No.544218

魏√からの帰還・・・・そして、NEXTステージへ!?

劉邦柾棟さん

一年近く、放置してしまいましたが……何とか続きが出来ました。


何度も何度も書いては消し、書いては消しの連続で此処まで辿り着くのにこんなにも掛かるとは orz

続きを表示

2013-02-14 20:00:23 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2198   閲覧ユーザー数:2040

プロローグ:動き出す『新たな運命』と『通りすがりのガンダム仮面ライダー』との出会い

 

 

 

 

一刀side

 

 

『華琳や魏の皆と別れ……元の世界に戻って来て早々、あの『及川(バカ)』にキスされそうになるという嬉しくないイベントを速攻でぶっ壊した後の事を語ろう』

 

 

俺は屋上で寝っ転がって、空を見上げながら午前中の事を思い出していた。

 

 

 

‐回想‐

 

 

一刀「ハァ~!」

 

 

ヤバイ、自分が思ってる以上に深刻な溜め息が出ちまう。

 

 

まあ、仕方がないよな~華琳達との別れを悲しむはずが……あまりにも『アホな出来事』で、そのタイミングを逃してしまった訳だからな~。

 

 

及川「なんや? かずピー、さっきからずっと溜め息ばっかりやで? どないしたん?」

 

 

声の方向に目を向ければ腐れ縁で先程、俺に顔をブン殴られた「『及川(バカ)』がいた。

 

 

先程、俺の感傷に浸る過程を完全にブチ壊してくれた『及川(バカ)』をボッコボッコにしてやったんだが……チッ! もう復活しやがったか。

 

 

取り敢えず、俺は当の『及川(バカ)』に対して・・・・・

 

 

一刀「……いや、……別に何でもない」

 

 

っと、口ではそう告げるも…心の中で俺は『いや、溜め息ばかりにもなるだろう……主に誰かさんのせいでな』っと思っていた。

 

 

及川「しっかし、かずピー。 ホンマに何があったんや? 昨日とは、まるで別人みたいやで? 雰囲気とか体つきも何か……変わっとる気がするし」

 

 

一刀「気のせいだろう? 一日やそこらじゃ、人は急に変われる訳が無いんだから」

 

 

普段から彼女が(゚д゚)ホスィ…とか言って先輩や同じクラスや同学年に後輩の女子に対してナンパしたり他校の女の子とかと合コンを成功させようとして毎回失敗するのがお約束な奴のくせに、こういう時だけは無駄に鋭いなホント。

 

 

『……って!? コラ!そこ!「お前も人の事言えないだろう」とか言うな!?(#゚Д゚)』

 

 

※メタ発言乙~。

 

 

及川「うーん、せやけど~確かに昨日までの「かずぴー」とは何か違う気がすんねんけどな~」

 

 

首を傾げながらそう言って及川は俺の傍から離れて行った。

 

 

確かに及川曰く、俺の雰囲気や体つきが変わっているのも仕方がないだろう。

 

 

なんせ俺はあっちの世界で華琳こと曹操と共にが大陸制覇をして、華琳と別れを告げたあの満月の夜までの一年近くの時間を過ごしていたんだから

 

 

逆に俺の方が驚いたくらいだよ。

 

 

何せ、俺があの世界に行った日じゃなくて、あの世界に行く前の日に……昨日の日に戻っていたんだから。

 

 

えっ? 何で「わかったのか?」って、そりゃ~簡単だよ。

 

 

教室にあるカレンダーと黒板の日付に、殴り飛ばした及川(バカ)の携帯を見たからだ。(俺のは、あっちの世界で壊されたからな)

 

 

それを知った時の俺は「何故だ?」って考えもしたけど本音を言えば「良かった」に尽きるよ。

 

 

もし、下手に時間が経っていたならばどうなっていたことか・・・・・・。

 

 

例えば、「行方不明で警察ざたになっていた」とか「無事に帰って来たのいいけど既に何十年も経っていて俺の事を知っている人達がもう殆んど居ない」なんて事になっていたら前者ならどうにか言い訳や対応が出来るけど、後者の場合だと俺自身の力だけじゃホントどうしようも無いからな。

 

 

その後、流石に『及川』だけでなく周りの皆も俺の雰囲気や体つきが変わっていた事に気づいた様だが、其処の所は最近サボってたから「筋トレ」をしてるんだとか言って無理矢理という形ではあったけど、なんとか誤魔化す事に成功した。

 

 

もちろん、華琳達の事は伏せてあるけどね。

 

 

三国志に似た世界に……しかも有名な武将や軍師達が全員女の子になった世界に行っていたなんて言える訳が無い。

 

 

仮に言ったとしても『何言ってんだ? 頭、大丈夫か?』って言われるに決まっている。

 

 

しかも、あの世界にはこっちの歴史には無い『真名』と呼ばれる風習がある。

 

 

下手に曹操達=華琳達の事を口にしたりすれば、その事(風習)を知らない連中に皆の事を侮辱されたり彼女達の『真名』を言われたりするのは俺としては我慢できないし最悪暴力ざたになるかもしれないからだ。

 

 

今にして思えば、向こうの世界で一番最初に出会った風や稟に趙雲さん達が風の『真名』を俺が勝手に呼んでしまった時の気持ちが今ならはっきりと解るな。

 

 

もし、立場が逆だったら俺も稟や趙雲さんと同じ様に風の『真名』を勝手に呼んだ相手を許す事は出来なかっただろう。

 

 

やがて予鈴のチャイムが鳴り、担当の先生が来て皆それぞれ自分の席に着き授業が始まった。

 

 

この光景も俺にとっては、すごく久しぶりだ。

 

 

でも・・・・・

 

 

そんな気持ちに相反して久しぶりの授業だというのに、俺は心ここにあらずで授業の内容は全然頭に入ってこず、華琳達の事ばかり考えていた。

 

 

あの別れの後の事を・・・・・・

 

 

あの後、華琳は皆に俺が消えた事を伝えたのだろうか・・・・・。

 

 

みんな……俺が消えた事を華琳から聞いて、怒っただろうか? 悲しんだだろうか?

 

 

春蘭は……絶対怒っているだろうな~。 俺と秋蘭の三人で一緒に華琳を支えて行こうって約束したのに・・・・・

 

 

秋蘭は、俺が居なくなった原因を華琳から聞いて落ち込んで無ければ良いんだけど。

 

 

季衣や流琉も・・・・・俺が居なくなって泣いているだろうな。

 

 

桂花は「あんな『全身精液生産発情種馬男』が居なくなって清々するわ」とか言ってるんだろうな~。

 

 

稟は多分、呆れながら俺に対しての苦言を言って・・・・・・

 

 

風は……「ぐぅ~」って寝てそれを見た稟が「寝るな!?」ってツッコミを入れて「おお~ぅ」って、何時もの遣り取りをしてから……風は文句を言うんだろうな。

 

 

凪や真桜に沙和も色々言っているだろうな。

 

 

『隊長! 何で私達に何も言わずに帰られたんですか!?』とか『せや! うちら三人をあない夢中にさせといて勝手にいなくなるんやなんて最低やで隊長!?』とか『そうなの! 沙和達は隊長と、ずっと一緒がいいの! 置いてっちゃ嫌なの!?』って言ってるな……きっと

 

 

霞も怒ってる・・・・・よな。 「いつか、一緒にローマに行こうぜ」って約束したのに勝手に居なくなった訳だし・・・・・

 

 

天和・地和・人和達にも悪い事しちゃったな……遠征前の舞台の時に、次は『大陸全土を巻き込んだ舞台を目指して一緒に頑張ろう』って約束したのに居なくなった訳だし。

 

 

皆の事を考えている内に、午前の授業は終わり昼休みになり、俺は一人きりになりたかったので購買に行ってパン等を買ってから誰もいない屋上に行った。

 

 

そして、冒頭へ戻る。

 

 

 

‐回想終了‐

 

 

 

 

 

一刀「取り敢えず、昼休みを使って「華琳や魏の皆と別れた事」や「現在の自分の置かれた状況」を粗方確認出来たし、一応ではあるけど自分の気持ちを整理する事が出来た……かな?」

 

 

すると、結構時間が経っていたのか、俺の耳に昼休みの終了を告げる予鈴が聞こえて来た。

 

 

一刀「……さてと、もう昼休みが終わるから急いで教室に戻らないとな」

 

 

そう言って、俺は立ち上がり屋上を後にした。

 

 

だが、

 

 

この時・・・・・・

 

 

俺は気付いていなかった。

 

 

俺の事を見ていた者達がいた事を・・・・・・。

 

 

一刀side 終了

 

 

 

 

 

 

????side

 

 

一刀が屋上から校内に戻って行くのを、別の校舎の屋上から、観察していた者達がいた。

 

 

??「やれやれ、「気持ちの整理が出来た」なんて嘘で無理に気持ちを隠しても顔に出まくりだよ? 一刀君?」

 

 

一人は「北郷一刀」と同じ、「聖フランチェスカ学園」の制服を着た青年が首に吊るした「Canon」の青いデジタルカメラで校内に戻って行く一刀を撮っていた。

 

 

そんな青年の傍に・・・・・・・

 

 

??「ああ、「好きな女の事を思っている」って顔に出まくりだぜ」

 

 

金色のコウモリが青年の周りを飛びながら意見を出していた。

 

 

??「まあ、仕方がないさ。 『彼』にとって、彼女達は掛け替えの無い存在なんだから」

 

 

??「だな。 で? どうすんだ■■? やっぱ話すのか『例の事』を?」

 

 

??「もちろん話すよ。 一刀君にとっては是が非でも無い事なんだから」

 

 

??「確かにそうだが……一刀本人にとっては辛い事実だぞ?」

 

 

??「わかってるよ。 でも、このまま放置して置けないのも事実だろ?」

 

 

??「・・・・確かに、そうだが」

 

 

??「まあ、決めるのは一刀君だけどさ」

 

 

??「そうだな」

 

 

??「さあ、色々と準備しなきゃいけないからな。 準備開始だ」

 

 

??「おう!」

 

 

その言葉と共に青年と金色のコウモリは、その場から姿を消した。

 

 

????side 終了

 

 

 

 

 

 

一刀side

 

 

その後、教室に戻り午後の授業を真面目に受け放課後となり、俺は久しぶりに部活に参加する為に自分が所属する剣道部の道場へと向かった。

 

 

道場に入ると、そこには俺があの世界に行く前まで共に部活動に励んでいた懐かしい剣道部の面々がいた。

 

 

まあ~、何度も言ってるけど「俺的には」という意味でなんだけどね。

 

 

久しぶりの部活なので浮ついた気持ちのまま手を抜くなんて訳には流石にしたくないので俺は一先ず華琳達の事を頭の隅に置き部活に集中する事にした。

 

 

久しぶりに袖を通した道着を懐かしいと感じる程に、改めてあの世界の出来事は嘘でも夢でも無く現実であったと実感している自分がいた。

 

 

一刀「シッ! ハッ!」

 

 

―――――ブン! 

 

 

一刀「フッ! セイッ!」

 

 

―――――ブン!

 

 

一心に竹刀を何度も素振りしながら精を出していると何故か周りの皆が俺の事を見ている事に気づいた。

 

 

『アレ? 俺、何か変な事でもしたかな?』っと思ったので近くにいた同じ学年の剣道部員に声を掛けた。

 

 

一刀「なあ、俺なにか変な事でもしてたかな?」

 

 

部員1「えっ? い……いや、そんな事は無いけど何で?」

 

 

一刀「いや、何かさ……皆して俺の事を見てるから少し気になっちゃって」

 

 

俺がそう告げると周りの皆がバツが悪そうな顔をした。

 

 

??「それは当然でござろう」

 

 

一刀「えっ? 不動先輩?」

 

 

そんな話をしていると、剣道部の先輩であり俺が尊敬し目標とする不動先輩が俺の所にやって来て俺の疑問に答えてくれた。

 

 

不動「北郷殿。 皆が北郷殿の事を見ていたのは北郷殿の素振りが昨日までとは全く違っていたからでござるよ」

 

 

一刀「えっと……そんなに違いますか? 俺の素振りって?」

 

 

俺としては、いつも通りにやっているだけなんですけど(汗

 

 

不動「うむ、敷いて言うなら『昨日までの北郷殿の素振りには無かった』物が『今の北郷殿の素振りにはある』という事でござるよ」

 

 

一刀「どういう意味ですか?『昨日までの俺には無かった物が、今の俺にはある』って?」

 

 

不動「うーむ、なんと言えばいいのでござろうか。 そう……昨日までの北郷殿は只単に竹刀を振るうだけの型に沿った振るい方だったのが、今は竹刀を振るう際に気持ちが……気迫が篭っている様に感じるでござるよ」

 

 

一刀「……気迫が……篭っている?」

 

 

俺は不動先輩に言われた言葉の意味を噛み締める様に呟いた。

 

 

確かに、不動先輩の言う通りだ。

 

 

あの世界に行く以前は俺の剣道の腕前なんて爺ちゃんに教わってはいたけど、それは先輩の言う様に型に沿った基本的な物でしか無かった。

 

 

あの世界で、華琳達と共に歩んで行く中で「ソレ」を酷く痛感した。

 

 

俺と皆とでは武や知だけじゃなく、色んな物が……『覚悟が足りない』という事を嫌って言う程に……。

 

 

だから、少しでも、ほんのちょっとでも皆に追いつける様に……

 

 

俺は・・・・・・・

 

 

不動「・・・・殿? ・・・・郷殿? 北郷殿!?」

 

 

一刀「えっ? あ、は……はい! 何ですか、先輩!」

 

 

先輩の言葉を聞いて考え混んでいたら先輩が俺を呼んでいるのに気づけず驚いてしまった。

 

 

不動「おお、驚かせてしまったようですまぬ。 何度か声を掛けたのだが聞こえていなかったようなので、つい大声を出してしまったでござるよ。 それはそうと何やら考え込んでいたようだが、如何した? 北郷殿?」

 

 

一刀「あ、いや、その~……先輩に言われた言葉を聞いて少し考えていたもので」

 

 

不動「拙者が言った言葉?」

 

 

一刀「はい、『気迫が篭っている』って先輩が言った言葉の事をです」

 

 

不動先輩は何の事か分からかったみたいなので、俺は先輩が言った言葉をもう一度先輩に言った。

 

 

不動「なるほど、……北郷殿。 一度、拙者っと手合わせをして貰えぬか?」

 

 

すると、不動先輩がトンデモナイ事を言ってきた。

 

 

一刀「ちょっ……ちょっと待って下さい! 何で俺が不動先輩と手合わせをする事になるんですか!?」

 

 

俺が不動先輩と手合わせですと! そんなの戦う前から結果が見え見えでしょうが!? 

 

 

話を聞いていた部員の皆も先輩の突然の言葉に驚いていた。

 

 

過去に俺は一度として先輩に勝てた事なんて無い、一方的に攻められて手も足も出せず無様に実力の差を思い知らされた事しか無いのに、どうして今先輩と手合わせをしなければいけないんですか!?

 

 

俺は先輩の突然の言葉にパニックになりながらも、どうすればこの展開を回避出来るのかを必死に考えていた。

 

 

不動「すまぬ、北郷殿。 拙者としても言葉だけで北郷殿に説明できればいいのだが、それだけでは説明出来ない部分があるのでござるよ」 

 

 

必死に考えている俺に、先輩が申し訳無さそうな顔で俺にそう言って来た。

 

 

一刀「え? あ、あの……不動……先輩?」

 

 

そんな不動先輩の申し訳無さそうな顔を見て、俺は思考が完全に停止してしまった。

 

 

そして、先輩は俺の顔を……俺の目を見ながらこう続けた。

 

 

不動「突然の事で北郷殿も混乱しているとは拙者も重々承知している。 そんな事をせずともしっかりと言葉を選びながら北郷殿に説明すれば済むという事もだ」

 

 

俺は……いや、俺だけじゃなく、いつの間にか他の部員の皆も不動先輩の真剣な言葉に聞き入っていた。

 

 

不動「しかし、それでは駄目だと……拙者の中の『何か』がそう言っているのでござるよ」

 

 

一刀「・・・・・・」

 

 

俺が知っている中で過去の記憶を含めても、こんなにも真剣な表情の不動先輩を見るのは初めてだった。

 

 

それ故に、俺は言葉が出て来なかった。

 

 

不動「……北郷殿」

 

 

目を瞑り・・・・・・

 

 

再び、目を開けた不動先輩が俺の名前を呼んだ。

 

 

一刀「はい」

 

 

呼ばれた俺は自分でも驚く位に、自然に返事を返していた。

 

 

不動「改めて、もう一度言わせて頂きたい。 拙者と手合わせをして頂けないだろうか?」

 

 

その言葉を言われた時、俺の答えはもう決まっていた。

 

 

一刀「わかりました、お手合せ……よろしくお願いします! 不動先輩!?」

 

 

俺は不動先輩に頭を下げながら、手合わせを了承した。

 

 

一部始終を見ていた部員の皆は急遽決まった俺と不動先輩の勝負に驚いていたが…すぐに落ち着きを取り戻して試合の準備に取り掛かってくれた。

 

 

俺と不動先輩は互いに防具を付け、向かい合わせに座り頭を下げて礼を尽くした。

 

 

そして・・・・・・・・・

 

 

部員2「そ…それでは、これより不動先輩と北郷先輩の試合を行います。 試合内容は三本勝負で、先に二勝した方が勝ちとなります。 」

 

 

試合の準備が整い、審判を勤める事になった下級生部員の子が緊張しながらも、ルール説明をする。

 

俺と不動先輩は立ち上がり竹刀を両手で持ち正眼に構える。

 

 

一刀「(あの世界で培った経験が何処まで、不動先輩に通用するかは解らないけど……出来れば、一勝くらいはしたい!)」

 

 

俺は先輩と向き合い目を瞑りながら、あの「戦乱の世」で……華琳達の側で培って来た経験を思い出す。

 

 

俺が再び目を開けて先輩を見てみると、何故か嬉しそうな顔をしていた。

 

 

お互い、準備が整い審判を勤める下級生部員の子が「試合開始」の合図を出すのを待つ。

 

 

部員2「そ、それでは! 試合開s・・・・・・」

 

 

一刀「(先輩には申し訳ないけど、先手は取らせて貰いますよ!?)」

 

 

俺は先手を取る為、審判の子が「試合開始」の合図を言い終える瞬間を狙い、勢いを付けて一気に不動先輩に向かって行った。

 

 

一刀「貰っt……って、あれ?」

 

 

先輩に『面』を決めようとした瞬間、俺はある違和感に気が付き振るおうとしていた竹刀を先輩の面ギリギリで止める。

 

 

一刀「先輩?」

 

 

俺が感じた違和感……それは不動先輩が動かない事だった。

 

 

不動先輩は、こんな不意を突くやり方をしても冷静に対処出来る人だというのは俺がよく知っている。

 

 

伊達に不動先輩を目標としている訳では無い。

 

 

なのに、先輩は動こうとしない。

 

 

一刀「……何だ、コレ? 一体、どうなってんだ?」

 

 

俺は先輩に近づき、右手を先輩の顔の前に出して左右に振って見るが先輩の反応は無い。

 

 

いや、先輩だけじゃなく他の部員の皆も動いて居なかった。

 

 

一刀「も~不動先輩、悪ふざけは止めて下さいよ。 ほら、試合の続きをしましょうよ? 他の皆も、冗談は止めてさ~」

 

 

俺がそう言っても、皆は何の反応も示さず……俺の声だけが道場に響くだけだった。

 

 

一刀「おいおい、冗談だろう?」

 

 

其処で俺の頭をある可能性が思い浮かんだ。

 

 

一刀「もしかして……俺以外の時間が止まっているのか?」

 

 

俺は思い浮かんだ可能性を『そんな筈があるか』っと、思い否定する。

 

 

だが……この状況はそう思わざるを得ない物だ。

 

 

一刀「ああ、もう。 何で「時間が止まる」なんて事が起きるんだよ!」

 

 

俺は訳が分からず、頭を掻きながら叫ぶ。

 

 

すると、その時・・・・・・・

 

 

―――――ピンポンパンポーン

 

 

一刀「ん? 何だ?」

 

 

俺以外、誰も動かなくなった剣道場に壁に設置されたスピーカーから校内放送の音が聞こえて来た。

 

 

一刀「もしかして、俺と同じ様な人が居て校内放送で呼びかけようとしてるのか?」

 

 

俺はスピーカーから聞こえて来た校内放送の音にそう呟く。

 

 

だが、次に聞こえて来た内容は俺の予想を裏切る物だった。

 

 

アナウンス『えー、聖フランチェスカ学園二年「北郷一刀」君。 聖フランチェスカ学園二年「北郷一刀」君。 この放送を聞いているなら至急、学園中央にある公園に来て下さい。 繰り返します。 この放送を聞いているなら至急、学園中央にある公園に来て下さい』

 

 

一刀「ッ!」

 

 

俺はアナウンスの声を聞いて驚いた。

 

俺の予想していた放送ではなく、俺個人を呼び出す内容の放送だったからだ。

 

でも……何で俺を呼び出すんだ? 

 

俺は相手の目的が解らず、悩んでしまう。

 

しかし、その疑問もアナウンスの続きを聞いた瞬間、それは意味を無くしてしまった。

 

 

アナウンス『もし、来ない場合……北郷一刀君? 君は魏の皆ともう一度会う最後のチャンスを永遠に失う事になるよ? それでも良いのなら構わないけどね?』

 

 

一刀「なっ!?」

 

 

今、なんて言った?

 

魏の皆に・・・・・

 

華琳達に会える最後のチャンスって言ったのか?

 

もう一度、皆に・・・・会える。

 

本当に?

 

先程の疑問がどうでもよくなる位、俺の頭の中は皆に会えるかもしれない事で一杯になってしまった。

 

 

そんな俺の耳に再び、アナウンスが聞こえる。

 

 

アナウンス『もう一度言うよ、一刀君? 君が魏の……曹操ちゃん達に本当に会いたいと思うなら学園の中央にある公園に今すぐ来るんだ。 俺は其処で待ってる。 いいかい? 学園の中央にある公園だよ?」

 

 

―――――ピンポンパンポーン

 

 

その言葉を最後に校内放送を終える音が響いた。

 

 

一刀「・・・・・学園中央にある公園」

 

 

俺は先程のアナウンスが言っていた場所を呟きながら両手を握り締める。

 

 

一刀「行こう……学園中央の公園に!」

 

 

俺はそう叫ぶと同時に不動先輩に向き直り・・・・・頭を下げる。

 

 

一刀「不動先輩・・・・すみません。 俺、行かなくちゃいけない場所が……戻らなくちゃいけない場所があるんです! もう二度と会えないと思っていた……大切な人達の所に帰れるかもしれないんです。 だから、すみません!?」

 

 

俺は動かない不動先輩にそう告げると、男子部室へ向かい急いで着替えて荷物を持ってアナウンスで言っていた学園中央の公園に向かった。

 

 

 

 

 

 

一刀「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 

剣道着から制服に着替えた俺は剣道場を後にし、目的地である中央公園に向かって走っていた。

 

俺は走った。

 

一分一秒でも早く、公園に着けとばかりに無我夢中で走った。

 

華琳達にもう一度、会える事が出来る。

 

もう一度、あの世界に行く事が出来る。

 

あの時、言えなかった言葉を言う事が出来る。

 

ただ、それだけを考えながら・・・・・

 

そして、急いで走ったかいがあったのか……目的地である公園に到着した。

 

 

一刀「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 

公園に着いた途端に俺は息切れを起こしてしまう。

 

 

すると、そんな俺に声を掛ける人物が現れる。

 

 

??「やあ、随分と早かったね? 少し、悩んでから来ると思っていたんだけど」

 

 

一刀「はぁ、はぁ……。 あ…あんたが、俺を呼び出した人か?」

 

 

俺の前に現れたのは、俺と同い年位のフランチェスカ学園の制服を来た男子生徒だった。

 

 

だが、俺はこの男子生徒に見覚えが無い。

 

 

仮に転校生だとしても、この学園で一度くらいは見かけてもいいはずだ。

 

 

??「そうだよ」

 

 

俺の質問にそう返す目の前の男子生徒。

 

 

一刀「何で、あんたは華りn…いや「『何で、曹操ちゃん達の事を知っているのか?』でしょ?」……なっ!」

 

 

俺がうっかり華琳の『真名』を言おうとしてしまい、言い直そうとしたら目の前の男子生徒は俺が言おうとしてた事を言い当てた。

 

 

??「そう驚かなくても分かるよ? 君が彼女達の事を大切に思っているのは良く知っているから」

 

 

そう、優しく俺に語りかける目の前の男子生徒。

 

 

一刀「あんた……一体、何者なんだ? 俺の名前は誰かに聞いたり、調べたりすれば判るけど。 何で、俺が誰にも……一度も口に出していない『曹操』達の事を知っているんだ?」

 

 

??「君の質問に答える前に自己紹介をしようか? 俺だけ君の名前を知っているのは不公平だからね」

 

 

一刀「えっ? あ、ああ」

 

 

言われ見ればそうだと……今更ながら気づく俺。

 

 

柾棟「俺は「外史の管理者」をしている者で、名前は「劉邦柾棟」 『通りすがりのガンダム仮面ライダー』だ。 覚えておけ」

 

 

一刀「と…『通りすがりのガンダム仮面ライダー』?」

 

 

 

これが、『魏の天の御遣い』北郷一刀と「外史の管理者」で『通りすがりのガンダム仮面ライダー』である劉邦柾棟との最初の出会いだった。

 

 

 

 

一刀side 終了

 

 

 

 

 

This story is to be continued


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
5
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択