム』ATK800 → 2200 DEF2200 → 800

『隼の騎士』ATK1000 → 1000 DEF1000 → 1000

 

 『隼の騎士』は攻守ともに同じため、これといった影響は受けていなかった。

 ギア・ゴーレムの攻撃力が2200となったが、セオリーとしては効果を使い直接攻撃といったところだろう。

 しかし、それではあまりにもつまらない。夢の世界なのだ、いつもと違うことをしても、罰は当たるまい。

 

「『機動砦のギア・ゴーレム』で、『隼の騎士』を攻撃だ」

 

 おもちゃ程のサイズしかない身体を大きく回転させ、『隼の騎士』へと身体を弾丸に変え射出する。

 小さいとはいえ機械の身体は『隼の騎士』を容易く吹き飛ばした。

 

???? LIFE3000 → 1800

 

「カードを二枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 手札は全て使ってしまったが、これで形勢逆転となった。

 ライフは圧倒的に勝っており、モンスターもいる。

 そして伏せた二枚は、あまり使わない手を隠していた。

 

「…………ドロー」

 

 雅な手つきでカードを操るが、その動きには一切の無駄がない。

 こちらでどういう動きをしようとも、なんとでも対処できるといった様相である。

 

「…………手札から『因幡之白兎』、除外。『伊弉凪』(ATK2200)、特殊召喚」

 

 『因幡之白兎』のカードをテーブルの上、フィールドの外に置き、『伊弉凪』のカードが置かれた。

 真っ白な髪をした男神が、人形のように佇む姿が実体化した。

 

「『伊弉凪』……確か、スピリットモンスターはエンドフェイズに手札に戻らなくてもよくなる、だったか」

 

 スピリットモンスターはその特性上、場に留まることは滅多にない。

 それは返しのターンに破壊されるリスクを最小限にとどめている。しかし反面、フィールドが空になってしまうことも意味する。

 そのデメリットを防ぐカード、それこそが『伊弉凪』である。

 

「…………『竜宮之姫』(ATK0)、召喚」

 

 次いで出たのは、御伽噺の龍宮城に住むような気配を出す、踊り子の娘。

 『竜宮之姫』がその場で舞を披露すると、ギア・ゴーレムが体勢を変え守備表示となってしまった。

 このカードは、場に出た時に相手のモンスター一体の表示形式を変えるもの。単体では役に立たない効果だが、他のカードとの組み合わせ方は計り知れない。

 

「…………『伊弉凪』、攻撃」

 

 『伊弉凪』が持つ杖が振りかざされると、ギア・ゴーレムの頭上に黒い雲が集まりだした。

 これはまずい。守備表示のギア・ゴーレムは普段であれば耐えられるが、今は攻守が入れ替わっている。その守備力は800であり、とても耐えられるものではない。

 思い描いていたシチュエーションとは違うが仕方ない。場に伏せたカードのうち、一枚を表にした。

 

「罠カード『デストラクト・ポーション』を発動だ。ギア・ゴーレムを破壊し、その攻撃力分のライフを回復する」

 

 ボムッ、という音と同時に、ギア・ゴーレムが爆発した。

 この『デストラクト・ポーション』、ただそのまま使うのであれば『神秘の中華鍋』の下位互換でしか無いが、特定の場面においてはその限りではない。

 『神秘の中華鍋』は攻撃力・守備力のどちらかを選択できるが、それは墓地に置かれている時の数値である。『デストラクト・ポーション』はフィールド上での数値を参照するため、今回のように攻撃力が変化していた場合は『デストラクト・ポーション』の方が優秀といえるだろう。

 

早乙女ケイ LIFE4000 → 6200

 

 まあ、今回はどちらでも大差なかったが。

 大事なのは『破壊する』という点にある。

 

「そしてもう一枚の伏せカード、『リボーン・パズル』を発動。自分のモンスター一体のみがカード効果で破壊された時、特殊召喚することができる。この効果で『機動砦のギア・ゴーレム』(DEF2200)を守備表示で特殊召喚だ」

 

 爆発した後の欠片が、意思を持ったかのように集まりだす。

 一つ一つが決まった場所に張り付いていき、すぐに元の姿へと復元した。

 

「守備力の高いモンスターを攻撃型にした後、また守備型に戻して壁にする。おまけにライフも回復する。中々面白い芸当だと思わないか?」

「……………………?」

 

 子狐はわからないといった様子で首をかしげた。

 

「……ま、使うカードも多いし、確かに自己満足の域を超えないさ。俺としては面白いコンボだと思うんだがな」

「…………面白い、の?」

「どっちかといえば楽しい、だな」

「…………楽しい…………そう」

 

 攻撃を中断させた子狐は、手札から新しくカードを出した。

 

「…………永続魔法『エレメントの泉』、発動」

「む……」

 

 思わず唸ってしまう。

 『エレメントの泉』の効果は、少し変わっている。

 モンスターがフィールドから手札に戻るたびに500ライフを回復するというものだが、普通そんな場面はほとんどない。

 しかしスピリットデッキにおいて、モンスターが手札に戻るということは日常茶飯事である。スピリットと『エレメントの泉』が組み合わさるということは、毎ターン500のライフを回復できる、というものと同義に近い。

 

「…………『竜宮之姫』、効果発動。…………同時に、永続罠『スピリットの誘い』発動」

「うおっ」

 

 まさか、と思う反面、やはりか、とも思った。

 『スピリットの誘い』。その名前が示す通り、スピリットデッキで最大限効果を発揮できるカードである。

 

「…………『竜宮之姫』、手札に戻る。…………『スピリットの誘い』、効果発動」

「……相手モンスターを一体手札に戻す、だったな。俺の場には『機動砦のギア・ゴーレム』一体だけだから、こいつを戻そう」

「…………『エレメントの泉』、効果発動」

 

 場から二体のモンスターが手札に戻ったため、『エレメントの泉』の効果が発動される。

 一体につき500ポイント。つまり、二体で1000ポイントの回復である。

 

???? LIFE1800 → 2800

 

「…………ターン、エンド」

「中々厳しいな、ドロー」

 

 相手のフィールドには強固な布陣がしかれている。それに対して俺の方は、手札が一枚あるのみ。しかもそれはモンスターカードで、せいぜいが『伊弉凪』の攻撃を留めることくらいにしか使えない。しかも耐えたとしても、『エレメントの泉』と『スピリットの誘い』のコンボで回復されてしまう。

 ちらりと引いたカードを見る。

 『強欲な壺』だった。

 

「………………たまにはギャンブルに賭けてみるのも、ありだな」

 

 願わくは、希望の持てるカードを引けるように。

 そう念じながら、未だ数十枚のカードが眠るデッキへと手を伸ばし────。

 

 

 

「おぉぉぉきろぉぉぉ!!」

「ドベラッシャ!!?」

 

 床へと叩きつけられた顔面が熱を持って火照り始める。

 盛大に俺の横っ腹へ世界を狙えそうな蹴りをかましてくれやがった元凶を見ると、碌に育っていない薄い胸板の下で腕を組んで立っていた。

 

「どういうことですか! 風の噂で聞きましたよノース校中等部時代にキングに勝ったことがあるって! なんで言ってくれないんですか! 折角の特ダネなのになんで隠すんですか! なんで言ってくれないんですか! な・ん・で! 言ってくれないんですか!」

「うるさい黙れ口を閉じろシバくぞ」

 

 鼻が折れていないか確かめつつ、顔をさすりながら座っていた椅子へと座り直す。

 何時の間にか講義は終わり昼休みへ入ったようで、周囲には誰もいなかった。今回はそれが幸いしたのか、この醜態を誰にも見られずに済んだ。

 

「さあさあ答えてください! キングと会ったのはいつですか? デュエルしたのはいつですか? キングのデッキはどんなものでしたか? どんな方法で勝ったんですか? あとそれから────」

「…………とう」

「にっっ!?」

 

 むにむにむにむにむにむにむにむに……………………。

 まだ痛む横っ腹に鞭を入れ立ち上がると、喧しく囀る口を黙らせるべくほっぺを掴み上下左右へといじり始めた。

 なにやら「ひはいっひはいへふっ」と叫んでいるが知ったことではない。言って効かない相手には物理交渉。これこそが世界の本質だ。

 

「俺は寝ていた。良い感じに夢を見ていた。それをお前は邪魔した。よって私刑に処す。異論は聞くが認めない」

「痛たぁ! そ、それは悪いと思っていますけど、情報は新鮮なうちが一番美味しいんですよ!」

「異論はそれだけか?」

 

 それだけ言うと俺は再び風見ヶ丘のほっぺを上下前後左右へといじり始めた。

 何か喚いているが言葉になっていない。それ以前に聞く耳を持たないので意味ないのだが。

 しかし明晰夢なんて見たのはいつ振りだっただろうか。

 昔は夢の中ならなんでも出来る、と思って、母親が起こしに来るまで夢を見続けていた事があった。その時のことはぼんやりとだが覚えている。

 その時の夢も、今の夢と同じ、デュエルをする夢だった気がする。

 いつになっても同じ夢を見ているということは、成長していないということなのだろうか。

 そう思うと、ほんの少しだけやるせない気持ちが胸の中にくすぶった。

 

「ひょ、ひょっほ! ほんひへひはいえふはは! ははうははひへふあはい!(ちょ、ちょっと! 本気で痛いですから! 早く離してください!)」

 

 手の中で風見ヶ丘が暴れているのに気づくのはそれから間もなくのことだった。

 

To be Continued…

 


 
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