No.552502

魔法戦記リリカルなのはmemories 最終章 新たなる聖王の歴史(メモリー) 本幕【終わり、そして始まりの日】 第百五話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2013-03-08 09:07:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1820   閲覧ユーザー数:1768

「はやてちゃんはこの世界をどう思ってる?」

「この世界……どういう事?」

「そのままの意味だよ。次元世界は基本管理局が統治しているようなものだけど、その辺りを含めてはやてちゃんはどう思ってる?」

 

 突然の質問にはやてはすぐに答えられず、またどうしてそのような質問をしてきたのかという事も気になっていた。そのような質問をしてくるという事には何かあるはず――それが何なのかは分からないけども、とりあえずなのはへの質問に答えた。

 

「私は――今の管理局があるからこそ、安定を保つことが出来ていると思う。たとえ、管理局であのような事がされていたとしても、無いよりはましだと思うんや」

「……そう。まぁ、想定内の答えっていうかんじかな? 実際、管理局が滅べば世界は荒れ、オリヴィエ様の時のように戦乱の世界になるでしょうからね。それは何としてでも阻止しなければならない」

「なら……なんで管理局を滅ぼそうとしているのや!! なのはちゃん達が行おうとしている事は、管理局を滅ぼす事ではないか!!」

 

 なのはの言葉は矛盾している――はやてはそう思った。管理局地上本部があるミッドチルダをこうも破壊しているのにも関わらず、なのはが思っていた事ははやてたちとほぼ同じだった。だからこそ、自分でそのような事態を招こうとしているなのはに対して、はやては怒りを覚えた。

 だが、なのはもはやてが怒るだろうと思っていた。今の言葉だけでは説明不足ではあるが、そのようにわざと言っていたのだから。実際なのはは自分の言葉が矛盾しているとは思っていないし、勘違いさせるように言っただけであって、自分の答えなんていうのはとっくに纏まっていあるのだから――

 

「それとこれとは別だよ。確かに最初は管理局を滅ぼしても構わないと考えていたのだけども、さっき言った通り滅ぼせは世界を超えた戦乱を迎えてしまう。そうならないようにするためにはある程度は管理局を残しておかなければならないと思っている」

「……どういうことや?」

「簡単に説明すれば、管理局の裏側で行われた事をすべて消し去ることが私たちの役目だという事。一人残らず殺して、本当の意味での平和を目指すために――」

 

 しかし、そんな平和がこの世に存在することは絶対にないとなのはは考えていた。誰だってひそかに悪だくみを考えたりする人はどんな未来でも現れるだろうし、人間というものはそう言うものだとなのはは考えているのだから。本当の意味での平和となのはが言ったのは、平和を謳っている管理局側が裏で違法的な事をしてないようにするという意味でなのはは言っていた。

 たとえこの世界が完全なる平和が無理だろうとも、平和を管理する管理局だけは表裏がない平和を目指したかったのである。それくらいならば、革命などをするだけで変えられるのだから――

 

「確かに、なのはちゃんの言う通りかもしれない。それ以前に、なのはちゃん達が管理局の正体を暴かなければそんな事も知らんかった。せやけど――」

 

 はやてはなのはがどうしてここまでするかという理由をようやく理解できて同じ意見だと思ったけども、一つだけなのはと考えが違っていた。

 

「たとえそのような事をしたとしても、殺していいことではあらへんやろ!! ちゃんと捕らえて、反省させる事が出来るのやから!!」

「……本当に、そう思ってる?」

 

 はやての言葉に対してなのはの表情が一変し、はやての体が震えるほどの威圧を放っていた。この場から逃げたいと思うくらいの威圧ではあったが、はやてはその場から動かないでいた。

 

「確かに、私だってそう思っていたし、反省する人だっているのは知っていた。だけどね、そんなの甘い話だよ。私が管理局の本当の姿を知った時、ここまで酷いものなのかって思った。こんなに広まれば捕まえるだけでは唯のいたちごっこでしかないのだから。だったら、そんないたちごっこを止めるためにも人を殺すなどの制裁を下して相手に分からせるしかないじゃない」

「たとえそうやとしても、人を殺めて良いという事にはあらへん!! そんなのは――唯の武力政治やよ……」

「知ってる。けども、武力で相手を分からせるほど手っ取り早いものはないの。現に、内部の隠ぺいによって今のような事態を起こしてしまったのはどこの誰かしら? 私たち管理局でしょ」

 

 武力で相手の意志に関係なく止めることについては今は後にしても、現在の管理居ような事にしてしまった事は事実であるために、はやては言葉が詰まって何も言えなくなってしまった。

 なのは達が行っていることは確かに間違っているだろう。だけども、それほど手っ取り早く終わらせることが出来るものはなく、他の方法を探したとしても時間が掛かってしまい、相手もそれに対抗しようとするだろうからこそ、余計に面倒な事になるという事ははやてからもなんとなく理解していた。

 

「だからこそ、私は止めるつもりは無いし、私の手はとっくに手を赤で染めている。今更止めるわけにはいかないの……」

「だとしても、人を殺すというのは……」

「受け入れられない、か…… その反応は分かっていたけども、別に私はすべて武力で解決させようとは思ってないよ。さっきはやてちゃんは武力政治とは言ったけども、さすがに必要と不必要の時は分けるつもりだし、すべて武力で解決しようとは思ってないよ。簡単に終わるのならばわざわざ人を殺めることなんて私もしたくないし」

「だったら、なんで今回は武力を使って解決しようとしているのや!!」

「そんなこと、もうはやてちゃんも分かっているでしょ? 私に言わせるつもりなの?」

 

 確かに、はやても今の管理局を変えるためには武力でしか変えられないところまでになっている事はなのはに言われてなんとなく分かっていた。しかしそれでも、人を殺めることだけはどうしても抵抗があり、簡単に人を殺めているなのはにどうしてそう簡単に殺せるのだろうかと思っていた。

 だけど、実際なのはは好きで人を殺めているわけではない。誰かの為であり、また今の管理局を変えるためにと思い、それがかなり辛い事であろうがすべて自分で背負うつもりでいたのだから――

 表情や感情を押し殺すことはもはや慣れていた。たとえ親友であったはやてに対しても、気づかれないようにする事はもはや容易い事でもあった。自分だけ苦しめばいいだけだと思っており、自分の心を傷つけることなんて全く気にしてもいなかった。

 

「……さて、そろそろ話していても仕方ないし、始めようか。そろそろ、他のみんなも集まってくるだろうけど、その前にはやてちゃんだけは倒してあげる」

 

 そして――なのはは突然と微笑み、はやてはなのはの言葉を聞いて警戒を強めるのだった――


 
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