No.547947

超次元ゲイムネプテューヌmk2BlackFateその30

やっと30…これ何時終わるんだろう。

2013-02-23 23:24:13 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:773   閲覧ユーザー数:674

~??? ??? プラネテューヌ領内 上空 Sideネプギア~

ここはどこ?私は誰?

 

記憶喪失を始めとした物語でよく使われるフレーズだけど、私は記憶喪失ではない。だけどこの言葉を思わず口にしていた。

ここはどこ?

プラネテューヌであることは間違いないだろうけど違う。私が知っているより、市街がずっと狭いし、近郊にあった廃城からは妙な歓喜的雰囲気が広がっている。私の知っているプラネテューヌではない、と言い切るには十分な要素。

 

私は誰?

私はネプギア。プラネテューヌ女神候補生、パープルシスター。

でも今は?サーダナ。プラネテューヌの女神、リーラハート。

私は自分がネプギアだと思っている。しかし私以外の全ては私をサーダナだと現している。この違いは?どちらが本当?

生物の本質は身体か、精神かという話はよく聞く。少なくともゲイムギョウ界においては【両方】と答えられる。

ゲイムギョウ界では(別の世界は知らない)生物は大きく二つのデータ帯で構成されている。

一つは外部データと呼ばれるもの。コレはつまり身体のことでありこのデータの移り変わりはそのまま身体の行動、状態変化が起こる。空腹や眠気といった生理的欲求は外部データによって起こされているものだとか。

 

もう一つは内部データと呼ばれるもの。外部が身体なのだ、ソレに対して内部、ということはそのまま精神を構成しているものと言われている。

言われている、と曖昧な表現をしたのも理由がある。この二つのデータ、特に内部データは解析することすらできないのだから。

 

血液の量や健康状態などのものなら医者などそういった分野の人ならある程度は理解できるでしょう。しかし自分の体の全てを0と1で表現しろなんていわれてできるのはそういない。だから言われている、程度の存在なのだ。

誰がそんな眉唾なものを言い出したか、言うまでもなくいーすん…イストワール。そういうデータで存在しているということだけ証明して後は投げっぱなし。まるで人間、もしくは女神までも試しているのかと思える。

 

……気づかぬ間に話がそれていたけど、つまり今の私は外部データがサーダナ、内部データがネプギアという存在になっているということ。この存在はサーダナ、ネプギア、どちらに分類されるのか、ということ。

 

全然、わからない。

 

 

「あーいたいたー。イストワールとの話は終わったのー?」

 

答えの見つからない(あるいはない)問題のことを考えていると突然背後から声がした。

振り返るとそこには露出度…は普通だけど腹部周りに大きなフープを浮かせた女性が浮いていた。

…ウラヌスさんだろうか。

 

「…はい。一応は」

「あー、そっか、記憶喪失なんだもんね。私のことわかるわけないか。…一回、あそこ降りよう。」

 

ウラヌスさん(?)に手を取られ、近場のプラネタワー屋上にゆっくりと降下していく。私が知っているよりも少し低かったけど、それでも海の向こうにラステイションが見えるほどには遠くが見えた。

 

「セットダウン。っと。えーっと、まず自己紹介だね。私はウラヌス。お姉さん、あなたの妹で女神候補生。一応」

 

着地したと同時に揃って女神化解除。やっぱりウラヌスさんだった。

…サーダナさんの妹、か。雰囲気は大分違う。まぁ私とお姉ちゃんだってそこまで似ているわけでもなかったしそういうものなのだろう。

人間の姉妹と、女神の姉妹。この違いは、意外と大きいのかもしれない。

 

「で、お姉さん自身のことだけど「知っています」」

 

私に言葉を遮られたのが驚きだったのかウラヌスさんは目を丸くした。

…それはそうだろう。何もわかってないはずの記憶喪失者が自分のことを覚えているとはっきり発言するんだから。

 

「人間名サーダナ、女神名リーラハート。主な武器は鎌……でいいですよね。できれば、世界情勢について教えて欲しいのですが…」

「え、あ、うん。りょーかい…」

 

疑問は尽きないようだけど、無理やり納得したのか投げかけることはなくウラヌスさんは説明を始めた。

 

 

「今、ゲイムギョウ界は未曾有の危機に直面している……らしいんだ。私も詳しくは知らないんだけど、ルウィーで女神のような何かが現れていまどこかに潜伏してるんだって。名前はマジェコンヌって言って、イストワール曰く女神のなりそこない、らしいけど……お姉さん?」

「………!?な、なんですか?」

「な、なんかすごく怖い表情してたから…。大丈夫?」

 

そんなに表情に出ていたのだろうか。ウラヌスさんは覗き込むように私の顔色を伺っている。

怖い表情をしている、なんて今まで言われたことなかった。基本的に相手を不快にさせないように必死だったから。

 

「大丈夫です、続けてください…。」

「あ、うん。それで、そのマジェコンヌが今このゲイムギョウ界のどこかに潜んでて四国とも血眼になって探してるんだ。其のマジェコンヌが現れてからゲイムギョウ界全域でモンスターが凶暴化してるし。そんな中で女神同士で喧嘩するんだからお姉さんたち女神って余裕だなーって思ったな、私。」

「マジェコンヌ……なるほど。ウラヌスさん…でいいですよね?私、そのマジェコンヌの居場所に心当たりがあります。いーすんさんに伝えてきますね」

 

呆気に取られたウラヌスさんを尻目に私は立ち上がり、飛び降りる。

途中女神化して勢いを落として着地と同時に女神化解除。女神にだけ許された飛び降り…だけど、使うことはあんまりない。普通に降下すればいいだけですしね。

 

 

大扉を開け、武器を出して(MPBLと同じ感覚で出せるみたい)いーすんさんに詰め寄る。いーすんさんは無表情で私を見つめ返していた。

 

「おかえりなさい、サーダナさん。どうしましたか?」

「ウラヌスさんから情勢を聞きました。…マジェコンヌの居場所、心当たりがあります。いーすんさんも知っていますね?」

「…………はい。」

 

意外とあっさり認めた。……わからないでもないけど。

 

「場所は中央山脈内部、ゲイムギョウ界から隔離された場所。ギョウカイ墓場…ですよね?」

「……ネプギアさん。あなたは、もしや…マジェコンヌに会うつもりですか?」

「はい。私がこんな姿になっているのもマジェコンヌが関係している…と、思います」

「そうですか……本来、私は止めるべき立場にいるべきですが……。一つだけ聞かせてください」

「なんでしょうか…?」

 

 

「あなたは、マジェコンヌに会い何をするつもりですか?」

 

 

時間が、止まった気がした。

マジェコンヌに会い、私が何をするのか。考えていなかったわけじゃないけど途端に言葉が出なくなった。

(サーダナ)ならどうする?(ネプギア)ならどうする?

私なら…………

 

「本当に世界を滅ぼすような存在か…確かめる。もしそうなら女神として倒す。それだけです」

 

自分の声が震えている。自覚できるほどに。いーすんさんもわかっているのかため息をついた。

……ダメ、なのかな…

 

「わかりました。ウラヌスさんが戻らないうちに転送します。用意はいいですね?答えは聞いていませんが」

 

突然視界が低くなった。足への力が急激に抜け、少しずつ地面に沈むように視界が低くなっている。一瞬見えたいーすんさんの涙が気になったけどそれを気にするまもなく視界が暗い紫に染まった。

~??? ??? ギョウカイ墓場~

紅い空、散乱する残骸。

過去(?)だからか残骸らしきゲーム機に古いものが多く見える、というか見たこともないものばかり。こういうのが一種の遺物といわれるのだろうか。

…遺物にならなかったのがここにくる、のほうが正しかったかもしれない。墓場だし

 

ぐじゅり、ぐじゅりと気色の悪い音を立てる地面を歩きながらいるだあろう人物を探す。

時々見かける【倒】の字が書いてある札を張られた人間らしき女の子。一体どういう意味を持っているのだろうか。

 

人が死ぬと光粒子化という現象により消滅する。だが【その先】は一切わかっていない。このギョウカイ墓場に送られるのかと思ったけど最近死んだだろう人は見当たらない。…当然か。

 

暫く歩くと広場についた。

……未来では、ここでお姉ちゃん達四女神+私とマジックが戦い、破れた場所。相当昔といってもいるだけで心地が悪い。

縛っていたパイプもなく、ただの広場のようにスペースだけが存在していた。

中心で座っている少女らしき人影を除けば。

 

 

「……」

 

広場という空間に合わない椅子。人間を集め固めたような模様にちょこんと座る様はなんともいえない違和感を漂わせている。

ちょこん、と表現したとおり、椅子に比べて体格が小さい。見たところお姉ちゃん以上私以下、というところか。勿論人間時の姿で。

 

これが、マジェコンヌ…?サーダナより小さいのではないだろうか。

…なんだろう、気合的なものが抜けた気がした。

 

 

「……誰?」

 

この場に来て二回目の驚愕。

マジェコンヌかと思った子が発した声は予想以上に幼く、世界を破滅させるような存在だとは到底思えなかった。

マジェコンヌの伝説なんてただの噂で、マジック達みたいなザ・ハードのあれなんてただの狂信者の暴走でしかないのではないか、と思った。

 

「私『の名はサーダナ。』…!?」

 

今、私じゃない何かがしゃべった。

私はネプギアと言うつもりだった、のにサーダナと言った。

どういうことか、なんて私が一番よくわかってない。ただサーダナの体になっているわけではない、ということなのだろうか。

心なしか、体が痺れるような何かを感じる。

 

「サーダナ…。私は、マジェコンヌ。ルウィーの女神」

「ルウィーの女神が『何故こんな場所にいる?』

「…成り損ないだから。私の信仰(シェア)はルウィーとは違うものって、聞いた。それに……」

 

マジェコンヌは言い渋るような素振りを見せた。

……(サーダナ)に言いたくないようなことでもあるのだろうか?

 

「……マジェコンヌ。本来ならわた…我は女神として貴様を狩らなければいけない立場にある。…が、どうにも解せない」

 

鎌を喉元に突きつけてもマジェコンヌは薄ら笑いを浮かべたまま私を見つめ続けている。

まるでサーダナではなく(ネプギア)を見ているかのようだ。

 

「私について知りたいのかな…?サーダナ……」

「そうなるな。【出来損ない】【反逆者】【世界を破壊するもの】…この意味を教えてもらおう」

「断ったら…?」

「女神として、貴様を狩る」

「怖いなぁ……いいよ。ここにいてもすることないし、ずっと暇だったんだ…なんでも聞いて」

 

 

……正直、驚いていた。

自分がサーダナの口調で普通にしゃべっているのもあったけどそれ以上に、マジェコンヌについて驚いていた。あのザ・ハードがやたらに信仰する犯罪神マジェコンヌの正体がこんな年端もいかぬ(かは見た目ではわからないが)少女の姿をしていたのだから。

 

「貴様が世界を滅ぼせるというのは、本当か?」

「知らない、やろうとすればできちゃうんじゃないかな。…いや、やろうとしなくてもなってしまうかもね」

「どういうことだ」

「生物には本能というものが存在している。ロクに教育も受けられなかった私は本能によって存在していると言っていいね」

 

妙に遠まわしな言い方をしている。まるで私から何か聞き出そうと…いや、【私から聞き出されようと】しているのかと思えた。

あんな口調で話しておきながら本能だけで動いているのなら、自分の本能の先を聞き出して欲しいと、そう願っているのではないかと、そう思えた。

 

「貴様が世界を滅ぼすのが本能というのなら、それこそ破壊神のすることだ」

「だから捨てたんじゃないかな。本来女神として生まれるはずが破壊神が生まれちゃったんだから」

「……何故貴様は破壊神と成った。女神、だったのだろう?」

「信仰の違い、じゃないかな。信仰っていうのは信じ仰ぐって書くでしょ?その信じる元が違うんだよ」

「信じる元だと?」

「そう。人間は感情の塊だよ。女神を信じる希望を持っておきながら何かを憎む絶望を持っている。希望と絶望、相反する感情を救う神は片方だけでは足りなかった。希望を糧にする神ではなく、絶望を旨とする神が必要だったんだよ」

「それが、貴様だというのか」

「そう。私の信仰は希望じゃなく絶望。人の負の感情を糧とする。それが私、破壊神マジェコンヌ」

 

呆気に取られていた。

破壊神マジェコンヌ。世界の誰にも信仰されないと同時に世界の誰からも信仰される神。

その笑みは――――――

 

「サーダナ。前時代の話、興味ある?」

「知っているのか?」

「勿論。ここは墓場。墓場は過去に埋められたモノも今埋まるモノも未来埋められるモノも全て集う。過去、現在未来全てを見ることができる。私はね、本能を果たすことさえ出来れば後はどうでもいいんだ。ねぇサーダナ。私を利用してみない?」

 

まさしく、神の誘いに見えた。

~ゲイムギョウ界 プラネテューヌ プラネタワー内部 屋上~

「キャストリームさん、ここにいましたか」

「ん、何かあった?って聞くまでもないか」

 

はぁ、疲れたと言いたげな顔でイストワールが佇むキャストリームの隣に現れた。

二人の視界の隅では、二つの小さな黒い光がここから離れるように北へ飛び去っていったのが見え、はぁ、と二度目のため息を吐いた。

 

「逃がしたみたいだね。何したのイストワール」

「いえ、何も?あちらが勝手に勘違いしただけなようで」

「ああそう……どうせ吹っかけたんでしょ?」

「なんのことやら。っと、そういえば一つ聞きたいことがあったのですよ」

 

イストワールの問いにキャストリームは首を傾げる。

笑んだ表情からして笑い話の一種かもしれないとキャストリームは読んだ。

 

「ネロさんとユニさん。何故存在していると思います?」

「故意にシェアを供給しているのか、それともうっかり忘れているか…。どっちかって?」

「はい。ケイさんともあろう方がまさか切断の存在を忘れているとは思えません」

「忘れてるのはグリスのほうじゃないかな。もしくは最初から知らない、とか」

「グリスさんがですか?」

 

イストワールは不思議そうな表情を浮かべた。

グリスは完璧を志としている女神。それが教祖の対女神緊急手段の存在を忘れているとは思えない。が、キャストリームは妙に確信を持った様子に言い放った

 

「私達はそれぞれ現女神の妨害または国そのものののっとりを任務にしてるけど、あいつのことだからね。多分全員皆殺しにしてでも乗っ取るよ。あいつ味方作るのだけはうまいし。それに……」

「それに?」

「あいつ、表面上は完璧でも中身はかなりの天然だからね。忘れててもおかしくない」

「なるほど。それは知りませんでした」

 

気づけば二人の視界から黒い光は消え、先ほどまであった方向には吹雪が吹き荒れている。

ルウィーとプラネテューヌ間には街道がない。というのも、この二国の間には一年中吹雪が吹き荒れる地帯が壁のように存在している。人間が通るにはあまりにも過酷過ぎる環境故事実上女神専用の街道と化している。といっても其の地域特有のモンスターも存在しているため決して安全というわけでもない。

 

「ルウィーの前代といえば…キューさんでしたか」

「そうだねぇ…あの三人には荷が重いかもね。現代の女神と候補生を味方にできて互角、ってとこかな」

「キャストリームさんにしては高く買っているようで」

「正当な評価だよ、誰に対しても過小評価過大評価どちらともいい効果はないからね」

「よく言いますね」

「……?」

「なんでもありません。さて、女神といえど高高度は冷えますよ。では」

 

姿を消し、さらに本を閉じて身を投げたイストワール。

本に身を隠していれば落下しても大丈夫というのは本人の弁だがキャストリームにとっては冷や汗物。もしプラネタワーのふもとでイストワールが死体が発見されでもしたら色々と大変なことになる。

教祖まで奇行に走ることに頭を抱えながらキャストリームも下りるため歩き出した。


 
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