No.543748

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第百九話 お客様の中に金髪幼女はおられませんか?!

2013-02-13 19:22:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5606   閲覧ユーザー数:4995

 第百九話 お客様の中に金髪幼女はおられませんか?!

 

 

 

 高志視点。

 

 温泉旅行から一夜明けて、キリエさん達はマテリアルの皆を連れて未来の世界に帰っていった。

 未来から来たというヴィヴィオ達も元いた時代に帰っていった。

 本来、未来の人が過去の人間である俺達に接触するのは御法度で、そうすることによりその未来の人が存在しなくなるかもしれない。

 タイムパラドックス。それを防ぐために記憶を消すための装置をプレシアが監修の元、行われたのだが…。

 

 『…じゃあ、やるわよ。D・エクストラクター起動」

 

 「こちら、シャマル。魔力での方では問題ありません」

 

 [スフィアの方も問題無い。…今のところはな]

 

 「こちら高志。…今のところは順調」

 

 とある無人世界で俺とプレシア。そしてシャマルさんとリインフォース。はやてのメンバーでとある実験をしていた。

 システムU―D。『エグザミア』を模倣して安全性能を徹底してとある装置実験をしていた。

 

 ―まさか、『エグザミア』を基礎にしてブラスタ・ガンレオンからスフィアの性能を応用。夜天の書のプログラム。カートリッジシステム。からD・エクストラクターを作り上げるなんて…。プレシアって本当に天才なんだな―

 

 俺とプレシア。そして、リインフォースとリニスの四人は『未来から来た』という事実を覚えていた。

 何故か消えなかったことにプレシアは疑問に思っていたが、俺は何となく予想がついた。

 

 永遠に戦い続けるスフィアリアクター自身。そして、それに巻き込まれる『スティグマ』の候補だから。

 P・Bをプレシアとリニスとも受けたことがある。つまり、この二人には『傷だらけの獅子』の『スティグマ』を刻む可能性が他の皆に比べて高いのだろう。その為、この世界観からはかなりのイレギュラーなんだろう。

 と、温泉から返ってきた時に意識を回復させた?『傷だらけの獅子』のスフィアが話しかけてきた。その声は今のところ俺にしか聞こえない。

 アリシアの方は覚えているのかどうか微妙だ。何せ、『未来から来た』というより『遠くの世界から来た』といった感覚なのだろう。その為か未来から来たという容易に記憶はすり替えられた。…これって洗脳じゃないの?

 

 で、消えていなかった事を良い事にプレシアはD・エクストラクターを作ろうと言い出した。

 目的は『アサキム対策』。そして、その為に自分が戦うための新たな力を手に入れる事。

 俺や他の三人は反対した。なんせ、管理局には秘密裏に行いたいからだそうだ。今度、管理局を敵に回したら俺達はもちろん、フェイトの身の安全も確保できなくなる。

 忘れかけていたけどプレシアは管理局に人生を滅茶苦茶にされた。だから、そうしたいのはわかるけど…。

 でも、アサキム対策は多い方がいいし…。それにリインフォースを助ける手段にもなっているから強く否定できなかった。

 

 […相棒。…集中しろ。もうすぐ出来る(・・・)ぞ]

 

 いろいろと考えている俺に『傷だらけの獅子』のスフィアが話しかける。

 目の前にはブラスタ(中身なし)が鎮座しておりそこからは幾つものコードが伸びている。

 そして、ブラスタの下には幾重ものの魔法陣。

 そのブラスタを取り囲むように五メートルほど離れた所に俺とシャマルさん。はやてとリインフォースがいる。

 はやてとリインフォースは二人一緒にいるので三つの光でブラスタを照らす魔方陣を作り上げているような形だ。

 

 シュオンッ。

 

 と、空気が抜けるような音がすると同時にブラスタの瞳にあたる部分には緑の光が煌々と光っていた。

 それはまるでスフィアの光にも似ていた。

 

 「…魔力的には問題無いわ」

 

 「私も、『悲しみの乙女』もそう過剰に反応はしていない。すべて想定内の範囲だ」

 

 「…こっちもたぶんオーケーや。夜天の書もそんなに反応ない」

 

 『…そう。こちらでも科学的には問題無しよ。…最後にタカ。そっちは?』

 

 プレシアがガンレオンの鎧越しに俺に尋ねてくる。と、

 

 […出来上がったな。D・エクストラクターが]

 

 そう『傷だらけの獅子』が答えた。

 こうして、あっけなくも見事にD・エクストラクターは完成した。

 

 

 はやて視点。

 

 「…出来上がったんか?」

 

 「ん~、今のところはそう判断している」

 

 情報収集能力が優れているデバイスのブラスタの中で作り上げられたD・エクストラクターそれはシグナムの持つレヴァンティンのような機械じみた剣だった。

 ガンレオンを展開した状態の高志君がその剣を軽く振って見せる。

 

 「このまま実験を続けたいのだけれど…。皆は大丈夫?」

 

 「私は大丈夫です。むしろ何もやっていないに近いですから…」

 

 「私も大丈夫だ。主はやては大丈夫ですか?」

 

 「ん~うちも大丈夫やで。ただ、夜天の書を持っていただけやし…」

 

 それにD・エクストラクターの研究が進めば『悲しみの乙女』のスフィアを抑え込みつつ、リインフォースを助ける可能性がある。

 それを聞かされたからには私も全力で協力する。

 それに…。

 

 「…実験って、起動実験だよな?だとしたらプレシアは離れた世界から監視したほうがいいんじゃないのか?」

 

 「大丈夫よ。何かあってもあなたがどうにかするもの」

 

 …高志君。初めての男友達やったし。命の恩人で…。

 いつもボロボロになりながらも私達の前で戦う姿にいつの間にか好きになっていて・・・。

 あわわわわっ。思い出したら顔があつうなってきた!今はガンレオンの鎧をつけているから顔は見えてないけど、見えていたら…。

 あうわぁああああああっ!

 おちつけ、私!今は真面目に!真面目に!

 深こきゅううううううう!ひっひっふー。ひっひっふー。

 ラマァアアアズ!なんでやねん!

 …よし、オチついた!

 

 「…変な信頼だ」

 

 「リニスにもいて欲しかったけど、今は管理局の方でユーノ君達と一緒に事後処理をしているでしょうし、そっちに目が向いているうちに出来ることはやりたいの」

 

 そう、リニスさんはこの世界に残ることになった。

 理由は『フェイトとアルフの行く末と、プレシアが二度と道を踏み外さないように管理する』とのこと。…管理って。

 そして、『スフィアに関して知りたいことがあるから』。

 リニスさんもリインフォースと同じスフィアの持ち主で『揺れる天秤』を持っている。

 リインフォースと同じでスフィアと完全融合しているから高志君に抜き取られた瞬間、消えてしまう恐れがあるらしいけど、うちのリインフォースと違って衰弱していくことはなく、ほぼ無限に生きられるらしい。ただ、ダメージを受ければ痛いし許容量以上のダメージを受ければ死ぬことだってある。だから不老であって不死ではないそうだ。

 

 それから着々と実験は成功していく。

 初動作は一番スフィアを使い慣れている高志君を始めに、リインフォース。シャマル。私。最後にプレシアさん自身が振るうことになった。

 

 ズパアアアアアッン!!

 

 その時初めてD・エクストラクターが初めて大きな変化を見せた。

 高志君の時はその刀身を回転させて電動ノコギリようだった。リインフォースやシャマルや私の時も回転こそしなかったものの『剣』という形を崩さなかったが、プレシアさんが振るった時、その回転する刃の鎖が外れたのか、まるで鞭のようにしなって無人世界の大地に切れ目を入れていった。

 

 「…凄い威力。カートリッジの応用で外部出力を得ているのに、シグナムのレヴァンティンの連結刃。シュランゲバイゼンに劣るとはいえ、今のは鉄の塊にも亀裂を与えるわよ。しかも雷撃のオマケつき」

 

 「これってプレシアさんが言っていた『魔導師じゃなくても魔導師のように戦える』って言っていた魔道兵器なんじゃ…」

 

 今はカートリッジシステムの弾丸を動力にしているD・エクストラクター試作一号機『フレイムアイズ』は成功したかのように見えたけど…。

 

 「………」

 

 プレシアさんはそれを見てしばらく呆然としていた。そして…。

 

 「…がはぁっ!」

 

 「のわぁああああ?!ぷ、プレシアさぁああああん!」

 

 プレシアさんは何故か大量に吐血した。な、なんで?!

 

 「どこか怪我でもしたのか!」

 

 リインフォースは慌ててプレシアさんに駆け寄る。高志君と一緒にシャマルも慌てて回復魔法をかけるが原因が分かるず、おろおろしている。

 

 「…ああ、なるほど。…古傷が開いちゃったのか」

 

 「ごめんなさい。ごめんなさい。…フェイト。悪いお母さんで本当にごめんね」

 

 高志君は何かに納得したのかプレシアさんに魔法をかけるのを中断する。

 

 「ちょ!?高志君、魔法をかけないでいいんですか!?」

 

 「あ~、うん。大丈夫だよ。今のプレシアは魔法なんかよりも、そっとしておいた方がいいよ」

 

 「確かに見事(・・)なスナップで鞭を振るっていて自分に当たっていなかったようにも見えたが、万が一という事も…」

 

 「がはぁっ!」

 

 ぷ、プレシアさんの吐血量がアップした?!

 

 「あ~。今日の実験はここまでで切り上げてアースラに行こうか?」

 

 「そ、そうですね!いくら手慣れた(・・・・)ように見えたとはいっても、一生物の傷(・・・・・・)になるようなことになってしまっては…」

 

 「ぼぶぅっ!」

 

 ぷ、プレ、プレシアァアアアアア!(な、なんじゃあ、こりゃあああ!風)

 いかんで、プレシアさんががくがく逝って、否、いっている!

 もうすぐ誤字ですまなくなるで!

 

 「もうやめて!やめてあげてよ!プレシアのHPはもうゼロよ!」

 

 高志君がプレシアさんを抱えながら、プレシアさんの耳を塞ぐ。だが、それは遅すぎて…。

 

 「…くふっ」

 

 チーンッ。と、音が鳴ったかのようにプレシアさんは真っ白に燃え尽きていた。

 

 「お客様の中に金髪幼女!もしくはその妹はおられませんかぁああああ?!」

 

 「お、おちつけ『傷だらけの獅子』!アースラにテスタロッサ姉妹がいる頃だ!急いで連絡を取りついで…」

 

 「あわわわわわわ…」

 

 「み、みんな、急いで帰るで!帰るまでが実験や!」

 

 この時、私もかなり慌てていたのか変なことを口走ってしまった。

 後日、プレシアさんは高志君とリニスさんの看護の元、何とか危篤状態を脱した。

 高志君曰く、フェイトちゃん達が看護すると鼻血を出すかもしれないし、『心を痛める』かもしれないからやて。

 

 

 

 オマケ。

 

 試作一号機『フレイムアイズ』。剣型のD・エクストラクター。

 二回目の実験でプレシアは粉々に粉砕しようとしたが、貴重なプロトタイプなので高志とはやてが必死に止めた。

 

 試作二号機は『スノーホワイト』。未だに調整中。

 一号機の時の失敗を生かして防御・支援型にすることを視野に入れて開発中。

 

 三号機は『ラッキー・スター』。オールラウンドな射撃型。

 鞭は入れないよ。絶対に。ムチは…。

 

 どれも高価。

 費用は高志とプレシアがリンディから前借りしている。一つにつき、チビレオン十機分。

 それぞれの待機状態は『なのはINNOECENT』に出てくるデバイスそのまんま。

 

 


 
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