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デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士

第二十七話 竜王キサキ

2013-03-10 19:48:28 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1556   閲覧ユーザー数:1549

ゆりかごの上のクラウドが、グランドラクモンとしての姿に戻っている時、管理局地上本部近くでは、ゼストとキサキが戦っていた。

「剣の扱いも雑、話にならねえ!!」

ゼストとユニゾンしているアギトは、槍の一撃で遠ざけたキサキに、こう言った、

「ほら見ろ、言われた。」

キサキの扱う剣、グレートカリバーンがキサキにこう言うと、

「そっちの教え方が悪すぎるんです!!」

キサキはこう言い返した。

「だがさすがだ、そんな状態でここまで俺とやりあえるとはな。」

しかしゼストは、距離を取るとキサキに言った。

「竜としての力は使わないのか?」

そして、

「今使えば俺を簡単に倒せるのではないか。」

と、キサキに言うと、

「言っておくと、アンタを倒すことは俺の目的にはないから。アンタらが襲ってくるから、それで相手をしてるだけ。」

キサキは、こう答えた。

「な!テメエ!!」

アギトはキサキの言葉にいきり立って、

「だったら尚のことそこからどけ!旦那が昔の友達に会いに来たことくらい分かってるだろ!!」

と言った。そして、

ゼストは高速で飛び出すと、キサキの背後を取り、そのまま首絞めを極めた。

「こうなったら!!」

キサキはこう叫ぶと、

(リィン!竜化するぞ!!)

念話でリィンに伝え、自身の姿を竜に変化させた。それでも、力づくで外すようなまねはしない。

「輪廻転生の息!!」

キサキは口を開くと、強烈なブレスを吐き出して後ろに進むと、勢いでゼストの技を外した。

「ちょ、キサキさん!どうやって止まるんですか!?」

ユニゾンしているリィンに訊かれた時、初めて気が付いた。

「止まる方法考えてなかった。」

と。とりあえずこうすれば成り行きでどうするべきか、思いつくと思ったのだろう。

そしてそのまま二人は、どうやって止まるか思いつかないまま、管理局地上本部へ飛んで行った。

 

 

 

そして、地上本部のとある部屋、そこにはレジアスと秘書のオーリス、そして一人の管理局員がいた。

「オーリス、お前はもう下がれ。」

レジアスがこう言うと、

「それはあなたも同じことで、あなたがここに居る理由もありません。」

と、オーリスは言い返した。

「わしはここを動くわけにはいかないのだ。」

レジアスがこう言うのを片耳で聞きながら、一人の管理局員に化けている戦闘機人の「ドゥーエ」は、

(そろそろね)

こう思うと、自分の武器である「ピアッシングネイル」をこっそり取り出そうとした。その時である、

「ひぇえええ!!ぶ~つ~か~る~!!!!!!」

外から意味不明な叫びが聞こえてきた、と思った瞬間、突然窓ガラスをぶち破り、白銀色のしなやかな竜が飛び込んできて、ドゥーエに激突すると同時に、停止した。

「ああ、ようやく止まった。」

竜がこう言うと、中から白銀の髪の、小さな融合騎が現れ、

「もう!!今後はこんな危険行為はやめて下さい!!」

と、竜に言った。その竜が後ろを見ると、先ほどまでのピンク色の髪の管理局員が、戦闘機人の戦闘服を着た金髪の女になっていた。

「うぉおお!!なんかいつの間に、任務完了している!!」

竜は人間の姿になると、後ろを向いて叫んだ。

「何者だ!いきなり窓を割って入ってくるなど!!」

レジアスが二人にどなると、

「ああ、今から帰りますんで。」

キサキはレジアスに笑顔で言った。

「そちらさんと一緒にね。」

そして、オーリスを指差して言った。

「な?どういう意味だ?」

言葉の意味が気になったのか、レジアスがキサキに訊くと、キサキは壁際に設置された本棚の一部を動かした。すると、本棚の裏に設けられていた隠しスペースからグルグル巻きにされたオーリスが現れた。何故か体中に食い込む縛り方だったが、そこは気にしなかった。

「エリカ姐さんもご苦労ですね。わざわざかつてのの戦闘機人事件の落とし前をつけてもらいに?」

キサキは、オーリスのふりをしている人物に訊いた、

「それは…」

と、レジアスが言うと、

「十年ほど前にあった、戦闘機人プロトタイプの稼働試験中にあった事故。そこのオーリスになりすましている人物はその時の被害者だったんだよ。」

キサキは説明した、

「まて!あの事件では管理局員以外の関係者は一部を除いて全滅したはずだ!」

レジアスはこう言ったが、

「クローン培養なんですよ。」

と、キサキは言った、

「よく、分かったわね。」

オーリスはこう言うと、人間の姿から細く複数の尾を持つ竜の姿に変わった。

(へえ、変身能力か)

「だって姐さん独特のにおいがするじゃん。」

キサキがこう言うと、竜化しているエリカは、何のニオイだ、と言わんばかりに確認した。

「それと、中将にお客さんが来てましたよ。後これは持って帰りますね。」

キサキはドゥーエを持ち上げると、その辺に置いていたグレートカリバーンを取り、部屋から出て行った。

「ちょ、キサキ?」

エリカもそれに続いて出て行った。

レジアスが、なんだったんだ一体、と思っていると、入れ違いにゼストが入って来た。この時、二人が何を話したのかは謎に包まれている。

 

 

 

「本当にいいの?キサキ、あなたの方が彼に恨みがあるんじゃ?」

ゼストが出てくるのを待つ間、エリカはキサキに訊いた、

「ん、何が?」

と、キサキが訊くと、

「だって、そもそもあの男が指図した結果発生したあの事件が無ければ、あなたが苦労することも無かったはずなのに。」

と、エリカは言った、あの事件と言うのは、先ほどキサキの言った戦闘機人事件のことで、この時にキサキの両親とエリカのオリジナルが亡くなり、それ以来キサキはクラウドと会うまで天涯孤独の身だったのだ。

エリカの言葉に対し、キサキはこう言った。

「それにさ、管理局に仕返しする方法はもう考えてあるよ。」

「え?」

エリカが驚いたところで、部屋からゼストが出てきた。

「話は終わったのですね。」

エリカがゼストに訊いた時である、

「大変ですぅ~!!」

リィンが大慌てでやって来た。今まで本部のコンピュータールームで情報収集をしていたのだ、

「はやてちゃん達がオファニモン・フォールダウンモードと出くわして、今戦闘中で、キサキさんにはすぐに戻ってきてほしいと!!」

と、足早に報告すると、

「キサキ、二つ頼みたいことがあるのだが。」

ゼストがキサキに言った、

「まずは一つ目だが、アギトをお前たちの仲間に入れてやってくれないか?」

「え?旦那?!」

アギトは驚いたが、

「でもまあ、キサキには助けてもらった過去があるし、今回だけの協力なら。」

と言って、了承した、

「二つ目だが、今から俺と戦ってくれ。」

ゼストは次にこう言った、

「ゼスト様、まさか死ぬおつもりですか?」

と、エリカが訊くと、

「俺はもう後先短い。だから騎士として最期を飾りたい。」

と、ゼストは言った。しかし、

「まだまだ元気いっぱいなのに。あの時俺の輪廻転生の息をいくらか浴びたでしょう。」

と、キサキは言った。輪廻転生の息とは、竜王の子孫として生まれた者としての能力の一つで、自身の魔力を込めた息を浴びせた物質を再生し、寿命を延ばす効果があるのだ。

「それに、メガーヌさんとルーが心配してたよ。折角だし顔見せに行ったら。」

因みにルーとはルーテシアの事である。メガーヌが目覚めたらしく、病院で一緒に話をしているらしい。

「メガーヌが?」

ゼストは驚いたが、

「そうか、まだ俺は生きていてもいいのか。」

と言った。

「そんな事より、さっさと戻らないと。早速強敵に会ってるみたいだし。アギトにも戦ってもらいたいし。」

そんな中、キサキはこう言うとエリカたちを連れてパロットモンに乗って戻って行った。

 

 

 

「クリスタルコーディネーター!!」

一方ゆりかごでは、オファニモンが剣の形をした水晶を投げつけた。

「エクストリーム・ジハード!!」

マグナモンが全身から発光して水晶を溶かしたが、こちらの攻撃に移れないので、完全に手詰まりの状態になっていた。

「どうするかね、この距離じゃ「アイジオブゴーゴン」も届かないし。」

グランドラクモンも歯噛みした。折角自分が元の姿になったのに、まるで戦況の好転しないのだ。

「それに奴の戦い方はなんだ?隙に付けこむどころか隙を作る行動がほとんどだ。」

タイキはこう言って、自分の記憶をおさらいした。彼も何かでこんな戦い方を見たことがあるのだ。

「これで終幕です、デモンズクリスタル!!」

オファニモンは水晶槍の壁を作り、一斉に発射しようとしたが、突然どこからかやって来た竜二体に蹴り飛ばされ、攻撃は失敗した。

「お待たせ!!」

二体の竜は着地すると、タイキ達に言った。続いて、疲労困憊のパロットモンと、リィンフォースとアギトが降りてきた。

「えーっと、片方はキサキとして、もう片方は誰っすか?」

ウェンディが訊くと、

「ああ、姐さんの竜形態だよ。」

キサキは人間に戻りながら答えた、

「へえ、カッコイイ!!」

皆は一様にこう言った、そして、

「キサキ、お前のデジモン達を返すよ。これでインペリアルドラモンが加われば百人力だ!!」

と、タイキはキサキに言った、

「そういう事、この手の事なら俺は得意だよ。」

キサキはこう答えると、

「パイルドラモン、超進化!!インペリアルドラモン!!」

エクスブイモンとスティングモンをデジクロスさせ、さらに超進化させた。続いて、アクィラモンとテイルモン、アンキロモンとエンジェモン、ディアボロモンとケラモンズをデジクロスさせた。

「シルフィーモン!!」

「シャッコウモン!!」

「アーマゲモン!!」

そして、

「行くぜ!!」

キサキはインペリアルドラモンに乗って飛び出した。

「正々堂々戦いましょう。」

オファニモンの前に行くと、握手を求めながら言った。

(なるほど、それならワザと誘いに乗って)

オファニモンはこう思って、同じく手を出したが、キサキは出した手と反対の手でオファニモンをぶん殴った。

(え??????)

皆はこう思った、キサキが卑怯なマネを行うとは思わなかったからだ、

「デスブレイズジョー!!」

続いてインペリアルドラモンが噛みつき攻撃でオファニモンを捕まえ、ゆりかごめがけて投げつけた。

「今だ、全員の得意技で!!」

そしてキサキは叫んだ、

「トップガン!!」

シルフィーモンは闘気を高め、強力な光弾を放ち、

「アラミダマ!!」

シャッコウモンは目から超高熱の光線を放ち、

「アルティメットフレア!!」

アーマゲモンは巨大な炎を吐き出した。

それに続いて、他のメンバーも得意な飛び道具を放った。普通ならこれで誰もが倒れるのだが、オファニモンは平気そうにしていた。そして、

「よし!殺そう!!」

オファニモンはこう叫んで、巨大な炎を纏った鎌を取り出した。そして、

「処刑殺法!!」

オファニモンは鎌でインペリアルドラモンごとキサキを斬り伏せ、真下の海へと落とした。

「やべぇ、キサキが。」

シャウトモンDXはこう叫んだ。

 

 

 

そして、落ちていく中でキサキは、

(くそ、ここで終わりかよ)

と、思っていた。

(力が足りないのか、それとも俺が弱いのか)

キサキがこう考えた時である、

「それは違う。」

と、誰かが言った。

「力はただ奮うだけのものではない。時には誰かに与えると同時に、誰かと合わせる物なのですよ。草は風の力を受けてしなる故に、風に耐える大木よりも強い物、貴方も竜王の家系に生まれたなら、訊いたことがあるでしょう。」

キサキのイメージの中に現れた、白いドレスを着た美しい女性は、

「貴方は誰かの力をもらい、逆に誰かにあなたの力を与えるの。」

最後にキサキにこう言い残して、自分は去って行った。

(なるほど、このまま続けても勝てないのは俺の方か。それに、だからタイキは強いんだ)

キサキがこう思った時、キサキは目を覚ました、

「インペリアルドラモン!!ここで終わる気はないよ!もう一回行くよ!!」

そして、インペリアルドラモンにこう叫んで、クロスローダーを掲げた。

 

 

 

(くそ、こうなったらアインハルトとヴィヴィオも一緒に、一か八か×7で)

オファニモンを見ながらタイキはこう思い、ヴィヴィオのクロスローダーにスターモンズとスパロウモン、アインハルトのクロスローダーにバリスタモンとドルルモンを移そうとした。その時である、

「ポジトロンレーザー!!」

オファニモンの下から、真紅のレーザーが飛んできた。

「キサキ!それにインペリアルドラモン!無事だったのか!!」

タイキがこう叫んだ時、キサキと一緒にインペリアルドラモンが現れた。しかし、インペリアルドラモンは竜の姿から、二足歩行の姿になっている。

「インペリアルドラモン、ファイターモード!!」

インペリアルドラモンの持つ力を、安全に全開にできる姿となって現れたのだ。

「振出に戻って来た!」

キサキはこう言って、インペリアルドラモンと突撃した、

「ギガデス!!」

インペリアルドラモンは、右腕の大砲から巨大な光線を発射した。オファニモンが怯むと同時に、キサキはインペリアルドラモンから飛び出すと、

「聖炎瀑布!!」

竜形態に変わると、尾の先に聖なる炎を纏わせ、オファニモンにぶつけた。その後すぐにグレートカリバーンで追い打ちをかけた。

(何故彼は私に向かってくる、インペリアルドラモンならともかく、人間の力では勝てない相手なのに)

オファニモンは鎌で攻撃を受け止めながら思った、

(まさか奴の目的は)

その瞬間、頭を何かで捕らえられた。見ると、インペリアルドラモンが自分の頭を左手で捕らえていた、

「やっぱり、貴方が気を引いて、インペリアルドラモンがとどめを刺すつもりだったのね。」

オファニモンはこう言って、キサキ達に言った、

「言っておくけど、私は連中の中でも最弱な存在、私より強い相手はまだ控えているの。」

「どうかな、バグラモンだって闇の書だってアイツらには勝てなかった。それも今回はそいつらが組んでいるんだ、負けるつもりはないよ。」

キサキはこう言って、インペリアルドラモンから距離を取った、そして、

「ギガデス!!」

インペリアルドラモンはかなりの至近距離で必殺技のギガデスを放った。

ギガデスにのまれたオファニモンは思った。あの人に許してもらえるかと、そしてそれはムルムクスモンの事ではない。

かつてオファニモンには、大切に思っていた人間がいた。その人間は管理外世界の人間だったのだが、ある日管理局がやって来て、彼らが拠点の建造を勝手に始めた。自分たちの故郷を守ろうと、管理局の拠点建造に反対する運動に参加した。その結果、武力による弾圧で彼は死亡した。その時、普通のテイルモンだった彼女は、フォールダウンモードのオファニモンに暗黒進化し、ムルムクスモンの仲間になったのだ。

「今参ります、ヒ……カ……ル」

オファニモンは最後にこう言い残して、消滅した。

 

 

 

カットマン

「カットマンと。」

 

モニタモンズ

「モニタモンズの。」

 

全員

「デジモン紹介のコーナ―!!」

 

カットマン

「今回のテーマはパロットモン。パロットモンはオウムの姿の巨鳥型デジモン。必殺技は「ソニックデストロイヤー」だ。」

 

モニタモンA

「異世界のデジモンと言われていますな。」

 

モニタモンB

「ホーリーリングを二つ持つ、神聖なデジモンですな。」

 

モニタモンC

「強いには強いですが、活躍の場面は少ないですな。」

 

全員

「それじゃあまたね。」

 

 

 

 

 

次回予告

オファニモンを倒した皆の前に、今度はブラックオメガモンが現れる。そしてとうとう、「アルダーバースト形態」が登場する。

次回「ブラックオメガモン、挫けぬ戦い」

 


 
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