No.536640

SAO~黒戦After story~ EP6 十六夜志郎と鍛冶師だった少女

本郷 刃さん

EP6になります。
ハクヤとリズのお話しです。

どぞ・・・。

2013-01-27 10:40:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:13081   閲覧ユーザー数:11978

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EP6 十六夜志郎と鍛冶師だった少女

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志郎(ハクヤ)Side

 

明日奈達が和人の眠っている病院へと向かって行った。

俺は烈弥(ヴァル)景一(ハジメ)と別れ、タクシーに乗り込み、彼女の居るであろう病院へと向かった。

タクシーに乗っている間の俺の心は自分でいうのも難だが浮かれていると思う。

自重するべきか?とも考えたが、やはり彼女に会えるという嬉しさが上回っているのだから仕方がない。

しばらくして、タクシーが一つの病院に着いた。代金を支払い、タクシーから降りて病院の中へと入った。

ナースステーションで彼女の病室を尋ね、案内してもらう。

彼女の病室の扉の横に書いてある名前、『篠崎 里香』……それを確認してから、扉をノックした。

 

志郎Side Out

 

 

 

里香Side

 

「はぁ~……暇ねぇ…」

 

あたし、篠崎里香がVRMMORPG『SAO』から解放されて、2週間が経った今日は12月25日のクリスマスである。

しかし、現在両親は用事がある為に夕方まではこの病室には来ないし、

クリスマスである為か中学時代からの友人達もさすがにお見舞いには来ない。

一人寂しく病室で本でも読んでいたのだけど、さすがに何回も読み返すと飽きてくる。

そしてそうなると色々と考えてしまうようになる。

目覚めてから2週間の間にはそれなりに仲の良かった友人達がお見舞いに来てくれたりしていたのだけれど……、

正直、同情されているような言葉ばかりだったのを覚えている。

「大変だったね」とか「怖かったね」とか、そんなことばかり言われたが、あたしはそうは思わない。

むしろ、あの世界の方が充実していたとさえ考えられる。

確かに命の危機も経験したけれど、それでも楽しいこともたくさんあり、親友と呼べるアスナ、

キリト達仲間、そしてなによりも大好きなハクヤと出会い、共に時間を過ごすことが出来た。

そう言った意味ではナーヴギアを被って正解だったとも思えてしまう。

そんな風に考えてしまう自分に、少し苦笑する。その時だった、

 

―――コンコンコンッ

 

扉がノックされた。

「誰だろう?」と思いつつも、予定などの入っていない友達か用事が早く終わったかもしれない両親だろうと考えた。

 

「ど~ぞ~」

 

あたしは入る事を促して姿を目にするのを待った。

そして、現れたその人物の姿に、思わず息を呑んだ。

 

「久しぶり……って、ほどでもないか…。会いたかったよ、リズベット」

 

「な、なん…で、ここに……ハクヤ…」

 

あたしがSAOにいる時に名乗っていた名前であるリズベットを呼ぶ彼、

あたしが愛した少年であるハクヤがそこに居たのだ。

本当に、彼が…。

 

「なんでもなにも、リズに会いたかったからだよ」

 

「っ、ゆめじゃ、ないよね…?」

 

あたしは涙ぐみながら彼に聞いた。すると、ベッドに近づいてあたしの両頬に手を添えると、

 

「ん…///」

 

「ん…//////」

 

キスをしてきた。

次いで唇を歯で甘噛みされて少しだけ痛みを感じたけど、夢でないことがすぐに分かった。

そして唇を離された。

 

「夢じゃないだろ///?」

 

「(ぐす)ばか…///」

 

笑みを浮かべて言った彼にあたしは照れながら返した。

そのままお互いに額を合わせて笑顔になった。

 

里香Side Out

 

 

 

志郎Side

 

俺はふとあることを思い出した。

彼女と再会出来たことに喜びすぎて、大事なことを忘れていた。それは俺達の名前だ。

 

「俺の名前言ってなかったな。俺は志郎、十六夜志郎だ」

 

「志郎……あたしは里香、篠崎里香よ」

 

里香、知ってはいたものの俺はその名前を心の中で反芻させ、刻み込む。愛する彼女の名前を…。

 

「肝心な自己紹介を忘れてた」

 

「あたしもよ、志郎に会えて嬉しかったから///」

 

「ん、ありがと///」

 

苦笑しながら俺が言うと里香が照れながらも答え、俺も照れてしまった。

 

「そういえば思ったことがあるんだけど…」

 

「どうした?」

 

「志郎って、もう歩けるようになってるのね」

 

里香の疑問に俺は納得した。確かにそれは思うだろうな~。

 

「かなり厳しい地獄のリハビリメニューをこなしたんだ。師匠直伝の、な…」

 

俺は僅かに遠い目をした、それを隣で見ている里香は首を傾げている。あ、可愛い…。

 

「そういう里香は歩けるようになったのか?」

 

「松葉杖があればね」

 

まぁ、2週間やそこらならそれくらいが妥当かもな。明日奈もそうだったし……て、そうだ。

 

「アスナ、元気にしてたぞ」

 

「ほ、本当!? 良かったわ~、なら志郎みたいに歩いてるキリトを見て、驚いたんじゃない?」

 

「………」

 

「志郎…?」

 

明日奈のことを伝えたことで和人(キリト)も無事だと思ったのだろう、

しかし俺が沈黙したことで不安げな表情した。

 

「キリト、桐ヶ谷和人っていうんだけどな……まだ目覚めていないんだ…」

 

「そ、そんな!?……あれ、でも、生きてはいるってことよね?」

 

俺の言い方に和人が生存していることに気付いた里香、俺は頷いて応える。

 

「眠り続けている理由は分からない、

 けどアスナは元気でいる……多分、和人が目覚めた時に心配を掛けないようにする為だと思う」

 

「そうだったのね…。実はあたし、ゲームからログアウトする前に和人(キリト)の声を聞いたの、

 『ゴメン……アスナ…』って…」

 

「そっか……それ、和人が最後に言った言葉なんだ…」

 

彼女が言った言葉に、俺は和人が消える直前に放った一言であることを伝え、それを聞いた里香は顔を俯かせた。

 

「目を覚ますわよね…?」

 

「(ニヤリ)当たり前だろ、アイツは『覇王』で『英雄』で、【黒の聖魔剣士】だぞ」

 

「そうね」

 

不安がる彼女に俺は不敵な笑みを浮かべて答えた。里香からも不安な表情が消えた。

 

「ねぇ、もっと話しましょ。あたし、たくさん知ってほしいことがあるんだから♪」

 

「そうだな。俺も、里香にたくさん知ってほしい」

 

俺と里香はお互いに色々なことを話し始めた。

 

 

 

夕方になる頃まで話し込んでいた俺達だったけれど、そろそろ戻らないといけないので俺は帰ることにした。

 

「それじゃ、また今度必ず来るからな」

 

「ええ、その時はうちの両親にも会ってよね?」

 

「まぁ、そこはおいおいな…」

 

まさかの両親に会ってくれと言われて少しだけ苦笑した。

そして俺はベッドに座る里香に顔を近づけてキスを交わした。少し長めにしておくのは充電というやつだ。

 

「またな、里香///」

 

「またね、志郎///」

 

別れの挨拶を交わしてから俺は病室をあとにした。

病院から出て里香の病室を見上げると彼女が手を振っていたので、俺も手を振って応えた。

タクシーに乗り込んで俺は自分の病院へと戻った。

 

 

 

俺は里香を必ず守ろう、例え何かに阻まれようとも。

彼女が俺を思ってくれているのならば、どんな困難でも打ち破ってみせる。

 

志郎Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、今回は甘めな話しにしましたw

 

ルビの方もオリキャラはハクヤだけでしたので、今回も最初のみということです。

 

そして次回は景一の話しになりますよ~。

 

是非次回もお楽しみに~・・・でも、次回は微妙かも・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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