No.553877

リリカルなのはSFIA

たかBさん

第一話 余計な刺激はいらないと思うよ!?

2013-03-11 02:15:40 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5936   閲覧ユーザー数:5321

 第一話 余計な刺激はいらないと思うよ!?

 

 

 

 

 高志視点

 

 「ティーダさんのお使いを頼まれたんだが、何故空港?」

 

「仕方ないんですよ。兄さん。料理の事になると力が入りすぎるんですよ」

 

 だから豆だけ。って…。しかも大豆だけを五キロも。

 ここ最近、俺の。というか管理外世界、地球の日本食に凝りだしてきたティーダさん。

 俺が「豆腐が好物」だと言ったら、毎回世話になる時に合わせて豆腐を作り始めて毎回ふるまってくれる。

 ティーダさんの湯豆腐、マジうめぇです。

 

 「教導官を目指すと言っていたのに・・・。不甲斐ない兄です」

 

 そう言いながらも、オレンジ髪のツインテール娘。ティアナちゃんは俺の隣で兄さんが兄さんがとぶつぶつ言っているが俺には分かっているのだよ、ブラコンちゃんめっ。

 文句を言っているその表情はニコニコ顔ですよ?

 これで、この子はツンデレだという事が分かった。

 

 「大体、魔法が使えないから技量と知識だけで教導官になるしかないのに、お料理をしているなんて・・・」

 

 今回の俺とティアナちゃんはお使い。なんでも豆腐に使うにがり(・・・)の作成に目が離せないとのこと。

 美味しい豆腐が食べれるならこれぐらいお安い御用だ。

 俺のスフィア。『傷だらけの獅子』も年にニ、三回会うだけなら『スティグマ』も刻むことはないと言っていた。だけど、たったそれだけなのにこの子はよく俺に懐いてくれたな。

 お兄さんのティーダさんをヨイショしまくったおかげか・・・。

 命の恩人という事もあるかもしれないが、『放浪者』になってから少しだけではあるが魔力が上昇、今まで使えなかったガンレオンの射撃武器(ギークガン)が使用可能になった。

 ティーダさんにはブラスタの射撃武器とガンレオンのギークガンの射撃術の指導をお願いしている。

 それが分かりやすいこと分かりやすいこと。あの人は絶対に先生が似合っていると思うんだよね。

 

 「まあ、俺としては嬉しい限りなんだが・・・」

 

 大豆も無事購入して、只今空港の離れでタクシーを待っている。

 大豆は俺がずっと持っていた。地味に重いしね。

 それを悪いと言って自分も持つと言っていたティアナちゃんには財布だけ持ってタクシーを止めてもらうことにした。いい子や、この子。

 

 「だからって、この間の試験も落ちてしまいましたし・・・」

 

 魔力至上主義のミッドでは魔力が使えないだけでかなりのハンデがある。魔力が欠片でもあればティーダさんは合格していただろう。

 そのくせ、(ガンレオン)みたいなロストロギアを収集しまくっているよな・・・。

 ゲームだったけど、俺の知っている世界では世界平和の為だったら未知のエネルギー使いまくっていたよ。○N粒子とかゲッ○ー線とか、機械○使とか、○子力とか、ス○リチアとか・・・。

 

 「いや!歌には力があるが武器なんかじゃねえ!」

 

 「ひゃっ!いきなりなんですか?!」

 

 いかん。つい、興奮してしまった。反省せねば・・・。

 

 「男の人って突然叫びますよね・・・。そういうものなんですか?」

 

 「あー、うん。たまにね。・・・叫びたくなるんだ」

 

 盗んだバイクで走り出すお年頃にもなると一つや二つ叫びたくなるもんだ。

 

 「そうなんですか。たまに兄さんも大声で叫びますから」

 

 試験のストレスで?

 

 「その・・・。料理は爆発だと」

 

 火力じゃないの?!豆腐というデリケートな食材に余計な刺激はいらないと思うよ!?

 

 俺がそう思った時だった。

 

 

 

 ズドオオオオオオオオオオオッン!!

 

 

 

 俺達のすぐ後ろ。

 地球直産の大豆を購入した空港で大爆発が起こった。

 

 「なんだぁあ?!」

 

 思わずティアナを後ろから抱きしめて自分の体を盾にするようにしながら、爆音とともに発生した衝撃はやり過ごす。

 そして、後ろを振り返ると炎上した空港が見えた。

 一瞬の間をおいて悲鳴の嵐が巻き起こる。

 

 「な、な、なにが・・・」

 

 「っ。ティアナ。しっかり捕まっていろ!」

 

 とりあえず、ここから離れるのが一番だ。

 銀色の機械の鎧。ブラスタを展開して空へと飛翔。海に面している空港なので、向こう側の岸までブラスタを用いてティアナを運ぶ。

 ここ五年で俺も何とか空を飛べるようになった。

 反対側の岸にたどり着くとそこには、突然の爆発で戸惑う人々。そして、空中に浮かび上がった緊急用のモニターは、空港が大惨事になっていることを報道していた。

 そして、そこに生存者がいることが分かった。

 これだけの惨事に対処できる魔導師は少なく、救助隊は渋滞ですぐに来ることが出来ない。

 

 「・・・行くか」

 

 [・・・お人好しめ]

 

 俺の中にいる『傷だらけの獅子』のスフィアはそう釘をさす。

 まあ、ここであっちへこっちへとブラスタを使えば嫌でも目に付くからな…。

 まあ、その辺の情報操作はリンディさんとプレシアに任せよう。

 

 「ティアナちゃんはここの人達と一緒にいるんだよ」

 

 「た、高志さんは何処に行くんですか!?」

 

 「まだ逃げ遅れた人を助けにいく」

 

 そう言いながら俺は未だに爆発を続ける空港を指さす。

 

 「あ、危ないです!行っちゃいやです!ブラスタだってそんなに頑丈じゃないのに・・・」

 

 「大丈夫。ガンレオンでも飛べるから」

 

 条件(・・)付きだけどね。

 

 [使ったら目の前の幼女も『スティグマ』の候補になるかもしれんな]

 

 それは勘弁。出来るだけマグナモードは使わないで行こう。

 一応、念のため。

 ブラスタを待機状態に戻して、それをティアナちゃんに渡す。

 

 「ブラスタはティアナちゃんが持っていてね」

 

 「む、無理です!?私はくちゅうっ。く、空中適正持っていませんし!」

 

 今噛んだな…。うむ、少し萌えた。

 でも、時間もないし…。

 

 「いいか、ティアナちゃん。時間もないからよく聞け。君は俺より射撃能力はあるし、器用だ。だけど、デバイスが無いからブラスタを使いなさい。それさえあれば周りの情報も把握できる。最低でも自分の身は守れる」

 

 「で、でも・・・」

 

 「こうしている間にも助けきれる命が無くなっていく」

 

 「っ」

 

 びくっ。と、体を震わせるティアナ。

 唯一の肉親を失いかけた少女だからこそ、誰かが死ぬという事には敏感もしれない。

 

 「だからこそ、助けきれる力を持つ俺が行かないといけない。だけど、自分の命を危険にはさらすわけにもいかないし、ティアナちゃんの身の安全も確保しないといけない。だから、俺はガンレオンで助けに行く。ティアナはブラスタで安全地帯まで逃げる」

 

 さらに言うなら『スティグマ』の問題もある。だから、ガンレオンで海中を走り抜けて空港の真下から救助に向かう。

 更に付け加えるとブラスタよりもガンレオンの方が使い慣れている上に、緊急時にはマグナモードで離脱も出来る。

 

 「な、なら、私も行きます!」

 

 「だめ。まだティアナちゃんは体も魔力も出来てないから危険な事はさせられない。だけど、ブラスタでここにいる人達を誘導することが出来る。俺なんかよりブラスタをうまく使えているしね」

 

 正直、この子の魔力は低い上に飛行スキルもないけれど、その精密射撃は光るものがある。

 きっと、俺よりブラスタの武装を扱えるはずだ。

 

 「で、でも…」

 

 「何かあったら、ブラスタに登録されている人を頼って。・・・大丈夫。ティアナなら出来るよ。なんせ、あのティーダ・ランスターの妹なんだから」

 

 グリグリと頭を撫でてから俺はガンレオンを展開して、その強大な膂力で人垣を飛び越えると、海に身を投げるように飛び込んだ。

 空を飛ぶより海中を潜って言った方が目立たない。このまま、空港の真下から救助活動をさせてもらおう。

 

 

 ティアナ視点。

 

 そう言ってあの人は結局空港の火事が収まっても戻ってはきませんでした。私はその間、ブラスタで安全地帯へ避難しながらも動揺している人達を誘導。

 最初は子どもの私の言う事は聞いてくれない人もいたけどブラスタのイーグルという銃を展開して、難癖をつける人や火事を見に行こうとする人達に威嚇射撃を行い、安全地帯まで非難・誘導した。

 高志さんから渡されたブラスタには「無事離脱したよ」とメッセージが配信されていた。

 離脱できたならこっちに戻ってこればいいのに…。とは、思っても高志さんは管理局に追われる身。だけど、そんな人が兄さんを助けるはずがない。

 悪い人じゃないのにどうしてそんなふうに逃げるのか分からない。

 兄さんとの約束で高志さんの事は周りの人には言いふらさないようにしているけど、なんでだろ?

 空港の火事のことを聞いて兄さんも慌てて私達を迎えに来た。

 だけど、高志さんがそのままどこかへ行ってしまったことを聞くと、「今度は一年後かな」と、呟きながらも私の避難誘導を行ったことを周りの大人の人から聞くととても嬉しそうに笑った。

 

 空港炎上の翌日。

 

 ブラスタに登録されている人を兄さんと一緒に尋ねてみることにする。

 その人は現在、とある管理世界や管理外世界を飛び回っているという部隊の隊長をやっていて、偶然にもこのミッドに今は来ているそうだ。

 

 「・・・タカの言っていたランスターの方?」

 

 「はい。その節はお世話になりました。彼からの預かり物をお返しに来ました。僕はティーダ・ランスター。こっちが妹のティアナです」

 

 「てぃ、ティアナ・ランスターです」

 

 彼女が宿泊しているホテルのホールで私はブラスタを目の前の紫色の髪をした綺麗な女の人に渡す。

 

 「あら、ありがとう(あの馬鹿。そう簡単にブラスタを他人に渡すんじゃないわよ。今度きつく言っておかないと)」

 

 笑顔で私達とお話してくれているけど、なんか怖い・・・。

 そう考えているのが分かったのか、目の前の人は慌てて笑顔で取り繕うと、私達に頭を下げながらお礼を言う。

 

 「プレシア・テスタロッサよ。あの子からの届け物をありがとうね」

 

 後にあの空港火災で一番の功績を上げた部隊長だと知るのはそれから一週間も後になっての話だった。

 

 


 
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